【会社法47条・48条】設立時代表取締役等の選定|条文の要点と実務ポイント

会社法47条・48条は、株式会社の発起設立において、設立時代表取締役等をどのように選定するかを定める条文です。会社法47条は、主に取締役会設置会社で、設立時取締役の中から設立時代表取締役を選定するルールを定めています。会社法48条は、指名委員会等設置会社で、設立時委員、設立時執行役、設立時代表執行役を選ぶルールを定めています。

実務では、定款でどの機関設計を採るか、設立時取締役を誰にするか、誰が代表者として設立登記を申請するかをつなぐ場面で問題になります。特に、取締役会設置会社と取締役会非設置会社では、設立時代表取締役の選定方法や登記添付書類の考え方が異なるため、定款作成段階から整理しておく必要があります。

  • 会社法47条は、取締役会設置会社で設立時代表取締役を選定するルールを定める
  • 設立時代表取締役は、設立時取締役の過半数で選定・解職する
  • 監査等委員会設置会社では、設立時監査等委員である設立時取締役は選定対象から除かれる
  • 取締役会非設置会社では、定款・発起人の互選・設立時取締役の互選等により代表者を定める実務がある
  • 会社法48条は、指名委員会等設置会社の設立時委員・設立時執行役・設立時代表執行役を扱う

坂尾陽弁護士

設立時代表取締役の選定は、会社成立後の代表取締役選定とは決定機関が異なります。設立時にはまだ取締役会が成立していないため、取締役会設置会社であっても、会社法47条では設立時取締役の過半数によって決定する点が重要です。

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

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会社法47条・48条の位置づけ

会社法47条・48条は、発起設立における「設立時代表取締役等の選定等」を定める節に置かれています。前の段階では、設立時取締役等が会社法46条に基づいて設立手続を調査し、その後、必要に応じて設立時代表取締役等を選定します。

前段階の調査は、会社法46条の解説で整理しています。設立時取締役等の選任・解任は、会社法38条〜45条の解説もあわせて確認してください。株式会社設立全体の流れは、株式会社設立の流れで整理しています。

公式条文は、e-Gov法令検索の会社法で確認できます。また、発起設立の流れ、設立時代表取締役の選定方法、設立登記の添付書面は、法務省の株式会社の設立手続(発起設立)でも整理されています。

条文 対象場面 主な内容
会社法47条1項 取締役会設置会社
ただし指名委員会等設置会社を除く
設立時取締役の中から設立時代表取締役を選定する
会社法47条2項 会社成立前 設立時代表取締役を解職できる
会社法47条3項 選定・解職の決定方法 設立時取締役の過半数で決定する
会社法48条1項 指名委員会等設置会社 設立時委員、設立時執行役、設立時代表執行役を選ぶ
会社法48条2項・3項 会社成立前 設立時委員等の解職・解任と、その決定方法を定める

会社法47条・48条は、単に役職名を決める規定ではありません。設立登記では、代表取締役の氏名及び住所などが登記事項となり、設立時代表取締役の就任承諾書や選定を証する書面が問題になります。したがって、定款、選定書面、就任承諾書、印鑑証明書、登記申請書の記載を一貫させることが重要です。


設立時代表取締役等を選定するタイミング

設立時代表取締役等の選定は、設立時取締役等が選ばれた後、設立登記を申請する前に行うのが基本です。会社がまだ成立していない段階で、会社成立時に代表取締役となる者、又は代表執行役となる者をあらかじめ定め、設立登記へ接続します。

発起設立の実務を時系列で見ると、定款作成・認証、出資の履行、設立時役員等の選任、設立手続の調査、設立時代表取締役等の選定、設立登記という流れになります。

段階 主な手続 関連する条文・記事
定款作成 目的・商号・本店所在地・機関設計などを定める 会社法25条・26条会社法27条
出資履行 払込み又は現物出資の給付を行う 会社法34条〜37条
設立時役員等の選任 設立時取締役・設立時監査役等を選ぶ 会社法38条〜45条
調査 出資履行や設立手続の適法性を調査する 会社法46条
代表者等の選定 設立時代表取締役等を選定する 会社法47条・48条
設立登記 本店所在地で設立登記を申請する 会社法911条
会社成立前の選定である点に注意

設立時代表取締役は、会社成立後に代表取締役となる予定の者です。会社成立前に、まだ存在しない株式会社の代表取締役として通常の営業取引を自由に行えるという意味ではありません。設立中の会社の事務は、発起人の権限や設立手続の枠組みと区別して考える必要があります。


会社法47条|設立時代表取締役の選定等

会社法47条の基本構造

会社法47条1項は、設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合に、設立時取締役が、設立時取締役の中から設立時代表取締役を選定しなければならないと定めています。ただし、指名委員会等設置会社は会社法48条の対象となるため、会社法47条の対象から除かれます。

取締役会設置会社では、会社成立後は取締役会が代表取締役を選定するのが基本です。しかし、会社成立前には取締役会がまだ存在しません。そのため、設立時代表取締役の選定は、設立時取締役の過半数によって行う仕組みになっています。

項目 会社法47条の内容 実務上の意味
対象会社 取締役会設置会社
ただし指名委員会等設置会社を除く
取締役会を置く設計では、設立時代表取締役の選定が必要になる
選定対象 設立時取締役の中から選ぶ 設立時取締役でない者を設立時代表取締役にはできない
監査等委員会設置会社 設立時監査等委員である設立時取締役を除く 監査等委員である取締役は代表取締役の選定対象にならない
解職 会社成立の時まで解職できる 代表者予定者を変更する場合は、選定書面・就任承諾・登記内容を整える
決定方法 設立時取締役の過半数 発起人の議決権ではなく、設立時取締役の頭数ベースで整理する

取締役会設置会社では設立時代表取締役の選定が必要

取締役会設置会社では、取締役が3人以上必要になります。設立時取締役も3人以上必要となるため、設立時取締役の中から会社成立時の代表取締役となる者を選定します。中小会社でも、取締役会を置く定款にする場合は、この手続を忘れないようにする必要があります。

法務省の発起設立手続の説明では、会社法47条の設立時取締役の過半数による方法のほか、定款に設立時代表取締役の氏名を直接記載する方法、定款に発起人の互選による旨を置く方法、定款に設立時取締役の互選による旨を置く方法も許容されると解されています。もっとも、どの方法を採る場合でも、定款、選定書面、就任承諾書、登記申請書の記載が一致していることが重要です。

代表取締役の選定実務や登記書類の作成は、設立時代表取締役の選定実務で詳しく整理します。本記事では、会社法47条・48条の条文構造と分岐を中心に扱います。

監査等委員会設置会社では選定対象に注意する

会社法47条1項は、監査等委員会設置会社について、設立時監査等委員である設立時取締役を除いて設立時代表取締役を選定すると定めています。監査等委員である取締役は、監査等委員会の役割を担うため、代表取締役として業務執行を担う立場とは区別されるためです。

機関設計を複雑にする場合は、設立時取締役の属性を、監査等委員である者とそれ以外の者に分けて整理します。機関設計全体の考え方は、役員・機関設計の基本も確認してください。

設立時取締役の過半数で決定する

会社法47条3項は、設立時代表取締役の選定及び解職を、設立時取締役の過半数で決定すると定めています。ここでは、発起人の議決権割合ではなく、設立時取締役の人数を基準に考えます。

たとえば、設立時取締役が3名の場合は、2名以上の賛成で設立時代表取締役を選定することになります。設立時取締役が4名の場合は、3名以上が必要です。設立時取締役が欠けている、就任承諾が未了である、定款と選任書面の記載がずれていると、選定書面や登記書類に影響が出るため注意が必要です。

設立時には取締役会決議ではありません

取締役会設置会社でも、会社成立前には取締役会はまだ成立していません。設立時代表取締役の選定書面を作る際に「取締役会議事録」として処理すると、時点や機関の説明が不自然になることがあります。会社法47条では、設立時取締役の過半数による決定として整理します。

設立時代表取締役の解職

会社法47条2項は、設立時取締役が、株式会社の成立の時までの間、設立時代表取締役を解職できると定めています。ここでいう解職は、設立時代表取締役という地位を外すことであり、設立時取締役としての地位まで当然に失わせるものではありません。

設立登記前に代表者予定者を変更する場合は、解職・再選定の決定、就任承諾書、印鑑証明書、印鑑届書、登記すべき事項の記載を整合させる必要があります。会社成立後の代表取締役の選定・解職は、代表取締役の選定・解職の実務で整理しています。


取締役会非設置会社の設立時代表取締役

会社法47条は、取締役会設置会社を直接の対象にしています。しかし、取締役会を置かない株式会社でも、設立時代表取締役を定める実務上の必要が生じます。特に、代表者を1名に絞りたい場合、登記申請人・印鑑届・銀行口座開設などの実務を見据えて、設立時代表取締役を明確にしておくことがあります。

選定しない場合は各設立時取締役が代表者となる

取締役会非設置会社で設立時代表取締役を選定しない場合は、設立時取締役全員が設立時代表取締役となる扱いになります。これは、会社成立後の取締役会非設置会社で、代表取締役その他株式会社を代表する者を定めないときは各取締役が株式会社を代表するという会社法349条の考え方と接続します。

会社法349条の代表権の基本は、会社法349条の解説で整理しています。設立段階では、定款・発起人決定・就任承諾・登記記載の整合性を重視して検討します。

取締役会非設置会社で代表者を選定する方法

法務省の発起設立手続の説明では、取締役会を設置していない場合の設立時代表取締役の選定方法として、発起人の互選、定款への直接記載、定款に発起人の互選による旨を置いた上での発起人互選、定款に設立時取締役の互選による旨を置いた上での設立時取締役互選が挙げられています。

方法 概要 使いどころ
発起人の互選 発起人が設立時取締役の中から代表者を選ぶ 定款で直接氏名まで固定せず、設立時に柔軟に決めたい場合
定款で直接定める 定款に設立時代表取締役の氏名を記載する 代表者が最初から決まっており、書類を簡素にしたい場合
定款に発起人互選の定めを置く 定款上の根拠に基づき発起人が互選する 定款に選定方法の根拠を置きたい場合
定款に設立時取締役互選の定めを置く 定款上の根拠に基づき設立時取締役が互選する 成立後の取締役互選型の設計と合わせたい場合

どの方法を採るかは、定款の記載、発起人の人数、設立時取締役の人数、代表者を1名に絞る必要性、登記添付書類の作成負担によって変わります。テンプレートだけで処理すると、定款には「取締役の互選」とあるのに、発起人決定書で選んでいるなど、書類間のずれが生じることがあります。

非取締役会設置会社は定款設計が重要

小規模会社では取締役会を置かない設計が多く、代表者を1名にするか、各自代表にするかが実務上の分岐になります。定款作成時に「取締役が2名以上ある場合の代表取締役の定め方」を整理しておくと、設立登記後の代表権・印鑑・金融機関対応で混乱しにくくなります。


会社法48条|設立時委員の選定等

会社法48条の基本構造

会社法48条は、設立しようとする株式会社が指名委員会等設置会社である場合の規定です。指名委員会等設置会社では、代表取締役ではなく、執行役・代表執行役が業務執行の中心になります。そのため、設立段階でも、設立時委員、設立時執行役、設立時代表執行役を選ぶ必要があります。

会社法48条で行う措置 内容 実務上の確認事項
設立時委員の選定 指名委員会・監査委員会・報酬委員会の委員となる者を、設立時取締役の中から選定する 各委員会の構成、社外取締役要件、兼任可否を成立後の規律と合わせて確認する
設立時執行役の選任 株式会社の設立に際して執行役となる者を選任する 取締役と兼ねるか、業務分掌をどうするかを整理する
設立時代表執行役の選定 設立時執行役の中から代表執行役となる者を選定する 設立時執行役が1人のときは、その者が設立時代表執行役となる
解職・解任 会社成立まで、設立時委員・設立時代表執行役を解職し、設立時執行役を解任できる 変更時には登記・就任承諾・社内書類を再整理する

三つの委員会の設立時委員を選ぶ

指名委員会等設置会社では、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の三つの委員会を置きます。会社法48条1項1号は、これらの委員となる者を、設立時取締役の中から選定することを求めています。

設立時委員は、会社成立後に各委員会の委員となる予定の者です。実務上は、成立後の会社法上の委員会構成、社外取締役の割合、監査委員と執行役の兼任制限など、設立後の機関設計と矛盾しないように選びます。

設立時執行役と設立時代表執行役を選ぶ

会社法48条1項2号は設立時執行役の選任を、同項3号は設立時代表執行役の選定を定めています。設立時代表執行役は、設立時執行役の中から選定します。設立時執行役が1人だけの場合は、その者が設立時代表執行役に選定されたものとされます。

指名委員会等設置会社では、会社成立後の代表者は代表執行役です。設立段階で代表執行役予定者を誤って「設立時代表取締役」と整理すると、条文上の機関設計とずれるため、会社法47条と48条を明確に分ける必要があります。

会社法48条の決定方法

会社法48条3項は、同条の措置を設立時取締役の過半数で決定すると定めています。設立時委員の選定、設立時執行役の選任、設立時代表執行役の選定、設立時委員・設立時代表執行役の解職、設立時執行役の解任は、いずれも設立時取締役の過半数で処理します。

指名委員会等設置会社は、上場会社や大規模会社で検討されることが多い機関設計です。設立段階からこの機関設計を採る場合、会社法48条だけでなく、成立後の取締役会・三委員会・執行役制度に関する条文もあわせて確認する必要があります。

会社法47条と48条を混同しない

指名委員会等設置会社は取締役会設置会社の一類型ですが、会社法47条ではなく会社法48条で、設立時委員・設立時執行役・設立時代表執行役を選ぶ構造になります。代表取締役ではなく代表執行役を置く点を、定款・登記・社内書類で一貫させましょう。


設立時代表取締役等と設立登記・添付書類

設立時代表取締役等の選定は、設立登記と密接につながります。会社法911条は株式会社の設立登記を定め、法務省の説明では、設立登記において代表取締役の氏名及び住所などが登記事項として整理されています。設立登記の基本は、会社法911条の解説も確認してください。

設立登記では、代表者として誰を登記するか、誰が申請人となるか、どの印鑑証明書を添付するかが問題になります。法務省の説明でも、設立時代表取締役の就任承諾書、設立時取締役が設立時代表取締役を選定したときの書面、印鑑証明書などが主な添付書面として挙げられています。

会社類型 代表者の整理 登記・書類で注意する点
取締役会設置会社 設立時取締役の過半数で設立時代表取締役を選定する 選定書面、就任承諾書、印鑑証明書、登記事項を整合させる
取締役会非設置会社で代表者を選定する場合 定款、発起人互選、設立時取締役互選等により選定する 定款上の根拠と添付書面の種類を確認する
取締役会非設置会社で代表者を選定しない場合 各設立時取締役が設立時代表取締役となる 各自代表となる前提で登記事項・印鑑証明書を整理する
指名委員会等設置会社 設立時代表執行役を選定する 代表取締役ではなく代表執行役として登記・書類を整理する

就任承諾書と印鑑証明書の整合性

設立時代表取締役の就任承諾書は、設立登記の添付書面として重要です。取締役会設置会社では、設立時代表取締役が就任承諾書に押印した印鑑について、市町村長が作成した印鑑証明書の添付が問題になります。取締役会非設置会社では、設立時取締役が就任承諾書に押印した印鑑について印鑑証明書が問題になります。

この点は、会社の機関設計や代表者の選定方法によって必要書類が変わるため、設立時取締役の選任書面、設立時代表取締役の選定書面、就任承諾書、印鑑証明書を一体で確認します。設立時取締役・監査役の選任実務は、設立時取締役・監査役の選任方法で整理します。

選定書面の日付にも注意する

設立時代表取締役は、設立時取締役の中から選びます。そのため、設立時取締役が選任されていない時点で設立時代表取締役の選定書面だけが先に存在するような日付関係は避けるべきです。定款で直接定める場合を除き、出資履行、設立時取締役の選任、調査、代表者選定、登記申請という時系列を意識して書類を作成します。

設立登記は、会社法49条により株式会社が成立するための手続でもあります。次の段階は、会社法49条・50条の解説で整理します。


設立後の代表取締役選定との違い

設立時代表取締役の選定と、会社成立後の代表取締役の選定は、似ていますが同じではありません。設立時代表取締役は、会社成立前に、会社成立時に代表取締役となる者を決める制度です。会社成立後は、会社の機関設計に応じて、会社法349条、362条、399条の13、420条などの規律が問題になります。

比較項目 設立時代表取締役 成立後の代表取締役
時点 会社成立前 会社成立後
決定機関 会社法47条では設立時取締役の過半数 取締役会設置会社では取締役会、非設置会社では定款・株主総会・取締役互選等
対象者 設立時取締役の中から選ぶ 取締役の中から選ぶ
書類 設立登記添付書類として選定書・就任承諾書等が問題になる 役員変更登記、取締役会議事録、株主総会議事録等が問題になる
主な条文 会社法47条・48条 会社法349条、362条、399条の13、420条等

成立後の代表取締役の選定・解職は、代表取締役の選定・解職で整理しています。取締役会の代表取締役選定権限は、会社法362条の解説も確認してください。

なお、会社成立直後に代表取締役を変更する場合は、設立時代表取締役の選定書面を直せばよいのか、成立後の代表取締役の変更として役員変更登記が必要になるのか、時点によって整理が変わります。設立登記申請前か、会社成立後かをまず確認します。


実務で確認すべきチェックポイント

会社法47条・48条の実務では、条文上の決定方法だけでなく、定款、登記、印鑑、就任承諾、成立後の運用をつなげて確認します。特に、定款テンプレートを流用する場合は、代表者の定め方が想定する会社類型と一致しているかを確認することが重要です。

チェック項目 確認内容 不備がある場合のリスク
機関設計 取締役会設置会社、非設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社のどれか 適用条文や代表者の名称を誤る
定款 代表取締役の選定方法、取締役の員数、機関設置の定めを確認する 選定書面と定款の根拠がずれる
設立時取締役 誰が選任され、就任承諾しているか 選定対象者や過半数計算に誤りが出る
代表者選定 会社法47条又は48条の決定方法に合っているか 登記添付書類として説明しにくくなる
就任承諾書 設立時代表取締役・設立時取締役等の承諾書を整える 登記申請が補正対象となる可能性がある
印鑑証明書 機関設計に応じて添付対象者を確認する 印鑑届・登記申請で不備が出る
日付 出資履行、選任、調査、選定、登記申請の順序を確認する 手続の時系列に矛盾が出る
代表者を決めるだけで終わらせない

設立時代表取締役の選定は、代表者名を決める作業に見えますが、実際には定款、就任承諾、印鑑証明、登記事項、設立後の銀行・税務・契約実務に影響します。誰を代表者にするかだけでなく、どの根拠書面で選んだかまで記録を残しておくことが大切です。


よくある質問

設立時代表取締役はいつから代表権を持ちますか?

設立時代表取締役は、会社成立時に代表取締役となる者として選定されます。会社成立前には株式会社自体がまだ成立していないため、会社成立後の代表取締役と同じ意味で対外的な代表権を当然に行使できるわけではありません。会社成立前の行為は、発起人の権限や設立中の会社の問題として別に整理します。

取締役会設置会社では、設立時代表取締役を取締役会で選びますか?

いいえ。会社成立前には取締役会がまだ成立していません。会社法47条では、設立時取締役の過半数で設立時代表取締役を選定します。成立後の代表取締役の選定と混同しないようにしてください。

取締役会非設置会社では、設立時代表取締役を必ず選定する必要がありますか?

取締役会非設置会社では、代表者を選定しない場合、設立時取締役全員が設立時代表取締役となる扱いになります。代表者を1名に絞りたい場合は、定款、発起人の互選、定款に基づく設立時取締役の互選など、適切な方法で選定します。

定款に設立時代表取締役の氏名を書いてもよいですか?

実務上、定款に設立時代表取締役の氏名を直接記載する方法が用いられることがあります。代表者が最初から決まっている場合には書類を簡素にできますが、設立前に代表者予定者を変更する可能性がある場合は、定款変更や書類差替えの負担も考慮する必要があります。

会社法48条は中小企業の設立でも関係しますか?

多くの中小会社では、指名委員会等設置会社を採用しないため、会社法48条が問題になる場面は多くありません。もっとも、上場会社や高度なガバナンス設計を予定する会社では、設立段階から指名委員会等設置会社を選択する可能性があり、その場合は会社法48条に従って設立時委員等を選ぶ必要があります。

設立登記後に代表取締役を変更する場合はどうなりますか?

設立登記後に代表取締役を変更する場合は、設立時代表取締役の選定ではなく、成立後の会社の代表取締役の選定・解職・変更登記の問題になります。取締役会設置会社では取締役会決議、取締役会非設置会社では定款・株主総会・取締役互選など、成立後の規律に従って手続を検討します。


まとめ

会社法47条は、取締役会設置会社における設立時代表取締役の選定・解職を定める条文です。設立時代表取締役は、設立時取締役の中から選定し、選定及び解職は設立時取締役の過半数で決定します。監査等委員会設置会社では、設立時監査等委員である設立時取締役は選定対象から除かれます。

取締役会非設置会社では、会社法47条の直接の義務とは別に、定款、発起人の互選、設立時取締役の互選などにより設立時代表取締役を選定する実務があります。選定しない場合は、設立時取締役全員が設立時代表取締役となる扱いになります。

会社法48条は、指名委員会等設置会社における設立時委員、設立時執行役、設立時代表執行役の選定等を定めます。指名委員会等設置会社では、会社法47条の設立時代表取締役ではなく、会社法48条の設立時代表執行役を中心に整理します。

実務上は、会社法47条・48条を、定款の機関設計、設立時取締役等の選任、設立時代表取締役等の就任承諾、印鑑証明書、設立登記の登記事項とあわせて確認することが重要です。書類間の日付や根拠がずれると、登記申請や成立後の代表権整理に影響するため、設立準備の早い段階で代表者の定め方を決めておきましょう。

坂尾陽弁護士

会社法47条・48条は、設立登記の直前に形式的に処理されがちですが、定款設計と代表権の入口を決める重要な規定です。取締役会を置くかどうか、指名委員会等設置会社にするかどうか、代表者を1名に絞るかどうかを先に決め、定款・選定書面・登記書類を矛盾なく整えましょう。

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