【会社法34条〜37条】出資の履行・株主となる権利・発行可能株式総数|条文の要点と実務ポイント

会社法34条〜37条は、株式会社の設立手続のうち、発起人による出資の履行、株主となる権利の譲渡制限、出資未履行時の失権、発行可能株式総数の定めを扱う条文です。定款を作成し、設立時発行株式に関する事項を決めた後、実際に資金や現物財産を会社に入れて、設立登記へ進むための橋渡しになる部分です。

実務では、いつ・どの口座に・いくら払い込むか、現物出資をどう給付するか、発起人が払い込まない場合にどう処理するか、発行可能株式総数を成立時までに定款へ入れたかを確認することが重要です。

  • 会社法34条は、発起人が設立時発行株式の引受け後遅滞なく、金銭全額の払込み又は現物財産全部の給付をする義務を定める
  • 会社法35条は、出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利の譲渡を、成立後の株式会社に対抗できないとする
  • 会社法36条は、出資未履行の発起人に対する通知と、期日までに履行しない場合の権利喪失を定める
  • 会社法37条は、会社成立時までに発行可能株式総数を定款で定めること、公開会社の4分の1ルールを定める
  • 見せ金・預合いなど、払込みの実質がない処理は、出資の履行として認められないリスクがある

坂尾陽弁護士

会社法34条〜37条は、設立手続の中でも「お金・現物財産・株式数・将来の発行枠」を確定させる条文です。登記書類だけを整えるのではなく、払込みの実質、発行可能株式総数、発起人全員の同意を証拠として残すことが大切です。

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

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会社法34条〜37条の位置づけ

株式会社の設立では、発起人が定款を作成し、設立時発行株式の数、払込金額、資本金・資本準備金などを定めたうえで、出資を履行します。設立時発行株式に関する決定事項は、会社法32条・33条の解説で整理しています。

会社法34条〜37条は、その次の段階で、発起人が実際に出資を履行し、株主となる地位や発行可能株式総数を整えるための条文です。公式条文は、e-Gov法令検索の会社法で確認できます。発起設立の一般的な流れは、法務省の株式会社の発起設立手続の説明も参考になります。

設立手続全体では、定款作成、設立時発行株式の決定、出資の履行、設立時取締役等の選任、設立登記という順序で確認すると分かりやすくなります。全体像は、株式会社設立の流れも参照してください。

条文 主なテーマ 実務で確認すること
会社法34条 出資の履行 金銭の全額払込み、現物財産の全部給付、払込取扱場所
会社法35条 株主となる権利の譲渡 設立前の地位譲渡を成立後の会社に対抗できるか
会社法36条 株主となる権利の喪失 出資未履行の発起人への通知、2週間前通知、失権
会社法37条 発行可能株式総数 成立時までの定款変更、公開会社の4分の1ルール、登記事項

会社法34条|出資の履行

会社法34条の基本構造

会社法34条1項は、発起人が設立時発行株式を引き受けた後、遅滞なく、その株式について出資を履行しなければならないと定めています。出資が金銭であれば、出資に係る金銭の全額を払い込みます。出資が金銭以外の財産、つまり現物出資であれば、その財産の全部を給付します。

ここで重要なのは、一部だけの払込みや、名目的な入金では足りないという点です。会社設立時の出資は、設立後の会社財産の基礎になります。登記上の資本金額を作るためだけの形式ではなく、会社が事業を始めるための実質的な財産を確保する必要があります。

会社法34条2項は、金銭の払込みについて、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所でしなければならないと定めています。会社はまだ成立していないため、発起人個人の口座等を用いて払込証明書や取引明細を準備する場面が実務上あります。払込証明の具体的な準備は、出資の履行と払込証明の実務解説で詳しく扱います。

金銭払込みと現物給付を分けて確認する

会社法34条は、金銭出資と現物出資を同じ「出資の履行」として扱いますが、実務上の確認事項は異なります。

出資の種類 履行内容 主な注意点
金銭出資 払込金額の全額を銀行等の払込取扱場所に払い込む 払込日、払込額、口座名義、入金者、通帳・取引明細の整合性を確認する
現物出資 金銭以外の財産を全部給付する 会社法28条の定款記載、会社法33条の検査役調査又は例外、評価資料を確認する
登記・登録等を要する財産 財産の給付に加え、対抗要件具備が問題になる 発起人全員の同意がある場合、第三者対抗要件を会社成立後に行うことが許される

現物出資を使う場合は、会社法34条だけでなく、会社法28条・33条を併せて確認する必要があります。現物出資は、定款に記載又は記録しなければ効力を生じない変態設立事項であり、原則として検査役調査の対象になります。詳しくは、会社法28条の変態設立事項現物出資・財産引受けの実務解説を参照してください。

対抗要件は会社成立後にできる場合がある

会社法34条1項ただし書は、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為について、発起人全員の同意があるときは、株式会社の成立後にすることを妨げないと定めています。

例えば、不動産、知的財産権、自動車など、権利移転の対抗要件を備えるために登記・登録等が問題になる財産では、会社が成立する前には、そもそも会社名義で対抗要件を備えることが難しい場合があります。このような場面で、財産の給付と対抗要件具備のタイミングを形式的に混同しないための規定です。

ただし、これは「現物出資を後で何となく処理してよい」という意味ではありません。定款記載、価額評価、発起人全員の同意、設立時取締役等の調査、成立後の権利移転手続を、設立前から整理しておく必要があります。

払込みが実質を欠く場合はリスクが大きい

会社法34条の出資の履行では、払込みの形式だけでなく、会社財産が実質的に確保されているかが問題になります。典型的には、預合い、見せ金、払込み直後の不自然な返金・借入金返済などが問題になります。

最高裁昭和38年12月6日判決は、当初から真実の株式払込みとして会社資金を確保する意図がなく、一時的借入金で払込の外形を整え、会社成立手続後直ちに払込金を払い戻して借入先に返済した事案について、有効な株式払込みとはいえないと判断しました。現在の会社法でも、出資の履行を仮装した場合には、会社法52条の2の責任が問題になります。

払込み後に会社資金を事業のために通常使用することと、当初から会社資金を確保する意思なく一時的に入金してすぐ戻すことは別です。設立時の資金移動は、後から説明できるように、原資、入金日、入金額、払込口座、払込後の資金使途を整理しておきましょう。

仮装払込みの責任は、会社法52条の2の解説で詳しく扱います。


会社法35条|設立時発行株式の株主となる権利の譲渡

会社法35条の基本構造

会社法35条は、会社法34条1項の払込み又は給付、つまり出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができないと定めています。

設立時発行株式は、会社が成立する前に発行されるものではありません。発起人は、出資の履行を経て、会社成立時に株主となる地位を取得します。会社法35条は、この成立前の地位を譲渡しても、成立後の会社に対して「自分が株主である」と主張できないというルールです。

成立前の権利譲渡と成立後の株式譲渡は別

会社法35条で問題になるのは、会社成立前の「株主となる権利」の譲渡です。会社成立後に株式を譲渡する場合は、設立後の株式譲渡のルール、譲渡制限株式であれば譲渡承認手続、株主名簿の名義書換などが問題になります。

場面 対象 主なルール
会社成立前 出資の履行により株主となる権利 会社法35条により、成立後の会社に対抗できない
会社成立時 設立時発行株式 会社法50条により、引受人は成立時に株主となる
会社成立後 既に発行された株式 株式譲渡、譲渡制限、株主名簿等の通常ルールが問題になる

設立時の出資者を途中で入れ替えたい場合、単に「株主となる権利を譲渡した」と処理するのではなく、発起人構成、定款、設立時発行株式の引受け、払込み、設立後の株式譲渡のどの手続で整理するのが適切かを確認する必要があります。

名義貸し・実質引受人の問題とは区別する

会社法35条は、成立前の権利譲渡を会社に対抗できるかという条文です。これに対し、他人名義で設立時発行株式を引き受けた場合に、名義人と実質上の引受人のどちらが株主になるかは、別の問題です。

実務では、許認可、金融機関対応、親族内の事情などを理由に、形式上の株主名義と実際の出資者がずれる例があります。しかし、設立時の名義借りは、株主権確認、税務、反社会的勢力チェック、実質的支配者の説明、将来のM&Aや資金調達で問題化しやすい領域です。設立時から、誰が出資し、誰が株主になるのかを明確にしておくべきです。


会社法36条|出資未履行と株主となる権利の喪失

会社法36条の基本構造

会社法36条は、発起人のうち出資の履行をしていない者がいる場合の失権手続を定めています。発起人は、出資未履行の発起人に対し、期日を定め、その期日までに出資の履行をしなければならない旨を通知しなければなりません。

この通知は、履行期日の2週間前までにする必要があります。通知を受けた発起人が期日までに出資を履行しない場合、その発起人は、出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利を失います。

会社法36条の手続を時系列で整理する

出資未履行の発起人がいる場合、会社法36条の流れは次のとおりです。

  1. 発起人の中に出資の履行をしていない者がいることを確認する
  2. 発起人が、未履行の発起人に対し、履行すべき期日を定める
  3. その期日の2週間前までに、期日までに履行しなければならない旨を通知する
  4. 通知を受けた発起人が期日までに履行しない場合、株主となる権利を失う
  5. 失権後の設立継続、株式数、出資総額、定款・登記内容との整合性を確認する

会社法36条は、未払いの発起人を形式的に整理するためだけの条文ではありません。出資がそろわないまま登記へ進むと、資本金、発行済株式総数、発起人の引受け、会社成立後の株主構成に影響します。

発起人は少なくとも1株を引き受ける必要がある

会社法25条2項は、各発起人が株式会社の設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないと定めています。そのため、発起人が出資未履行となり、会社法36条により株主となる権利を失うと、その発起人が設立時発行株式を1株も引き受けない状態になり得ます。

この場合、単に「未払いの人を外せばよい」とはいえません。発起人の人数、発起人の地位、設立手続の瑕疵、設立を継続するか、定款や発起人間合意をどう整理するかを検討する必要があります。発起人の基本は、発起人とは何かの解説、会社法25条・26条は会社法25条・26条の解説を参照してください。

募集設立の払込失権とは異なる

会社法36条は、発起人の出資未履行を対象にする条文です。募集設立で設立時募集株式の引受人が払込みをしない場合は、会社法63条3項など、募集設立側のルールが問題になります。

したがって、発起人の払込みと、設立時募集株式の引受人の払込みを混同しないことが大切です。募集設立の払込み・保管証明は、会社法63条・64条の解説で扱います。


会社法37条|発行可能株式総数の定め等

会社法37条の基本構造

会社法37条は、発行可能株式総数の定めに関する条文です。発行可能株式総数とは、株式会社が発行することができる株式の総数です。設立時に実際に発行する株式数ではなく、将来発行できる株式の上限枠を意味します。

発起人は、発行可能株式総数を定款で定めていない場合、株式会社の成立時までに、発起人全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければなりません。また、既に発行可能株式総数を定款で定めている場合でも、成立時までであれば、発起人全員の同意により発行可能株式総数について定款変更をすることができます。

発行可能株式総数は、設立登記の登記事項にも関係します。株式会社の設立登記は、会社法911条の解説、登記申請手続の基本は商業登記の申請手続の解説を参照してください。

発行可能株式総数と設立時発行株式は違う

発行可能株式総数と設立時発行株式の総数は、混同されやすい用語です。設立時発行株式は、設立時に実際に発行される株式の数です。発行可能株式総数は、会社が将来発行できる株式の上限です。

用語 意味 設立実務での見方
設立時発行株式 株式会社の設立に際して発行する株式 発起人が何株引き受けるか、1株いくら払い込むかを決める
発行可能株式総数 会社が発行することができる株式の総数 将来の増資余地、資本政策、登記事項として確認する
発行済株式総数 会社が既に発行している株式の総数 設立後の株主構成、議決権、登記・株主名簿と関係する

例えば、設立時発行株式が100株で、発行可能株式総数を1,000株とする場合、設立時点で100株を発行し、将来追加で株式を発行できる枠を900株分残すことになります。発行可能株式総数を小さくしすぎると、将来の増資のたびに定款変更が必要になりやすくなります。逆に大きくしすぎると、株主間の合意や資本政策の説明で問題になることがあります。

公開会社では4分の1ルールに注意する

会社法37条3項は、設立時発行株式の総数が発行可能株式総数の4分の1を下ることができないと定めています。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この制限は適用されません。

非上場・中小企業の多くは、すべての株式に譲渡制限を付ける非公開会社として設立されます。この場合、会社法37条3項ただし書により、設立時発行株式の総数が発行可能株式総数の4分の1を下回ってもよいことになります。

もっとも、非公開会社だからといって、発行可能株式総数を無制限に大きくしてよいわけではありません。将来の株主間トラブル、投資家説明、種類株式の導入、ストックオプション設計などを見据え、実務上説明しやすい株式数にすることが重要です。資本金・資本準備金との関係は、資本金・準備金・剰余金の違いも参照してください。

募集設立では会社法98条の特則を確認する

会社法37条は、発起人全員の同意による発行可能株式総数の定款変更を定めています。これに対し、募集設立で設立時募集株式を募集する場合には、会社法98条に、創立総会決議による発行可能株式総数の定めに関する特則が置かれています。

したがって、発起設立か募集設立かによって、発行可能株式総数を誰が、どの手続で定めるかが変わります。募集設立全体の流れは、募集設立とは何かの解説を参照してください。


会社法34条〜37条を設立実務で確認する流れ

会社法34条〜37条は、条文番号順に読むだけでなく、設立手続の時系列に沿って確認すると、実務上の漏れを防ぎやすくなります。

段階 確認事項 関連条文
設立時発行株式の設計 株数、払込金額、資本金・資本準備金を決める 会社法32条
金銭払込み 発起人が全額を銀行等の払込取扱場所に払い込む 会社法34条
現物出資 定款記載、評価、検査役調査又は例外、給付を確認する 会社法28条・33条・34条
権利譲渡の確認 設立前の株主となる権利譲渡で株主構成を処理しようとしていないか確認する 会社法35条
未履行者対応 出資未履行の発起人がいる場合、2週間前通知と失権手続を確認する 会社法36条
発行可能株式総数 成立時までに定款で定め、必要に応じて発起人全員の同意を残す 会社法37条
設立登記 資本金、発行可能株式総数、発行済株式総数等の登記事項と添付書面を確認する 会社法49条・911条

特に、払込みと発行可能株式総数は、設立登記の直前に慌てて確認されることが多い項目です。しかし、払込みの原資や入金タイミング、現物出資の評価、発行可能株式総数の設計は、後から修正しにくい場合があります。定款作成段階から、株式数・払込金額・将来の発行枠を一体で整理しておくことが重要です。


仮装払込み・見せ金・預合いの注意点

見せ金は有効な払込みと認められないリスクがある

見せ金とは、一般に、設立時に一時的な借入金などで払込みの外形を作り、会社成立後すぐに払込金を払い戻して借入金の返済に充てるような処理をいいます。最高裁昭和38年12月6日判決は、このような場合について、単に外見上株式払込みの形式を備えていても、実質的には払込みがあったものとは解し得ないと判断しています。

現在の設立実務でも、払込みの証明書や通帳コピーが形式的に整っているだけでは十分とはいえません。会社の資金として確保する意思がなく、最初から戻す予定の資金である場合には、出資の履行の効力や発起人等の責任が問題になります。

預合いは払込取扱機関との通謀が問題になる

預合いは、発起人等と払込取扱機関が通謀して株式払込みを仮装する行為として問題になります。最高裁昭和35年6月21日決定は、旧商法上の応預合罪について、株金払込取扱機関の役職員が関係者と通謀して株金の払込を仮装する行為をいうものと整理しています。

現在の会社法では、仮装払込みについて、発起人、設立時取締役等、仮装に関与した者の責任が問題になります。仮装払込みの詳細は、会社法52条の2で確認してください。

「払込み後に使うこと」と「最初から戻すこと」は違う

会社設立後、会社が事業のために資本金を使うこと自体は当然にあり得ます。賃料、仕入代金、広告費、役員報酬、設備投資などに資金を使うことと、当初から会社資金を確保する意思がない一時的な入金とは区別されます。

実務では、払込みの直後に大きな資金移動がある場合、その資金使途が会社の事業目的に沿うものか、設立前から返金・借入返済を予定していなかったか、証拠上説明できるかを確認しておくべきです。


会社法34条〜37条に関するよくある質問

会社法34条は何を定める条文ですか?

会社法34条は、発起人による出資の履行を定める条文です。発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、金銭出資であれば金銭の全額を払い込み、現物出資であれば金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません。

払込みは会社名義の口座にする必要がありますか?

会社は設立登記により成立するため、払込みの時点では会社名義の口座がないのが通常です。実務では、発起人等の口座を用いて払込みの事実を証明する場面があります。ただし、払込金額、入金日、口座名義、入金者、取引明細の整合性を確認する必要があります。

現物出資も会社法34条の出資の履行に含まれますか?

含まれます。会社法34条1項は、金銭の全額払込みだけでなく、金銭以外の財産の全部給付も定めています。ただし、現物出資は会社法28条の変態設立事項であり、定款記載、会社法33条の検査役調査又は例外、設立時取締役等の調査なども併せて確認する必要があります。

設立前に株主となる権利を譲渡できますか?

会社法35条は、出資の履行により設立時発行株式の株主となる権利の譲渡を、成立後の株式会社に対抗できないと定めています。設立前の地位を譲渡しても、成立後の会社に対して当然に株主として扱うよう求めることはできません。

発起人が払込みをしない場合はどうなりますか?

会社法36条により、発起人は、未履行の発起人に対して期日を定め、期日までに出資を履行しなければならない旨を通知します。この通知は期日の2週間前までに行う必要があります。通知を受けた発起人が期日までに履行しない場合、株主となる権利を失います。

発起人が失権した場合、会社設立はそのまま進められますか?

個別事情によります。各発起人は設立時発行株式を1株以上引き受ける必要があるため、失権により発起人が株式を1株も引き受けない状態になる場合、設立手続の瑕疵や設立継続の可否を慎重に確認する必要があります。

発行可能株式総数はいつまでに定める必要がありますか?

会社法37条1項により、発行可能株式総数を定款で定めていない場合、発起人は、株式会社の成立時までに、発起人全員の同意によって定款を変更し、発行可能株式総数の定めを設けなければなりません。

発行可能株式総数と設立時発行株式の総数は同じですか?

同じではありません。設立時発行株式の総数は、設立時に実際に発行される株式数です。発行可能株式総数は、会社が将来発行できる株式の上限です。発行可能株式総数は、将来の増資、資本政策、登記事項に関係します。

非公開会社でも4分の1ルールは適用されますか?

会社法37条3項ただし書により、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合、設立時発行株式の総数が発行可能株式総数の4分の1を下ることができないという制限は適用されません。中小企業で一般的な非公開会社では、比較的柔軟に発行可能株式総数を設計できます。

見せ金で払込みをした場合、登記が通れば問題ありませんか?

登記がされたからといって、払込みの実質が当然に問題なくなるわけではありません。見せ金のように、当初から会社資金を確保する意思がなく、一時的に払込の外形だけを作った場合、有効な出資の履行といえないリスクや、発起人等の責任が問題になります。


まとめ

会社法34条は、発起人による出資の履行を定める条文です。発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、金銭の全額を払い込み、又は金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません。現物出資では、会社法28条・33条の定款記載・検査役調査等も併せて確認する必要があります。

会社法35条は、設立前の株主となる権利の譲渡を成立後の会社に対抗できないと定め、会社法36条は、出資未履行の発起人に対する通知と失権を定めています。発起人が出資を履行しない場合は、単に未払いを処理するだけでなく、発起人として1株以上を引き受ける必要があることや、設立手続全体への影響を確認しなければなりません。

会社法37条は、発行可能株式総数を会社成立時までに定款で定めることを求めています。発行可能株式総数は、将来の増資、資本政策、登記事項に直結します。設立時発行株式の総数や資本金額だけでなく、将来どこまで株式を発行できる設計にするかまで、設立前に整理しておくことが重要です。

坂尾陽弁護士

会社法34条〜37条は、設立時の払込み、株主となる地位、未履行者対応、発行可能株式総数をまとめて確認する条文です。特に、払込みの実質と発行可能株式総数は、設立登記が終わった後も株主構成・資本政策・紛争対応に影響します。

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