会社法916条・917条は、会社の登記のうち、本店を他の登記所の管轄区域へ移転した場合の登記と、役員等の職務執行停止・職務代行者選任の仮処分等がされた場合の登記を定める条文です。
どちらも、会社の外部から見た会社情報や権限関係を登記簿に反映させるための規定です。916条は本店所在地が変わる場面、917条は会社の役員・社員等の職務権限が裁判所の仮処分により一時的に変わる場面で問題になります。
この記事では、会社法916条・917条について、管轄外本店移転の旧所在地・新所在地の登記、2週間以内の期限、911条〜914条との関係、職務執行停止仮処分等の登記の対象者と実務上の確認ポイントを整理します。
- 会社法916条は、会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転したときの旧所在地・新所在地の登記を定めています。
- 管轄外本店移転では、旧所在地では移転の登記をし、新所在地では会社類型に応じた設立登記相当事項を登記します。
- 期限は本店移転の日から2週間以内です。移転決議の日、実際の移転日、効力発生日を混同しないことが重要です。
- 会社法917条は、取締役、代表取締役、業務執行社員などの職務執行停止・職務代行者選任等の仮処分命令やその変更・取消しの登記を定めています。
- 実務では、登記簿上の本店・代表権・職務代行者の表示が、契約、通知、金融機関、訴訟対応に影響します。
坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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会社法916条・917条とは
会社法916条・917条は、会社法第7編第4章「登記」の第2節「会社の登記」に置かれています。911条〜914条が設立登記、915条が変更登記を定めるのに対し、916条は管轄外本店移転、917条は職務執行停止仮処分等という、やや特殊な登記場面を扱います。最新の条文は、e-Gov法令検索「会社法」で確認できます。
| 条文 | テーマ | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 会社法916条 | 他の登記所の管轄区域内への本店の移転の登記 | 管轄外へ本店を移転したとき、旧所在地と新所在地でどの登記をするかを定めます。 |
| 会社法917条 | 職務執行停止の仮処分等の登記 | 役員等の職務執行停止、職務代行者選任、仮処分命令の変更・取消しを登記に反映させます。 |
2つの条文はテーマが異なりますが、どちらも「登記簿を見た第三者が、会社の現在の状態を確認できるようにする」という点で共通します。本店所在地は会社の住所として、職務執行停止・職務代行者は会社の業務執行・代表権の確認として、それぞれ重要です。
会社法916条:管轄外本店移転の登記
会社法916条の要点
会社法916条は、会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転したとき、2週間以内に、旧所在地では移転の登記をし、新所在地では会社の種類ごとに定められた事項を登記しなければならないと定めています。
ここでいう「他の登記所の管轄区域内への本店移転」とは、単に本店所在地の住所が変わるだけでなく、移転前の本店を管轄する登記所と、移転後の本店を管轄する登記所が異なる場合をいいます。一般に「管轄外本店移転」と呼ばれる場面です。
| 確認項目 | 会社法916条上のポイント | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 対象 | 本店を他の登記所の管轄区域内に移転した会社 | 移転先住所だけでなく、登記所の管轄が変わるかを確認します。 |
| 期限 | 2週間以内 | 移転の日を起算点として管理します。決議日と移転日が異なる場合は特に注意します。 |
| 旧所在地 | 移転の登記 | 旧本店所在地の登記簿上、本店が移転したことを反映させます。 |
| 新所在地 | 設立登記相当事項の登記 | 会社類型に応じて、911条〜914条の登記事項を新所在地側に登記します。 |
管轄内本店移転との違い
本店移転には、同じ登記所の管轄区域内で本店を移す場合と、別の登記所の管轄区域へ本店を移す場合があります。会社法916条が直接問題になるのは後者です。
| 区分 | 意味 | 登記実務の違い |
|---|---|---|
| 管轄内本店移転 | 移転前後で管轄登記所が同じ | 同一登記所で本店移転の変更登記を行います。会社法915条の変更登記として整理される場面です。 |
| 管轄外本店移転 | 移転前後で管轄登記所が異なる | 旧所在地で移転の登記をし、新所在地で設立登記相当事項を登記します。会社法916条の構造を確認します。 |
たとえば、同じ市区町村内の移転でも登記所の管轄が同じとは限りません。逆に、都道府県をまたぐ移転でも、実際の手続は旧所在地・新所在地の管轄登記所を確認して判断します。移転先の住所が決まった段階で、法務局の管轄を先に確認することが重要です。
旧所在地と新所在地で登記する事項
会社法916条では、旧所在地と新所在地で登記する内容が分かれています。旧所在地では「移転の登記」、新所在地では会社の種類ごとに、設立登記で登記する事項と同種の事項を登記します。
| 会社の種類 | 新所在地で登記する事項 | 参照条文 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 目的、商号、本店、資本金、役員、機関、公告方法など、株式会社の設立登記で登記する事項 | 会社法911条3項各号 |
| 合名会社 | 合名会社の設立登記で登記する事項 | 会社法912条各号 |
| 合資会社 | 合資会社の設立登記で登記する事項 | 会社法913条各号 |
| 合同会社 | 合同会社の設立登記で登記する事項 | 会社法914条各号 |
新所在地で設立登記相当事項を登記するのは、新所在地を管轄する登記所において、その会社の登記記録を確認できる状態にするためです。会社が新しく設立されるわけではありませんが、新所在地側では、会社の基本情報を一式確認できるようにする必要があります。
株式会社であれば、911条3項に掲げられた登記事項を確認します。持分会社であれば、合名会社、合資会社、合同会社のいずれかに応じて、912条〜914条の登記事項を確認します。関連する設立登記の基本は、【会社法911条】株式会社の設立の登記、【会社法912条・913条・914条】持分会社の設立の登記も参考になります。
2週間以内の期限と起算点
会社法916条の期限は、会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転したときから2週間以内です。実務では、議事録に記載された移転日、実際に本店機能を移した日、定款変更の効力発生日などがずれないように整理します。
本店移転の意思決定だけが先に行われ、移転日を将来の日付とすることもあります。この場合、通常はその移転日を基準に登記期限を管理します。一方で、移転後に決議を整えるような不自然な処理をすると、議事録、実態、登記期限の説明が難しくなるため避けるべきです。
登記期限の考え方は、登記申請の期限(2週間・3週間)と起算点|登記の期間の考え方で整理しています。期限徒過は、申請が当然に無効になるというより、過料や取引上の説明負担につながる問題として管理します。
経由申請・同時申請の実務
管轄外本店移転では、旧所在地の登記と新所在地の登記を別々に考えるだけでは足りません。法務省の商業・法人登記Q&Aでも、株式会社が本店を他の登記所の管轄に移転した場合、新本店所在地における登記申請は旧本店所在地を管轄する登記所を経由し、旧所在地における登記申請と同時にする必要があると案内されています。実際の手続を行う際は、法務省「商業・法人登記Q&A」や法務局の申請書様式を確認します。
実務上は、旧所在地用の申請書と新所在地用の申請書を準備し、旧所在地を管轄する登記所にまとめて提出する流れを確認します。オンライン申請を行う場合も、送信先や添付書類、登記すべき事項の作成方法を誤らないようにする必要があります。
| 実務項目 | 確認内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 申請書 | 旧所在地用・新所在地用を区別して作成 | 登記の事由、登記すべき事項、登録免許税、添付書類の整合性を確認します。 |
| 提出先 | 旧所在地を管轄する登記所を中心に確認 | 新所在地の申請を直接新所在地へ単独提出するものと誤解しないようにします。 |
| 添付書類 | 株主総会議事録、取締役会議事録、取締役決定書、委任状など | 定款変更が必要か、どの機関が移転を決定するかで変わります。 |
| 登録免許税 | 旧所在地・新所在地の双方で確認 | 一般的に管轄外移転では負担が増えるため、事前に費用を確認します。 |
申請書や添付書類の実務は、会社法916条だけでは完結しません。具体的な申請方法は、商業登記の申請手続|申請人・添付書類・オンライン申請の基本で確認するのが安全です。
定款変更・決議機関の確認
本店移転では、登記申請の前に、会社内部の意思決定を確認する必要があります。株式会社の場合、定款で本店所在地をどこまで定めているかによって、株主総会の特別決議による定款変更が必要になることがあります。
たとえば、定款で本店所在地を「東京都千代田区」と定めている会社が、東京都中央区へ本店を移転する場合、定款変更が必要になるのが通常です。一方で、定款上の本店所在地の範囲内で具体的な住所を移すだけであれば、取締役会設置会社では取締役会決議、取締役会非設置会社では取締役の決定などで足りる場面があります。
合同会社などの持分会社でも、定款記載と業務執行社員・代表社員の決定権限を確認します。会社の種類、定款の文言、機関設計により必要な決議が変わるため、登記申請書の作成前に内部手続を整理しておくことが重要です。
印鑑届書・印鑑カードの注意点
管轄外本店移転では、登記とあわせて会社代表印・印鑑証明書の実務も問題になります。令和7年4月21日からは、会社の本店を他の登記所の管轄区域内に移転する登記申請がされた場合に、新所在地の登記所への印鑑届書の提出が不要となる扱いが案内されています。最新の扱いは、法務省の案内で確認します。
もっとも、印鑑届書が不要になったからといって、移転後の印鑑証明書取得や印鑑カードの実務確認が不要になるわけではありません。登記完了後に印鑑証明書をすぐ使う予定がある場合は、旧所在地の印鑑カードの扱い、新所在地での印鑑カード交付、オンライン請求の可否を早めに確認しておきます。
会社法917条:職務執行停止の仮処分等の登記
会社法917条の要点
会社法917条は、会社の役員や社員等について、職務の執行を停止する仮処分命令、職務を代行する者を選任する仮処分命令、又はこれらの仮処分命令を変更・取消しする決定がされたときに、その本店所在地で登記をしなければならないと定めています。
この登記は、通常の役員変更登記とは性質が異なります。役員が正式に退任したわけではなくても、仮処分により一時的に職務を行えなくなったり、職務代行者が選任されたりすることがあります。その状態を登記簿に反映させるのが会社法917条です。
| 登記される場面 | 意味 | 実務上の確認点 |
|---|---|---|
| 職務執行停止の仮処分命令 | 対象者が一時的に職務を行えなくなる | 誰のどの職務が停止されたか、代表権や決裁権にどう影響するかを確認します。 |
| 職務代行者選任の仮処分命令 | 停止された職務を代行する者が選任される | 職務代行者の氏名、権限範囲、社内外への説明を確認します。 |
| 仮処分命令の変更・取消し | 停止や代行の状態が変更・終了する | 登記簿の表示を最新状態に戻す必要があります。 |
会社法917条の対象者
会社法917条は、会社の種類ごとに対象者を定めています。株式会社では取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員会設置会社の委員、執行役、代表執行役などが対象になります。持分会社では、社員や業務を執行する社員が対象になります。
| 会社の種類 | 会社法917条の対象者 | 実務上の例 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 取締役、会計参与、監査役、代表取締役、委員、執行役、代表執行役など | 取締役選任決議の効力が争われ、職務執行停止と職務代行者選任が問題になる場合など |
| 合名会社 | 社員 | 社員の業務執行・代表に関する紛争で仮処分が問題になる場合 |
| 合資会社 | 社員 | 無限責任社員・有限責任社員の権限関係を確認する必要がある場合 |
| 合同会社 | 業務を執行する社員 | 業務執行社員や代表社員の職務権限が紛争化している場合 |
株式会社では、取締役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社など、機関設計に応じて対象者の呼び方や役割が変わります。仮処分の対象者を誤ると、登記だけでなく、社内決裁や取引先説明にも影響します。
どのような場面で問題になるか
職務執行停止の仮処分等は、会社の役員や社員の地位・権限に争いがあり、判決確定までの間にその者が職務を行い続けると会社に損害や混乱が生じるおそれがある場面で問題になります。
たとえば、取締役選任の株主総会決議に瑕疵があると主張されている場合、代表取締役の解任・選定をめぐって紛争がある場合、合同会社の業務執行社員の権限をめぐって争いがある場合などです。こうした本案訴訟には時間がかかるため、暫定的に職務を止め、必要に応じて職務代行者を置くことがあります。
会社法917条の記事では、仮処分そのものの申立要件を詳述するのではなく、仮処分命令や変更・取消しがされた後に、会社の登記簿へどう反映されるかを中心に理解します。
登記簿上の表示が取引先に与える影響
職務執行停止や職務代行者選任が登記されると、取引先や金融機関は、登記事項証明書を通じて、会社の業務執行・代表権に通常と異なる事情があることを確認できます。会社側でも、契約書の署名者、銀行届出印、取締役会・株主総会の運営、社内承認ルートを見直す必要があります。
特に代表取締役の職務執行が停止され、職務代行者が選任された場合には、誰が会社を代表して契約を締結できるのかが重要になります。職務代行者の権限範囲、常務に属しない行為の扱い、裁判所の許可の要否などは、仮処分命令の内容と民事保全法上の規律を踏まえて個別に確認します。
登記がされた後も、社内外の関係者が古い代表者情報を使い続けると、契約締結、支払、通知、訴訟対応で混乱が生じます。登記完了後は、金融機関、主要取引先、顧問先、許認可庁、会計・税務担当者への連絡範囲を整理しておくことが大切です。
仮処分命令の変更・取消しがあった場合
会社法917条は、仮処分命令が出た場合だけでなく、その仮処分命令を変更し、又は取り消す決定がされた場合も登記対象としています。つまり、職務執行停止や職務代行者の状態が変わったときも、登記簿を最新の状態に戻す必要があります。
実務では、仮処分命令が取り消されたのに登記簿上の表示が残っている、職務代行者が変更されたのに関係先へ周知されていない、といった状態を避ける必要があります。裁判手続の進行と登記簿の表示を別々に管理せず、変更・取消しの決定が出た時点で登記対応も確認します。
会社法916条・917条と他の登記規定の関係
会社法916条・917条は、単独で読むよりも、前後の登記規定とつなげて理解すると整理しやすくなります。特に、916条は911条〜914条と915条、917条は裁判による登記の嘱託に関する937条とあわせて確認することが多いです。
| 関連条文・記事 | 関係する場面 | 916条・917条とのつながり |
|---|---|---|
| 会社法907条〜910条 | 登記の通則・効力・期間 | 登記制度全体の前提、第三者との関係を確認します。 |
| 会社法911条 | 株式会社の設立登記 | 916条の新所在地で登記する株式会社の登記事項につながります。 |
| 会社法912条〜914条 | 持分会社の設立登記 | 合名会社・合資会社・合同会社の管轄外本店移転で参照します。 |
| 会社法915条 | 変更登記 | 管轄内本店移転や、登記事項変更一般の基礎になります。 |
| 会社法918条 | 支配人の登記 | 本店・支店と登記の関係を理解する周辺条文です。 |
| 会社法937条・938条 | 裁判による登記の嘱託等 | 917条のように裁判手続と登記が連動する場面を理解するために重要です。 |
このように、916条は「本店所在地が変わった場合の登記」、917条は「会社の業務執行・代表権に仮処分による制限が生じた場合の登記」として位置づけられます。どちらも、登記簿を見た第三者が会社の状態を誤解しないようにするための規定です。
実務で確認すべきチェックリスト
管轄外本店移転のチェックリスト
会社法916条に関係する本店移転では、移転先物件が決まった段階で、登記だけでなく社内決議、定款、税務・社会保険・許認可の届出まで含めて逆算します。
- 移転前後の本店所在地を管轄する登記所が同じか、異なるかを確認する。
- 定款変更が必要かを確認する。
- 株主総会、取締役会、取締役決定、社員の決定など、必要な内部手続を確認する。
- 本店移転日、効力発生日、登記期限を議事録と一致させる。
- 旧所在地用・新所在地用の申請書、添付書類、登録免許税を整理する。
- 印鑑届書、印鑑カード、印鑑証明書の取得予定を確認する。
- 税務署、都道府県、市区町村、年金事務所、労働保険、許認可、金融機関、取引先への届出・通知を整理する。
職務執行停止仮処分等のチェックリスト
会社法917条に関係する場面では、登記だけでなく、会社の運営権限そのものが変わることがあります。社内外の混乱を避けるため、仮処分命令の内容と登記簿上の表示を丁寧に確認します。
- 仮処分命令の対象者が誰かを確認する。
- 停止される職務の範囲、職務代行者の有無、権限範囲を確認する。
- 登記事項証明書にどのように反映されるかを確認する。
- 契約書の署名者、銀行取引、社内承認、取締役会・株主総会運営への影響を整理する。
- 主要取引先、金融機関、許認可庁、顧問専門家への説明資料を準備する。
- 仮処分命令の変更・取消しがあった場合の登記対応を忘れない。
よくある質問
会社法916条は管轄内本店移転にも使いますか
会社法916条が直接問題になるのは、他の登記所の管轄区域内へ本店を移転する場合です。移転前後で同じ登記所の管轄内にとどまる場合は、通常、会社法915条の変更登記として整理します。ただし、どちらに当たるかは住所だけでなく管轄登記所で判断するため、移転先住所が決まったら管轄を確認します。
管轄外本店移転ではどこに申請しますか
実務上は、旧所在地を管轄する登記所を経由して新所在地の登記申請を行い、旧所在地の申請と同時に行うことが重要です。旧所在地用と新所在地用の申請書を区別しつつ、提出先やオンライン申請の送信先を誤らないようにします。
本店移転日はどのように決めますか
本店移転日は、議事録に記載された移転日や実際に本店を移す日を基準に整理します。移転決議をした日と実際の移転日が異なる場合は、議事録、定款変更の効力、登記期限の起算点がずれないように確認します。
会社法917条の登記は役員変更登記と同じですか
同じではありません。会社法917条は、役員等が正式に退任・就任したことを登記する通常の役員変更登記ではなく、職務執行停止や職務代行者選任など、仮処分命令による暫定的な状態を登記に反映する規定です。
職務執行停止の仮処分が出た場合、会社はまず何を確認すべきですか
まず、仮処分命令の内容、対象者、停止される職務、職務代行者の有無、登記簿への反映、取引先・金融機関への説明範囲を確認します。代表権や決裁権に影響する場合は、契約締結や支払権限について早急に社内ルールを整理します。
仮処分が取り消された場合も登記が必要ですか
会社法917条は、仮処分命令を変更し、又は取り消す決定がされた場合も登記対象としています。仮処分が取り消された後に登記簿の表示が残ると、外部から会社の権限関係を誤って理解されるおそれがあるため、変更・取消しの決定後も登記対応を確認します。
まとめ
会社法916条・917条は、会社の登記の中でも、会社の本店所在地や職務権限に大きな変動が生じる場面を扱う条文です。916条では管轄外本店移転の旧所在地・新所在地の登記、917条では職務執行停止仮処分等の登記を確認します。
- 会社法916条は、本店を他の登記所の管轄区域内へ移転したときの登記を定める条文です。
- 管轄外本店移転では、旧所在地で移転の登記をし、新所在地で911条〜914条に対応する事項を登記します。
- 期限は2週間以内であり、移転日、決議日、定款変更の効力を混同しないことが重要です。
- 会社法917条は、職務執行停止、職務代行者選任、仮処分命令の変更・取消しの登記を定める条文です。
- 本店移転や職務執行停止仮処分等がある場合は、登記簿だけでなく、契約、金融機関、許認可、取引先説明まで含めて対応します。
登記は、社内手続が終わった後に形式的に行う作業ではありません。会社の所在地や権限関係を外部に示す重要な制度です。管轄外本店移転や職務執行停止仮処分等が問題になる場合は、期限と必要書類を早めに整理し、登記簿上の表示と実体がずれないように管理しましょう。
坂尾陽弁護士
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