会社法915条は、会社の登記事項に変更が生じた場合に、原則として2週間以内に本店所在地で変更の登記をしなければならないことを定める条文です。株式会社だけでなく、合名会社、合資会社、合同会社にも関係します。
変更登記は、会社の内部で決議や契約が終わった後の単なる事務ではありません。登記簿は取引先、金融機関、許認可庁、裁判所などが会社情報を確認する基礎になるため、商号、目的、本店、役員、資本金、株式、公告方法などに変更があったときは、会社法915条を起点に期限と必要書類を確認する必要があります。
この記事では、会社法915条について、変更登記の対象、2週間以内という期限の考え方、915条2項・3項の例外、実務で多い変更登記、登記を怠った場合のリスクを整理します。
- 会社法915条は、会社の登記事項に変更が生じた場合の変更登記義務を定める条文です。
- 原則として、変更が生じたときから2週間以内に、本店所在地で変更登記をします。
- 対象になるのは、会社法911条3項、912条、913条、914条に掲げられた登記事項の変更です。
- 役員の重任、商号・目的変更、本店移転、資本金の額の変更、公告方法の変更などは実務で漏れやすい変更登記です。
- 期限を過ぎても申請自体が直ちにできなくなるわけではありませんが、登記懈怠として過料や対外的な不利益につながるおそれがあります。
坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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会社法915条とは
会社法915条は、会社法第7編第4章「登記」のうち、会社の本店所在地における変更登記を定める条文です。最新の条文は、e-Gov法令検索「会社法」で確認できます。
会社法915条の要点は、次の3つです。
| 項目 | 条文の内容 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 1項 | 登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店所在地で変更登記をする | 役員変更、商号変更、目的変更、本店移転、資本金変更などの基本ルールです。 |
| 2項 | 募集株式の発行で払込期間を定めた場合の特則 | 払込期間中の払込みを、期間末日現在でまとめて登記できる場面があります。 |
| 3項 | 新株予約権の行使等について、毎月末日現在でまとめて登記できる特則 | 多数回・反復的に生じる株式・新株予約権関係の変更を、月次で整理する趣旨です。 |
会社法915条は、会社法908条の登記の効力、909条の変更登記・消滅登記、910条の登記期間の考え方と合わせて読むと理解しやすくなります。会社法上の登記全体の位置づけは、会社の登記とは|登記の効力・対抗要件・登記漏れのリスクを整理、登記の通則は【会社法907条〜910条】会社法上の登記の通則・効力・変更登記・期間|条文の要点と実務ポイントでも整理しています。
会社の内部で何かが変わったからといって、すべてが会社法915条の変更登記になるわけではありません。まず、その事項が会社法上の登記事項に当たるかを確認することが出発点です。
変更登記が必要になる対象
会社法915条1項は、「第911条第3項各号又は前三条各号に掲げる事項」に変更が生じた場合を対象にしています。ここでいう「前三条」は、会社法912条、913条、914条を指します。
つまり、対象になる登記事項は、会社の種類によって次のように分かれます。
| 会社の種類 | 確認する条文 | 主な登記事項 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 会社法911条3項 | 目的、商号、本店、資本金、株式、役員、機関、公告方法など |
| 合名会社 | 会社法912条 | 目的、商号、本店、社員、代表社員、公告方法など |
| 合資会社 | 会社法913条 | 社員、責任区分、有限責任社員の出資、代表社員、公告方法など |
| 合同会社 | 会社法914条 | 資本金、業務執行社員、代表社員、法人代表社員の職務執行者、公告方法など |
株式会社の設立登記事項は、【会社法911条】株式会社の設立の登記|条文の要点と実務ポイント、持分会社の設立登記事項は【会社法912条・913条・914条】持分会社の設立の登記|条文の要点と実務ポイントで整理しています。変更登記の要否を判断するときも、まず設立登記事項に戻って確認すると整理しやすいです。
登記事項ではない内部事情は915条の対象外
会社の内部事情が変わっても、それが登記事項でなければ、会社法915条の変更登記は問題になりません。たとえば、通常の株主の変更、従業員の入退社、主要取引先の変更、社内規程の改定などは、それ自体が直ちに会社法915条の変更登記の対象になるわけではありません。
もっとも、内部事情の変更が、登記事項の変更につながる場合があります。たとえば、事業内容を広げるために目的を変更した場合、代表取締役が交代した場合、合同会社の代表社員を変更した場合などは、実体上の決定と登記申請をセットで管理する必要があります。
変更登記と更正登記を区別する
変更登記は、登記された事項について、後から実体上の変更が生じた場合に行う登記です。これに対し、更正登記は、登記された内容が当初から誤っていた場合に、その誤りを正す登記です。
たとえば、役員が任期満了で退任し再任された場合は変更登記の問題です。一方、登記申請時の記載ミスにより氏名や住所の一部が誤って登記された場合は、更正登記の検討が必要になることがあります。どちらの手続を選ぶかで、申請書、添付書類、登録免許税が変わるため、実務では早めに切り分けます。
2週間以内の期限と起算点
会社法915条1項は、登記事項に変更が生じたときは、2週間以内に変更登記をしなければならないと定めています。ここで重要なのは、2週間の起算点が「登記申請の準備が整った日」ではなく、原則として「変更が生じた日」であることです。
変更が生じた日は、変更内容ごとに異なります。実務では、次のように考えることが多いです。
| 変更内容 | 起算点の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 商号・目的・公告方法の変更 | 株主総会決議などにより定款変更の効力が生じた日 | 効力発生日を別に定めた場合は、その日を確認します。 |
| 役員の就任 | 選任決議と就任承諾により就任の効力が生じた日 | 就任承諾書、議事録、本人確認証明書などを確認します。 |
| 役員の退任 | 任期満了、辞任、死亡、解任など退任事由が生じた日 | 辞任届、定時株主総会終結時、死亡日などを確認します。 |
| 役員の重任 | 任期満了後に同じ人が再任され、就任した日 | 同じ人が続ける場合でも、登記実務上は重任の登記が必要です。 |
| 本店移転 | 実際に本店を移転した日又は決議で定めた効力発生日 | 管轄外移転では会社法916条・商業登記法の手続も確認します。 |
| 資本金の額の変更 | 増資・減資等の効力が生じた日 | 払込期間や債権者保護手続との関係に注意します。 |
特に注意が必要なのは、役員の重任です。同じ人がそのまま役員を続ける場合でも、任期満了によりいったん退任し、再び就任するため、登記事項に変更が生じたものとして扱われます。法務省も、再任の場合でも役員変更の登記が必要である旨を案内しています。詳しくは、法務省「役員の変更の登記を忘れていませんか? 再任の方も必要です」を確認してください。
2週間の期限は逆算管理する
変更登記では、決議日や効力発生日から2週間以内に申請できるよう、事前準備が重要です。議事録、就任承諾書、辞任届、印鑑証明書、本人確認証明書、定款、株主リスト、払込みを証する書面など、変更内容によって必要書類が異なります。
期限ギリギリになってから書類を集めようとすると、押印、本人確認証明書、株主リスト、登録免許税、オンライン申請の電子署名などで時間がかかり、期限を過ぎることがあります。変更が予定されている場合は、決議前から申請書類と添付書類を確認しておくのが安全です。
議事録を作成した日、司法書士に依頼した日、登記申請書を作った日が起算点になるとは限りません。実体上の変更がいつ生じたかを確認し、その日を基準に2週間を管理します。
会社法915条2項・3項の例外
会社法915条は、1項で原則的な2週間以内の変更登記を定めたうえで、2項・3項に例外を置いています。これは、株式や新株予約権に関する変更が反復的・大量に生じる場面で、1件ごとに直ちに変更登記を求めると実務負担が大きくなるためです。
募集株式の発行で払込期間を定めた場合
会社法915条2項は、会社法199条1項4号の期間を定めた場合における株式の発行による変更登記について、当該期間の末日現在により、その末日から2週間以内にすれば足りると定めています。
たとえば、募集株式の払込期日を1日だけ定めるのではなく、一定の払込期間を定めた場合には、その期間中に払込みが順次行われることがあります。この場合、各払込日ごとにその都度登記をするのではなく、払込期間の末日現在でまとめて変更登記をする扱いが用意されています。
新株予約権の行使等は月末基準でまとめられる場合がある
会社法915条3項は、新株予約権の行使など一定の事由による変更登記について、毎月末日現在により、その末日から2週間以内にすれば足りると定めています。
新株予約権の行使が多数発生する会社では、発行済株式総数や資本金の額などが頻繁に変動します。915条3項は、このような反復的な変更について、月末時点で整理して登記できるようにする規定です。
もっとも、915条2項・3項は、すべての変更登記に使える一般的な猶予規定ではありません。役員変更、商号変更、目的変更、本店移転などの通常の変更登記では、原則どおり変更が生じたときから2週間以内に申請する必要があります。
実務で多い変更登記
会社法915条の変更登記は、会社のライフサイクルの中で繰り返し発生します。ここでは、実務で多い変更登記を整理します。
役員変更・重任の登記
株式会社で特に多いのが、取締役、代表取締役、監査役、会計参与、会計監査人などの役員変更登記です。就任、退任、辞任、解任、死亡、任期満了、重任、氏名変更、代表取締役の住所変更などが問題になります。
非公開会社では、取締役や監査役の任期を最長10年まで伸長できる場合があります。そのため、普段は役員変更登記が発生しにくく、任期管理を忘れやすいです。しかし、任期が来れば、同じ人が再任される場合でも重任登記が必要になります。
法務省の商業・法人登記Q&Aでも、任期満了後に同じ取締役が再任された場合に変更登記が必要であり、2週間以内に行わなければ登記懈怠となり過料に処せられる可能性があると説明されています。法務省「商業・法人登記Q&A」も参考になります。
商号・目的・公告方法の変更
商号、目的、公告方法は、定款変更と登記が結びつきやすい項目です。商号を変更する場合、会社のブランド、契約書、請求書、許認可、銀行口座、税務・社会保険の届出にも影響します。目的を変更する場合も、許認可や取引先審査との関係で、登記内容が確認されることがあります。
公告方法を官報から電子公告へ変更する場合なども、定款変更と登記をセットで確認します。公告方法の全体像は、会社の公告方法(官報・日刊新聞・電子公告)|定款の定めと選び方、会社法939条の要点は【会社法939条】会社の公告方法|条文の要点と実務ポイントで整理しています。
本店移転の登記
本店を移転した場合も、変更登記が必要です。同じ登記所の管轄区域内で本店を移転する場合は、基本的に変更登記として処理します。一方、他の登記所の管轄区域内へ本店を移転する場合は、会社法916条や商業登記法上の手続を確認する必要があります。
管轄外本店移転では、旧所在地と新所在地の登記が関係し、申請経路や申請書の作り方も通常の変更登記と異なります。本店移転や職務執行停止仮処分等の登記は、【会社法916条・917条】本店移転・職務執行停止仮処分等の登記|条文の要点と実務ポイントで扱います。
資本金・株式に関する変更
募集株式の発行、資本金の額の増加・減少、発行済株式総数の変更、新株予約権の行使などは、資本金や株式に関する登記事項を動かします。これらは、会社法915条2項・3項の例外が関係することもあります。
資本金や株式の変更は、登記だけでなく、募集事項の決定、払込み、株主総会又は取締役会の決議、債権者保護手続、税務・会計処理とも関係します。登記期限だけを見て進めるのではなく、変更の効力発生日と必要手続を一体で管理する必要があります。
持分会社の社員・代表社員等の変更
合同会社などの持分会社でも、登記事項に変更が生じれば会社法915条の変更登記が問題になります。合同会社では、業務執行社員、代表社員、代表社員が法人である場合の職務執行者、資本金の額などが実務上よく問題になります。
持分会社では、定款の定め、総社員の同意、社員の加入・退社、持分譲渡、代表社員の定め方などが登記に影響します。株式会社の役員変更と同じ感覚で処理せず、会社類型と定款を確認することが重要です。
変更登記の申請準備で確認すること
変更登記では、変更内容ごとに必要な決議、添付書類、登録免許税、申請先、申請人が異なります。会社法915条は期限の基本条文ですが、実際の申請では商業登記法、商業登記規則、法務局の申請書様式も確認します。
まず変更内容と根拠資料を整理する
変更登記の準備では、まず「何が、いつ、どの根拠で変わったのか」を整理します。たとえば、目的変更なら株主総会議事録と定款、役員就任なら選任決議と就任承諾、辞任なら辞任届、本店移転なら取締役会議事録や取締役決定書などが問題になります。
| 確認項目 | 確認する内容 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 変更事項 | どの登記事項が変わったか | 登記事項でない変更は915条の対象外です。 |
| 効力発生日 | 変更がいつ生じたか | 2週間の期限計算の出発点になります。 |
| 決議・同意 | 株主総会、取締役会、取締役決定、総社員の同意など | 会社の機関設計や定款により必要手続が変わります。 |
| 添付書類 | 議事録、就任承諾書、辞任届、印鑑証明書、本人確認証明書など | 原本還付や押印の要否も確認します。 |
| 登録免許税 | 登記の種類ごとの税額 | 同時申請でも事件ごとに税額が分かれる場合があります。 |
| 申請方法 | 書面申請、郵送申請、オンライン申請 | 電子署名、添付書類、補正対応の体制を確認します。 |
商業登記の申請手続の基本は、商業登記の申請手続|申請人・添付書類・オンライン申請の基本で整理しています。登記期限の数え方は、登記申請の期限(2週間・3週間)と起算点|登記の期間の考え方も参考になります。
1通の申請書でまとめられるかも確認する
同時に複数の変更がある場合、1通の申請書でまとめて申請できるかが問題になることがあります。法務省の商業・法人登記Q&Aでは、登記の申請は1件1申請が原則である一方、申請人が同一で、管轄登記所が同一である場合に限り、同一の申請書で数個の申請を行うこともできると説明されています。
たとえば、取締役の変更と目的の変更を同時に行う場合、まとめて申請できることがあります。ただし、登録免許税、添付書類、登記の事由、登記すべき事項の記載を整理する必要があります。実際の申請では、申請書様式や管轄登記所の運用も確認します。
原本還付・押印・本人確認証明書を早めに確認する
変更登記では、添付書類の原本提出、原本還付、押印、印鑑証明書、本人確認証明書が問題になることがあります。特に役員就任、代表取締役の選定、取締役会非設置会社の代表取締役選定などでは、書類の形式が登記の可否に直結します。
申請期限は2週間と短いため、書類の取り直しや押印漏れがあると、補正対応のために期限管理が難しくなります。議事録作成、就任承諾、本人確認証明書、印鑑証明書が必要になりそうな変更では、事前に必要書類を洗い出しておくことが重要です。
変更登記を怠った場合のリスク
会社法915条の変更登記を期限内に行わない場合、主に、過料のリスク、登記の効力に関する不利益、取引・金融・許認可上の実務支障が問題になります。
登記懈怠として過料の対象になり得る
会社法上、登記を怠った場合には、代表者等が過料に処される可能性があります。法務省も、株式会社の役員変更登記について、登記すべき期間の経過後に登記申請をした場合でも、当該期間内の登記申請を怠った代表取締役は、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があると案内しています。
期限を過ぎたからといって、変更登記の申請自体が不要になるわけではありません。むしろ、遅れていることが分かった時点で速やかに申請し、登記簿を実体に合わせる必要があります。
登記の効力・対抗関係で不利益が生じる
登記すべき事項は、登記をしなければ第三者に対抗できない場面があります。たとえば、代表者変更、本店移転、商号変更などが登記に反映されていないと、取引先や金融機関が登記簿を見たときに、実体と異なる情報を前提に判断することになります。
会社法908条の登記の効力を考えると、変更登記は単なる形式的手続ではなく、会社情報を外部に示すための公示手段です。登記漏れは、契約締結、通知送付、訴訟対応、融資審査、許認可申請、入札参加などで支障になることがあります。
休眠会社整理につながることもある
役員変更登記などを長期間しないままにすると、休眠会社整理の対象になることがあります。法務省は、株式会社の場合、最後に登記をした時から12年を経過したときは休眠整理作業の対象となり、その後も登記又は事業を廃止しない旨の届出をしない場合には、解散したものとみなされることがあると案内しています。
特に、非公開会社で役員任期を10年に伸長している場合、任期満了後の重任登記を忘れやすくなります。定時株主総会の時期、役員任期、最後の登記年月日を定期的に確認する運用が重要です。
会社法915条の実務チェックリスト
変更登記が必要か迷う場合は、次の順番で確認します。
- 会社の種類を確認する。
- 変更された事項が、会社法911条3項、912条、913条、914条の登記事項に当たるか確認する。
- 変更が生じた日、又は効力発生日を特定する。
- 2週間以内の申請期限を計算する。
- 変更に必要な決議、同意、承諾、通知、手続を確認する。
- 申請書、登記すべき事項、添付書類、登録免許税を準備する。
- 同時に申請すべき別の変更登記がないか確認する。
- 登記完了後、登記事項証明書、印鑑証明書、税務・社会保険・許認可・銀行口座などの届出を更新する。
変更登記は、1つの変更だけを見ていると漏れが出やすいです。たとえば、本店移転では、定款変更の要否、管轄の違い、代表者住所、支店、許認可、税務署・都道府県・市区町村への届出も関係します。役員変更では、代表権、印鑑届、本人確認証明書、任期管理、株主総会議事録の記載も確認します。
登記が完了しても、実務はそこで終わりではありません。登記事項証明書の取得、金融機関・取引先・許認可庁・税務署・社会保険関係への届出、契約書・請求書・ウェブサイト表記の更新なども、変更内容に応じて確認しましょう。
よくある質問
役員が同じ人のままでも変更登記は必要ですか
任期満了後に同じ人が再任された場合でも、重任として変更登記が必要です。会社内部では人が変わっていないように見えても、登記実務上は、任期満了による退任と再任が生じているためです。
2週間を過ぎたら登記申請はできませんか
2週間を過ぎた場合でも、変更登記の申請自体が直ちにできなくなるわけではありません。ただし、期限内の申請を怠ったことについて、登記懈怠として過料の対象になる可能性があります。期限を過ぎたことが分かったら、速やかに申請を進めるべきです。
変更登記の期限は議事録作成日から数えますか
通常は、議事録作成日ではなく、変更が生じた日又は効力発生日を基準に考えます。たとえば、株主総会で定款変更の効力が生じた場合は、その決議日又は効力発生日が問題になります。議事録を後日作成したからといって、期限が後ろにずれるわけではありません。
目的変更と役員変更を同時に申請できますか
申請人と管轄登記所が同一である場合など、同一申請書で複数の変更登記を申請できることがあります。ただし、登記の事由、登記すべき事項、添付書類、登録免許税をそれぞれ整理する必要があります。
代表取締役の住所変更も登記が必要ですか
株式会社では、代表取締役の住所は登記事項に含まれるため、住所変更があった場合には変更登記が問題になります。代表者住所非表示措置など、登記事項証明書上の表示に関する制度と、住所変更の登記義務は分けて確認する必要があります。
株主が変わった場合も会社法915条の変更登記が必要ですか
通常の株式会社では、株主の変更そのものは登記事項ではないため、株主が変わっただけで会社法915条の変更登記が必要になるわけではありません。ただし、株主変更に伴って役員、代表者、商号、目的、資本金、株式の内容など登記事項が変わる場合には、別途変更登記を確認します。
まとめ
会社法915条は、会社の登記事項に変更が生じた場合の変更登記義務を定める基本条文です。実務では、単に「2週間以内」と覚えるだけでなく、どの事項が登記事項なのか、変更がいつ生じたのか、どの添付書類が必要なのかを具体的に確認する必要があります。
- 会社法915条1項は、登記事項の変更が生じた場合、原則として2週間以内に本店所在地で変更登記をする義務を定めています。
- 対象は、株式会社では会社法911条3項、持分会社では912条〜914条に掲げられた登記事項の変更です。
- 2週間の起算点は、原則として変更が生じた日又は効力発生日であり、議事録作成日や申請準備完了日ではありません。
- 募集株式の発行や新株予約権の行使など、915条2項・3項の例外がある場面もあります。
- 変更登記を怠ると、過料、登記の効力、取引・金融・許認可上の支障につながるおそれがあります。
変更登記は、会社の実体と登記簿を一致させるための重要な手続です。商号、目的、本店、役員、資本金、株式、公告方法などに変更がある場合は、会社法915条を起点に、期限、起算点、必要書類、同時申請の可否を早めに確認しましょう。
坂尾陽弁護士
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