登記申請の期限は、会社の登記事項に変更が生じたときや、外国会社が日本で継続取引を始めるときなどに、いつまでに登記申請をしなければならないかを決めるルールです。会社法では、変更登記について2週間以内、外国会社の登記について3週間以内など、場面ごとに期間が定められています。
登記期限を管理するときに重要なのは、単に「2週間」「3週間」という数字を覚えることではありません。どの出来事を起算点にするのか、休日をどう扱うのか、郵送やオンライン申請でいつ申請したことになるのか、期限を過ぎた場合にどのようなリスクがあるのかを、登記の種類ごとに切り分けて確認する必要があります。
この記事では、登記申請の期限について、会社法915条の2週間以内の原則、会社法910条の許可が必要な登記の起算点、外国会社登記の3週間以内の期限、役員変更・本店移転・募集株式発行などの具体例、期限徒過と過料リスクを整理します。
- 会社の変更登記は、原則として登記の事由が発生したときから2週間以内に申請します。
- 起算点は、株主総会決議日とは限らず、就任承諾日、辞任効力発生日、定款変更の効力発生日、払込期間の末日など、登記の種類ごとに異なります。
- 官庁の許可が必要な登記では、会社法910条により、許可書が到達した日から登記期間を考えます。
- 外国会社が日本における代表者を初めて定める場合などは、3週間以内の登記が問題になります。
- 期限を過ぎても登記申請が当然に却下されるわけではありませんが、登記懈怠として過料や取引上の不利益につながるおそれがあります。
坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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登記申請の期限とは
登記申請の期限とは、会社法上、登記すべき事項について、いつまでに登記申請をしなければならないかを定める期間です。会社法上の登記は、会社の設立、登記事項の変更、本店移転、組織再編、解散・清算、外国会社の登記など、さまざまな場面で問題になります。
会社法上の登記は、商業登記簿を通じて会社情報を公示する機能を持ちます。登記簿上の情報は、取引先、金融機関、許認可庁、裁判所、株主、債権者などが会社の基本情報を確認する際の基礎になります。そのため、登記事項に変更があった場合には、社内決議や契約だけで終わらせず、登記簿に反映させるところまで管理する必要があります。
会社法の条文は、最新のものをe-Gov法令検索「会社法」で確認できます。実際の申請手続や様式は、登記の種類ごとに商業登記法、商業登記規則、法務局の申請書様式を併せて確認します。
| 確認する観点 | 見るポイント | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 期限 | 2週間以内、3週間以内など | いつまでに登記所へ申請する必要があるかを確認します。 |
| 起算点 | 登記の事由が発生した日、許可書到達日、払込期間末日など | 期限計算の出発点を誤ると、申請準備が間に合わなくなります。 |
| 受付日 | 窓口、郵送、オンラインでいつ受け付けられるか | 期限内に申請したといえるかを左右します。 |
| 期限徒過の影響 | 過料、登記簿の不一致、取引先対応など | 期限を過ぎた後のリスクとリカバリー方針を確認します。 |
会社法上の登記全体の位置づけは、会社の登記とは|登記の効力・対抗要件・登記漏れのリスクを整理で整理しています。本記事では、登記の効力そのものではなく、期限管理と起算点に焦点を当てます。
期限を把握していても、添付書類、登録免許税、押印・電子署名、管轄登記所、郵送日数、補正対応を考慮しないと、実務上は期限内申請が難しくなることがあります。期限管理は、申請書作成の前段階から始める必要があります。
2週間以内が原則となる会社の変更登記
会社の登記期限で最もよく問題になるのは、会社法915条1項の「2週間以内」です。会社において、株式会社の登記事項や持分会社の登記事項に変更が生じたときは、原則として2週間以内に、本店所在地で変更の登記をしなければなりません。
ここで重要なのは、「会社の内部で変更を決めた日」と「登記の事由が発生した日」が常に同じとは限らないことです。取締役を選任する株主総会を開いたとしても、選任された人が就任を承諾していなければ、就任の効力がまだ発生していないことがあります。法務省の商業・法人登記Q&Aでも、新たに取締役が就任した場合の起算点は、株主総会決議日ではなく、当該取締役が就任を承諾した日であると説明されています。
| 場面 | 期限の基本 | 起算点の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 役員の就任 | 2週間以内 | 就任承諾により就任の効力が生じた日を確認します。 | 株主総会決議日と就任承諾日がずれることがあります。 |
| 役員の辞任 | 2週間以内 | 辞任の効力が発生した日を確認します。 | 辞任届の到達日、辞任日指定、後任選任との関係を確認します。 |
| 商号・目的変更 | 2週間以内 | 定款変更の効力が発生した日を確認します。 | 株主総会決議日と効力発生日を分ける場合があります。 |
| 本店移転 | 2週間以内 | 実際の本店移転日や、定款変更の効力発生日を確認します。 | 管轄内移転か管轄外移転かで申請構造が変わります。 |
| 公告方法の変更 | 2週間以内 | 定款変更の効力が発生した日を確認します。 | 電子公告URLの登記や公告方法の整合性を確認します。 |
| 資本金の額の変更 | 2週間以内 | 払込、減資効力発生日、組織再編効力発生日などを確認します。 | 債権者保護手続や払込証明との整合性が重要です。 |
会社法915条の条文構造そのものは、【会社法915条】変更の登記|条文の要点と実務ポイントで詳しく整理しています。本記事では、915条を起点に、期限計算と実務上の起算点を横断的に見ていきます。
同じ役員が引き続き就任する「重任」でも、任期満了と再任により登記が必要になります。外部から見ると役員の顔ぶれが変わらないため見落としやすく、登記懈怠が発生しやすい典型例です。
3週間以内が問題になる外国会社の登記
2週間以内の変更登記と並んで、登記期限として押さえておきたいのが、外国会社の登記に関する3週間以内の期限です。外国会社が日本で継続して取引をしようとするときは、日本における代表者を定め、外国会社の登記をする必要があります。
会社法933条1項は、外国会社が会社法817条1項により日本における代表者を初めて定めた場合に、一定の所在地で3週間以内に外国会社の登記をしなければならないことを定めています。営業所を設ける場合は営業所所在地、営業所を設けない場合は日本における代表者の住所地が、登記先を考える出発点になります。
| 外国会社の状況 | 登記先の考え方 | 期限 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 日本に営業所を設ける | 営業所の所在地を管轄する登記所 | 原則として3週間以内 | 営業所所在地、日本における代表者、外国本店の証明書類などを確認します。 |
| 日本に営業所を設けない | 日本における代表者の住所地を管轄する登記所 | 原則として3週間以内 | 代表者の住所、署名証明、翻訳、外国会社の存在証明を確認します。 |
| 日本における代表者を外国で選任した | 通知到達日などの起算点を確認 | 3週間以内の計算に注意 | 選任日と日本側で認識・通知を受けた日がずれることがあります。 |
外国会社の登記は、国内会社の役員変更や本店移転とは異なり、外国会社の本国法上の証明書類、翻訳、署名証明、宣誓供述書などの準備が関係します。そのため、3週間という期間だけを見ていると、必要書類の取得が間に合わないことがあります。日本進出の初期段階では、取引開始予定日、営業所設置予定日、日本における代表者の選任日をもとに、登記準備を前倒しで進めることが重要です。
外国会社の登記の全体像は、外国会社の登記とは|日本進出(継続取引)に必要な手続と注意点、日本における代表者の位置づけは【会社法817条】外国会社の日本における代表者|条文の要点と実務ポイントでも整理しています。
外国会社の登記では、本国で発行される証明書、署名証明、翻訳、代表者の住所証明などが必要になることがあります。日本側の期限だけでなく、海外での書類取得期間、認証、翻訳、郵送期間を含めて逆算しましょう。
会社法910条の「許可書到達日」から起算する場面
会社法910条は、会社法の規定により登記すべき事項のうち、官庁の許可を要するものの登記期間について、その許可書が到達した日から起算することを定めています。通常の変更登記では、変更の効力発生日や登記の事由発生日を起算点にしますが、許認可が前提になる登記では、許可書の到達日が重要になります。
会社法910条の趣旨は、会社がまだ許可を受けていない段階で登記期間が進行してしまうことを避ける点にあります。許可が必要な登記事項では、社内決議、申請、許可、許可書到達、登記申請という時系列を分けて管理します。
| 段階 | 確認すること | 期限管理上の意味 |
|---|---|---|
| 社内決議 | 株主総会・取締役会・社員の同意など | 会社内部の意思決定が有効に成立しているかを確認します。 |
| 官庁への許可申請 | 許認可庁への申請内容・添付書類 | 許可を要する登記では、許可前に登記できないことがあります。 |
| 許可書の到達 | 会社に許可書がいつ到達したか | 会社法910条により、登記期間の起算点になります。 |
| 登記申請 | 申請書・添付書類・登録免許税 | 許可書到達日から期限内に申請できるよう準備します。 |
会社法907条〜910条の通則は、【会社法907条〜910条】会社法上の登記の通則・効力・変更登記・期間|条文の要点と実務ポイントでも整理しています。許可を要するかどうかは、会社法だけでなく、業法、許認可、監督官庁の運用も関係するため、早い段階で確認する必要があります。
会社法915条2項・3項の特則
会社法915条には、2週間以内の原則に対する特則があります。特に、募集株式の発行や新株予約権の行使など、株式・新株予約権に関する変更では、個別の払込みや行使が連続的に発生することがあるため、一定の基準日でまとめて登記できる場面があります。
この特則は、登記義務がなくなるという意味ではありません。登記すべき変更を、どの時点を基準にまとめて登記できるかを定めるものです。株式や新株予約権が関係する場合には、2週間以内という一般論だけでなく、915条2項・3項の適用の有無を確認します。
| 条文 | 主な場面 | 期限の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 会社法915条2項 | 募集株式の発行で払込期間を定めた場合 | 払込期間の末日から2週間以内に登記できる場面があります。 | 払込期日なのか払込期間なのかを募集事項で確認します。 |
| 会社法915条3項 | 新株予約権の行使など | 毎月末日現在でまとめて登記できる場面があります。 | 行使日、払込日、株式数、新株予約権の減少数を月次で整理します。 |
| その他の株式関係変更 | 種類株式、取得請求、資本金・準備金の変動など | 個別条文と登記事項を確認します。 | 登記すべき事項、効力発生日、添付書類を分けて確認します。 |
株式や新株予約権の登記は、議事録だけでなく、募集事項、払込証明、株主名簿、新株予約権原簿、資本金計上額、登記事項の整合性が問題になります。期限内に申請するためには、発行条件を決める段階で、登記スケジュールも同時に組み込むことが重要です。
募集株式の発行や新株予約権の行使では、発行済株式総数、資本金の額、新株予約権の個数など複数の登記事項が同時に変わることがあります。期限だけでなく、どの登記事項が変わったかを一覧化して確認しましょう。
起算点を誤りやすい典型場面
登記期限の実務で最も多いミスは、「何日から2週間を数えるのか」を誤ることです。起算点は、登記の種類ごとに異なります。会社の担当者は、株主総会議事録の日付だけで判断せず、登記原因と効力発生日を確認する必要があります。
| 登記の種類 | 起算点として確認する日 | 誤りやすいポイント |
|---|---|---|
| 取締役・監査役の就任 | 就任承諾日 | 株主総会決議日だけで起算しない。総会に出席して承諾している場合は同日になることがあります。 |
| 代表取締役の選定 | 選定決議と就任承諾の関係を確認 | 取締役会決議日、取締役の就任日、代表取締役の就任承諾日がずれることがあります。 |
| 役員の辞任 | 辞任の効力発生日 | 辞任届作成日、会社到達日、辞任希望日が一致しないことがあります。 |
| 商号・目的変更 | 定款変更の効力発生日 | 株主総会決議で将来日を効力発生日にすることがあります。 |
| 本店移転 | 実際の移転日・定款変更効力発生日 | 定款上の本店所在地変更と、具体的な本店移転日を分けて確認します。 |
| 募集株式の発行 | 払込期日又は払込期間の末日など | 払込期日と払込期間を混同しないようにします。 |
| 外国会社の登記 | 日本における代表者を定めた日など | 外国での選任日、通知到達日、日本での取引開始予定日を整理します。 |
| 官庁許可が必要な登記 | 許可書が到達した日 | 社内決議日や許可申請日ではなく、許可書到達日を確認します。 |
起算点が不明確なまま申請準備を進めると、期限に余裕があると思っていたのに、実際には期限が迫っていた、又は既に過ぎていたという事態になりかねません。役員変更、本店移転、資本金変更、外国会社登記では、議事録・辞任届・就任承諾書・払込証明・許可書など、日付が入る資料を一覧にして確認するのが安全です。
会社の登記では、株主総会議事録や取締役会議事録の日付だけでは、起算点が決まらないことがあります。登記原因の効力発生日、就任承諾日、払込日、許可書到達日など、登記の種類ごとに見るべき日付を確認しましょう。
2週間・3週間の期間計算と休日の考え方
登記期限を計算するときは、起算点を確認したうえで、いつまでに登記申請が受け付けられる必要があるかを具体的な日付に落とし込みます。社内では、期限日だけをメモするのではなく、申請書作成期限、必要書類の回収期限、押印・電子署名の期限、発送期限まで逆算することが重要です。
一般に、期間計算では、初日を算入しないで翌日から数える考え方が問題になります。また、最終日が土曜日、日曜日、祝日、年末年始など登記所の閉庁日に当たる場合には、翌開庁日に申請する扱いを確認する必要があります。ただし、個別の期限計算は登記の種類、申請方法、管轄登記所の受付実務によって確認が必要です。
| 確認事項 | 実務での確認方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 起算点 | 登記原因の効力発生日を資料で確認する | 「いつ決めたか」と「いつ効力が生じたか」を分けます。 |
| 期限日 | カレンダーで2週間後・3週間後を具体化する | 休日・閉庁日を確認します。 |
| 申請方法 | 窓口、郵送、オンラインのどれで申請するか決める | 郵送では到達日、オンラインでは送信・受付状況を確認します。 |
| 必要書類 | 議事録、就任承諾書、辞任届、印鑑証明書、委任状などを確認する | 原本が必要な書類は回収に時間がかかります。 |
| 補正余地 | 期限ぎりぎりではなく余裕を持って申請する | 補正になった場合、追加対応が必要になることがあります。 |
郵送申請では、ポストに投函した日ではなく、申請書が登記所に到達し、受付手続が行われた日が問題になります。法務省の商業・法人登記Q&Aでも、郵送による登記申請の場合の登記年月日は、申請書が登記所に到達し、受付手続を行った日であると説明されています。郵送で期限内申請を狙う場合は、到達日を逆算し、追跡可能な方法を使うことが実務上安全です。
登記申請は、期限日当日に申請すれば常に安全というものではありません。必要書類の不足、登録免許税の誤り、オンライン申請のエラー、郵送の遅延、管轄違いがあると、期限内の対応が難しくなります。期限日の数営業日前に申請できるよう準備しましょう。
期限を過ぎた場合のリスク
登記期限を過ぎた場合でも、通常、期限を過ぎていることだけを理由に登記申請が当然に却下されるわけではありません。法務省の商業・法人登記Q&Aでも、登記期間経過後に申請する場合であっても、登記申請は期間を経過していることを事由として却下されない一方、過料の制裁に処せられる可能性があると説明されています。
もっとも、「期限を過ぎても申請できる」ことと、「期限を過ぎても問題がない」ことは別です。登記懈怠は、過料だけでなく、取引先や金融機関への説明、許認可申請、契約締結、代表権の確認、会社内部のガバナンスにも影響することがあります。
| リスク | 内容 | 実務対応 |
|---|---|---|
| 過料 | 登記を怠った場合、会社法976条の過料対象になり得ます。 | 期限徒過が分かったら、放置せず速やかに申請準備を進めます。 |
| 登記簿と実態の不一致 | 実際の役員・本店・商号などと登記簿が合わない状態になります。 | 取引先、金融機関、許認可庁へ説明が必要になることがあります。 |
| 第三者対抗上の不利益 | 登記前の事項を善意の第三者に対抗できない場面があります。 | 登記の効力と対抗関係を確認します。 |
| 社内管理上の問題 | 役員任期、重任、辞任、代表権の管理が不明確になります。 | 役員任期表、登記簿、議事録を照合します。 |
| 休眠会社整理への影響 | 長期間登記をしていない場合、休眠会社整理の対象になり得ます。 | 定期的に登記簿と実態を確認します。 |
登記の効力や第三者との関係は、会社の登記とは|登記の効力・対抗要件・登記漏れのリスクを整理で詳しく整理しています。期限徒過がある場合は、単に申請書を出すだけでなく、取引先対応や社内資料の整備も併せて確認しましょう。
会社法上の登記懈怠で問題になるのは、刑罰としての罰金ではなく、過料です。ただし、会社や代表者にとって軽い問題とはいえません。過料通知の有無だけでなく、登記簿と実態がずれていた期間の取引上の影響も確認する必要があります。
登記期限を管理する実務フロー
登記期限を守るためには、会社の重要な決定が終わってから慌てて登記を検討するのではなく、決議前から登記スケジュールを組み込むことが有効です。特に、株主総会、取締役会、役員任期、資本政策、本店移転、外国会社の日本進出では、登記期限を先にカレンダー化しておくと事故を防ぎやすくなります。
- 登記が必要か確認する
商号、目的、本店、役員、資本金、株式、公告方法など、会社法上の登記事項に変更があるかを確認します。 - 登記原因と効力発生日を確認する
株主総会決議、取締役会決議、就任承諾、辞任、払込、許可書到達、外国会社の代表者選任など、起算点になる日付を整理します。 - 期限日をカレンダーに落とす
2週間以内、3週間以内などの期限を具体的な日付にし、休日・閉庁日を確認します。 - 申請方法と管轄を決める
窓口、郵送、オンラインのどれで申請するか、本店所在地や営業所所在地の管轄登記所はどこかを確認します。 - 添付書類を回収する
議事録、就任承諾書、辞任届、印鑑証明書、株主リスト、払込証明、許可書、翻訳などを登記の種類に応じて準備します。 - 期限前に申請する
期限日当日ではなく、補正や不足書類に対応できる余裕を持って申請します。 - 登記完了後に関係資料を更新する
登記事項証明書を取得し、金融機関、取引先、許認可庁、社内台帳、契約書ひな型などを必要に応じて更新します。
申請書の作成、添付書類、オンライン申請の基本は、商業登記の申請手続|申請人・添付書類・オンライン申請の基本で整理しています。期限管理と申請手続は分けて理解しつつ、実務では一体で進めるのが安全です。
登記期限の実務チェックリスト
登記期限を確認するときは、次のチェックリストを使って、起算点、期限日、申請方法、必要書類を整理します。
| チェック項目 | 確認内容 | 未確認の場合のリスク |
|---|---|---|
| 登記すべき事項か | 会社法上の登記事項に変更があるか | 登記漏れ又は不要な申請につながります。 |
| 登記原因 | 決議、就任、辞任、払込、許可、移転など何が原因か | 登記の事由と添付書類が合わなくなります。 |
| 効力発生日 | いつ変更の効力が生じたか | 起算点を誤るおそれがあります。 |
| 期限日 | 2週間・3週間の最終日がいつか | 期限徒過に気づかないおそれがあります。 |
| 休日・閉庁日 | 最終日が土日祝・年末年始に当たらないか | 受付可能日を誤るおそれがあります。 |
| 申請方法 | 窓口・郵送・オンラインのどれか | 受付日の把握を誤るおそれがあります。 |
| 管轄 | 本店所在地、旧所在地、新所在地、外国会社の営業所所在地など | 管轄違いで申請が遅れるおそれがあります。 |
| 添付書類 | 議事録、承諾書、辞任届、印鑑証明書、株主リストなど | 補正や再提出につながります。 |
| 登録免許税 | 税額、収入印紙、電子納付の方法 | 申請不備や補正につながります。 |
| 登記完了後の対応 | 登記事項証明書取得、取引先・金融機関届出など | 登記後の実務対応が漏れます。 |
坂尾陽弁護士
専門家に相談すべき場面
登記期限そのものは一見シンプルに見えますが、起算点、効力発生日、添付書類、会社法上の前提手続に迷う場合は、早めに専門家へ確認した方が安全です。特に、期限徒過が既に発生している場合や、登記簿と実態が長期間ずれている場合は、単なる登記申請ではなく、法的リスクの整理が必要になることがあります。
- 役員の就任・辞任・重任の時期が不明確な場合
- 代表取締役の権限や辞任の有効性が争いになり得る場合
- 株主総会や取締役会の決議手続に不安がある場合
- 本店移転、商号変更、目的変更、公告方法変更を同時に行う場合
- 募集株式の発行、新株予約権の行使、資本金変更が関係する場合
- 外国会社の登記で海外書類・翻訳・署名証明が必要になる場合
- 既に2週間・3週間の期限を過ぎている場合
- 取引先、金融機関、許認可庁から登記簿の不一致を指摘された場合
登記申請自体は司法書士が中心になる場面が多いですが、会社法上の決議の有効性、役員の地位、代表権、株主総会・取締役会手続、取引先との紛争が絡む場合は、弁護士による会社法上の確認が必要になることがあります。
よくある質問
変更登記の期限はいつから数えますか
原則として、登記の事由が発生したときから数えます。ただし、何を「登記の事由が発生したとき」と見るかは登記の種類によって異なります。役員就任では就任承諾日、辞任では辞任の効力発生日、定款変更では定款変更の効力発生日、官庁許可が必要な登記では許可書到達日などを確認します。
役員変更登記は株主総会の日から2週間ですか
常に株主総会の日から2週間とは限りません。新たに取締役が就任する場合、就任承諾により就任の効力が生じるため、就任承諾日を確認します。選任された取締役が株主総会に出席し、その場で就任を承諾している場合には、株主総会決議日と同時になることがあります。
同じ役員が再任された場合も登記期限がありますか
あります。役員の任期満了後に同じ人が再任される重任でも、登記が必要です。役員の顔ぶれが変わらないため見落とされやすいですが、任期管理表を作成し、定時株主総会後に重任登記が必要か確認することが重要です。
2週間を過ぎると登記申請はできなくなりますか
期限を過ぎたことだけを理由に、登記申請が当然にできなくなるわけではありません。ただし、登記懈怠として過料の対象になり得ます。期限徒過が分かった場合は、放置せず、速やかに必要書類を整えて申請することが重要です。
郵送申請は投函日で期限内と考えてよいですか
投函日だけで判断するのは危険です。郵送申請では、申請書が登記所に到達し、受付手続が行われた日が問題になります。期限が迫っている場合は、郵送日数を逆算し、追跡可能な方法を使い、必要に応じて窓口やオンライン申請も検討します。
最終日が土日祝日の場合はどうなりますか
最終日が登記所の閉庁日に当たる場合には、翌開庁日の扱いを確認する必要があります。実務上は、休日を理由に期限ぎりぎりで動くのではなく、数営業日前に申請できるように準備するのが安全です。
外国会社の登記はいつまでに必要ですか
外国会社が日本における代表者を初めて定めた場合などには、会社法933条により3週間以内の登記が問題になります。営業所を設けるかどうかで登記先が変わるため、日本での継続取引を始める前に、代表者、営業所、必要書類、翻訳の準備を確認します。
登記期限を過ぎた場合、まず何をすべきですか
まず、どの登記が漏れているか、起算点と期限日はいつか、必要な添付書類がそろうかを確認します。そのうえで、速やかに登記申請を進めます。取引先、金融機関、許認可庁との関係で説明が必要な場合は、登記簿と実態がずれていた期間の影響も整理します。
まとめ
登記申請の期限は、会社の登記事項を適時に商業登記簿へ反映させるための重要なルールです。変更登記では2週間以内、外国会社の登記では3週間以内など、場面ごとに期限が定められています。
- 会社の変更登記は、原則として登記の事由が発生したときから2週間以内に申請します。
- 外国会社の登記では、3週間以内の期限が問題になる場面があります。
- 起算点は、就任承諾日、辞任効力発生日、定款変更効力発生日、払込期間末日、許可書到達日など、登記の種類ごとに異なります。
- 郵送申請では到達・受付日が問題になるため、投函日だけで期限内と考えないようにします。
- 期限を過ぎても申請自体が当然に却下されるわけではありませんが、過料や取引上の不利益を避けるため、早めの確認と申請が重要です。
会社の登記は、期限、起算点、申請手続、添付書類、登記の効力を一体で管理する必要があります。重要な会社変更を予定している場合は、決議前の段階から登記期限を確認し、必要書類と申請方法を逆算して準備しましょう。
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