会社法926条〜929条は、会社が解散した後の登記、会社を継続する場合の登記、清算人の登記、清算結了の登記をまとめて扱う条文です。会社を閉じる場面では、解散決議をしただけでは終わらず、清算人を置き、債権債務を整理し、最後に清算結了の登記まで進める必要があります。
一方で、みなし解散を受けた会社を復活させたい場合や、解散後に事業継続へ戻したい場合は、清算結了に進むのではなく、継続の登記が問題になります。解散・継続・清算人・清算結了は、同じ「解散清算」の場面で出てきますが、登記原因、期限、添付書面、登記後の効果はそれぞれ異なります。
この記事では、会社法926条〜929条について、解散登記、継続登記、清算人登記、清算結了登記の位置づけ、2週間期限、株式会社と持分会社の違い、みなし解散後の実務、登記申請で確認すべき資料を整理します。
- 会社法926条は、一定の解散事由が生じた場合の解散登記を定めています。
- 会社法927条は、解散した会社を継続する場合の継続登記を定めています。
- 会社法928条は、清算人・代表清算人などの登記事項と登記期限を定めています。
- 会社法929条は、清算が結了した場合の清算結了登記を定めています。
- いずれも原則として本店所在地で2週間以内の登記が問題になるため、解散決議日、清算人就任日、決算報告承認日を分けて管理することが重要です。
坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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会社法926条〜929条とは
会社法926条〜929条は、会社の本店所在地における登記のうち、解散・継続・清算人・清算結了に関する登記を定める条文です。解散や清算の実体手続と、登記簿上の公示をつなぐ役割があります。
| 条文 | 登記の種類 | 典型場面 | 期限の基本 |
|---|---|---|---|
| 会社法926条 | 解散の登記 | 株式会社の株主総会決議による解散、定款所定の存続期間満了、持分会社の総社員同意による解散など | 解散から2週間以内 |
| 会社法927条 | 継続の登記 | 解散した会社を清算結了前に継続する場合、みなし解散後に事業を続ける場合など | 継続から2週間以内 |
| 会社法928条 | 清算人の登記 | 解散により法定清算人が就任する場合、清算人を選任する場合、清算人に変更がある場合など | 解散又は選任等から2週間以内 |
| 会社法929条 | 清算結了の登記 | 清算事務が終わり、決算報告の承認等を受けた場合 | 承認日等から2週間以内 |
会社法926条〜929条は、解散から清算結了までの登記を時系列で整理するための条文群です。会社を閉じる場合も、解散後に継続する場合も、どの段階の登記なのかを分けて確認する必要があります。
会社法の条文全体は、e-Gov法令検索「会社法」で確認できます。会社法926条〜929条は、会社の登記に関する各論として、解散・継続・清算人・清算結了を順に定めています。
解散登記と清算結了登記は別の登記
解散登記と清算結了登記は、どちらも会社を閉じる流れで出てきますが、意味は大きく異なります。解散登記は、会社が解散して清算段階に入ったことを公示する登記です。清算結了登記は、清算事務がすべて終わったことを公示し、会社の登記記録を閉じる方向に進む登記です。
解散登記をしただけでは、会社の法人格は直ちに消えるわけではありません。会社は清算の目的の範囲内で存続し、清算人が債権回収、債務弁済、残余財産分配、決算報告などを進めます。
継続登記は清算結了前に事業継続へ戻す登記
継続登記は、解散した会社が一定の要件のもとで事業継続へ戻る場合に行う登記です。代表的には、株主総会決議で解散した株式会社が、清算結了前に株主総会決議で継続する場合や、休眠会社のみなし解散後に会社を継続する場合です。
継続登記をする場合は、解散・清算人関係の登記だけでなく、取締役・代表取締役など通常の機関に戻すための役員変更登記も問題になります。単に「解散を取り消す」だけの処理ではありません。
清算人登記は清算を進める権限者を公示する登記
会社が解散すると、通常の取締役や業務執行社員の権限関係とは異なり、清算人が清算事務を進めます。会社法928条は、清算人、代表清算人、清算人会など、清算段階で外部から確認すべき事項を登記するための条文です。
解散後の取引、債権者対応、金融機関手続、税務署等への届出では、誰が会社を代表して清算事務を進めるのかが問題になります。清算人登記を漏らすと、実務上の手続が進まないことがあります。
会社法926条:解散の登記
会社法926条は、会社が一定の解散事由によって解散した場合に、2週間以内に本店所在地で解散の登記をしなければならないことを定めています。
| 会社類型 | 会社法926条が対象にする主な解散事由 | 実務上の例 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 会社法471条1号〜3号 | 定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生、株主総会決議による解散 |
| 持分会社 | 会社法641条1号〜4号 | 定款で定めた存続期間の満了、定款で定めた解散事由の発生、総社員の同意、社員が欠けたこと |
| 注意が必要な場面 | 会社法926条だけで整理しないもの | 合併による消滅、破産手続開始、裁判による解散命令、休眠会社のみなし解散などは、登記原因や登記手続を個別に確認する |
会社法926条:解散の登記
中小企業の廃業や任意の会社閉鎖では、株式会社の株主総会で解散を決議し、その日から2週間以内に解散登記と清算人関係の登記を申請する流れが典型です。
この場合、解散決議の議事録、清算人の選任に関する書面、就任承諾書、印鑑関係書面などを確認します。解散日、清算人就任日、代表清算人の住所氏名、登録免許税、添付書面がずれないように管理する必要があります。
持分会社では総社員の同意や社員欠缺が問題になる
合同会社、合名会社、合資会社などの持分会社では、総社員の同意による解散が典型です。また、社員が欠けたことによって解散する場合も会社法926条の対象に含まれます。
持分会社では、株式会社の株主総会決議ではなく、社員の同意、定款の定め、業務執行社員、代表社員、清算人の関係を確認します。合同会社では、社員の死亡・退社・相続承継の有無により、解散するのか、社員を補充して継続できるのかが問題になることがあります。
みなし解散は会社法926条の通常申請とは分けて考える
休眠会社のみなし解散では、長期間登記がされていない株式会社について、法務大臣の公告や登記所からの通知を経て、一定期間内に必要な登記又は事業廃止していない旨の届出がされない場合、登記官が職権で解散の登記をします。
みなし解散後に事業を続ける場合は、会社法927条の継続登記、清算人登記、役員変更登記などを検討します。通常の任意解散登記と同じ感覚で処理すると、必要な登記を漏らしやすい点に注意が必要です。
休眠会社等の整理作業については、法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」でも案内されています。
解散登記と清算人登記は同時に準備することが多い
解散した会社は、通常、清算段階に入ります。そのため、実務では解散登記だけでなく、清算人・代表清算人の登記も同時に準備することが多いです。
法務省「商業・法人登記Q&A」でも、株式会社を解散する場合には同時に清算人も選任する必要があること、解散及び清算人選任の登記の登録免許税が3万9000円であることが案内されています。実際の申請では、最新の申請書様式と管轄法務局の案内を確認してください。
解散登記は、会社が清算段階に入ったことを公示する登記です。会社が完全に閉じるのは、清算事務を終え、決算報告の承認等を経て、清算結了登記をする段階です。
会社法927条:継続の登記
会社法927条は、会社が一定の規定により継続した場合に、2週間以内に本店所在地で継続の登記をしなければならないことを定めています。
| 継続の根拠 | 対象 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 会社法473条 | 株式会社の継続 | 解散した株式会社が、清算結了前に株主総会決議等で継続する場面。みなし解散後の継続も問題になる |
| 会社法642条1項 | 持分会社の継続 | 一定の解散事由により解散した持分会社が、社員の全部又は一部の同意により継続する場面 |
| 会社法845条 | 持分会社の設立無効又は取消し判決後の継続 | 無効又は取消しの原因が一部社員のみにある場合に、他の社員全員の同意で継続する特殊な場面 |
会社法927条:継続の登記
株式会社が解散した後でも、一定の解散事由による場合は、清算が結了するまで会社を継続できることがあります。清算結了登記まで進んでしまうと、通常の継続登記で戻す場面ではなくなるため、会社を続ける可能性がある場合は早めに方針を決める必要があります。
株主総会決議により解散した会社を継続する場合は、継続の決議、取締役・代表取締役等の選任、清算人関係の整理、登記申請を一体で準備します。
みなし解散後の継続では清算人と役員の登記を確認する
休眠会社のみなし解散後に事業を続けたい場合、単に「まだ営業している」と説明するだけでは足りません。みなし解散後は清算株式会社になっているため、清算人の登記、会社継続の決議、継続登記、取締役・代表取締役等の就任登記を確認する必要があります。
みなし解散後の会社継続では、解散時に取締役であった者が法定清算人になる場合、清算人を別途選任する場合、取締役を改めて選任する場合など、登記簿の状態に応じて必要な登記が変わります。
持分会社の継続では同意しない社員の扱いも確認する
持分会社が継続する場合、社員の全部又は一部の同意によって継続できる場面があります。ただし、継続に同意しなかった社員は退社するなど、社員構成に影響が出ることがあります。
合同会社では、業務執行社員、代表社員、清算人、社員の退社・加入の登記が連動することがあります。継続登記だけでなく、社員・代表社員関係の変更登記も合わせて確認しましょう。
継続登記と役員変更登記を分けて確認する
会社が継続した場合、清算人による清算段階から、通常の会社運営に戻ります。そのため、継続登記だけでなく、取締役、代表取締役、監査役、業務執行社員、代表社員など、通常運営に必要な機関の登記を確認します。
特にみなし解散後は、取締役等の任期や退任処理、監査役の扱い、代表者印、印鑑証明書の取得、金融機関対応が問題になりやすいです。登記簿の現状を確認したうえで、継続後に必要な登記事項を洗い出すことが重要です。
会社を続けたい場合は、清算結了に進む前に継続の可否を確認します。解散登記がされている会社を復活させる場面では、継続登記だけでなく、清算人登記や役員変更登記もセットで検討してください。
会社法928条:清算人の登記
会社法928条は、清算株式会社又は清算持分会社における清算人の登記を定めています。解散後は、清算人が会社を代表し、清算目的の範囲で会社の事務を処理します。
| 区分 | 登記する事項 | 期限の基本 |
|---|---|---|
| 清算株式会社で法定清算人が就任する場合 | 清算人の氏名、代表清算人の氏名・住所、清算人会設置会社である旨など | 解散の日から2週間以内 |
| 清算持分会社で法定清算人が就任する場合 | 清算人の氏名又は名称・住所、代表する清算人の氏名又は名称、法人清算人の場合の職務執行者など | 解散の日から2週間以内 |
| 清算人が選任された場合 | 株式会社では清算人・代表清算人等、持分会社では清算人・代表する清算人等 | 選任から2週間以内 |
| 清算人に変更がある場合 | 清算人の就任・退任、代表清算人の変更など | 会社法915条の変更登記の考え方により、原則として変更から2週間以内 |
会社法928条:清算人の登記
清算株式会社では、定款で別段の定めがある場合や株主総会で清算人を選任した場合を除き、解散時の取締役が清算人になるのが典型です。これを法定清算人と呼ぶことがあります。
もっとも、実務では、株主総会で特定の清算人を選任する、複数の清算人を置く、代表清算人を定める、清算人会を設置するなどのケースもあります。登記簿に誰をどの資格で載せるのかを、議事録や定款と突合します。
代表清算人の住所は登記事項になる
清算株式会社では、代表清算人の氏名だけでなく住所も登記事項になります。通常の代表取締役と同じように、外部から代表者を確認するための公示機能があります。
住所の記載、本人確認、印鑑関係書面、旧氏併記の申出などは、申請書様式や最新の法務局案内を確認して対応します。
持分会社では法人清算人の職務執行者にも注意する
清算持分会社では、清算人の氏名又は名称及び住所、清算持分会社を代表する清算人、法人が代表清算人になる場合の職務執行者などが問題になります。
合同会社では、社員が法人であることも珍しくありません。法人が清算人になる場合は、その法人名だけでなく、実際に清算人の職務を行うべき者の氏名・住所を確認します。
清算人を後から選任した場合は選任日から管理する
解散時に法定清算人が就任する場合は解散の日から2週間以内が問題になります。一方で、後から株主総会や社員の同意等により清算人を選任した場合は、選任の日から2週間以内の登記が問題になります。
解散登記と同時に清算人登記をするのか、後から清算人を選任して変更登記をするのかで、添付書面や期限管理が変わります。解散日と選任日を混同しないように注意してください。
会社法929条:清算結了の登記
会社法929条は、清算が結了した場合に、会社の区分に応じた日から2週間以内に本店所在地で清算結了の登記をしなければならないことを定めています。
| 会社類型 | 清算結了登記の起算点 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|---|
| 清算株式会社 | 会社法507条3項の承認の日 | 清算人が決算報告を株主総会に提出又は提供し、承認を受けた日を確認する |
| 清算持分会社(合名会社・合資会社) | 会社法667条1項の承認の日。ただし、財産処分方法を定めた場合はその処分完了日 | 総社員の承認と財産処分の完了を確認する |
| 清算持分会社(合同会社) | 会社法667条1項の承認の日 | 社員の承認日を確認する |
会社法929条:清算結了の登記
清算結了登記は、会社を形式的に閉じるための登記ではありません。債権の取立て、債務の弁済、残余財産の分配、決算報告の作成・承認など、清算事務が終わったことが前提になります。
債務が残っている、未回収債権がある、残余財産の分配が終わっていない、税務申告や届出の整理ができていない、といった状態で清算結了登記を進めると、後で問題が生じやすくなります。
株式会社では決算報告の株主総会承認日を確認する
清算株式会社では、清算事務が終了したとき、清算人が決算報告を作成し、株主総会に提出又は提供して承認を受ける必要があります。会社法929条では、この承認の日から2週間以内に清算結了登記をする構造になっています。
実務では、決算報告書、株主総会議事録、清算人の作成日、承認日、清算結了登記申請日が整合しているかを確認します。清算人の就任後すぐに清算結了できるわけではなく、債権者保護や財産処分の手続を踏まえる必要があります。
持分会社では会社類型により起算点が分かれる
持分会社では、合名会社・合資会社と合同会社で、会社法929条の書き方が分かれています。特に、合名会社・合資会社で財産の処分方法を定めた場合は、その処分完了日が問題になることがあります。
合同会社では、会社法667条1項の承認の日から2週間以内に清算結了登記をするのが基本です。社員構成、清算人、代表清算人、残余財産の分配内容を確認してから登記申請を行います。
清算結了後の帳簿・資料保存も忘れない
清算結了登記をした後も、清算人には帳簿や清算に関する重要資料の保存義務が問題になります。登記が終わったからといって、議事録、決算報告、公告、催告、弁済、残余財産分配、税務関係資料を直ちに廃棄してよいわけではありません。
将来、債権者、株主、社員、税務当局、金融機関との間で説明が必要になることがあります。清算結了登記後の資料保存場所と管理責任者も決めておくと安全です。
解散から清算結了までの登記フロー
解散・清算の登記は、単発の登記ではなく時系列で管理することが重要です。株式会社の任意解散を例にすると、典型的には次のような流れになります。
| 段階 | 主な手続 | 登記との関係 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 解散方針の決定 | 廃業・清算・継続可能性を検討する | まだ登記前 | 税務・労務・許認可・契約終了も並行して整理する |
| 解散決議 | 株主総会で解散と清算人選任を決議する | 会社法926条・928条の起算点になる | 議事録、清算人就任承諾、代表清算人の住所等を確認する |
| 解散・清算人登記 | 解散登記と清算人登記を申請する | 本店所在地で2週間以内が基本 | 登録免許税、印鑑届、添付書面を確認する |
| 債権者対応・財産整理 | 債権申出公告、個別催告、債権回収、債務弁済、残余財産分配を行う | 通常は登記ではなく清算実務 | 公告期間、未払債務、税務申告、残余財産分配を確認する |
| 決算報告の承認 | 清算人が決算報告を作成し、株主総会で承認を受ける | 会社法929条の起算点になる | 承認日から2週間以内に清算結了登記を準備する |
| 清算結了登記 | 清算結了の登記を申請する | 会社を閉じる出口の登記 | 清算事務が本当に終わっているか、資料保存体制を確認する |
| 継続する場合 | 清算結了前に会社継続を決議する | 会社法927条の継続登記へ進む | 清算結了登記ではなく、継続登記と役員変更登記を検討する |
入口・途中・出口を分ける
会社を閉じる場面では、解散登記が入口、清算人登記が途中の権限者の公示、清算結了登記が出口です。この3つを混同すると、清算事務が終わっていないのに清算結了登記を急ぐ、清算人登記をしないまま金融機関手続を進めようとする、といったミスが起きます。
登記スケジュール表では、少なくとも、解散日、清算人就任日、債権申出公告開始日、公告期間満了日、残余財産分配日、決算報告承認日、清算結了登記申請日を分けて記載しましょう。
清算中に方針が変わる場合は早めに整理する
解散後に、事業継続、事業譲渡、休眠状態からの再開、許認可維持、取引継続などの必要が出る場合があります。この場合、清算結了に進むのか、会社継続に戻すのかを早めに整理する必要があります。
清算結了登記をしてから「やはり会社を続けたい」と考えても、通常の継続登記の場面ではなくなります。会社を閉じるか続けるかの判断は、債権者対応や残余財産分配の前に確認するのが安全です。
税務・社会保険・許認可の手続とは切り分ける
解散・清算の登記は会社法上の手続ですが、会社を閉じる実務では、税務署、都道府県税事務所、市区町村、年金事務所、労働保険、許認可庁、金融機関、取引先への対応も必要になります。
ただし、税務届出や廃業届を出したことと、会社法上の解散登記・清算結了登記は別です。税務上の手続をしたからといって、登記が自動で完了するわけではありません。
解散届、異動届、確定申告、残余財産確定事業年度の申告などは、会社法上の解散登記・清算結了登記とは別に管理します。登記簿を閉じるには、会社法929条に基づく清算結了登記が必要です。
登記申請で確認する書面・費用
解散・継続・清算人・清算結了の登記では、申請書、議事録、就任承諾書、印鑑証明書、委任状、決算報告書などを確認します。必要書面は会社類型、解散事由、清算人の選任方法、代表清算人の定め方により変わります。
| 登記 | 主な添付書面・確認事項 | 登録免許税・費用面の目安 |
|---|---|---|
| 解散及び清算人選任登記 | 株主総会議事録又は社員同意書、清算人選任書面、就任承諾書、定款、印鑑届書、委任状など | 株式会社の解散及び清算人選任登記では登録免許税3万9000円が案内されることが多い |
| 継続登記 | 会社継続の決議書面、取締役・代表取締役等の選任書面、就任承諾書、印鑑関係書面、委任状など | 会社継続、役員変更、清算人関係登記などが組み合わさることがある |
| 清算人変更登記 | 清算人の選任・退任を示す議事録等、就任承諾書、代表清算人の住所確認資料、委任状など | 清算人等の就任・変更の登録免許税を確認する |
| 清算結了登記 | 決算報告書、株主総会議事録又は社員の承認書面、委任状など | 清算結了登記では登録免許税2,000円が案内されることが多い |
法務局の申請書様式ページでは、株式会社の解散及び清算人選任登記申請書、株式会社清算結了登記申請書、合同会社解散及び清算人選任登記申請書、合同会社清算結了登記申請書などが案内されています。申請前には、法務局「商業・法人登記の申請書様式」で最新の記載例を確認してください。
解散及び清算人選任登記はセットで検討する
株式会社を解散する場合、実務では解散登記と清算人選任登記を同時に申請することが多いです。法務省の商業・法人登記Q&Aでも、株式会社を解散する場合には同時に清算人も選任する必要がある旨が案内されています。
ただし、定款で清算人を定めている場合、法定清算人となる場合、株主総会で清算人を選任する場合で、添付書面が変わることがあります。
継続登記では役員関係の登記を忘れない
会社継続をする場合、清算会社から通常の会社に戻るため、清算人関係の整理に加えて、取締役や代表取締役など通常の役員関係の登記が必要になることがあります。
みなし解散後の継続では、登記簿上で取締役や代表取締役の記録がどのように処理されているか、清算人の登記が必要か、代表者印が使えるかを確認してから進めます。
清算結了登記では決算報告の承認日を起算点にする
株式会社の清算結了登記では、株主総会による決算報告の承認日が会社法929条の起算点になります。申請書の「登記すべき事項」でも、清算結了日として承認日を記載する運用が問題になります。
清算人就任後、債権者公告期間や債務弁済・残余財産分配が必要になるため、解散登記からすぐに清算結了登記まで進められるとは限りません。形式的な日付だけを先に決めるのではなく、清算事務の完了を確認しましょう。
ミスが起きやすいポイント
会社法926条〜929条の登記では、期限の短さ、会社類型の違い、税務手続との混同、みなし解散後の特殊性からミスが起きやすいです。
解散登記だけで会社が消滅したと考える
解散登記をすると、会社が清算段階に入ったことは登記簿に表示されます。しかし、会社の法人格が直ちに消えるわけではありません。清算事務が終わるまでは、清算目的の範囲内で会社は存続します。
会社を完全に閉じるには、清算事務を終え、決算報告の承認等を受け、清算結了登記を申請する必要があります。
清算人登記を後回しにする
解散後は、清算人が会社を代表して清算事務を進めます。清算人登記が未了だと、金融機関、取引先、税務署、許認可庁との手続で、誰が会社を代表しているのか説明しづらくなります。
解散登記を準備する段階で、清算人・代表清算人の登記も同時に確認しましょう。
みなし解散後の継続で役員登記を漏らす
みなし解散後に会社を継続する場合、継続登記だけでなく、清算人登記や取締役・代表取締役等の就任登記が必要になることがあります。
会社が実際には営業していたとしても、登記簿上は解散・清算段階に入っていることがあります。まず登記事項証明書を確認し、現在の登記簿の状態から必要な登記を逆算することが重要です。
税務上の廃業届と清算結了登記を混同する
税務署等に異動届や廃業届を提出しても、会社法上の清算結了登記が自動でされるわけではありません。逆に、登記だけをしても、税務申告や届出が不要になるわけではありません。
会社を閉じる実務では、登記、税務、社会保険、労働保険、許認可、契約終了、金融機関口座を別々のタスクとして管理する必要があります。
残余財産や債務が残ったまま清算結了に進む
清算結了登記は、清算事務が終わったことを前提にする登記です。未回収債権、未払債務、未分配財産、税務未処理、保証債務、契約残務が残っている場合は、清算結了に進めるか慎重に確認する必要があります。
清算結了後に財産や債務が見つかると、追加対応が必要になることがあります。特に不動産、預金口座、保険、貸付金、役員借入金、未払税金、保証関係は事前に確認しましょう。
特別清算・破産との切り分けをしない
通常清算は、会社財産で債務を弁済できることを前提に進めるのが基本です。債務超過の疑いがある場合や、清算の遂行に著しい支障がある場合は、特別清算や破産との切り分けが問題になります。
会社法926条〜929条は登記の条文ですが、実体として通常清算で進められる状態かどうかも重要です。債務超過や多数債権者がいる場合は、登記だけで判断せず、清算手続全体を確認してください。
会社法926条〜929条に関するよくある質問
会社法926条は何を定める条文ですか
会社法926条は、会社が一定の解散事由により解散した場合に、2週間以内に本店所在地で解散の登記をしなければならないことを定める条文です。株式会社では、定款所定の存続期間満了、定款所定の解散事由発生、株主総会決議による解散が典型です。
会社法927条は何を定める条文ですか
会社法927条は、会社が継続した場合に、2週間以内に本店所在地で継続の登記をしなければならないことを定める条文です。清算結了前に会社を続ける判断をする場合や、みなし解散後に事業継続へ戻す場合に問題になります。
会社法928条は何を定める条文ですか
会社法928条は、清算人、代表清算人、清算人会など、清算段階の権限者に関する登記を定める条文です。株式会社では清算人の氏名、代表清算人の氏名・住所などが登記事項になります。
会社法929条は何を定める条文ですか
会社法929条は、清算が結了したときに、会社類型ごとの承認日等から2週間以内に清算結了の登記をしなければならないことを定める条文です。株式会社では、会社法507条3項の決算報告の承認日が起算点になります。
解散登記はいつまでに必要ですか
会社法926条が対象にする解散事由では、解散から2週間以内に本店所在地で解散登記をする必要があります。実務では、解散登記と清算人登記を同時に準備することが多いです。
清算人登記は必ず必要ですか
会社が解散して清算段階に入る場合、清算人が清算事務を行うため、清算人に関する登記が必要になります。法定清算人が就任する場合、株主総会等で清算人を選任する場合、清算人を変更する場合で期限や添付書面が変わります。
清算結了登記はいつまでに必要ですか
株式会社では、清算事務が終了し、清算人が作成した決算報告について株主総会の承認を受けた日から2週間以内に、清算結了登記を申請する必要があります。持分会社では会社類型に応じて起算点を確認します。
みなし解散後も会社を継続できますか
株式会社のみなし解散後でも、一定期間内であれば、株主総会決議等により会社を継続できる場合があります。この場合、継続登記だけでなく、清算人登記や取締役・代表取締役等の登記を確認する必要があります。
解散登記と清算結了登記を同時にできますか
通常は同時にできるものではありません。解散後には、清算人が債権回収、債務弁済、残余財産分配、決算報告作成・承認などの清算事務を進めます。清算事務が終わってから清算結了登記を検討します。
会社を解散したら税務署への届出だけで足りますか
足りません。税務署等への届出や申告と、会社法上の解散登記・清算人登記・清算結了登記は別の手続です。登記をしなければ、登記簿上は解散や清算結了が公示されません。
債務超過でも通常清算で清算結了できますか
債務超過の疑いがある場合や債権者対応が複雑な場合は、通常清算だけで進められるか慎重に確認する必要があります。特別清算や破産手続との切り分けが問題になることがあります。
まとめ
会社法926条〜929条は、会社の解散から清算結了までの登記をつなぐ重要な条文です。解散登記、継続登記、清算人登記、清算結了登記は、似ているようで役割が異なります。
- 会社法926条は、一定の解散事由が生じた場合の解散登記を定めています。
- 会社法927条は、解散した会社を清算結了前に継続する場合の継続登記を定めています。
- 会社法928条は、清算人・代表清算人など清算段階の権限者の登記を定めています。
- 会社法929条は、清算事務が終わった場合の清算結了登記を定めています。
- 登記と税務届出、通常清算と特別清算、解散と清算結了を混同しないことが重要です。
会社を閉じる場合は、解散日、清算人就任日、債権者対応、残余財産分配、決算報告承認日、清算結了登記申請日を時系列で管理しましょう。会社を続ける可能性がある場合は、清算結了に進む前に継続登記の可否を確認することが大切です。
坂尾陽弁護士
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