募集設立とは|設立時募集株式・創立総会・払込までの実務フロー

募集設立とは、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けるのではなく、発起人以外の者にも設立時発行株式を引き受けてもらう株式会社の設立方法です。会社法上、株式会社は、発起設立又は募集設立のいずれかの方法で設立できます。

実務では、非上場・中小企業の設立では発起設立が多く使われます。募集設立は、外部投資家や事業協力者を設立時から株主に入れたい場合に検討されますが、設立時募集株式の募集・申込み・割当て、払込み、創立総会、設立時取締役等の選任・調査、登記添付書類など、発起設立よりも確認すべき手続が多くなります。

本記事では、募集設立について、発起設立との違い、設立時募集株式の募集・申込み・割当て、払込みと払込金保管証明、創立総会、設立登記までの実務フローを整理します。

  • 募集設立は、発起人以外の者にも設立時発行株式を引き受けてもらう設立方法です。
  • 募集事項の決定、申込み、割当て、払込み、創立総会が発起設立との大きな違いです。
  • 設立時募集株式の引受人は、払込期日又は払込期間内に、発起人が定めた銀行等で全額を払い込む必要があります。
  • 募集設立では、払込後に創立総会を招集し、設立時役員の選任、設立事項の報告、定款変更、設立廃止などを扱います。
  • 実務では、発起設立で設立した後に増資や株式譲渡を行う方法と比較して、どちらが安全で簡便かを検討することが重要です。

坂尾陽弁護士

募集設立は「外部から設立資金を集められる便利な方法」とだけ見ると危険です。手続が重く、創立総会や保管証明などの証拠化も必要になるため、設立時から外部株主を入れる実益があるかを先に確認しましょう。

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

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募集設立とは

募集設立とは、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者を募集する方法です。会社法25条は、株式会社の設立方法として、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法と、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者を募集する方法を定めています。

前者が発起設立、後者が募集設立です。各発起人は、株式会社の設立に際して、設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません。したがって、募集設立でも、発起人が株式を全く引き受けず、外部の引受人だけで会社を設立することはできません。

条文を確認する場合は、e-Gov法令検索「会社法」で、会社法25条、57条から64条、65条以下、88条以下、102条の2・103条を確認すると、募集設立の全体像を把握しやすくなります。

この記事の前提

この記事は、主に非上場・中小企業が、外部投資家や事業協力者を設立時から株主に入れる場面を想定しています。広く不特定多数に出資を勧誘する場合や、投資商品性が強いスキームでは、会社法だけでなく金融商品取引法、広告表示、投資契約、反社会的勢力排除などの確認も必要になる場合があります。


発起設立との違い

募集設立と発起設立の違いは、設立時発行株式を誰が引き受けるかにあります。発起設立では、発起人が設立時発行株式の全部を引き受けます。募集設立では、発起人が一部を引き受けるだけでなく、発起人以外の者にも設立時発行株式を引き受けてもらいます。

項目 発起設立 募集設立
株式の引受人 発起人が全部を引き受ける 発起人に加え、発起人以外の引受人を募集する
外部株主の参加時期 原則として設立後の株式譲渡・増資などで参加 会社成立時から株主になる設計が可能
創立総会 原則として不要 原則として必要
払込証明 通常は払込みがあったことを証する書面を作成 払込金保管証明書が問題になる
手続負担 比較的軽い 募集、申込み、割当て、払込み、創立総会などが加わる
実務上の利用頻度 中小企業設立で多い 限定的。外部株主を設立時から入れる必要がある場合に検討

単に資本金を増やしたいだけであれば、発起設立で会社を成立させた後に、募集株式の発行や株式譲渡を検討する方が簡便な場合があります。一方で、外部投資家を会社成立時点から株主にしたい、設立時点の株主構成を契約上明確にしたい、創立総会を通じて設立時株主の承認を得たいといった事情がある場合には、募集設立を検討する余地があります。

会社設立全体の流れは、定款とは|絶対的・相対的・任意的記載事項と作成の実務ポイント設立時発行株式とは|株数・払込金額・資本金/資本準備金の決め方株式会社の成立時期も併せて確認すると整理しやすくなります。


募集設立を使う場面と使わない場面

募集設立は、外部者を設立時から株主にするための制度です。ただし、手続負担が重く、募集段階の説明、払込み、創立総会、登記添付書類、責任関係まで整える必要があります。そのため、実務では、募集設立を使う実益があるかを慎重に検討します。

場面 募集設立を検討しやすい事情 注意点
外部投資家を会社成立時から株主にしたい 設立時点の出資比率を最初から確定したい 投資契約、株主間契約、議決権、種類株式の設計も必要
事業協力者が設立段階から出資する 創業メンバー以外の資金・信用・ノウハウを取り込む 役割、株式比率、離脱時の扱いを事前に定める
多人数の引受人がいる 創立総会で設立時株主の意思決定を整理できる 通知、議決権、議事録、本人確認、払込管理が重くなる
設立後すぐに増資する予定 設立時にまとめて株主構成を作れる可能性がある 発起設立後の増資と比較し、手続・税務・契約の全体で判断する

逆に、発起人だけで資金を出せる場合、外部投資家の参加時期が会社成立後で足りる場合、外部者の出資条件がまだ固まっていない場合は、無理に募集設立を選ばない方が安全です。会社成立前は、会社自体がまだ存在しないため、契約主体、返還、設立中止時の処理が複雑になりやすいからです。

募集設立を選ぶ前に比較する

募集設立を検討する場合は、「発起設立で早く会社を成立させ、その後に増資・株式譲渡・株主間契約で外部者を入れる方法」と必ず比較しましょう。募集設立は制度上可能でも、実務上は発起設立後の手続の方が明確で安全なことがあります。


募集設立の実務フロー

募集設立は、発起設立の基本手続に加えて、設立時募集株式の募集・割当て・払込み・創立総会が入る構造です。大まかな流れは次のとおりです。

段階 主な作業 確認するポイント
定款作成・認証 目的、商号、本店、出資財産、発起人、株式設計を定める 募集設立で使う株式数、発行可能株式総数、種類株式、譲渡制限
発起人の引受け・出資 発起人が1株以上を引き受け、必要な出資を履行する 発起人の払込金額、資本金・資本準備金、現物出資の有無
募集事項の決定 設立時募集株式の数、払込金額、払込期日又は期間などを決める 発起人全員の同意、条件の均等性、取消し条項
申込み・割当て 申込者へ通知し、申込書又は契約で引受人を確定する 申込者の氏名・住所、割当株式数、通知・変更通知の証拠
払込み 引受人が払込金額全額を銀行等に払い込む 払込期限、払込口座、払込金保管証明、未払者の扱い
創立総会 払込後に創立総会を招集し、設立時株主の意思決定を行う 招集通知、決議要件、議事録、設立事項の報告、設立時役員選任
設立時取締役等の調査 設立手続、出資、変態設立事項などを確認する 調査報告、検査役、専門家証明、発起人との利害関係
設立登記 本店所在地で設立登記を申請する 添付書類、創立総会議事録、払込金保管証明書、就任承諾書

募集設立では、各段階が連動します。たとえば、募集事項の払込期日又は払込期間を曖昧にすると、創立総会の招集時期や払込未了者の扱いが不明確になります。創立総会の議事録が不十分だと、設立登記の添付書類や設立時役員の選任の証拠として問題になることがあります。


設立時募集株式の募集事項を決める

募集設立では、発起人が設立時発行株式を引き受ける者を募集する旨を定めることができます。この募集をするには、発起人全員の同意が必要です。

募集を行う場合、発起人は、その都度、設立時募集株式について、少なくとも次の事項を定めます。

  • 設立時募集株式の数
  • 設立時募集株式1株と引換えに払い込む金額
  • 払込みの期日又は払込期間
  • 一定の日までに設立登記がされない場合に引受けを取り消せることとするときは、その旨とその一定の日

これらの事項を定める場合も、発起人全員の同意が必要です。また、設立時募集株式の払込金額その他の募集条件は、募集ごとに均等に定めなければなりません。種類株式発行会社として設立する場合は、種類ごとの数や内容も確認します。

設立時募集株式は、会社成立前の株式引受けです。会社成立後の募集株式の発行とは異なるため、取締役会決議や株主総会決議で後から処理すれば足りるという発想ではなく、設立手続として会社法57条以下の流れに沿って処理します。設立時発行株式そのものの設計は、設立時発行株式とは|株数・払込金額・資本金/資本準備金の決め方で整理しています。

現物出資との関係

設立時募集株式の引受人は、払込金額の全額を金銭で払い込むことが基本です。現物出資を使いたい場合は、発起人側の現物出資として、定款記載、検査役調査又は省略要件、価額不足責任を別途確認します。詳しくは、現物出資・財産引受け(変態設立事項)を参照してください。


申込み・割当てで引受人を確定する

発起人は、設立時募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、定款認証の年月日、定款の基本事項、変態設立事項、発起人が出資した財産の価額、払込みの取扱場所などを通知します。募集条件に変更があった場合には、申込者に直ちに通知する必要があります。

申込者は、氏名又は名称及び住所、引き受けようとする設立時募集株式の数を記載した書面を発起人に交付します。発起人の承諾がある場合には、電磁的方法で提供することもできます。

そのうえで、発起人は、申込者の中から、誰に何株を割り当てるかを決めます。割当てによって、申込者は割り当てられた設立時募集株式について引受人となります。設立時募集株式の総数を引き受ける契約を締結する場合には、申込み・割当ての特則が問題になります。

確認資料 記載・保存すべき事項 実務上の注意点
募集事項決定書 株式数、払込金額、払込期日又は期間、取消し条項 発起人全員の同意を明確に残す
申込書 申込者の氏名・住所、申込株式数 本人確認、反社確認、連絡先を別途管理する
割当決定書 割当先、割当株式数、払込金額 申込株式数と割当株式数が異なる場合は特に明確化する
通知書・変更通知 通知内容、発送日、到達先 後日の説明義務・紛争予防のため証拠化する

募集設立では、申込みや割当ての書類が、設立登記の添付書類や設立後の株主名簿作成の基礎になります。口頭の合意やチャット上のやり取りだけで済ませず、募集条件、申込み、割当て、払込みの対応関係が分かる形で記録を残します。


払込みと払込金保管証明を確認する

設立時募集株式の引受人は、払込期日又は払込期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱場所で、引き受けた設立時募集株式の払込金額全額を払い込まなければなりません。払込みをしない引受人は、払込みによって設立時募集株式の株主となる権利を失います。

発起設立では、実務上、発起人名義の口座への払込みと通帳写し等に基づく「払込みがあったことを証する書面」が用いられることが多いです。これに対し、募集設立では、設立時募集株式の引受人から払込みを受けるため、払込金の保管証明が重要になります。

会社法64条は、募集が行われた場合に、発起人が、払込みを取り扱った銀行等に対し、払込金の保管に関する証明書の交付を請求できると定めています。募集設立の設立登記では、払込金保管証明書、株式申込書、創立総会議事録など、発起設立よりも添付書類が増える点に注意が必要です。

仮装払込みは設立後も問題になります

払込みは、単に入金記録の外形があるだけでは足りません。最初から会社資金として確保する意思がなく、借入金で一時的に外形だけ整え、すぐに引き出して返済するような処理は、仮装払込みとして責任問題につながります。払込みの詳細は、出資の履行(払込み)と払込証明、募集設立における条文上の整理は、会社法63条・64条|設立時募集株式の払込み・払込金の保管証明を参照してください。


創立総会を招集する

募集設立では、払込期日又は払込期間の末日のうち最も遅い日以後、発起人は、遅滞なく創立総会を招集しなければなりません。創立総会は、設立時株主を構成員とする会議であり、会社成立前に、設立に関する重要事項を確認・決議する場です。

創立総会を招集する場合、発起人は、日時・場所、目的事項、書面投票や電磁的方法による議決権行使を認めるかなどを定めます。招集通知は、原則として創立総会の日の2週間前までに発する必要がありますが、非公開会社などでは短縮される場合があります。設立時株主全員の同意があれば、一定の場合を除き、招集手続を省略して開催できます。

創立総会の決議は、原則として、議決権を行使できる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数で行います。定款変更や設立廃止など、内容によっては特別な要件や全員同意が問題になるため、通常の株主総会決議と同じ感覚で処理しないことが重要です。

創立総会で扱う主な事項 実務上の意味 確認資料
設立に関する事項の報告 発起人が設立経過、出資、変態設立事項などを報告する 設立経過報告、検査役報告、専門家証明
設立時取締役等の選任 募集設立では創立総会決議で選任する 創立総会議事録、就任承諾書、本人確認証明書
定款変更 設立前の定款内容を変更する 議案、決議要件、種類創立総会の要否
設立廃止 会社設立を取りやめる 払込金返還、契約解除、費用負担の整理
創立総会の延期・続行 調査未了や資料不足に対応する 議事録、再開日程、追加通知の要否

創立総会の手続、招集、議決権、議事録、決議省略は、創立総会の手続|招集・議決権・議事録・省略まで実務解説で詳しく整理しています。条文ベースでは、会社法65条〜83条|創立総会の招集・議決権・決議・議事録・省略も参照してください。


設立時役員の選任・調査・報告を行う

募集設立では、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役、設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行います。発起設立では発起人の議決権の過半数で選任する場面が中心ですが、募集設立では設立時株主の意思決定が入る点が大きく異なります。

設立時役員を選任した後は、就任承諾書、印鑑証明書、本人確認証明書などの登記添付書類を準備します。設立時代表取締役の選定が必要な機関設計では、代表取締役の選定書面や就任承諾も確認します。

また、募集設立では、設立時取締役等による調査も会社法93条・94条に沿って整理します。現物出資、財産引受け、設立手続、払込み、創立総会での報告などに不備がある場合、設立登記の前後で補正や責任問題につながります。

発起設立と募集設立で調査条文が変わります

発起設立では会社法46条の設立時取締役等による調査が中心です。募集設立では会社法93条・94条が問題になります。実務上は、どの設立方式かを先に確認したうえで、必要な調査報告書、検査役報告、専門家証明、創立総会への報告を分けて整理します。

設立時取締役等の選任一般は、設立時取締役・監査役の選任方法、設立時代表取締役は、設立時代表取締役の選定、募集設立の条文整理は、会社法88条〜92条|設立時取締役等の選任・解任会社法93条・94条|設立時取締役等による調査(募集設立)を参照してください。


設立登記と会社成立までの注意点

募集設立の手続が終わったら、本店所在地を管轄する法務局で設立登記を申請します。株式会社は、設立登記によって成立します。したがって、定款認証、募集、払込み、創立総会まで終わっていても、設立登記がされるまでは会社は成立していません。

募集設立の設立登記では、発起設立と共通する書類に加えて、株式申込書、払込金保管証明書、創立総会議事録、設立時役員の選任・就任関係書類などが問題になります。登記申請前に、募集事項、申込み、割当て、払込み、創立総会決議、役員選任、調査報告の流れがつながっているかを確認します。

設立時募集株式について、一定の日までに設立登記がされない場合に引受けを取り消すことができる旨を募集事項に定めたときは、その一定の日も管理が必要です。設立が遅れる場合、引受人の取消し、払込金の返還、設立廃止、発起人の責任が問題になることがあります。

株式会社の成立時期、成立日前の契約、権利義務の帰属は、株式会社の成立時期|成立日・権利義務の帰属・成立前の行為を整理で詳しく整理しています。設立が途中で止まった場合の責任は、会社法56条|株式会社不成立の場合の責任も確認してください。


募集設立で起きやすいリスク

募集設立では、発起人以外の者が会社成立前から関与するため、発起設立よりも利害関係者が増えます。その結果、説明不足、払込不備、株主構成の誤解、設立中止時の返還、創立総会の瑕疵などが問題になりやすくなります。

リスク 問題になりやすい場面 予防策
募集条件の不明確さ 払込金額、株式数、取消し条項が曖昧 募集事項決定書と申込書を整合させる
払込不備 期日後入金、名義不一致、仮装払込み 払込期日、口座、入金者、金額を一覧管理する
説明不足 設立時株主が定款・変態設立事項・発起人出資を理解していない 通知書、説明資料、Q&A、議事録で証拠化する
創立総会の瑕疵 招集通知、決議要件、議事録が不十分 創立総会チェックリストを作成する
株主間トラブル 設立後の議決権、譲渡制限、役員選任で対立 定款、株主間契約、投資契約を設立前に整える
設立不成立・廃止 登記未了、設立廃止、引受取消し 返還・費用負担・対外契約の処理を事前に定める

特に、外部投資家や事業協力者を設立時から入れる場合は、会社法上の設立手続だけでなく、株主間契約、譲渡制限、役員選任権、拒否権、競業避止、情報提供、出資不履行時の処理まで設計する必要があります。設立後に揉めると、創業直後の事業運営に大きな影響が出ます。

広告・勧誘の表現にも注意

募集設立は、会社法上の「設立時発行株式を引き受ける者の募集」です。ただし、外部に向けて出資を募る表現をする場合、会社法だけでなく、金融商品取引法、景品表示法、詐欺的表示、反社会的勢力排除、個人情報管理などが問題になることがあります。公開資料や紹介資料を作る前に、出資条件と法規制の確認が必要です。


募集設立を進める前のチェックリスト

募集設立は、設立時点から株主構成と資金調達を作り込める反面、手続ミスの影響が大きくなります。実務では、少なくとも次の点を確認してから進めます。

  • 発起設立後の増資・株式譲渡ではなく、募集設立を使う必要性があるか。
  • 発起人全員が、募集を行うこと、募集事項、割当方針に同意しているか。
  • 設立時募集株式の株式数、払込金額、払込期日又は払込期間が明確か。
  • 引受人の本人確認、反社確認、資金源、入金名義を確認できるか。
  • 払込金保管証明書を取得できる銀行等との段取りができているか。
  • 創立総会の招集通知、目的事項、決議要件、議事録を準備できるか。
  • 設立時取締役等の就任承諾書、印鑑証明書、本人確認証明書を準備できるか。
  • 現物出資、財産引受け、種類株式、譲渡制限、発行可能株式総数の設計が整っているか。
  • 設立登記が遅れた場合の引受取消し、払込金返還、設立廃止の対応を決めているか。
  • 外部投資家との株主間契約、投資契約、守秘義務、競業避止、情報提供の条件が整理されているか。

募集設立は、単に会社法57条以下の条文に沿って書類を作れば足りるものではありません。会社成立後の株主構成、経営権、資本政策、出資者との関係まで見通して設計することが重要です。


募集設立に関するよくある質問

募集設立は発起設立より有利ですか

一概に有利とはいえません。外部者を会社成立時から株主にできる点はメリットですが、募集、申込み、割当て、払込み、創立総会、登記添付書類などの手続負担が増えます。中小企業の通常の設立では、発起設立で会社を成立させた後に、増資や株式譲渡で外部者を入れる方法も比較対象になります。

外部投資家を入れる場合は必ず募集設立ですか

必ずしも募集設立ではありません。会社成立時から外部投資家を株主にしたい場合は募集設立が選択肢になりますが、会社成立後に第三者割当増資や株式譲渡を行う方法もあります。出資時期、契約条件、税務、登記、投資家の要望を踏まえて選びます。

設立時募集株式の引受人が払込みをしない場合はどうなりますか

設立時募集株式の引受人が払込期日又は払込期間内に払込みをしない場合、その払込みによって設立時募集株式の株主となる権利を失います。実務上は、未払者を除いた株主構成で設立できるか、募集事項や発行株式数との整合性があるかを確認する必要があります。

創立総会は省略できますか

一定の場合には、設立時株主全員の同意により招集手続を省略して開催できる場合や、設立時株主全員の書面又は電磁的記録による同意で決議があったものとみなされる場合があります。ただし、書面投票・電磁的方法による議決権行使を定めた場合など、招集手続の省略ができない場面もあるため、個別に確認します。

募集設立で会社設立をやめる場合はどう処理しますか

創立総会で設立廃止を決議する場合や、一定の日までに設立登記がされず引受人が取消しをする場合などが考えられます。払込金の返還、設立費用の負担、対外契約の解除、発起人の連帯責任を整理する必要があります。会社法56条の株式会社不成立の場合の責任も確認してください。


まとめ

募集設立は、発起人に加えて、発起人以外の者にも設立時発行株式を引き受けてもらう株式会社の設立方法です。外部株主を会社成立時から参加させることができますが、その分、発起設立よりも手続が複雑になります。

  • 募集設立では、発起人全員の同意により、募集を行うことや募集事項を決めます。
  • 設立時募集株式の申込み・割当て・払込みを、書面と入金記録で明確に残す必要があります。
  • 払込後は、発起人が遅滞なく創立総会を招集し、設立事項の報告、設立時役員の選任、必要な決議を行います。
  • 設立登記が完了するまでは会社は成立しておらず、登記遅延や設立廃止時の返還・責任を整理しておく必要があります。
  • 実務では、発起設立後の増資・株式譲渡と比較し、募集設立を選ぶ必要性と安全性を検討することが重要です。

募集設立を使う場合は、会社法上の設立手続だけでなく、株主構成、資本政策、投資契約、株主間契約、登記添付書類、払込金の管理まで一体として設計する必要があります。外部者から出資を受ける設立では、早い段階で手続全体を整理しておくことが重要です。

坂尾陽弁護士

募集設立は、設立時から外部株主を入れるための有力な選択肢ですが、手続を間違えると設立登記、株主関係、払込責任、発起人責任に連鎖します。発起設立後の増資で足りるか、募集設立で進めるべきかを、設立前に比較しておきましょう。

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