会社法920条は、会社が組織変更をした場合に、効力発生日から2週間以内に、組織変更前の会社について解散の登記をし、組織変更後の会社について設立の登記をすることを定める条文です。
ここでいう組織変更とは、株式会社が持分会社になること、又は持分会社が株式会社になることをいいます。持分会社の中で合名会社・合資会社・合同会社の種類を変える「種類変更」とは別の制度です。会社法920条は、組織変更が効力を生じた後に、その内容を登記簿へ反映するための規定です。
この記事では、会社法920条について、組織変更の意味、解散登記と設立登記の関係、2週間以内の期限、組織変更計画・承認手続・債権者保護手続との接続、登記申請前後の実務チェックポイントを整理します。
- 会社法920条は、株式会社と持分会社の間で組織変更をした場合の登記を定めています。
- 登記は、効力発生日から2週間以内に、本店所在地で行います。
- 変更前会社については解散登記、変更後会社については設立登記をします。
- 解散・設立という登記名でも、通常の清算開始や新法人設立とは異なり、会社の同一性は維持されます。
- 登記申請だけでなく、組織変更計画、総株主又は総社員の同意、債権者保護手続、添付書面、取引先説明まで一体で確認することが重要です。
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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会社法920条とは
会社法920条は、会社が組織変更をしたときに必要となる登記を定める規定です。会社が組織変更をしたときは、その効力が生じた日から2週間以内に、本店所在地で、組織変更前の会社について解散の登記をし、組織変更後の会社について設立の登記をしなければなりません。
第九百二十条 会社が組織変更をしたときは、その効力が生じた日から二週間以内に、その本店の所在地において、組織変更前の会社については解散の登記をし、組織変更後の会社については設立の登記をしなければならない。
会社法の条文全体は、e-Gov法令検索「会社法」で確認できます。
920条のポイントは、組織変更を「変更登記」だけで処理するのではなく、変更前会社の解散登記と変更後会社の設立登記という形で処理する点です。たとえば、合同会社が株式会社になる場合、合同会社について解散の登記をし、株式会社について設立の登記をします。
920条は組織変更そのものではなく登記の条文
会社法920条は、組織変更を行うための実体的な手続を定める条文ではありません。組織変更の入口は会社法743条であり、株式会社側の組織変更計画は会社法744条・745条、持分会社側の組織変更計画は会社法746条・747条、承認・債権者保護などの手続は会社法775条以下に置かれています。
920条は、それらの手続を経て組織変更の効力が生じた後に、登記簿へどのように反映するかを定めます。したがって、920条だけを見て登記申請書を作るのではなく、組織変更計画、効力発生日、承認手続、債権者保護手続が完了しているかを先に確認する必要があります。
| 条文・手続 | 役割 | 会社法920条との関係 |
|---|---|---|
| 会社法743条 | 組織変更計画の作成 | 組織変更を行う入口です。 |
| 会社法744条・745条 | 株式会社から持分会社への組織変更計画・効力発生 | 株式会社が持分会社になる場合の前提手続です。 |
| 会社法746条・747条 | 持分会社から株式会社への組織変更計画・効力発生 | 持分会社が株式会社になる場合の前提手続です。 |
| 会社法775条以下 | 承認、債権者保護、効力発生日変更など | 920条の登記前に完了しているべき手続です。 |
| 会社法920条 | 組織変更後の登記 | 効力発生日から2週間以内に解散登記・設立登記を行います。 |
本店所在地で2週間以内に登記する
会社法920条の登記期限は、組織変更の効力が生じた日から2週間以内です。期限の起算点は、組織変更計画を作成した日でも、同意や決議をした日でもなく、組織変更の効力発生日です。
組織変更では、効力発生日を計画で定めますが、債権者保護手続が終わっていない場合や、組織変更を中止した場合には効力が生じないことがあります。また、効力発生日を変更する場合もあるため、登記期限の管理では、最終的に有効となった効力発生日を確認します。
組織変更とは
会社法上の組織変更とは、会社の法人格を維持したまま、株式会社から持分会社へ、又は持分会社から株式会社へ会社の種類を変える制度です。会社をいったん解散して新しく設立し直すのではなく、同じ会社が別の会社類型になる点に特徴があります。
株式会社から持分会社への変更
株式会社は、組織変更により、合名会社、合資会社又は合同会社になることができます。中小企業実務では、株式会社から合同会社へ変更する場面が典型です。
この場合、組織変更計画では、組織変更後の持分会社の種類、目的、商号、本店、社員の氏名又は名称・住所、社員が無限責任社員か有限責任社員か、出資の価額などを整理します。株式会社の株主は、効力発生日に、組織変更計画に従って組織変更後持分会社の社員になります。
持分会社から株式会社への変更
持分会社は、組織変更により株式会社になることができます。実務上は、合同会社から株式会社へ変更する場面が多く見られます。対外的な信用、資金調達、株式発行、機関設計、取引先の要請などを理由に、株式会社化を検討することがあります。
この場合、組織変更計画では、組織変更後株式会社の目的、商号、本店、発行可能株式総数、役員、株式の割当て、資本金などを整理します。持分会社の社員は、効力発生日に、組織変更計画に従って組織変更後株式会社の株主になります。
持分会社の種類変更とは別の制度
会社法920条の組織変更は、株式会社と持分会社の間の変更です。これに対し、合名会社・合資会社・合同会社の間で会社の種類を変える場合は、持分会社の種類変更として会社法919条が問題になります。
| 区分 | 対象 | 登記条文 | 例 |
|---|---|---|---|
| 組織変更 | 株式会社と持分会社の間の変更 | 会社法920条 | 株式会社から合同会社へ、合同会社から株式会社へ |
| 持分会社の種類変更 | 合名会社・合資会社・合同会社の相互変更 | 会社法919条 | 合資会社から合同会社へ、合同会社から合資会社へ |
| 通常の解散・清算 | 会社が解散し清算に入る場合 | 会社法926条〜929条等 | 株主総会決議による解散、清算人選任、清算結了 |
持分会社の種類変更については、【会社法919条】持分会社の種類の変更の登記を参考にしてください。会社の種類そのものの基本は、会社の種類とは|株式会社・持分会社の違いと使い分けを整理でも整理しています。
会社法920条の登記の仕組み
会社法920条の登記は、変更前会社の解散登記と、変更後会社の設立登記を組み合わせる構造です。これは、組織変更により会社の種類が変わるため、変更後の会社類型に応じた登記記録を作る必要があるからです。
変更前会社については解散の登記をする
組織変更前の会社については、解散の登記をします。株式会社が合同会社になる場合は、株式会社について解散の登記をします。合同会社が株式会社になる場合は、合同会社について解散の登記をします。
ただし、この「解散」は、通常の清算開始を意味するものではありません。組織変更前の会社類型としての登記記録を閉じるための登記です。会社の事業が終了するわけではなく、清算人が清算事務を行う場面でもありません。
変更後会社については設立の登記をする
組織変更後の会社については、設立の登記をします。株式会社が合同会社になる場合は、合同会社について設立の登記をします。合同会社が株式会社になる場合は、株式会社について設立の登記をします。
この設立登記も、新しい法人をゼロから作る通常の設立登記とは意味が異なります。組織変更により同一の会社が別の会社類型になるため、変更後の会社類型の登記簿に、会社成立年月日、組織変更前の会社の商号、組織変更をした旨及びその年月日などを反映する趣旨です。
解散登記と設立登記は同時申請で考える
組織変更の登記では、変更前会社の解散登記と変更後会社の設立登記を一体で考えます。商業登記法上も、株式会社が組織変更をした場合の株式会社についての登記申請と、組織変更後の持分会社についての登記申請は同時にすることが予定されています。持分会社が株式会社になる場合も、持分会社の種類に応じた準用規定により、同じ発想で整理します。
片方だけを申請する、片方の添付書面だけを整える、効力発生日を別々に扱うといった処理は、登記実務上の事故につながります。登記申請書、添付書面、印鑑届、登録免許税、申請順序を、変更前会社・変更後会社の双方で確認します。
| 登記 | 意味 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|---|
| 変更前会社の解散登記 | 変更前の会社類型としての登記記録を閉じる登記 | 清算開始と混同しない。組織変更の効力発生日と登記原因を確認します。 |
| 変更後会社の設立登記 | 変更後の会社類型として登記記録を作る登記 | 会社成立年月日、変更前商号、組織変更の旨・年月日、変更後会社の登記事項を確認します。 |
| 同時申請 | 解散登記と設立登記を一体で申請する処理 | 一方に却下事由があると全体に影響するため、添付書面をまとめて確認します。 |
会社の同一性は維持される
会社法920条では「解散」「設立」という言葉が使われますが、組織変更により会社の同一性が失われるわけではありません。会社は、組織変更の前後を通じて同じ法人として存続します。
そのため、契約上の地位、債権債務、資産、負債が当然に別法人へ移るという整理ではありません。ただし、契約書、許認可、金融機関、リース契約、補助金、入札資格、取引基本契約などでは、会社類型や商号の表示が変わることがあります。登記後は、登記事項証明書を取得し、相手方への説明資料を整えておくと安全です。
組織変更の方向別に見る登記のポイント
会社法920条は、株式会社から持分会社への組織変更と、持分会社から株式会社への組織変更の双方に適用されます。ただし、登記事項や添付書面は、どちらの方向に変更するかによって異なります。
株式会社から持分会社へ組織変更する場合
株式会社が合同会社などの持分会社になる場合、株式会社については解散登記をし、組織変更後の持分会社について設立登記をします。変更後の持分会社の登記では、持分会社の種類、商号、本店、目的、社員、業務執行社員、代表社員、公告方法などを確認します。
また、株式会社側では、組織変更計画、総株主の同意、債権者保護手続、新株予約権者対応、株券発行会社の場合の対応などが関係することがあります。登記申請前に、会社法上の手続が効力発生日までに完了しているかを確認します。
持分会社から株式会社へ組織変更する場合
合同会社などの持分会社が株式会社になる場合、持分会社については解散登記をし、組織変更後の株式会社について設立登記をします。組織変更後株式会社の設立登記では、商号、本店、目的、発行可能株式総数、資本金、役員、機関設計など、株式会社としての登記事項を整える必要があります。
持分会社側では、組織変更計画、効力発生日の前日までの総社員の同意、債権者保護手続などが重要です。合同会社から株式会社に変更する場合は、取締役、代表取締役、公告方法、株式の内容、資本金、役員の就任承諾、本人確認証明書など、株式会社の設立登記に近い確認事項が発生します。
法務局の申請書様式も方向別に確認する
法務局では、商業・法人登記の申請書様式として、株式会社の組織変更と、持分会社の組織変更の記載例・申請書様式を公表しています。実際の申請では、最新の様式、管轄法務局の運用、添付書面、電子申請の可否を確認します。
申請書様式は、法務局「商業・法人登記の申請書様式」から確認できます。
| 方向 | 変更前会社の登記 | 変更後会社の登記 | 主な確認事項 |
|---|---|---|---|
| 株式会社から持分会社へ | 株式会社の解散登記 | 持分会社の設立登記 | 組織変更計画、総株主同意、債権者保護、社員・代表社員、出資など |
| 持分会社から株式会社へ | 持分会社の解散登記 | 株式会社の設立登記 | 組織変更計画、総社員同意、債権者保護、取締役・資本金・株式事項など |
効力発生日と登記期限の管理
会社法920条の実務で最も事故になりやすいのは、効力発生日と登記期限の管理です。組織変更は、計画で定めた効力発生日に効力が生じるのが基本ですが、必要な手続が終わっていなければ効力が生じないことがあります。
登記期限は効力発生日から2週間
登記期限は、組織変更の効力が生じた日から2週間以内です。効力発生日を迎える前に申請書類を整えておき、効力発生日後すぐに申請できる状態にしておくことが実務上は重要です。
期限計算の基本は、登記申請の期限(2週間・3週間)と起算点|登記の期間の考え方も参考になります。組織変更では、事前手続に時間がかかるため、2週間の登記期間だけでなく、効力発生日の1か月以上前から債権者保護手続の日程を逆算する必要があります。
債権者保護手続が終わっているかを確認する
組織変更では、債権者が異議を述べることができる手続が必要になります。公告と、知れている債権者への各別催告が問題になります。異議を述べることができる期間は1か月以上確保する必要があるため、効力発生日から逆算して日程を組みます。
債権者から異議が出た場合には、弁済、相当の担保提供、信託、又は債権者を害するおそれがないことの確認が必要になります。登記申請では、これらの債権者保護手続を証する書面が添付書面として問題になります。
効力発生日の変更・中止にも注意する
組織変更では、当初定めた効力発生日を変更することがあります。また、手続の進行や事業上の判断により組織変更を中止することもあります。効力発生日を変更した場合は、登記期限、公告、債権者・株主・社員への説明、添付書面の日付が連動して変わります。
登記申請書では、組織変更をした年月日が重要な登記事項になります。社内決議日、公告日、催告日、効力発生日、申請日がそれぞれ何を意味するかを混同しないようにします。
会社法920条の実務チェックリスト
組織変更の登記は、単なる登記申請の問題ではなく、会社類型の変更、権利義務の継続、債権者保護、社内承認、対外表示の変更を伴います。次の観点から、登記前後の確認を行います。
組織変更前に確認すること
- 現在の会社が株式会社か、合名会社・合資会社・合同会社のいずれか
- 変更後の会社類型を何にするか
- 組織変更計画に必要事項が記載されているか
- 株式会社側では総株主の同意が必要となるか
- 持分会社側では総社員の同意と定款の別段の定めを確認したか
- 債権者保護手続の公告・催告期間を確保したか
- 株券、新株予約権、新株予約権付社債、担保設定、金融機関契約への影響を確認したか
特に、株式会社から持分会社へ変更する場合は、株主が持分会社の社員になるため、無限責任社員を置く設計にするのか、合同会社として全員を有限責任社員にするのかを明確にします。持分会社から株式会社へ変更する場合は、株式の割当て、資本金、役員、機関設計を早めに固める必要があります。
登記申請前に確認すること
- 効力発生日が確定しているか
- 効力発生日から2週間以内の申請期限を確認したか
- 変更前会社の解散登記と変更後会社の設立登記を同時に申請する準備ができているか
- 組織変更計画書、定款、同意書、議事録、債権者保護手続関係書類を確認したか
- 役員の就任承諾書、本人確認証明書、印鑑届、委任状などが必要か確認したか
- 登録免許税、オンライン申請、添付書面の原本還付の要否を確認したか
- 申請書の登記すべき事項に、組織変更をした旨及び年月日等が正しく反映されているか
商業登記の申請一般については、商業登記の申請手続|申請人・添付書類・オンライン申請の基本も参考になります。組織変更登記では、通常の設立登記や解散登記と似た書類名が出てきますが、組織変更特有の添付書面と登記事項があるため、個別に確認します。
登記後に確認すること
- 登記事項証明書で、会社類型、商号、本店、役員・社員、資本金等に誤りがないか確認したか
- 取引先、金融機関、リース会社、保証先、許認可行政庁への通知が必要か確認したか
- 契約書、請求書、ウェブサイト、名刺、印章、口座名義の表示を更新したか
- 税務、社会保険、労務、補助金、入札資格の届出に影響がないか確認したか
- 組織変更前後の同一性を説明する資料を社内外で共有したか
登記後は、単に登記事項証明書を取得するだけでなく、対外表示の更新と関係者への説明が重要です。特に「解散」「設立」という登記表示を見た取引先が、別法人化や清算開始と誤解しないよう、組織変更による登記であることを説明できるようにしておきます。
組織変更の登記で混同しやすい論点
会社法920条は短い条文ですが、実務では似た制度との混同が起きやすい条文です。特に、通常の設立・解散、持分会社の種類変更、特例有限会社の株式会社化、合併・会社分割との違いを整理しておく必要があります。
通常の設立登記・解散登記とは意味が違う
会社法920条の設立登記は、組織変更後の会社類型として登記記録を作るための登記です。通常の設立登記のように、発起人が出資して新しい株式会社を成立させる場面とは異なります。株式会社の設立登記については、【会社法911条】株式会社の設立の登記も参考になります。
また、920条の解散登記は、清算開始を意味する通常の解散登記とは異なります。通常の解散・清算の登記については、【会社法926条〜929条】解散・継続・清算人・清算結了の登記で整理しています。
特例有限会社から株式会社への移行は組織変更ではない
旧有限会社である特例有限会社が株式会社の商号を用いるようにする手続は、会社法上の組織変更ではありません。会社法施行に伴う整備法上の商号変更として整理されます。
実務では「有限会社を株式会社にする」と表現されるため、組織変更と混同されることがあります。しかし、会社法920条の組織変更登記とは条文上の根拠と手続が異なります。特例有限会社の株式会社化では、役員任期、公告方法、機関設計、定款整備など、別の観点で確認が必要です。
合併・会社分割などの組織再編登記とは別の条文
組織変更は、1つの会社が会社類型を変える制度です。これに対し、合併、会社分割、株式交換、株式移転などは、複数会社間の権利義務承継や株式関係の変更を伴う組織再編です。
合併の登記は会社法921条・922条、吸収分割の登記は会社法923条、新設分割の登記は会社法924条、株式移転の登記は会社法925条で扱われます。組織変更の登記と、他の組織再編登記は、登記原因、効力発生日、添付書面、登記事項を分けて整理します。
会社法920条に関するよくある質問
組織変更の登記をしないと組織変更の効力は生じませんか
会社法920条は、組織変更が効力を生じた後の登記を定める条文です。組織変更の効力は、会社法745条又は747条の規定により、原則として組織変更計画で定めた効力発生日に生じます。
もっとも、登記を怠ると、登記簿上の表示と実体がずれます。取引先が会社類型や代表者を誤認するおそれがあり、登記義務違反による過料などの問題も生じ得ます。効力発生日後は、2週間以内を待たず、早めに申請することが安全です。
解散登記をするなら清算手続も必要ですか
会社法920条の解散登記は、通常の清算開始を意味するものではありません。組織変更前の会社類型としての登記記録を閉じるための登記です。
したがって、通常の解散のように清算人を選任して債権者に公告し、清算結了登記をする流れとは異なります。ただし、登記事項証明書上の表示を見た取引先が誤解することがあるため、組織変更による登記であることを説明できるようにしておくとよいでしょう。
合同会社から株式会社にすると会社は別法人になりますか
別法人になるわけではありません。合同会社が株式会社へ組織変更しても、会社の法人格は同一性を維持します。契約や債権債務も、原則として同じ会社に帰属し続ける整理になります。
ただし、契約書や許認可で「合同会社」と表示されている場合、変更届や相手方への通知が必要になることがあります。特に、金融機関、リース、賃貸借、業務委託、取引基本契約、許認可・登録制度では、組織変更後の表示更新を確認します。
株式会社から合同会社への変更も会社法920条ですか
はい。株式会社から合同会社などの持分会社へ変更する場合も、会社法920条の組織変更の登記が問題になります。株式会社について解散登記をし、組織変更後の持分会社について設立登記をします。
ただし、株式会社から持分会社への組織変更では、総株主の同意、新株予約権者への対応、債権者保護手続など、株式会社側の手続を慎重に確認する必要があります。単に商号の「株式会社」を「合同会社」に変えるだけではありません。
組織変更と同時に商号や本店を変えられますか
組織変更後の会社の商号、本店、目的、役員・社員構成などは、組織変更計画や変更後の定款で整理します。したがって、組織変更に伴って表示や機関設計が変わることはあります。
もっとも、どの変更を組織変更の設立登記に含めるのか、別申請又は連件申請にするのかは、登記実務上の整理が必要です。本店移転、商号変更、目的変更、役員変更、資本金変更が絡む場合は、申請順序と添付書面を事前に確認します。
まとめ
会社法920条は、会社が組織変更をした場合に、効力発生日から2週間以内に、組織変更前の会社について解散登記をし、組織変更後の会社について設立登記をすることを定める条文です。
- 会社法920条は、株式会社と持分会社の間の組織変更の登記を定めています。
- 登記期限は、組織変更の効力発生日から2週間以内です。
- 変更前会社は解散登記、変更後会社は設立登記をしますが、通常の清算や新規設立とは意味が異なります。
- 会社の同一性は維持されるため、契約・債権債務・許認可・取引先説明をあわせて確認します。
- 登記申請前には、組織変更計画、承認手続、債権者保護手続、添付書面、同時申請の要否を整理することが重要です。
組織変更は、会社の法的な種類を変える大きな手続です。登記だけを切り出して考えるのではなく、効力発生日までの会社法上の手続、登記申請、登記後の対外表示更新まで一体で管理しましょう。
坂尾陽弁護士
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組織変更の登記、持分会社の種類変更、登記期限、設立・解散登記との違いは、次の記事も参考になります。
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- 会社の登記とは|登記の効力・対抗要件・登記漏れのリスクを整理
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- 【会社法907条〜910条】会社法上の登記の通則・効力・変更登記・期間|条文の要点と実務ポイント
- 【会社法911条】株式会社の設立の登記|条文の要点と実務ポイント
- 【会社法912条・913条・914条】持分会社の設立の登記|条文の要点と実務ポイント
- 【会社法919条】持分会社の種類の変更の登記|条文の要点と実務ポイント
- 商業登記の申請手続|申請人・添付書類・オンライン申請の基本
- 登記申請の期限(2週間・3週間)と起算点|登記の期間の考え方
- 【会社法921条・922条】合併の登記|吸収合併・新設合併の条文の要点と実務ポイント
- 【会社法926条〜929条】解散・継続・清算人・清算結了の登記|条文の要点と実務ポイント
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