坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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種類株式とは|普通株式との違い
種類株式とは、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権、譲渡制限、取得請求権、取得条項、拒否権など、一定の事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する仕組みです。会社法上は、会社法108条を中心に整理します。
一般に「普通株式」と呼ばれる株式は、配当、残余財産、議決権などについて標準的な内容を持つ株式を指す実務上の呼び方です。これに対し、種類株式は、会社の資金調達、支配権、投資家保護、事業承継、出口戦略に合わせて、株式ごとの権利内容を変えるために使われます。
| 区分 | 普通株式 | 種類株式 |
|---|---|---|
| 権利内容 | 標準的な株主権を持つ株式です。 | 配当、議決権、取得条項、拒否権などを定款で変えます。 |
| 設計目的 | 一般的な出資・会社支配の単位として使われます。 | 資金調達、経営権調整、投資家保護、事業承継などに使われます。 |
| 定款記載 | 特別の権利内容を置かない限り、詳細な種類ごとの定めは不要です。 | 種類株式の内容と発行可能種類株式総数を定款で定めます。 |
| 手続リスク | 通常の株式発行・株主総会手続が中心です。 | 種類株主総会、特殊決議、全員同意、買取請求、登記が問題になります。 |
株式の基本的な位置づけは、株式とは|株主の責任・権利・平等(会社法104条〜109条)を整理も併せて確認してください。条文別の整理は、会社法107条、会社法108条、会社法109条の各解説で扱っています。
会社法107条・108条・109条の関係
種類株式を設計するときは、会社法108条だけを見れば足りるわけではありません。107条、108条、109条を分けて理解すると、制度選択を誤りにくくなります。
| 条文 | 位置づけ | 実務上の使い分け |
|---|---|---|
| 会社法107条 | 発行する全部の株式について特別の内容を定める規定 | すべての株式に譲渡制限、取得請求権、取得条項を付す場合に確認します。 |
| 会社法108条 | 内容の異なる二以上の種類の株式を発行する規定 | 普通株式と優先株式、議決権制限株式、拒否権付株式などを分ける場合に確認します。 |
| 会社法109条 | 株主平等原則と非公開会社の属人的定めを定める規定 | 種類株式による差異が株式内容に基づくものか、株主ごとの属人的取扱いかを確認します。 |
条文の原文や最新の法令表示は、会社法108条(e-Gov法令検索)を確認してください。種類株式は、条文上の類型を正確に押さえたうえで、定款、投資契約、株主間契約、登記を整合させることが重要です。
種類株式で設計できる9つの内容
会社法108条1項は、種類株式として異なる定めを置くことができる事項を9つ挙げています。実務では、これらを単独で使うだけでなく、複数を組み合わせて設計します。
| 種類 | 内容 | 典型的な利用場面 |
|---|---|---|
| 剰余金の配当 | 配当の優先・劣後、累積・非累積、参加・非参加などを定めます。 | 投資家への優先配当、資金調達条件の調整 |
| 残余財産の分配 | 清算時の残余財産の分配順序や金額を定めます。 | 優先株式、投資回収順位の調整 |
| 議決権制限 | 株主総会で議決権を行使できる事項や条件を制限します。 | 配当優先株式と組み合わせた無議決権株式 |
| 譲渡制限 | その種類の株式の譲渡について会社の承認を要する旨を定めます。 | 特定の種類株式だけ株主構成を管理したい場合 |
| 取得請求権 | 株主が会社に対して株式の取得を請求できる内容を定めます。 | 投資家の出口、転換株式、償還型の設計 |
| 取得条項 | 一定事由が生じたときに会社が株式を取得できる内容を定めます。 | 役員退任、契約違反、上場時、一定期間経過時の取得 |
| 全部取得条項 | 株主総会決議により、その種類の株式全部を会社が取得できる内容を定めます。 | 少数株主整理、組織再編、スクイーズアウトの検討 |
| 拒否権 | 一定事項について、種類株主総会の承認を必要とする内容を定めます。 | 重要事項への veto、事業承継、合弁、投資家保護 |
| 役員選任権 | 種類株主総会で取締役又は監査役を選任できる内容を定めます。 | 非公開会社での共同経営・投資家保護。ただし公開会社等では制限があります。 |
9類型の条文上の整理は、【会社法108条】異なる種類の株式|条文の要点と実務ポイントで詳しく整理しています。このページでは、設計・発行・変更の実務判断を中心に説明します。
種類株式を使う主な場面
スタートアップ・ベンチャー投資の資金調達
種類株式は、スタートアップやベンチャー投資でよく使われます。投資家に配当・残余財産の優先権、取得請求権、一定事項への拒否権を与え、普通株主である創業者との利害を調整するためです。
ただし、投資家保護を強めすぎると、将来の資金調達、M&A、上場準備、既存株主の権利に影響します。種類株式の定款条項と、投資契約・株主間契約の拒否権、同意事項、株式買取条項が矛盾しないように整理する必要があります。
事業承継・同族会社の支配権調整
事業承継では、後継者に議決権を集中させる一方で、他の相続人に経済的利益を残すため、議決権制限株式、配当優先株式、拒否権付株式などを検討することがあります。
もっとも、種類株式は相続税評価、遺留分、既存株主との合意、後日の定款変更の難しさにも関係します。株主平等原則や属人的定めとの使い分けも重要です。属人的定めとの違いは会社法109条の解説も参考にしてください。
合弁会社・共同経営のガバナンス設計
合弁会社では、少数株主が重要事項について拒否権を持つ、一定の種類株主が取締役を選任する、持株比率に応じた権限配分を行うなどの設計が問題になります。
拒否権付株式や役員選任種類株式を使う場合、定款で決議対象事項や選任数を明確にしなければ、日常的な業務執行まで止まり、会社運営が停滞するおそれがあります。
事業再生・金融支援
事業再生では、金融機関やスポンサーが優先株式を引き受ける、一定条件で普通株式に転換する、将来の取得・償還を設計するなどの場面があります。
この場合は、会社法上の種類株式の内容だけでなく、会計処理、税務、金融機関との契約、既存株主の希釈化、債権者保護手続との関係も確認します。
M&A・スクイーズアウト
全部取得条項付種類株式は、かつて少数株主の整理・スクイーズアウトで利用されることがありました。現在は特別支配株主の株式等売渡請求など他の手法もありますが、種類株式を使う場合には、反対株主保護、取得対価、価格決定手続を慎重に確認する必要があります。
反対株主の保護や価格決定の流れは、反対株主の株式買取請求・新株予約権買取請求|価格決定までの流れも併せて確認してください。
定款で定めるべき事項
種類株式の内容と発行可能種類株式総数
種類株式を発行するには、種類株式の内容を定款で定める必要があります。また、種類株式発行会社では、発行可能株式総数だけでなく、各種類の発行可能種類株式総数も確認します。
例えば、A種優先株式を発行する場合、配当優先の有無、残余財産分配の順位、議決権の有無、取得請求権・取得条項の内容、発行可能なA種優先株式数を、定款でどこまで具体化するかを設計します。
「要綱」方式を使える場合と限界
会社法108条3項は、一定の事項について、定款で内容の要綱を定めたうえで、種類株式を初めて発行するときまでに株主総会・取締役会等の決議で具体的内容を定めることを認めています。
もっとも、何でも後から自由に決められるわけではありません。定款の要綱だけで株主が権利内容を予測できない場合、後日の紛争リスクが高まります。配当額、取得対価、取得事由、拒否権の対象事項、役員選任数などは、将来の運用を想定して具体化しておくことが重要です。
投資契約・株主間契約との役割分担
種類株式の内容は、会社法上の効力を持たせるために定款へ反映する必要があります。一方、投資契約や株主間契約では、契約当事者間の同意事項、表明保証、コベナンツ、株式譲渡制限、買取義務などを定めます。
| 文書 | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 定款 | 種類株式の会社法上の内容を定めます。 | 登記・株主総会・種類株主総会と連動します。 |
| 発行要項 | 募集株式発行時の具体条件を定めます。 | 定款と矛盾しないようにします。 |
| 投資契約 | 投資家と会社・創業株主間の契約上の権利義務を定めます。 | 契約上の同意事項だけでは、種類株式としての効力を当然には持ちません。 |
| 株主間契約 | 株主間の議決権行使、譲渡、役員指名、出口を調整します。 | 定款・会社法手続との整合性を確認します。 |
種類株式を発行・導入する基本的な流れ
種類株式の導入方法は、会社の状態によって異なります。新設会社で最初から定款に置く場合、既存会社が定款変更で導入する場合、新たに募集株式として発行する場合で、確認すべき手続が変わります。
| 段階 | 確認事項 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 1. 目的整理 | 資金調達、事業承継、拒否権、出口、議決権調整のどれが目的か | 目的が曖昧なまま条項を入れると、運用不能・紛争化の原因になります。 |
| 2. 種類設計 | 9類型のどれを使い、どの組み合わせにするか | 権利内容、取得対価、発行可能種類株式総数を具体化します。 |
| 3. 定款変更 | 株主総会の特別決議、特殊決議、全員同意、種類株主総会の要否 | 既存株主に不利益がある場合は、必要手続を個別に確認します。 |
| 4. 募集株式発行 | 募集事項、割当先、払込期日、払込確認 | 有利発行、株主割当て、第三者割当て、取締役会決議の要否を確認します。 |
| 5. 登記・書類保管 | 定款、議事録、株主リスト、払込資料、登記申請 | 登記が必要になる事項と期限、添付書面を確認します。 |
| 6. 運用管理 | 配当、取得、転換、拒否権、種類株主総会の運用 | 発行後の管理を怠ると、後日のM&A・資金調達で問題になります。 |
株主総会の招集・決議手続は、株主総会の招集手続も併せて確認してください。
定款変更・内容変更で注意すべきこと(会社法110条〜115条等)
取得条項を後から付ける場合は全員同意に注意する
取得条項は、一定の事由が生じた場合に会社が株式を取得できる強い内容です。すべての株式に取得条項を付す場合や、特定の種類株式に取得条項を付す場合には、会社法110条・111条により、通常の定款変更より厳しい同意が必要になることがあります。
取得条項は株主の地位を会社側から失わせる効果を持つため、後から導入するときは、単なる特別決議だけで足りると考えないことが重要です。詳しくは【会社法110条・111条】定款の変更の手続の特則で整理します。
譲渡制限・全部取得条項は種類株主総会を確認する
ある種類の株式に譲渡制限や全部取得条項を付す定款変更では、その種類の株主に重大な影響が生じます。そのため、株主総会だけでなく、当該種類株主総会や関連する種類株主総会の決議が必要になることがあります。
「全体の株主総会で多数を取れているから足りる」と考えると、種類株主保護の手続を落とすおそれがあります。種類株主総会の要否、決議要件、招集通知、議事録を個別に確認してください。種類株主総会の横断的な手続は、種類株主総会とは|いつ必要?決議要件・手続・準用を整理も確認してください。
発行可能株式総数・発行可能種類株式総数の上限を確認する
種類株式を発行する場合、発行可能株式総数と発行可能種類株式総数の整合性を確認する必要があります。種類株式の設計だけを先に決めても、発行可能数や登記事項が合っていなければ、発行手続で止まることがあります。
発行可能株式総数や発行可能種類株式総数は、【会社法112条〜115条】役員選任種類株式の定款廃止・発行可能株式総数等で扱います。
反対株主の買取請求・価格決定を先に想定する
種類株式の内容変更や全部取得条項付種類株式の取得では、反対株主保護や価格決定が問題になり得ます。特に、少数株主の経済的利益や会社からの退出機会に影響する設計では、事前の説明、情報開示、手続の公正性が重要です。
価格決定手続に移行すると、時間・費用・不確実性が大きくなります。定款変更案や取得対価を決める段階で、反対株主対応を含めて検討してください。
種類株式ごとの設計ポイント
配当優先株式
配当優先株式では、普通株式より先に一定額又は一定率の配当を受けられるように設計します。実務では、優先配当が累積するか、優先配当後に普通株式と一緒に追加配当を受けるか、分配可能額がある場合でも会社に配当しない裁量を残すかを検討します。
配当優先を付けるだけでなく、議決権制限、取得請求権、取得条項、残余財産分配の優先と組み合わせることが多いため、1つの条項だけで判断しないことが重要です。
議決権制限株式
議決権制限株式は、株主総会で議決権を行使できる事項を限定する株式です。完全に無議決権とする設計のほか、一定事項だけ議決権を認める設計も考えられます。
ただし、議決権を制限しても、少数株主権、種類株主総会、買取請求、会社法上の保護まで当然に消えるわけではありません。会社支配の安定だけを目的に過度な制限を置くと、株主平等や手続の公正性が問題になることがあります。
取得請求権付種類株式・取得条項付種類株式
取得請求権付種類株式は、株主が会社に取得を求めることができる株式です。取得条項付種類株式は、一定事由が生じたときに会社が取得できる株式です。
両者は、取得の主導権が株主側にあるか会社側にあるかが大きく異なります。取得対価を金銭にするのか、他の種類の株式にするのか、社債や新株予約権にするのかによって、資本政策・会計・税務・登記にも影響します。
拒否権付種類株式
拒否権付種類株式は、一定事項について、その種類株主総会の承認がなければ決議の効力を生じないようにする株式です。いわゆる黄金株として、重要事項に対するストッパー機能を持たせる場面があります。
拒否権の対象を広げすぎると、日常的な業務執行や資金調達まで止まるおそれがあります。対象事項は、合併・会社分割・事業譲渡・重要な資産処分・定款変更・大型借入れなど、会社の根幹に関わる事項に絞るか、金額基準や例外を置くことを検討します。
役員選任種類株式
役員選任種類株式は、ある種類の株主を構成員とする種類株主総会で取締役又は監査役を選任できる株式です。共同経営、合弁、投資家保護で使われることがあります。
ただし、公開会社や指名委員会等設置会社では発行できないなどの制限があります。また、選任できる人数、共同選任の有無、条件成就時の変更、任期・解任との関係を明確にしないと、機関設計が不安定になります。
全部取得条項付種類株式
全部取得条項付種類株式は、株主総会決議によって、その種類の株式全部を会社が取得できる株式です。少数株主整理や組織再編の文脈で問題になることがあります。
この設計では、取得対価、価格決定、反対株主保護、情報開示、手続の公正性が重要です。単に多数派が決議できるかだけでなく、少数株主にとって公正な条件・手続になっているかを確認してください。
裁判例・実務から見た注意点
全部取得条項付種類株式と取得価格
全部取得条項付種類株式を利用する取引では、取得価格の決定が争われることがあります。最高裁平成28年7月1日決定は、多数株主が公開買付けを行い、その後に全部取得条項付種類株式を利用して取得する場面で、独立した第三者委員会や専門家の意見、少数株主との利益相反を排除する措置、公開買付価格と同額で取得する旨の明示など、一般に公正と認められる手続が重視されることを示しています。
実務上は、取得対価の金額だけでなく、交渉過程、第三者委員会、株式価値算定、情報開示、少数株主の判断機会、価格決定申立てへの対応まで一体として設計する必要があります。
買収防衛策・新株予約権との違い
買収防衛策では、新株予約権の無償割当てや差別的行使条件が問題になることがあります。これは種類株式そのものとは異なる制度ですが、株主平等、少数株主保護、会社支配に影響する設計という点で、種類株式の設計にも参考になります。
種類株式や新株予約権を使って会社支配に影響を与える場合は、株主共同の利益、目的の正当性、手段の相当性、情報開示、手続の透明性を説明できるようにしておくことが重要です。株主平等との関係は会社法109条も確認してください。
契約だけに頼らず、定款・登記・運用を整える
投資契約や株主間契約で拒否権・優先配当・取得請求を定めても、会社法上の種類株式として会社・株主全体に効力を持たせるには、定款上の種類株式の内容と整合している必要があります。
また、登記に反映すべき事項、株主名簿の記載、種類株主総会の運用、配当・取得時の社内承認フローを整備しておかなければ、将来のM&A、監査、資金調達、相続・事業承継の場面で説明が難しくなります。
会社側の実務チェックリスト
- 種類株式を使う目的を、資金調達・事業承継・支配権調整・出口設計のどれかに整理しているか
- 会社法108条1項の9類型のどれを使うか、複数組み合わせるかを確認したか
- 定款に、種類株式の内容と発行可能種類株式総数を明確に記載しているか
- 会社法110条・111条、322条、324条など、定款変更や種類株主総会の要否を確認したか
- 既存株主に不利益が生じる場合、同意、説明、反対株主対応を検討したか
- 発行要項、投資契約、株主間契約、登記内容が矛盾していないか
- 配当、取得、転換、拒否権、役員選任を実際に運用する社内フローを作っているか
株主・投資家側の確認ポイント
種類株式を取得する株主・投資家側では、会社から提示された条件が自分にとって有利かだけでなく、将来の出口や会社運営にどのような影響を与えるかを確認する必要があります。
- 優先配当は累積か、非累積か、参加型か、非参加型か
- 残余財産分配でどの順位・金額を受けられるか
- 議決権は全面的に制限されるのか、一定事項は残るのか
- 取得請求権をいつ、どの条件で行使できるか
- 会社側の取得条項により、どの事由で株式を取得されるのか
- 拒否権の対象事項と、拒否権を行使する手続が明確か
- 将来の増資、株式分割、M&A、上場時に希釈化防止や調整条項が働くか
種類株式は、取得時点では有利に見えても、後日の定款変更、追加投資、買収、事業承継で想定外の不利益が生じることがあります。定款、発行要項、投資契約、株主間契約をセットで確認してください。
よくある質問
種類株式は非上場会社でも使えますか。
使えます。むしろ非上場会社では、資金調達、事業承継、共同経営、投資家保護のために種類株式を使う場面があります。ただし、株式の譲渡制限、定款変更、株主間契約、相続税評価などを一体として検討する必要があります。
普通株式を後から種類株式に変更できますか。
定款変更等により可能な場合がありますが、既存株主の権利内容に大きな影響を与えるため、株主総会決議、種類株主総会、株主全員又は当該種類株主全員の同意、反対株主の保護などを個別に確認する必要があります。特に取得条項を後から付ける場合は厳しい手続に注意が必要です。
拒否権付株式を持てば、どんな決議でも止められますか。
いいえ。拒否権付株式で止められるのは、定款で種類株主総会の承認を必要とすると定めた事項です。対象事項を広げすぎると会社運営が停滞し、狭すぎると投資家保護として不十分になります。対象事項、金額基準、例外、承認手続を具体的に設計する必要があります。
配当優先株式には必ず議決権制限を付ける必要がありますか。
必ずしも必要ではありません。配当優先株式に議決権を残す設計も、議決権を制限する設計もあり得ます。投資家に経済的優先権を与える代わりに議決権を制限するのか、重要事項には議決権又は拒否権を残すのかを、資金調達の目的に合わせて検討します。
種類株式を発行したら登記が必要ですか。
種類株式の内容、発行可能種類株式総数、発行済株式の種類・数などは登記に関係することがあります。定款変更や発行の効力発生日、登記期限、添付書面は、具体的な手続ごとに確認してください。
種類株式と属人的定めは何が違いますか。
種類株式は、株式の種類ごとに権利内容を変える制度です。これに対し、会社法109条2項の属人的定めは、非公開会社で、株主ごとに剰余金配当、残余財産分配、議決権について異なる取扱いを定める制度です。どちらを使うかにより、定款記載、決議要件、登記、株主平等との関係が変わります。
投資契約だけで優先配当や拒否権を定めれば足りますか。
当事者間の契約上の権利としては意味を持つ場合がありますが、会社法上の種類株式として効力を持たせるには、定款に種類株式の内容を定める必要があります。投資契約、株主間契約、定款、発行要項を分けて設計してください。
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まとめ
種類株式とは、普通株式とは異なる権利内容を定款で設計するための会社法上の仕組みです。会社法108条は、剰余金配当、残余財産分配、議決権、譲渡制限、取得請求権、取得条項、全部取得条項、拒否権、役員選任権という9類型を定めています。
実務では、種類株式の名前だけでなく、何の目的で、どの権利を、どの手続で、どの文書に定めるかを整理することが重要です。定款、発行要項、投資契約、株主間契約、株主総会議事録、種類株主総会議事録、登記を一体として確認し、既存株主への影響や反対株主対応まで見通して設計してください。
企業法務の無料法律相談実施中!
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