坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
Contents
企業法務の無料法律相談実施中!
- 0円!完全無料の法律相談
- 弁護士による無料の電話相談も対応
- お問合せは24時間365日受付
- 土日・夜間の法律相談も実施
- 全国どこでも対応いたします
反対株主の株式買取請求・新株予約権買取請求の全体像
反対株主の株式買取請求とは、会社が一定の定款変更、株式併合、事業譲渡、組織再編などを行う場合に、要件を満たす株主が会社に対して自己の株式を「公正な価格」で買い取るよう求める制度です。会社法116条・117条のほか、株式併合、事業譲渡、合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付などの個別規定で問題になります。
新株予約権買取請求とは、一定の定款変更や組織再編により新株予約権者の地位に影響が生じる場面で、新株予約権者が会社に対して新株予約権を公正な価格で買い取るよう求める制度です。会社法118条・119条は、株式に譲渡制限や全部取得条項を設ける定款変更に伴う新株予約権買取請求を定めています。
条文原文や最新の法令表示は、会社法(e-Gov法令検索)で確認してください。条文別の詳細は、【会社法116条】反対株主の株式買取請求、【会社法117条】株式の価格の決定等、【会社法118条・119条】新株予約権買取請求・価格の決定等で整理します。
| 区分 | 誰が使う制度か | 主な場面 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 反対株主の株式買取請求 | 一定の会社行為に反対する株主又は議決権を行使できない株主 | 譲渡制限・全部取得条項の定款変更、株式併合、事業譲渡、組織再編など | 事前の反対通知、総会での反対、買取請求期間、個別株主通知を確認します。 |
| 新株予約権買取請求 | 一定の定款変更・組織再編で影響を受ける新株予約権者 | 株式への譲渡制限・全部取得条項の設定、合併・会社分割・株式交換・株式移転など | 新株予約権の内容、社債部分の取扱い、証券提出、価格決定申立ての期限を確認します。 |
| 価格決定申立て | 価格協議がまとまらない株主・新株予約権者又は会社 | 効力発生日等から30日以内に協議が調わない場合 | 申立期間、主張価格、評価資料、鑑定費用、利息・仮払いを整理します。 |
株式・種類株式の基本構造は、株式とは|株主の責任・権利・平等(会社法104条〜109条)を整理、種類株式の設計は種類株式とは|内容・設計・定款変更のポイントも併せて確認してください。
株式買取請求が問題になる主な場面
株式買取請求は、株主が会社に対していつでも株式を買い取るよう求められる制度ではありません。会社の一定の行為により、株主の地位や投資判断に重大な影響が生じる場面に限定して認められます。
会社法116条で定める場面
会社法116条は、株式の内容を変更して譲渡制限や全部取得条項に関する定めを設ける場合、又は種類株主に損害を及ぼすおそれがある一定の行為について種類株主総会決議を定款で不要としている場合などに、反対株主の株式買取請求を認めます。
たとえば、これまで自由に譲渡できた株式について譲渡制限を設ける定款変更をする場合、株主にとっては投下資本の回収可能性が低下します。このため、反対株主に会社から退出する機会を与える必要があります。
株式併合・事業譲渡・組織再編で問題になる場面
株式買取請求は、会社法116条以外にも個別規定で定められています。株式併合では会社法182条の4、事業譲渡等では469条、吸収合併・吸収分割・株式交換等では785条・797条、新設合併・新設分割・株式移転では806条などを確認します。
特にM&Aでは、対価の内容、シナジーの有無、少数株主の締出し、上場廃止、株式評価が問題になりやすく、価格決定申立てまで見据えた準備が必要です。組織再編に伴う反対株主対応は、M&Aにおける反対株主の株式買取請求も参考にしてください。
通常の「少数株主からの買取要請」とは違う
非上場会社では、少数株主が「株式を買い取ってほしい」と会社や大株主に要請することがあります。しかし、これは会社法上の反対株主の株式買取請求とは別です。会社法上の買取請求権が発生していない場面では、原則として任意交渉、譲渡承認請求、株主間契約、自己株式取得などの別手段を検討します。
新株予約権買取請求が問題になる主な場面
新株予約権者は、株主と異なり、通常は株主総会で議決権を行使できません。そのため、株式買取請求のように「事前に反対し、総会で反対する」という構造をそのまま当てはめるのではなく、新株予約権の内容や会社行為により、買取請求権が発生するかを確認します。
会社法118条・119条の場面
会社法118条は、会社が発行する全部の株式について譲渡制限を設ける定款変更をする場合、又はある種類の株式について譲渡制限・全部取得条項を設ける定款変更をする場合に、一定の新株予約権者に新株予約権買取請求を認めます。
新株予約権付社債に付された新株予約権について買取請求をする場合は、別段の定めがない限り、社債部分についても併せて買取りを請求しなければならない点に注意します。新株予約権の価格決定や支払時期は、会社法119条を中心に確認します。
組織再編に伴う新株予約権買取請求
合併、会社分割、株式交換、株式移転などの組織再編では、組織再編に関する各規定で新株予約権買取請求が定められています。たとえば吸収型組織再編、新設型組織再編では、新株予約権の承継条件や代替新株予約権の内容により、買取請求の可否・対象者・期限が変わります。
実務では、新株予約権の発行要項、ストックオプション契約、組織再編契約又は計画、取締役会・株主総会資料を照合し、「その新株予約権者が本当に買取請求できるか」を個別に確認する必要があります。
手続の流れ|通知・反対・請求・協議・価格決定申立て
買取請求は、期限を過ぎると行使できない、又は価格決定申立てが不適法になるリスクがあります。会社側・株主側の双方で、効力発生日、通知日、株主総会日、買取請求期間、価格協議期間、裁判所への申立期間を一覧化して管理します。
| 段階 | 会社側の対応 | 株主・新株予約権者側の対応 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 1 会社行為の決定準備 | 定款変更・組織再編等の議案、効力発生日、対象株式・新株予約権を整理します。 | 議案内容、自己の保有株式・新株予約権の内容を確認します。 | どの条文の買取請求かを最初に特定します。 |
| 2 通知・公告 | 法定期限までに通知又は公告を行います。招集通知で兼ねる場合もあります。 | 通知・公告、招集通知、適時開示を確認します。 | 通知漏れや記載不足は紛争の火種になります。 |
| 3 事前反対・総会での反対 | 反対通知の受領、議決権行使結果を記録します。 | 議決権を行使できる株主は、原則として事前通知と総会での反対を行います。 | 委任状・議決権行使書面・電子投票の扱いを確認します。 |
| 4 買取請求 | 請求株式数・新株予約権の内容と数、証券提出の有無を確認します。 | 法定期間内に、対象と数を明らかにして請求します。 | 内容証明郵便、受領確認、振替株式の個別株主通知が重要です。 |
| 5 価格協議 | 評価資料を準備し、公正な価格又は仮払額を検討します。 | 評価根拠、反対理由、希望価格を整理します。 | 効力発生日等から30日以内に協議が調うかを管理します。 |
| 6 価格決定申立て | 協議不成立後の申立期間、評価資料、鑑定対応を準備します。 | 協議がまとまらない場合、裁判所への申立てを検討します。 | 30日+30日の期限、利息、鑑定費用を確認します。 |
株式買取請求の要件と期限
反対株主に当たるかを確認する
株式買取請求を行使できるのは、条文上の要件を満たす「反対株主」です。議決権を行使できる株主は、原則として株主総会に先立って反対する旨を会社に通知し、かつ、株主総会で反対する必要があります。議決権を行使できない株主や、株主総会決議を要しない場合は、別の要件整理になります。
反対株主該当性では、基準日後に株式を取得した株主、公表後に株式を取得した株主、名義書換未了の株主、振替株式の実質株主などが争点になります。会社側は株主名簿・総株主通知・個別株主通知を確認し、株主側は自分が会社に対して株主であることを対抗できる状態かを確認します。
買取請求期間を外さない
会社法116条の場面では、株式買取請求は、原則として効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、買取請求に係る株式の数を明らかにして行います。事業譲渡や組織再編では、条文ごとに通知・公告の起算点や請求期間が異なるため、個別規定を確認してください。
新設合併・新設分割・株式移転のように効力発生日の考え方が異なる場面では、成立日や通知日を基準に期限が動くことがあります。単に「20日前から前日」と覚えるだけでなく、対象行為ごとの条文で期限表を作ることが安全です。
撤回制限と買取りの効力を確認する
株式買取請求をした株主は、原則として会社の承諾を得なければ買取請求を撤回できません。もっとも、一定期間内に価格決定申立てがされない場合には、その後は撤回できるとされています。
会社法117条では、株式の買取りは効力発生日に効力を生ずるとされています。そのため、買取請求後の議決権、配当、譲渡、名義書換の扱いについては、効力発生日と価格決定・支払時期を分けて整理します。
新株予約権買取請求の要件と期限
対象となる新株予約権を特定する
新株予約権買取請求では、まず、その新株予約権がどの株式を目的とし、どの定款変更又は組織再編により影響を受けるかを確認します。会社法118条では、全部の株式に譲渡制限を設ける場合には全部の新株予約権、ある種類の株式に譲渡制限又は全部取得条項を設ける場合には当該種類の株式を目的とする新株予約権が対象になります。
新株予約権の内容として、組織再編時の取扱い、取得条項、行使条件、代替新株予約権の交付条件、消滅事由が定められていることがあります。発行要項や契約書を確認せずに、会社法の条文だけで判断しないことが重要です。
通知・請求期間・証券提出を確認する
会社法118条の場面では、会社は定款変更日の20日前までに、新株予約権者に対して定款変更を行う旨を通知しなければなりません。通知は公告で代えることができます。新株予約権買取請求は、定款変更日の20日前の日から定款変更日の前日までの間に、新株予約権の内容及び数を明らかにして行います。
新株予約権証券や新株予約権付社債券が発行されている場合は、原則として証券の提出又は引換えが必要になります。社債部分を含む新株予約権付社債では、社債部分の買取りも併せて問題になるため、発行要項と社債権者対応を一体で確認します。
価格決定の実務|公正な価格・算定方法・裁判例
株式買取請求・新株予約権買取請求で最も争いになりやすいのが「公正な価格」です。会社法は価格算定式を細かく定めていないため、対象行為の性質、上場・非上場、シナジーの有無、取引手続の公正性、評価方法、情報開示、少数株主保護の状況を踏まえて判断されます。
公正な価格の考え方
「公正な価格」は、すべての場面で同じ計算式になるわけではありません。譲渡制限や全部取得条項を設ける定款変更のように企業価値の増加を予定しない場面では、原則として、その決議がなかったなら有していたであろう価格が問題になります。
他方、合併、株式移転などの組織再編では、組織再編による企業価値の増加やシナジーを、反対株主にどのように配分するかが問題になります。価格決定では、対象取引が企業価値を増加させたのか、対価や比率が公正に決められたのか、手続が公正だったのかを分けて検討します。
代表的な裁判例
| 裁判例 | 実務上の意味 |
|---|---|
| 最高裁平成23年4月19日第三小法廷決定(楽天対TBS) | シナジーその他の企業価値の増加が生じない吸収合併等では、株式買取請求日における「ナカリセバ価格」を公正な価格とし、市場株価や近接期間平均を参照することを裁判所の裁量内としました。 |
| 最高裁平成24年2月29日第二小法廷決定(テクモ) | 株式移転の公正な価格について、シナジーの有無、株式移転比率の公正性、一般に公正な手続の有無を踏まえ、市場株価を参照する裁量を示しました。 |
| 最高裁平成27年3月26日第一小法廷決定 | 非上場会社で収益還元法を用いて株式買取価格を決定する場合、非流動性ディスカウントを行うことはできないとしました。 |
| 最高裁平成28年7月1日第一小法廷決定(JCOM) | 公開買付けと全部取得条項付種類株式による二段階買収で、公正な手続が採られ、同額取得が明示されている場合、特段の事情がなければ公開買付価格と同額を取得価格とするのが相当としました。 |
| 最高裁平成24年3月28日第二小法廷決定 | 振替株式について、会社が株主性を争う場合の個別株主通知の必要性、買取請求株式を失った株主の価格決定申立適格を示しました。 |
価格決定の裁判例は、会社法116条・117条だけでなく、組織再編の株式買取請求、全部取得条項付種類株式の取得価格決定、譲渡制限株式の売買価格決定の裁判例も参考になります。ただし、条文、事案、対象行為、上場・非上場の違いにより結論が変わるため、裁判例の結論だけを機械的に当てはめないことが大切です。
新株予約権の価格評価
新株予約権の価格は、株式とは異なり、行使価格、行使期間、株価、ボラティリティ、金利、配当、取得条項、組織再編時の取扱いなどを踏まえて評価されます。実務では、ブラック・ショールズ・モデル、二項モデル、三項ツリーモデルなどのオプション評価理論が問題になることがあります。
ただし、会社法118条・119条の新株予約権買取請求については、著名な裁判例の蓄積が株式買取請求ほど多くありません。そのため、発行要項で組織再編時や定款変更時の取扱いをあらかじめ明確にしておくことが、紛争予防上重要です。
上場会社・振替株式で注意すべきこと
個別株主通知は早めに準備する
上場会社の株式など振替株式について株式買取請求をする場合、個別株主通知が問題になります。最高裁平成22年12月7日第三小法廷決定及び最高裁平成24年3月28日第二小法廷決定は、会社が価格決定申立て事件で申立人が株主であることを争った場合、審理終結までに個別株主通知が必要となることを示しています。
上場廃止や振替機関の取扱い廃止が近い場合、後から個別株主通知を準備できないことがあります。株主側は、買取請求を検討する段階で証券会社への申出時期を確認し、会社側は、通知・公告、上場廃止日、基準日、総株主通知、買取口座への振替を整理しておきます。
買取口座・売却制限・名義書換を確認する
平成26年会社法改正後、株式買取請求権の撤回制限や効力発生時期が整理され、振替株式では買取口座への振替が問題になります。買取請求後に株式を第三者へ売却できるか、名義書換請求ができるか、配当・議決権を行使できるかは、効力発生日や振替の状況により整理します。
会社側は、株主名簿管理人、証券会社、振替機関との実務フローを事前に確認し、買取請求をした株主とそうでない株主を混同しないよう管理する必要があります。
非上場会社で争点になる株式評価
非上場会社の株式には市場価格がないため、価格決定では評価方法そのものが争点になります。裁判所は、会社の事業内容、収益力、資産内容、配当実績、取引事例、株主の地位、経営関与の程度などを踏まえ、複数の評価方法を組み合わせることがあります。
| 評価方法 | 概要 | 注意点 |
|---|---|---|
| DCF法・収益還元法 | 将来キャッシュフローや利益を現在価値に割り引いて評価します。 | 事業計画、割引率、成長率、非流動性ディスカウントが争点になります。 |
| 純資産方式 | 会社の資産・負債を基礎に株式価値を評価します。 | 不動産、含み益、簿外債務、清算価値か継続価値かが問題になります。 |
| 配当還元方式 | 配当実績・配当見込みを基礎に評価します。 | 少数株主株式の評価で主張されることがありますが、会社実態との乖離に注意します。 |
| 類似会社比較法 | 類似する上場会社等の倍率を参考に評価します。 | 比較対象会社の選定、規模・収益性・非上場性の調整が必要です。 |
| 取引事例法 | 過去の株式売買事例を参考に評価します。 | 独立当事者間取引か、特殊事情がないかを確認します。 |
非上場会社では、税務評価額、簿価純資産、会社が一方的に提示した価格だけで「公正な価格」が決まるわけではありません。株主側は決算書、税務申告書、事業計画、資産資料、過去の株式取引資料を集め、会社側は評価根拠を説明できるよう準備します。
会社側の実務チェックリスト
会社側では、買取請求の発生を「反対株主から請求が来てから考える」のではなく、定款変更・組織再編等の設計段階で織り込んでおくことが重要です。
- 対象行為を特定する:会社法116条の定款変更なのか、株式併合、事業譲渡、組織再編なのかを整理します。
- 対象株主・新株予約権者を特定する:株主名簿、新株予約権原簿、総株主通知、発行要項を確認します。
- 通知・公告の期限を管理する:効力発生日、株主総会日、通知・公告日を一覧化します。
- 反対通知と議決権行使を記録する:誰が事前反対をし、誰が総会で反対したかを証拠化します。
- 買取請求期間を明確にする:請求期間、請求方法、株式数・新株予約権数の特定を確認します。
- 評価資料を準備する:決算書、事業計画、株価算定書、第三者委員会資料、フェアネス・オピニオン等を整理します。
- 仮払い・利息・鑑定費用を見込む:価格決定までの資金繰り、供託、法定利率、手続費用を検討します。
- 議事録と開示を整える:株主総会議事録、取締役会議事録、招集通知、説明資料、適時開示の整合性を確認します。
買取請求が予想される場合は、株主総会の招集通知、議案説明、価格算定、Q&A、問合せ窓口を早めに整備します。手続を急ぐあまり、通知漏れや議案説明不足が生じると、株主総会決議の瑕疵や価格紛争が拡大するおそれがあります。
株主・新株予約権者側の実務チェックリスト
株主・新株予約権者側では、「反対したつもり」「請求したつもり」では足りません。期限、形式、相手方、対象株式数・新株予約権数、証拠を明確に残す必要があります。
- 自分の保有株式数、新株予約権の内容、議決権の有無を確認する
- 会社行為がどの条文の買取請求の対象かを確認する
- 株主総会に先立つ反対通知が必要かを確認する
- 株主総会で反対の議決権行使を行い、証拠を残す
- 買取請求期間内に、対象株式数又は新株予約権の内容・数を明らかにして請求する
- 振替株式では個別株主通知の申出と買取口座への振替を確認する
- 会社提示価格の根拠を求め、必要に応じて独自の株式評価を準備する
- 効力発生日から30日以内の協議状況、次の30日の申立期間を管理する
- 撤回、和解、支払条件、利息、手続費用を検討する
特に非上場株式では、会社が提示する価格に納得できない場合、価格決定申立てまで見据えた資料収集が重要です。決算書、税務申告書、株主総会資料、会社資産に関する資料、過去の株式取引事例、配当実績を早めに確認してください。
よくある質問
反対株主の株式買取請求は、少数株主ならいつでも使えますか。
使えません。反対株主の株式買取請求は、会社法で定められた一定の会社行為がある場合に限り認められる制度です。単に少数株主である、会社経営に不満がある、配当が少ないというだけでは、当然に会社法上の買取請求権が発生するわけではありません。
株主総会で反対票を出せば足りますか。
議決権を行使できる株主の場合、原則として、株主総会に先立って会社に反対する旨を通知し、かつ、株主総会で反対する必要があります。総会当日の反対だけでは足りない場合があるため、事前反対通知を内容証明郵便等で明確に残すことが安全です。
買取請求後、価格に合意できない場合はどうなりますか。
価格について協議が調わない場合、効力発生日等から30日以内に協議が調わなかったことを前提に、その期間満了後30日以内に、株主又は会社が裁判所に価格決定の申立てをすることができます。申立てをしないまま期間が過ぎると、撤回や協議継続の問題になり、価格決定を裁判所に求める機会を失うおそれがあります。
会社が提示した価格を受け入れる必要がありますか。
必ず受け入れる必要はありません。会社提示額に納得できない場合は、協議し、必要に応じて価格決定申立てを検討します。ただし、申立期間、鑑定費用、手続負担、利息、和解可能性を踏まえて判断する必要があります。
非上場株式ではどの評価方法が使われますか。
一つの方法だけで機械的に決まるわけではありません。DCF法・収益還元法、純資産方式、配当還元方式、類似会社比較法、取引事例法などを、会社の事業内容や株主の地位に応じて検討します。収益還元法を用いる場合に非流動性ディスカウントを行えるかなど、裁判例上の制約にも注意が必要です。
新株予約権者は株主総会で反対する必要がありますか。
新株予約権者は通常、株主としての議決権を有しないため、株式買取請求のような「事前反対+総会反対」の要件とは異なります。新株予約権買取請求では、対象となる定款変更・組織再編、通知、請求期間、新株予約権の内容・数の特定、証券提出などを確認します。
買取請求をした後に撤回できますか。
原則として、会社の承諾がなければ撤回できません。ただし、一定期間内に価格決定申立てがされない場合など、条文上、撤回が認められる場面があります。撤回を検討する場合は、効力発生日、申立期間、株式・新株予約権の帰属、会社との合意条件を確認してください。
関連記事
反対株主の株式買取請求・新株予約権買取請求は、種類株式、定款変更、組織再編、株主総会、株式評価と密接に関係します。次の記事も併せて確認してください。
まとめ
反対株主の株式買取請求・新株予約権買取請求は、会社の重要な定款変更や組織再編により影響を受ける株主・新株予約権者に、会社から退出する機会を与える制度です。もっとも、制度を使うには、対象行為、反対株主該当性、通知・公告、買取請求期間、個別株主通知、価格協議、裁判所への価格決定申立てを正確に管理する必要があります。
会社側は、議案設計の段階から買取請求対応と価格算定資料を準備し、株主側・新株予約権者側は、期限と証拠を外さずに権利行使を行うことが重要です。価格が争いになる場合は、上場・非上場、シナジーの有無、手続の公正性、評価方法、裁判例を踏まえて、早い段階から資料を整理してください。
企業法務の無料法律相談実施中!
- 0円!完全無料の法律相談
- 弁護士による無料の電話相談も対応
- お問合せは24時間365日受付
- 土日・夜間の法律相談も実施
- 全国どこでも対応いたします
