会社の公告方法(官報・日刊新聞・電子公告)|定款の定めと選び方

会社の公告方法とは、会社が法令上公告すべき事項を、どの媒体で公に知らせるかを定めるルールです。会社法上、会社は公告方法として、官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告のいずれかを定款で定めることができます。

公告方法は、設立時の定款作成だけでなく、決算公告、資本金の額の減少、合併・会社分割などの債権者保護手続、株主・債権者への情報提供、登記申請の添付書類にも関係します。単に「費用が安い」「自社サイトに載せればよい」という観点だけで選ぶと、実務上の手間や手続リスクを見落とすことがあります。

この記事では、会社の公告方法について、官報・日刊新聞・電子公告の違い、定款での定め方、公告方法を定めない場合、登記との関係、決算公告や債権者保護手続での注意点、非上場・中小会社での選び方を整理します。

  • 会社の公告方法は、官報、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙、電子公告の3種類が基本です。
  • 定款に公告方法の定めがない場合は、官報に掲載する方法が公告方法になります。
  • 電子公告を選ぶ場合、定款にURLまで書く必要はありませんが、公告ホームページのURLは登記が必要になります。
  • 決算公告と、合併・減資などの債権者保護手続の公告では、必要な公告方法や電子公告調査の要否が異なります。
  • 非上場・中小会社では、実務のシンプルさを重視して官報を基本にし、必要に応じて電子公告や日刊新聞公告を検討するのが現実的です。

坂尾陽弁護士

公告方法は、設立時に何となく選んだまま放置されやすい項目です。しかし、後で組織再編や減資、決算公告、公告方法変更を行うときに、定款・登記・公告媒体・スケジュールが一気に問題になります。設立時だけでなく、重要な会社変更を予定する前にも見直しておきましょう。

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

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会社の公告方法とは

会社の公告方法とは、会社が公告を行うときに使う媒体をいいます。公告は、会社が一定の事項を広く知らせるための手続であり、株主、債権者、取引先、利害関係人が会社情報を確認するための仕組みです。

会社法939条1項は、会社が公告方法として、官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、電子公告のいずれかを定款で定めることができるとしています。定款に公告方法を定めない場合には、同条4項により、官報に掲載する方法が公告方法になります。

会社法の条文は、最新のものをe-Gov法令検索「会社法」で確認できます。会社法939条そのものの詳しい読み方は、【会社法939条】会社の公告方法|条文の要点と実務ポイントで整理しています。

公告方法 内容 実務上の特徴
官報 官報に公告を掲載する方法 もっとも標準的で、非上場・中小会社でも利用しやすい方法です。
日刊新聞紙 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に公告を掲載する方法 社会的な周知性は高い一方、費用が高くなりやすく、利用場面は限定的です。
電子公告 インターネット上のホームページに公告を掲載する方法 決算公告や債権者保護手続で有用な場面がありますが、URL登記や電子公告調査の確認が必要です。

ここで注意すべきなのは、「公告方法を定めたから、すべての公告をその方法だけで行えばよい」とは限らない点です。会社法上、官報公告が必要となる場面や、官報公告に加えて個別催告又は別媒体での公告が問題になる場面があります。公告方法は、個別の手続条文とセットで確認します。

公告は広告とは違う

会社法上の「公告」は、商品やサービスを宣伝する「広告」とは異なります。公告は、法令や定款に基づき、会社の一定事項を利害関係人に知らせるための法的な手続です。


官報・日刊新聞・電子公告の違い

公告方法を選ぶときは、費用だけでなく、公告の証明しやすさ、登記との関係、決算公告の負担、組織再編や減資を行う可能性、自社サイトの管理体制を合わせて見ます。

官報公告

官報公告は、官報に公告を掲載する方法です。定款で公告方法を定めない場合にも官報公告になるため、会社法上もっとも基本的な公告方法といえます。

非上場・中小会社では、官報公告を選んでおくと、手続が比較的シンプルです。公告掲載の証明も取りやすく、電子公告のように公告期間中のウェブサイトの継続掲載や電子公告調査を意識する場面が少なくなります。

一方で、決算公告を官報で行う場合には掲載費用が発生します。また、公告の掲載申込みから掲載日まで一定の期間が必要になるため、合併、会社分割、資本金の額の減少などスケジュールが厳しい手続では、早めの手配が必要です。

日刊新聞紙公告

日刊新聞紙公告は、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に公告を掲載する方法です。全国紙や地方紙を利用することが想定されます。

日刊新聞紙公告は、社会的な周知性や信用性を重視する会社で選ばれることがあります。また、債権者保護手続で個別催告を省略するために、官報公告と併せて日刊新聞紙による公告を利用する設計が問題になることもあります。

もっとも、費用が高くなりやすいため、非上場・中小会社が日常的な公告方法として選ぶ場面は多くありません。定款に新聞名をどこまで具体的に書くか、地域を限定するか、将来の媒体変更時に定款変更が必要になるかも検討します。

電子公告

電子公告は、インターネット上のホームページに公告を掲載する方法です。自社サイトを通じて公告できるため、決算公告の運用や債権者保護手続の個別催告省略との関係で有用な場面があります。

ただし、電子公告は「自社サイトに掲載すれば何でも無料で完了する」という制度ではありません。電子公告を公告方法にするには定款にその旨を定め、公告ホームページのURLを登記する必要があります。また、決算公告を除く法定公告では、原則として電子公告調査機関による調査が必要になります。

電子公告の制度概要は、法務省の電子公告制度についてでも説明されています。電子公告を選ぶ場合は、電子公告の公告期間、中断、追加公告、調査機関の手続も確認します。

比較項目 官報 日刊新聞紙 電子公告
定款での定め 定めることが多い。定めがなくても官報になる 新聞紙名や地域の定め方を検討する 電子公告による旨を定める
登記との関係 公告方法の定めを登記 公告方法の定めを登記 公告方法に加え、公告ホームページのURLも登記
決算公告 要旨公告が可能な場面がある 要旨公告が可能な場面がある 全文公告が必要。決算公告は電子公告調査不要
組織再編・減資等 官報公告が必要となる場面が多い 官報公告と併せて使う場面がある 官報公告と併せて使う場面がある。調査機関への委託に注意
向いている会社 非上場・中小会社、手続をシンプルにしたい会社 周知性や対外的信用を重視する会社 自社サイト管理体制があり、公告運用を整理できる会社

定款に公告方法を定めない場合

会社法上、公告方法は定款の絶対的記載事項ではありません。そのため、定款に公告方法を定めなくても、会社が成立しないわけではありません。

しかし、定款に公告方法の定めがない場合には、会社法939条4項により、官報に掲載する方法が公告方法になります。実務では、設立時の定款に「当会社の公告は、官報に掲載してする。」などの規定を置くことが多いです。

定款作成の場面でも、公告方法は基本項目として確認されます。法務局の定款作成支援ツールの補足説明でも、会社の公告方法は官報、日刊新聞、電子公告のいずれかを選択する前提で説明されています。

選択的な定め方は避ける

「当会社の公告は、官報又は日刊新聞紙に掲載してする。」のように、会社側が後で自由に選べる形で定めると、利害関係人がどの媒体を見ればよいか分かりにくくなります。公告方法は、通常、一つの方法として明確に定めます。電子公告の場合だけ、事故その他やむを得ない事由がある場合の予備的公告方法を定めることができます。

公告方法を定款で定めるかどうか、どの方法を選ぶかは、会社の規模、株主構成、将来の資本政策、決算公告の運用、組織再編の可能性、自社サイト管理体制を踏まえて判断します。


公告方法は登記にも関係する

公告方法は、定款の問題にとどまりません。株式会社の設立登記では、公告方法についての定款の定めがあるときは、その定めが登記事項になります。また、電子公告を公告方法とするときは、公告ホームページのURLも登記が必要になります。

設立登記の登記事項については、【会社法911条】株式会社の設立の登記|条文の要点と実務ポイントで整理しています。設立時に公告方法を決める場合は、定款の記載、設立登記申請書、登記事項の内容が一致しているかを確認します。

設立後に公告方法を変更する場合は、定款変更と変更登記が必要になります。株式会社であれば、公告方法は定款事項であるため、株主総会の特別決議による定款変更が基本です。その後、公告方法の変更登記を申請します。

場面 必要になる確認 実務上の注意点
設立時 定款の公告方法、設立登記の登記事項 公告方法の定めがある場合は、設立登記に反映します。
官報から電子公告へ変更 定款変更、URL登記、予備的公告方法 公告ホームページのURLを登記し、サイト管理体制を整えます。
電子公告から官報へ変更 定款変更、公告方法変更登記 電子公告URLの扱い、決算公告用URLの登記が残るかを確認します。
日刊新聞紙を変更 定款上の新聞名・地域指定、変更登記 新聞名を具体的に定めている場合は、媒体変更に定款変更が必要になることがあります。

変更登記の基本は、【会社法915条】変更の登記|条文の要点と実務ポイント、登記期限の考え方は登記申請の期限(2週間・3週間)と起算点|登記の期間の考え方で整理しています。公告方法変更を予定する場合は、定款変更決議から2週間以内の変更登記を前提にスケジュールを組みます。


決算公告と公告方法の関係

公告方法を選ぶ場面で特に意識されるのが、決算公告です。株式会社は、原則として、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表などを公告する必要があります。

決算公告では、公告方法によって掲載内容や実務負担が変わります。官報又は日刊新聞紙により決算公告をする場合には、一定の場合に貸借対照表の要旨の公告で足ります。一方、電子公告を公告方法とする会社が決算公告を電子公告で行う場合には、要旨ではなく全文を公告する必要があります。

もっとも、決算公告は、他の電子公告と異なり、電子公告調査機関の調査を受ける必要がありません。法務省も、決算公告について、電子公告調査を要しないこと、電子公告では全文公告が必要であること、決算公告用のホームページを別アドレスとして登記できることを説明しています。

決算公告の方法 掲載内容の考え方 電子公告調査 注意点
官報 要旨公告で足りる場面がある 不要 掲載費用と申込期間を確認します。
日刊新聞紙 要旨公告で足りる場面がある 不要 掲載費用が大きくなりやすいです。
電子公告 全文公告が必要 決算公告は不要 掲載期間、URL、過去公告の管理体制を確認します。
決算公告のみウェブ開示 公告方法が官報・日刊新聞でも利用できる場合がある 決算公告は不要 公告方法そのものを電子公告にする場合とは区別し、URL登記を確認します。

決算公告は、計算書類や会計処理と密接に関係します。本記事では公告方法の観点に絞っていますが、実際に決算公告を行う際は、公告する書類の範囲、貸借対照表の要旨の作成、電子公告での全文掲載、掲載期間、過去公告の管理を確認する必要があります。

決算公告だけ電子化する方法も区別する

公告方法自体を電子公告に変更しなくても、決算公告のみを自社ホームページで開示する制度を利用できる場合があります。この場合は、公告方法の変更とは別に、貸借対照表等を掲載するウェブページのURL登記が問題になります。


電子公告を選ぶときの注意点

電子公告は、ウェブサイトを利用できるため便利に見えますが、定款、登記、公告期間、電子公告調査、予備的公告方法をセットで確認する必要があります。

定款にURLまで書く必要はない

電子公告を公告方法とする場合、定款には「当会社の公告は、電子公告により行う。」などと定めれば足ります。法務省も、電子公告を公告方法とする定款変更等について、ウェブページのURLまで定款に定める必要はないと説明しています。

ただし、URLを定款に書かなくてよいことと、URLの登記が不要であることは別問題です。電子公告を公告方法とする場合には、公告ホームページのURLを登記する必要があります。

予備的公告方法を定められる

電子公告を公告方法とする場合には、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合に備え、官報又は日刊新聞紙を予備的公告方法として定款に定めることができます。

実務上は、サーバ障害、システム障害、災害、サイト改修、ドメイン更新漏れなどにより、公告期間中に公告を継続できないリスクを考えます。予備的公告方法を置くかどうかは、電子公告を選ぶ際の重要な検討事項です。

決算公告以外は電子公告調査が問題になる

電子公告では、公告が公告期間中に適法に継続掲載されていたかを客観的に証明することが重要です。決算公告を除く法定公告では、原則として、電子公告調査機関に調査を委託する必要があります。

電子公告調査を忘れると、債権者保護手続や登記申請で「公告をしたことを証する書面」の準備に支障が出ることがあります。特に、合併、会社分割、資本金の額の減少、株券廃止など、登記申請と公告が連動する手続では、公告開始前に調査機関への委託を済ませておく必要があります。

電子公告の公告期間や中断の考え方は、電子公告とは|公告期間・中断(追加公告)・調査の要否を整理、会社法940条の条文は【会社法940条】電子公告の公告期間等|条文の要点と実務ポイントで整理しています。

電子公告は掲載開始前の準備が重要

電子公告は、公告文をサイトに掲載してから調査機関へ依頼すればよいというものではありません。公告の根拠条文、公告期間、公告アドレス、登記アドレス、調査委託の時期を公告開始前に整理しておく必要があります。


組織再編・減資などでは公告方法だけで判断しない

会社の公告方法を定款で定めていても、個別手続でどの公告が必要かは、各条文を確認しなければなりません。特に、資本金の額の減少、準備金の額の減少、合併、会社分割、組織変更などの債権者保護手続では、官報公告や個別催告との関係が問題になります。

たとえば、債権者保護手続では、官報公告を行い、知れている債権者に各別の催告をすることが基本になる場面があります。もっとも、定款上の公告方法が日刊新聞紙又は電子公告である場合には、官報公告に加えてその公告方法でも公告することにより、一定の個別催告を省略できる場面があります。

このような「官報+日刊新聞紙」「官報+電子公告」の二重公告は、債権者が多数いる会社や組織再編の実務で検討されることがあります。ただし、すべての債権者保護手続で個別催告省略ができるわけではなく、解散・清算型の手続などでは別の規律が問題になります。

手続類型 公告方法で見るポイント 実務上の注意点
資本金の額の減少 官報公告、個別催告、省略の可否 公告期間と債権者異議申述期間を逆算します。
合併・会社分割 官報公告に加え、日刊新聞紙又は電子公告を使うか 個別催告省略の前提として定款上の公告方法を確認します。
組織変更 債権者保護手続と公告方法 効力発生日、公告期間、登記申請時期を連動させます。
解散・清算 解散公告・債権申出公告の方法 個別催告省略の可否を他の手続と混同しないようにします。

組織再編や減資を予定している場合、公告方法は「定款に何と書いてあるか」だけでなく、「その手続条文が何を要求しているか」「個別催告を省略したいか」「電子公告調査が必要か」「登記申請にどの証明書類が必要か」まで一体で確認します。


公告方法を変更する手続

公告方法を変更するには、定款の変更が必要です。株式会社であれば、株主総会の特別決議により定款を変更するのが基本です。持分会社では、定款変更に関する会社類型ごとのルールを確認します。

定款変更後は、公告方法の変更登記を申請します。電子公告に変更する場合は、公告方法だけでなく、公告ホームページのURLも登記します。日刊新聞紙公告にする場合は、新聞紙名や地域の定め方を確認します。

  1. 現在の定款と登記簿を確認する
    定款上の公告方法、登記簿上の公告方法、電子公告URLの有無を確認します。
  2. 変更後の公告方法を決める
    官報、日刊新聞紙、電子公告のいずれにするか、電子公告なら予備的公告方法を定めるかを検討します。
  3. 定款変更の決議を行う
    株式会社では株主総会の特別決議が基本です。決議日、効力発生日、議事録を整理します。
  4. 変更登記を申請する
    公告方法変更の登記を、原則として変更の効力発生日から2週間以内に申請します。
  5. 公告運用を社内に反映する
    決算公告、組織再編、減資、解散公告などで使う媒体と手配先を更新します。

商業登記の申請手続は、商業登記の申請手続|申請人・添付書類・オンライン申請の基本で整理しています。公告方法変更は、定款変更、登記申請、公告媒体の運用変更がつながるため、議事録作成と登記申請を同時並行で準備するのが安全です。

公告方法変更のタイミングに注意

合併や減資の直前に、個別催告省略のために公告方法を電子公告へ変更することがあります。この場合、定款変更、変更登記、電子公告調査の手配、公告掲載開始日が連動するため、効力発生日から逆算して早めに準備する必要があります。


非上場・中小会社での選び方

非上場・中小会社では、公告方法は、シンプルさ、費用、将来の手続予定のバランスで選ぶのが現実的です。迷う場合には、まず官報公告を基本に考え、そのうえで電子公告を使う実益があるかを検討します。

官報公告は、実務上の扱いが分かりやすく、公告をした証明も取りやすい方法です。自社サイトの管理体制が十分でない会社、組織再編や大規模な資本政策を頻繁に予定していない会社、手続をシンプルにしたい会社では、官報公告が扱いやすいことが多いです。

電子公告は、決算公告を自社サイトで運用したい会社、債権者が多数いる会社、組織再編や減資で個別催告省略を検討する会社、自社サイトの運用体制が整っている会社では候補になります。ただし、電子公告調査、URL管理、公告期間中の中断リスクを管理できることが前提です。

日刊新聞紙公告は、対外的な周知性や信用性を重視する場面では候補になりますが、費用負担が大きくなりやすいため、非上場・中小会社では慎重に検討します。

会社の状況 検討しやすい公告方法 理由
設立直後の中小会社 官報 運用がシンプルで、定款・登記・公告手配を管理しやすいです。
決算公告をウェブで管理したい会社 電子公告又は決算公告のみウェブ開示 掲載費用の見直しや過去公告の管理にメリットが出る場合があります。
将来、合併・会社分割・減資を予定する会社 電子公告又は日刊新聞紙も検討 個別催告省略の選択肢を持てる場合があります。
上場会社・上場準備会社 電子公告・日刊新聞紙を含めて検討 株主・投資家への情報提供、適時開示、公告運用の整合性を考えます。
自社サイト管理に不安がある会社 官報 電子公告の中断、URL管理、調査委託の漏れを避けやすいです。

坂尾陽弁護士

公告方法は、会社の規模や将来予定で適切な選択が変わります。設立時は官報で始め、組織再編や減資、決算公告の運用を見直す段階で電子公告を検討する、という進め方もあります。重要なのは、定款・登記・実際の公告運用がずれないように管理することです。

公告方法の実務チェックリスト

公告方法を決めるとき、又は変更するときは、次の点を確認します。

チェック項目 確認内容 見落とした場合のリスク
定款の記載 公告方法が定款にどのように書かれているか 実際に使える公告方法を誤るおそれがあります。
登記簿の記載 公告方法、電子公告URL、決算公告用URLの登記 定款と登記簿がずれるおそれがあります。
公告の種類 決算公告、債権者保護公告、通知に代わる公告など 必要な公告媒体を誤るおそれがあります。
官報必須の有無 個別手続で官報公告が要求されているか 電子公告だけで足りると誤解するおそれがあります。
個別催告省略の可否 官報+日刊新聞紙又は官報+電子公告で省略できる場面か 債権者保護手続に瑕疵が残るおそれがあります。
電子公告調査 調査機関への委託が必要か、公告開始前に手配したか 登記申請時の証明書類に支障が出るおそれがあります。
公告期間 1か月以上など、個別手続で必要な期間を確保しているか 効力発生日や登記申請が遅れるおそれがあります。
社内管理 公告文、掲載証明、調査結果通知、登記完了後の保管 後日の説明や登記申請で資料不足になるおそれがあります。

電子公告調査機関の制度や調査の流れは、電子公告調査機関とは|登録制度・調査の流れ・監督(報告/検査)を整理、条文のまとまりは【会社法941条〜959条】電子公告調査・電子公告調査機関|条文の要点と実務ポイントで整理しています。


よくある質問

会社の公告方法は必ず定款に定める必要がありますか

公告方法は、会社法上、定款の絶対的記載事項ではありません。そのため、定款に定めがなくても会社は成立します。ただし、定めがない場合は官報に掲載する方法が公告方法になります。実務上は、設立時の定款に公告方法を明記することが多いです。

公告方法を変更するには株主総会が必要ですか

株式会社では、公告方法は定款事項であるため、公告方法を変更するには株主総会の特別決議による定款変更が基本です。その後、公告方法の変更登記を申請します。持分会社では、会社類型ごとの定款変更手続を確認します。

電子公告を選ぶ場合、定款にURLを書く必要がありますか

定款に公告ホームページのURLまで定める必要はありません。定款には、電子公告を公告方法とする旨を定めれば足ります。ただし、公告ホームページのURLは登記事項になるため、登記申請ではURLを確認します。

電子公告にすれば官報公告は不要になりますか

常に不要になるわけではありません。合併、会社分割、資本金の額の減少など、個別手続で官報公告が必要になる場面があります。電子公告を公告方法としていても、各手続条文に従って、官報公告、個別催告、電子公告調査の要否を確認します。

決算公告は電子公告調査が必要ですか

決算公告については、他の電子公告と異なり、電子公告調査機関による電子公告調査を受ける必要はありません。ただし、電子公告で決算公告をする場合には、要旨ではなく全文公告が必要になる点に注意が必要です。

官報を公告方法にしていても、決算公告だけホームページでできますか

できる場合があります。公告方法を官報又は日刊新聞紙としている会社でも、決算公告のみをインターネット上のホームページに掲載する制度を利用できる場合があります。この場合は、公告方法自体を電子公告にする場合とは区別し、貸借対照表等を掲載するウェブページのURL登記を確認します。

日刊新聞紙を公告方法にする場合、新聞名まで書くべきですか

実務上は、公告を掲載する新聞紙が特定できるように定款で定めます。具体的な新聞名を定めると明確ですが、将来その新聞を変更する場合に定款変更が必要になることがあります。地域紙を使う場合は、本店所在地との関係や公告の周知性も確認します。

公告方法を変えたら、いつまでに登記が必要ですか

公告方法を変更した場合は、原則として、変更の効力が生じた日から2週間以内に変更登記を申請します。電子公告へ変更する場合は、公告ホームページのURLも登記事項になります。

公告方法は一度決めたら変えない方がよいですか

必ずしも変えてはいけないわけではありません。会社の規模、決算公告の運用、組織再編や減資の予定、自社サイト管理体制が変われば、公告方法の見直しが有益なことがあります。ただし、変更には定款変更と登記が必要になるため、手続コストも考慮します。


まとめ

会社の公告方法は、官報、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙、電子公告の3種類から選ぶのが基本です。定款に公告方法の定めがない場合は、官報に掲載する方法が公告方法になります。

  • 公告方法は、定款・登記・実際の公告運用を一致させる必要があります。
  • 非上場・中小会社では、実務のシンプルさから官報公告が扱いやすいことが多いです。
  • 電子公告を選ぶ場合は、公告ホームページURLの登記、予備的公告方法、電子公告調査の要否を確認します。
  • 決算公告は電子公告調査不要ですが、電子公告では全文公告が必要になる点に注意します。
  • 組織再編や減資では、定款上の公告方法だけでなく、各手続条文が要求する官報公告や個別催告を確認します。

公告方法は、設立時の定款作成だけでなく、決算公告、組織再編、減資、公告方法変更、電子公告調査、登記申請に関係します。会社の実態や将来予定に合った方法を選び、定款・登記・公告実務がずれないように管理しましょう。


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