定款認証とは|公証役場の手続・費用・電子定款の注意点

定款認証は、株式会社を設立する前に、公証人が原始定款の作成手続と内容を確認し、定款としての効力を認める手続です。株式会社の原始定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。

実務では、「定款を作る」「公証役場で認証を受ける」「出資を払い込む」「設立登記を申請する」という順序を意識して準備します。定款認証は設立登記そのものではありませんが、設立登記に進むための重要な前提手続です。

  • 株式会社の設立では、原則として公証人による定款認証が必要です。
  • 合同会社では定款は作成しますが、公証人の認証は不要です。
  • 費用は、認証手数料、謄本・同一情報提供手数料、紙定款の収入印紙などを分けて確認します。
  • 電子定款は印紙代を抑えられますが、電子署名、オンライン申請、事前確認の段取りが重要です。

坂尾陽弁護士

定款認証は、書類を公証役場に持ち込めば自動的に終わる手続ではありません。目的、出資、株式、役員、実質的支配者の申告、電子署名の準備まで含めて、認証前に整えておくことが重要です。

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

企業法務の無料法律相談実施中!

  • 0円!完全無料の法律相談
  • 弁護士による無料の電話相談も対応
  • お問合せは24時間365日受付
  • 土日・夜間の法律相談も実施
  • 全国どこでも対応いたします


企業法務の無料法律相談 0120-126-050(24時間365日受付)

 


定款認証とは何か

定款認証とは、公証人が、発起人によって作成された定款について、法令上必要な方式を備えているか、設立しようとする会社の基本事項が定款として整っているかを確認し、認証する手続です。認証の依頼は、公証実務では「嘱託」と呼ばれます。

株式会社の設立では、会社法30条により、原始定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じません。条文を確認する場合は、e-Gov法令検索「会社法」で会社法30条前後を確認できます。

定款そのものの意味や、目的・商号・本店所在地などの記載事項を先に整理したい場合は、定款とは|絶対的・相対的・任意的記載事項と作成の実務ポイントを確認してください。

定款認証と設立登記の違い

定款認証は、定款の効力に関する公証人の手続です。株式会社が成立するのは、原則として設立登記をした時点です。認証を受けただけで会社が成立するわけではありません。


定款認証が必要な場合・不要な場合

定款認証の要否は、会社形態によって異なります。株式会社を設立する場合には必要ですが、合同会社を設立する場合には公証人の認証は不要です。

類型 定款の作成 公証人の認証 実務上の注意点
株式会社 必要 必要 本店所在地を管轄する法務局・地方法務局に所属する公証人の認証を受けます。
合同会社 必要 不要 定款は必要ですが、公証役場での認証手続は不要です。
一般社団法人・一般財団法人 必要 必要 株式会社とは費用・必要書類・設計事項が異なるため、法人類型に合わせて確認します。
設立後の定款変更 変更内容による 通常の設立時認証とは別問題 株主総会決議、変更登記、添付書類の要否を個別に確認します。

この記事では、主に非上場・中小企業が株式会社を設立する場面の定款認証を前提に説明します。合同会社との比較は補足にとどめ、株式会社の公証役場手続、費用、電子定款の注意点を中心に整理します。


定款認証の流れ

定款認証は、いきなり公証役場へ行くのではなく、定款案の事前確認を経て進めるのが通常です。補正があると認証日や設立登記日がずれ込むため、設立希望日から逆算して準備します。

  1. 定款案を作成する
  2. 管轄する公証役場を確認する
  3. 必要書類と実質的支配者の申告書を準備する
  4. 公証人に定款案を事前確認してもらう
  5. 紙定款又は電子定款の方式で認証を嘱託する
  6. 面前確認を受け、手数料を支払う
  7. 認証済み定款や謄本を受け取り、設立登記へ進む

定款案を作成する

最初に、目的、商号、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額又は最低額、発起人の氏名・住所など、定款の基本事項を決めます。目的の書き方は会社設立の「目的」の決め方、本店所在地は本店所在地の決め方で詳しく整理しています。

設立時発行株式、払込金額、資本金・資本準備金の設計も、定款認証前に整合させておく必要があります。株数や払込金額の考え方は、設立時発行株式とはを確認してください。

管轄する公証役場を確認する

株式会社の定款認証は、本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人が行います。実務上は、本店所在地の都道府県内の公証役場を確認し、事前に連絡して進めることが多いです。

本店所在地を変更する可能性がある場合は、認証前に確定させておくことが重要です。認証を受ける公証役場の選択だけでなく、設立登記の管轄や、その後の移転手続にも影響します。

定款案の事前確認を受ける

多くの公証役場では、定款案をメール、ファックス、オンライン手続などで事前に確認します。公証人から、目的の表現、発起人の住所表記、出資額、株式数、機関設計、公告方法、実質的支配者申告などについて補正を求められることがあります。

事前確認を受けずに認証日を迎えると、当日に修正が必要となり、電子署名のやり直し、委任状の再作成、認証日の延期につながることがあります。特に電子定款では、電子署名後の修正に手間がかかるため、認証前の確認が重要です。

認証後に設立登記へ進む

認証済みの定款を受け取った後は、発起人の出資の履行、払込証明書の準備、設立時役員の選任・就任承諾、設立登記申請へ進みます。払込みの実務は、出資の履行(払込み)と払込証明で整理します。

株式会社の成立時期は、設立登記の完了と密接に関係します。認証後の流れを全体で確認したい場合は、株式会社設立の流れ株式会社の成立時期も確認してください。


定款認証に必要な書類

必要書類は、発起人が個人か法人か、本人が行くか代理人が行くか、紙定款か電子定款かによって変わります。公証役場によって事前確認の方法や求められる資料の出し方が異なることもあるため、予約時に確認します。

書類・資料 主な内容 注意点
定款案 認証を受ける原始定款 紙定款では発起人全員の署名又は記名押印、電子定款では電子署名の準備が必要です。
発起人の印鑑登録証明書 個人発起人の本人確認資料 取得後3か月以内のものを求められるのが通常です。
法人発起人の登記事項証明書・印鑑証明書 発起人が法人の場合の確認資料 代表者資格、代表印、法人の目的との関係を確認されることがあります。
実質的支配者となるべき者の申告書 設立後の会社を実質的に支配する者に関する申告 表明保証書や本人確認資料の添付を求められることがあります。
委任状 代理人が認証手続を行う場合の委任書類 紙定款・電子定款の方式により、押印又は電子署名の扱いを確認します。
代理人の本人確認資料 運転免許証、印鑑証明書等 代理人の本人確認方法は公証役場の案内に従います。
電子署名・オンライン申請環境 電子定款を作成・送信するための準備 マイナンバーカード、電子証明書、PDF署名、登記・供託オンライン申請システムの利用準備が必要です。
謄本又は同一情報提供の請求内容 登記申請用、会社保存用、金融機関提出用など 必要部数により費用が変わります。

実質的支配者申告は、マネー・ローンダリング対策等の観点から重要です。形式的な書類と考えず、誰が実質的支配者に当たるか、住所・氏名・生年月日・国籍等の記載が正しいかを確認します。


定款認証の費用

定款認証の費用は、認証手数料、謄本又は同一情報提供の手数料、紙定款の場合の収入印紙代に分けて確認します。設立登記の登録免許税や専門家報酬は、定款認証そのものの費用とは別です。

費用項目 金額の目安 ポイント
認証手数料 1万5,000円、3万円、4万円又は5万円 株式会社では資本金の額等や一定の小規模会社要件により変わります。
紙定款の収入印紙 4万円 電子定款の場合は、通常この収入印紙は不要です。
紙定款の謄本手数料 1枚250円を基準に計算 登記申請用など必要部数・枚数により変わります。
電子定款の電磁的記録保存 300円 電子公証に関する手数料として発生します。
電子定款の同一情報提供 1通700円、書面交付は1枚20円加算 紙の謄本に相当する書面を受け取る場合などに確認します。

株式会社又は特定目的会社の定款認証手数料は、資本金の額等が100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円が基本です。さらに、資本金の額等が100万円未満の株式会社で、発起人全員が自然人かつ3人以下、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載がある、取締役会を置く旨の記載がない、という要件を満たす場合は1万5,000円となります。最新の手数料は、日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」も確認してください。

手数料で間違えやすい点

定款に資本金の額等が記載されていない場合や、「設立に際して出資される財産の最低額」だけを記載している場合には、手数料区分が想定と異なることがあります。小規模会社の減額を見込む場合は、定款案の記載と要件充足を事前に確認してください。

公証人手数料令上の手数料を確認する場合は、e-Gov法令検索「公証人手数料令」も参考になります。実際の支払額は、定款の枚数、謄本の部数、電子定款の受け取り方法によって変わるため、最終的には認証予定の公証役場に確認します。


電子定款を使う場合の注意点

電子定款は、紙に印刷した定款ではなく、電子署名を付した電磁的記録として作成する定款です。最大のメリットは、紙定款で必要となる4万円の収入印紙が不要になる点です。

ただし、電子定款は「PDFにすればよい」というだけではありません。電子署名、オンライン申請、委任状、面前確認、認証済みデータの受け取り方法を含めて準備する必要があります。

電子署名の準備が必要

電子定款には、発起人又は代理人の電子署名が必要です。マイナンバーカードを利用する場合でも、署名用電子証明書、カードリーダー又はスマートフォン、対応ソフト、PDF署名の手順を確認しておく必要があります。

電子署名後に定款の内容を修正すると、再度PDF作成や電子署名が必要になることがあります。目的、出資、発起人情報などは、電子署名前に公証人の事前確認を受けておくと安全です。

ウェブ会議による面前確認が利用されることがある

電子定款の認証では、公証役場に出向かず、ウェブ会議で面前確認を行う運用が広がっています。日本公証人連合会は、全国の公証役場で、利用者から特段の希望がない限り、電子定款の面前審査をウェブ会議で実施することを原則とする運用を案内しています。

ウェブ会議を利用する場合でも、本人確認資料、委任状、電子署名、オンライン申請の準備が不要になるわけではありません。通信環境、カメラ・マイク、当日の参加者、資料提示方法を事前に確認します。

定款作成支援ツールや48時間処理は対象を確認する

日本公証人連合会は、スタートアップ支援のため、定款作成支援ツール、48時間特別処理、ウェブ会議原則などの取組を案内しています。小規模でシンプルな株式会社をスピーディーに設立したい場合には、日本公証人連合会「定款認証に関する新たな取組」を確認するとよいでしょう。

もっとも、これらの制度は、定款の内容や申請方法、補正の有無などによって利用可否や処理期間が変わります。共同創業、種類株式、現物出資、複雑な機関設計、許認可との調整がある場合は、スピードだけを優先せず、定款の内容を慎重に確認する必要があります。


公証役場で補正が出やすいポイント

定款認証では、形式的な誤字だけでなく、設立後の会社運営に影響する事項についても確認が入ることがあります。補正が出やすいポイントを事前にチェックしておくと、認証手続をスムーズに進めやすくなります。

確認ポイント 補正・確認が出やすい例 事前対応
目的 内容が広すぎる、許認可事業と表現が合っていない 現在・近い将来の事業、許認可、取引先説明との整合性を確認する
本店所在地 定款記載と登記予定地の表記がずれている 市区町村までにするか、番地まで記載するかを決める
出資・株式 払込金額、設立時発行株式、発起人引受の記載が不整合 株数、1株の払込金額、資本金・資本準備金の設計をそろえる
変態設立事項 現物出資や財産引受けの記載が不足している 財産内容、価額、譲渡人、検査役調査の要否を確認する
機関設計 取締役会、監査役、代表取締役の定めに矛盾がある 非公開会社として必要な機関だけを置くか検討する
発起人情報 印鑑証明書と住所・氏名表記が一致していない 証明書の記載どおりに統一する
実質的支配者申告 申告書、表明保証書、本人確認資料に不足がある 実質的支配者の該当者と必要資料を早めに確認する

現物出資や財産引受けがある場合は、単なる定款認証の問題にとどまらず、検査役手続や発起人等の責任に関係することがあります。詳しくは、現物出資・財産引受け(変態設立事項)で確認してください。


定款認証後に行う手続

定款認証が終わったら、設立登記に向けて、出資の履行、払込証明、設立時役員関係書類、登記申請書類を整えます。認証済み定款の内容と、登記申請書、発起人の同意書、就任承諾書、払込証明書の内容が矛盾しないように確認します。

特に、資本金、発行済株式数、発行可能株式総数、本店所在地、役員構成、公告方法などは、定款と登記申請で整合している必要があります。認証後に定款の主要部分を変更したい場合は、再認証や手続のやり直しが必要になる可能性があるため、公証役場や専門家に確認した方が安全です。

設立時取締役や監査役の選任は、設立時取締役・監査役の選任方法、代表取締役の選定は設立時代表取締役の選定で整理します。


よくある質問

電子定款なら定款認証費用はかかりませんか?

電子定款でも、公証人の認証手数料はかかります。紙定款と大きく違うのは、電子定款では通常、4万円の収入印紙が不要になる点です。認証手数料、電磁的記録の保存、同一情報提供などの費用は別に確認する必要があります。

合同会社でも定款認証は必要ですか?

合同会社でも定款の作成は必要ですが、公証人の認証は不要です。株式会社と合同会社では、設立手続、費用、機関設計、出資者の責任、運営方法が異なるため、会社形態を決める段階で比較する必要があります。

どこの公証役場でも定款認証を受けられますか?

株式会社の定款認証は、本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人が行います。実務上は、本店所在地を基準に、認証を依頼できる公証役場を確認して進めます。

代理人でも定款認証を受けられますか?

代理人による定款認証も可能です。ただし、委任状、発起人の印鑑証明書、代理人の本人確認資料などが必要になります。電子定款の場合は、誰が電子署名をするかによって必要書類や手順が変わるため、事前に確認します。

定款認証前に払込みをしてもよいですか?

実務では、認証済み定款と整合する形で払込証明を準備するため、定款認証後に出資の履行を進める運用が一般的です。設立日程の都合で順序が問題になる場合は、登記申請までの書類整合性を確認したうえで進める必要があります。

認証後に定款の内容を修正できますか?

軽微な誤記の扱いと、目的、出資、機関設計など主要事項の変更では対応が異なります。認証後に主要事項を変える場合は、再認証や設立書類の作り直しが必要になることがあります。認証前の段階で、定款案を十分に確認することが重要です。


まとめ|定款認証は費用・書類・電子定款の段取りを分けて準備する

定款認証は、株式会社設立の前提となる重要な公証役場手続です。公証人の認証を受けることで原始定款が効力を持ち、その後の払込みや設立登記へ進めるようになります。

  • 株式会社の原始定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。
  • 定款認証は、定款作成後、設立登記前に行う手続です。
  • 費用は、認証手数料、謄本・同一情報提供手数料、紙定款の印紙代に分けて確認します。
  • 電子定款は印紙代を抑えられますが、電子署名とオンライン申請の準備が必要です。
  • 目的、出資、株式、機関設計、実質的支配者申告を認証前に整えることが重要です。

定款認証は、会社設立のスケジュールに直結します。認証日、払込日、設立登記申請日、営業開始日を逆算し、定款案の事前確認と必要資料の準備を早めに進めることが大切です。

坂尾陽弁護士

定款認証で補正が出ると、電子署名、委任状、払込、登記申請の予定まで連鎖的にずれることがあります。設立予定日が決まっている場合は、認証前の定款案チェックを早めに行いましょう。

関連記事

定款認証の前後で確認したい会社設立手続は、次の記事も参考になります。

企業法務の無料法律相談実施中!

  • 0円!完全無料の法律相談
  • 弁護士による無料の電話相談も対応
  • お問合せは24時間365日受付
  • 土日・夜間の法律相談も実施
  • 全国どこでも対応いたします


企業法務の無料法律相談 0120-126-050(24時間365日受付)