会社法84条から87条は、募集設立で種類株式が関係する場合の種類創立総会と、発起人による設立に関する事項の報告を定める条文です。通常の創立総会だけで足りる場面と、特定の種類の設立時株主だけで構成する種類創立総会が追加で必要になる場面を分けて理解することが重要です。
種類創立総会は、会社成立後の種類株主総会に対応する、会社成立前の総会です。設立しようとする株式会社が種類株式発行会社であり、特定の種類株式について種類株主総会の決議を必要とする定款設計をしている場合などに、創立総会の決議に加えて、その種類の設立時株主による決議が必要になります。
また、会社法87条は、発起人が創立総会に対して設立に関する事項を報告しなければならないことを定めています。特に、現物出資、財産引受け、発起人の報酬・特別利益、設立費用などの変態設立事項がある場合には、検査役の報告内容や専門家の証明内容を、創立総会に提出又は提供する場面があります。
本記事では、会社法84条から87条について、種類創立総会が必要になる場面、種類創立総会の招集・決議要件、創立総会規定の準用、設立に関する事項の報告を、募集設立の実務に沿って整理します。
- 会社法84条は、種類株式発行会社の設立で、一定事項につき種類創立総会の決議が必要になる場面を定めています。
- 会社法85条は、種類創立総会を招集すべき場合と、種類創立総会の決議要件を定めています。
- 会社法86条は、創立総会の招集通知、議決権行使、議事録、決議省略などの規定を、種類創立総会に準用する規定です。
- 会社法87条は、発起人が創立総会に設立に関する事項を報告し、一定の場合に検査役報告や専門家証明を提出・提供することを定めています。
- 種類株式の内容設計そのものは株式分野の論点ですが、会社成立前の手続では、創立総会・種類創立総会・設立登記の整合性が重要です。
坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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会社法84条〜87条の位置づけ
会社法84条から86条は、会社法第2編第1章第9節「募集による設立」の第二款「創立総会等」の中で、種類創立総会に関する規定として置かれています。会社法87条は、その直後の第三款「設立に関する事項の報告」に置かれ、発起人が創立総会へ報告すべき事項を定めています。
通常の創立総会の基本手続は、会社法65条〜83条の逐条解説で扱います。会社法84条から86条は、これに加えて、種類株式発行会社の設立で特定の種類の設立時株主の意思決定が必要になる場合を扱う規定です。
条文を確認する場合は、e-Gov法令検索「会社法」で会社法84条から87条を確認してください。種類創立総会は、会社法84条で定義され、会社法85条・86条で招集、決議、創立総会規定の準用が整理されています。
| 条文 | 主な内容 | 実務上の確認事項 |
|---|---|---|
| 会社法84条 | 種類株主総会決議を必要とする定款の定めがある場合 | 創立総会決議に加えて、当該種類の設立時種類株主による種類創立総会決議が必要かを確認する |
| 会社法85条 | 種類創立総会の招集及び決議 | 発起人による招集、通常決議要件、100条1項の場合の特別な要件を確認する |
| 会社法86条 | 創立総会に関する規定の準用 | 招集通知、参考書類、議決権、代理行使、議事録、決議省略等の準用を確認する |
| 会社法87条 | 設立に関する事項の報告 | 発起人が創立総会へ報告すべき事項、検査役報告・専門家証明の提出又は提供を確認する |
種類創立総会は、種類株式の内容設計そのものを説明するための制度ではなく、募集設立の会社成立前に、特定の種類の設立時株主の決議を追加で要求する制度です。種類株式の基本設計は、種類株式とは|内容・設計・定款変更のポイントも確認してください。
種類創立総会とは何か
種類創立総会とは、会社法84条が定める、ある種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする総会です。通常の創立総会が設立時株主全体の総会であるのに対し、種類創立総会は、特定の種類株式を引き受けた設立時株主だけで構成されます。
たとえば、普通株式とA種種類株式を発行して募集設立を行う場合に、A種種類株式の内容として、一定事項について種類株主総会の決議を必要とする定めを置くことがあります。このような設計をしていると、会社成立前の段階では、会社法84条により、A種種類株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議が必要になることがあります。
| 比較項目 | 創立総会 | 種類創立総会 |
|---|---|---|
| 構成員 | 議決権を有する設立時株主 | 特定の種類の設立時発行株式に係る設立時種類株主 |
| 主な役割 | 募集設立における会社成立前の全体的な意思決定 | 種類株式の内容に基づき、その種類の株主保護のために必要な意思決定 |
| 主な根拠条文 | 会社法65条〜83条 | 会社法84条〜86条、90条、92条、100条、101条など |
| 決議要件 | 会社法73条 | 会社法85条 |
| 議事録等 | 会社法81条 | 会社法86条により創立総会の規定が準用される |
種類創立総会が必要になるかは、単に種類株式を発行するかどうかだけで決まるわけではありません。定款でその種類株式にどのような内容を設計しているか、会社法90条・92条・100条・101条などの規定により種類創立総会決議が必要になるかを確認します。
会社法84条|種類株主総会決議を必要とする定めがある場合
会社法84条は、設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合に、その設立時に発行するある種類の株式の内容として、株主総会で決議すべき事項について、株主総会決議に加えて当該種類の種類株主総会決議を必要とする旨の定款の定めがあるときの取扱いを定めています。
この場合、会社成立前の段階では、通常の株主総会ではなく創立総会が開かれます。そのため、会社法84条は、定款の定めに従い、創立総会の決議に加えて、当該種類の設立時発行株式の設立時種類株主を構成員とする種類創立総会の決議がなければ、その事項の効力が生じないとしています。
ただし、当該種類創立総会で議決権を行使できる設立時種類株主が存在しない場合は、この限りではありません。議決権を行使できる者がいないにもかかわらず、種類創立総会決議を要求すると手続が進められないためです。
| 確認する要素 | 内容 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 種類株式発行会社か | 会社成立時に内容の異なる二以上の種類の株式を発行する設計か | 定款、設立時発行株式、発行可能種類株式総数を確認する |
| 対象となる種類株式の内容 | 一定事項について種類株主総会決議を必要とする定めがあるか | 会社法108条1項8号などの種類株式内容との関係を確認する |
| 創立総会決議の対象事項か | 創立総会で決議する事項について、追加で種類創立総会が必要か | 通常の創立総会議事録だけで足りるかを確認する |
| 議決権を行使できる設立時種類株主がいるか | 当該種類の設立時株主が存在し、議決権を行使できるか | いない場合は会社法84条ただし書に注意する |
種類株式を発行するだけで常に種類創立総会が必要になるわけではありません。一方で、定款の種類株式内容に、一定事項について種類株主総会決議を必要とする定めがある場合は、会社成立前の段階で種類創立総会が必要になることがあります。定款案と設立手続を分けずに確認することが重要です。
会社法85条|種類創立総会の招集と決議要件
会社法85条1項は、会社法84条、会社法90条1項、会社法92条1項、会社法100条1項又は会社法101条1項の規定により種類創立総会の決議をする場合には、発起人が種類創立総会を招集しなければならないと定めています。
つまり、種類創立総会は、発起人が招集主体となります。設立時種類株主が自主的に集まって決めれば足りるのではなく、創立総会と同様に、発起人が手続を設計し、招集通知、目的事項、議決権、議事録等を整理する必要があります。
通常の種類創立総会決議の要件
会社法85条2項は、種類創立総会の決議要件を定めています。通常の種類創立総会決議は、当該種類創立総会で議決権を行使できる設立時種類株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時種類株主の議決権の3分の2以上に当たる多数で行います。
この要件は、会社法73条1項の創立総会決議と似ていますが、母数が「設立時株主全体」ではなく、「当該種類の設立時種類株主」に限られる点が異なります。種類ごとに議決権数、出席者、賛成数を集計する必要があります。
| 場面 | 必要な決議 | 決議要件の要点 |
|---|---|---|
| 会社法84条の定款上の種類株主総会決議事項 | 種類創立総会決議 | 議決権を行使できる設立時種類株主の議決権過半数+出席議決権3分の2以上 |
| 会社法90条1項の設立時取締役等の種類選任 | 種類創立総会決議 | 会社法85条の要件を確認する |
| 会社法92条1項の設立時取締役等の種類解任 | 種類創立総会決議 | 定款の定めや議決権制限との関係を確認する |
| 会社法100条1項の定款変更特則 | 種類創立総会決議 | 会社法85条3項のより重い要件に注意する |
| 会社法101条1項の定款変更特則 | 種類創立総会決議 | 対象となる種類、議決権者、決議要件を確認する |
会社法100条1項の場合は重い要件になる
会社法85条3項は、会社法100条1項の決議について、通常の会社法85条2項とは異なる決議要件を定めています。この場合は、当該種類創立総会で議決権を行使できる設立時種類株主の半数以上であり、かつ、当該設立時種類株主の議決権の3分の2以上に当たる多数が必要です。
この要件は、出席者の議決権だけでなく、議決権を行使できる設立時種類株主全体の人数と議決権数を基準にします。種類株主の保護に関わる定款変更では、手続要件が重くなるため、招集前に設立時種類株主の人数、議決権数、同意見込みを確認する必要があります。
設立時役員等の選任・解任については、会社法88条〜92条の逐条解説も参照してください。会社法90条・92条は、種類株式による役員選任・解任の特則として、種類創立総会と密接に関係します。
会社法86条|創立総会規定の準用
会社法86条は、創立総会に関する会社法67条から71条、72条1項、74条から82条の規定を、種類創立総会について準用すると定めています。種類創立総会も、招集通知、参考書類、議決権行使、議事録、決議省略などの基本的な手続は、創立総会に準じて処理します。
準用される際には、条文中の「設立時株主」が「設立時種類株主」に読み替えられます。つまり、種類創立総会では、全体の設立時株主ではなく、特定の種類の設立時発行株式に関する設立時種類株主を基準に、通知、議決権、代理行使、書面行使、電磁的方法、議事録等を考えます。
| 準用される事項 | 主な内容 | 種類創立総会での実務上の見方 |
|---|---|---|
| 会社法67条・68条 | 招集の決定、招集通知 | 種類創立総会の日時・場所・目的事項を決め、設立時種類株主に通知する |
| 会社法69条 | 招集手続の省略 | 設立時種類株主全員の同意による省略の可否を確認する |
| 会社法70条・71条 | 参考書類、議決権行使書面等 | 書面又は電磁的方法による議決権行使を定める場合の資料を準備する |
| 会社法72条1項 | 議決権数 | 当該種類の設立時発行株式について議決権数を確認する |
| 会社法74条〜77条 | 代理行使、書面行使、電磁的方法、不統一行使 | 種類ごとの議決権行使方法と証拠書類を管理する |
| 会社法78条〜80条 | 説明義務、議長権限、延期又は続行 | 発起人の説明義務、議事運営、延期・続行を整理する |
| 会社法81条・82条 | 議事録、決議省略 | 種類創立総会議事録、全員同意によるみなし決議の記録を残す |
一方で、会社法73条の創立総会決議要件は、種類創立総会にはそのまま準用されません。種類創立総会の決議要件は、会社法85条で別に定められているためです。また、会社法83条の報告省略は会社法86条の準用対象に含まれていません。
種類創立総会では、「設立時株主」と書かれている手続を、その種類の「設立時種類株主」に置き換えて処理します。招集通知の宛先、議決権行使書面、代理権を証明する書面、議事録の記載も、種類ごとの対象者に合わせて確認します。
会社法87条|設立に関する事項の報告
会社法87条1項は、発起人が、創立総会に対し、株式会社の設立に関する事項を報告しなければならないと定めています。募集設立では、発起人だけでなく設立時募集株式の引受人が会社成立時から株主になるため、発起人は設立手続の内容を創立総会に報告する必要があります。
報告の対象は、単なる形式的な経過説明にとどまりません。定款、設立時発行株式、発起人の出資履行、設立時募集株式の払込み、変態設立事項、検査役調査、設立時取締役等の調査など、会社成立前に設立時株主が確認すべき事項が含まれます。
変態設立事項がある場合の報告資料
会社法87条2項は、一定の場合に、発起人が創立総会に対して書面又は電磁的記録を提出又は提供しなければならないと定めています。
| 場面 | 提出・提供する内容 | 関連する実務論点 |
|---|---|---|
| 定款に会社法28条各号の事項がある場合 | 検査役による会社法33条4項の報告の内容 | 現物出資、財産引受け、発起人の報酬・特別利益、設立費用 |
| 会社法33条10項3号の場合 | 同号の証明の内容 | 弁護士等の専門家証明、不動産鑑定評価等との関係 |
会社法28条の変態設立事項や会社法33条の検査役調査については、会社法32条・33条の逐条解説、現物出資・財産引受け(変態設立事項)の実務解説も確認してください。会社法87条は、これらの調査・証明内容を、募集設立の創立総会で設立時株主に報告するための接続規定です。
報告は議事録・登記書類と整合させる
会社法87条の報告は、創立総会議事録、設立時取締役等の調査報告、設立登記の添付書類と整合させる必要があります。特に、現物出資や財産引受けがある場合は、定款記載、検査役報告又は専門家証明、設立時取締役等の調査、払込み・給付の履行状況が一体として確認されます。
設立時取締役等による調査は、設立時取締役等による調査(検査役含む)で整理しています。募集設立では、会社法87条の報告と会社法93条・94条の調査が近接するため、どの資料を誰が作成し、どの総会で報告するのかを整理しておきます。
種類創立総会が必要になる典型場面
種類創立総会が必要になる場面は、会社法84条だけではありません。会社法85条1項が列挙するように、会社法90条1項、92条1項、100条1項、101条1項でも、種類創立総会の決議が必要になることがあります。
| 根拠条文 | 典型場面 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 会社法84条 | 一定事項について種類株主総会決議を必要とする定款の定めがある場合 | 創立総会決議だけで足りるか、種類創立総会決議も必要かを確認する |
| 会社法90条 | 種類株式により設立時取締役等を選任する場合 | 選任権付種類株式の内容、選任対象、議決権者を確認する |
| 会社法92条 | 種類株式により選任された設立時取締役等を解任する場合 | 定款の定め、解任決議の手続、議決権制限を確認する |
| 会社法100条 | 種類株式発行会社の定款変更で一定の種類株主に影響する場合 | 会社法85条3項の重い決議要件に注意する |
| 会社法101条 | 種類株式発行会社の定款変更で322条関連の手続が問題になる場合 | 会社成立前の段階で、種類株主保護手続をどう処理するか確認する |
種類株式の内容は、会社法108条を中心に設計します。種類株式の種類、権利内容、議決権、役員選任権、譲渡制限、取得条項などを設計する場合は、会社法108条の逐条解説や会社法112条〜115条の逐条解説も併せて確認してください。
種類株式の内容だけを定款に書いても、募集設立で必要な種類創立総会決議を漏らすと、会社成立前の手続に不備が生じます。定款設計、設立時発行株式、設立時株主、創立総会、種類創立総会、設立登記を一体で確認してください。
種類創立総会と設立登記・決議瑕疵の注意点
募集設立では、創立総会や種類創立総会の手続は、最終的に設立登記へつながります。会社法911条2項は、募集設立の場合の設立登記期限について、創立総会の終結の日、会社法84条の種類創立総会決議があった日、会社法97条・100条・101条関連の日などを考慮する構造を採っています。
そのため、種類創立総会が必要な場面で決議を漏らすと、登記期限の起算点、登記添付書類、議事録の整合性に影響します。通常の創立総会議事録だけを作成しても、種類創立総会の決議が必要な事項については、別途、種類創立総会議事録や決議省略書面を整える必要があります。
また、会社成立後に創立総会又は種類創立総会の招集手続や決議方法に瑕疵がある場合、会社法831条の株主総会等の決議取消しの訴えの対象になることがあります。創立総会等の決議取消しについては、会社法831条の逐条解説も参照してください。
| 確認場面 | 確認事項 | 実務上のリスク |
|---|---|---|
| 招集前 | 種類創立総会が必要か | 必要な種類創立総会決議を漏らす |
| 通知時 | 対象となる設立時種類株主、目的事項、通知期限 | 招集手続違反、決議取消しリスク |
| 決議時 | 議決権数、出席数、賛成数、85条3項の適用有無 | 決議要件不足、議事録不備 |
| 登記時 | 議事録、決議省略書面、定款、選任書面との整合 | 補正、登記遅延、設立スケジュールの乱れ |
| 成立後 | 決議瑕疵の主張可能性 | 株主関係、役員選任、種類株主の権利に紛争が波及する |
会社法84条〜87条の実務チェックリスト
会社法84条から87条を実務で確認するときは、種類株式の定款設計、創立総会との関係、種類創立総会の手続、設立に関する報告資料を分けて整理すると、漏れを防ぎやすくなります。
| 確認項目 | チェックポイント | 関連条文 |
|---|---|---|
| 種類株式発行会社か | 設立時に二以上の種類の株式を発行するか、定款に種類株式の内容があるか | 会社法84条、108条 |
| 種類株主総会決議を必要とする定めがあるか | 一定事項について、種類株主総会決議を必要とする種類株式内容があるか | 会社法84条 |
| 種類創立総会の対象者 | 当該種類の設立時発行株式に係る設立時種類株主、議決権数、議決権制限を確認する | 会社法84条、85条、86条 |
| 招集手続 | 発起人が招集し、日時・場所・目的事項・通知期限・参考書類を整理する | 会社法85条、86条 |
| 決議要件 | 85条2項の通常要件か、85条3項の重い要件かを確認する | 会社法85条 |
| 議事録・省略書面 | 会社法81条・82条の準用に沿って、種類創立総会議事録又はみなし決議書面を残す | 会社法86条 |
| 設立事項の報告 | 発起人が創立総会へ報告すべき事項、検査役報告・専門家証明の提出又は提供を確認する | 会社法87条 |
| 登記書類との整合 | 定款、創立総会議事録、種類創立総会議事録、設立時役員選任書面を整合させる | 会社法911条等 |
中小企業でも、ベンチャー投資、事業承継、役員選任権、議決権調整などで種類株式を使うことがあります。募集設立で種類株式を使う場合は、規模の大小にかかわらず、種類創立総会が必要になるかを確認します。
会社法84条〜87条に関するよくある質問
種類株式を発行するだけで種類創立総会は必要ですか?
種類株式を発行するだけで常に種類創立総会が必要になるわけではありません。会社法84条は、種類株式の内容として、一定事項について種類株主総会決議を必要とする旨の定款の定めがある場合を対象にしています。また、会社法90条、92条、100条、101条などにより種類創立総会決議が必要になる場面もあります。
創立総会と種類創立総会は同じ日に開催できますか?
同じ日に開催すること自体は考えられます。ただし、構成員、議決権、決議要件、議事録は別に整理します。通常の創立総会議事録だけで、種類創立総会の決議があったことを曖昧に処理しないようにしてください。
種類創立総会の決議要件は創立総会と同じですか?
似ていますが、根拠条文と母数が異なります。創立総会の決議要件は会社法73条、種類創立総会の決議要件は会社法85条です。種類創立総会では、当該種類の設立時種類株主の議決権を基準にします。会社法100条1項の決議では、会社法85条3項のより重い要件が適用されます。
種類創立総会でも招集通知や議事録は必要ですか?
必要です。会社法86条により、創立総会の招集通知、参考書類、議決権行使、議事録、決議省略などの規定が種類創立総会に準用されます。招集手続を省略する場合や決議省略を使う場合でも、全員同意や議事録・同意書面等の保存が必要です。
会社法87条の報告は誰が行いますか?
会社法87条の報告は、発起人が創立総会に対して行います。発起人は、株式会社の設立に関する事項を報告し、一定の場合には検査役の報告内容や専門家の証明内容を記載・記録した書面又は電磁的記録を提出又は提供します。
変態設立事項がなければ会社法87条2項の資料提出は不要ですか?
会社法87条2項が明示する検査役報告や専門家証明の提出・提供は、会社法28条各号の事項や会社法33条10項3号の場合と関係します。変態設立事項がない場合でも、会社法87条1項の設立に関する事項の報告自体は必要です。何をどこまで報告するかは、設立手続の内容に応じて整理します。
専門家証明がある場合、創立総会で何を提出しますか?
会社法33条10項3号の場合には、その証明の内容を記載又は記録した書面又は電磁的記録を創立総会に提出又は提供します。現物出資や財産引受けの評価に関わるため、定款記載、専門家証明、調査報告、議事録を整合させます。
種類創立総会の手続ミスは成立後に問題になりますか?
問題になることがあります。会社法831条は、株主総会等の決議取消しの訴えの対象に、創立総会や種類創立総会を含めています。招集手続や決議方法に瑕疵があると、成立後の株主関係や役員選任、種類株主の権利に影響する可能性があります。
種類株式の内容設計はこの記事だけで足りますか?
この記事は、募集設立における種類創立総会と設立事項報告に範囲を絞っています。種類株式の内容設計、定款変更、役員選任種類株式、取得条項、議決権制限などは、株式分野の記事で詳しく確認してください。
まとめ
会社法84条から87条は、募集設立の中でも、種類株式が絡む場合の追加手続と、発起人による設立事項報告を定める条文です。種類創立総会は、通常の創立総会と似ていますが、対象となる株主、議決権、決議要件、議事録の管理が種類ごとに分かれる点に注意が必要です。
- 会社法84条は、一定事項について種類株主総会決議を必要とする定款の定めがある場合に、会社成立前の種類創立総会決議を要求します。
- 会社法85条は、種類創立総会の招集主体を発起人とし、通常決議要件と会社法100条1項の場合の特別な要件を定めています。
- 会社法86条は、創立総会の招集通知、議決権行使、議事録、決議省略などを種類創立総会に準用します。
- 会社法87条は、発起人が創立総会に設立に関する事項を報告し、一定の場合に検査役報告や専門家証明を提出又は提供することを定めています。
- 募集設立で種類株式を使う場合は、定款設計、創立総会、種類創立総会、設立事項報告、登記添付書類を一体で確認する必要があります。
種類株式を使った募集設立は、資本政策や投資契約の自由度を高められる一方、手続が複雑になります。種類創立総会の要否を確認しないまま設立を進めると、決議瑕疵や登記補正、成立後の株主関係紛争につながるおそれがあります。設立前の段階で、種類株式の内容と会社法84条から87条の手続を丁寧に確認してください。
坂尾陽弁護士
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