【会社法912条・913条・914条】持分会社の設立の登記|条文の要点と実務ポイント

会社法912条・913条・914条は、持分会社である合名会社・合資会社・合同会社の設立登記について、それぞれ登記すべき事項を定める条文です。株式会社の設立登記は会社法911条で定められていますが、持分会社では社員の責任区分や代表社員の考え方が異なるため、登記事項も株式会社とは違います。

特に合同会社は、実務上よく利用される会社形態です。合同会社では、資本金の額、業務執行社員、代表社員、代表社員が法人である場合の職務執行者などが設立登記で問題になります。一方、合名会社・合資会社では、社員の氏名又は名称及び住所、無限責任社員・有限責任社員の別などが重要です。

この記事では、会社法912条・913条・914条について、持分会社の設立登記の全体像、合名会社・合資会社・合同会社ごとの登記事項の違い、申請時に確認すべき実務ポイントを整理します。

  • 会社法912条は合名会社、913条は合資会社、914条は合同会社の設立登記を定める条文です。
  • 持分会社は、本店所在地で設立登記をすることによって成立します。
  • 合名会社・合資会社では、社員の氏名又は名称及び住所が登記事項になります。
  • 合資会社では、社員が有限責任社員か無限責任社員かの別と、有限責任社員の出資に関する事項が重要です。
  • 合同会社では、資本金の額、業務執行社員、代表社員、法人代表社員の職務執行者、公告方法などを確認します。

坂尾陽弁護士

持分会社の設立登記では、株式会社の登記と同じ感覚で処理すると、社員・代表社員・資本金の扱いを誤りやすくなります。合名会社、合資会社、合同会社のどれを設立するのかを先に確認し、912条・913条・914条のどの条文を見るべきかを切り分けましょう。

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

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会社法912条・913条・914条とは

会社法912条・913条・914条は、会社法第7編第4章「登記」の中に置かれた、持分会社の設立登記に関する条文です。最新の条文は、e-Gov法令検索「会社法」で確認できます。

3つの条文は、会社の種類ごとに分かれています。

条文 対象となる会社 条文のテーマ 実務上の中心論点
会社法912条 合名会社 合名会社の設立の登記 社員全員が無限責任社員であることを前提に、社員・代表社員・公告方法などを登記します。
会社法913条 合資会社 合資会社の設立の登記 無限責任社員と有限責任社員がいるため、社員の責任区分と有限責任社員の出資が重要です。
会社法914条 合同会社 合同会社の設立の登記 資本金の額、業務執行社員、代表社員、法人代表社員の職務執行者などを確認します。

株式会社の設立登記は、【会社法911条】株式会社の設立の登記|条文の要点と実務ポイントで扱っています。本記事では、持分会社の設立登記に絞って説明します。

持分会社の設立登記の見方

会社法912条・913条・914条は、単に登記事項を列挙した条文ではありません。持分会社の社員責任、業務執行、代表、出資、公告方法が、どのように外部へ公示されるかを整理するための条文です。


持分会社の設立登記で共通して押さえること

持分会社は、株式会社と同じく、登記によって成立する会社です。会社法579条は、持分会社が本店所在地で設立の登記をすることによって成立すると定めています。

そのため、定款を作成しただけでは、まだ持分会社は成立していません。社員、出資、業務執行社員、代表社員、本店所在地などを整理し、本店所在地を管轄する登記所に設立登記を申請する必要があります。

株式会社の911条と違い、912条〜914条は登記事項中心の条文

会社法911条は、株式会社の設立登記について、発起設立・募集設立ごとの2週間以内という期限と、設立登記の登記事項を定めています。これに対し、会社法912条・913条・914条は、合名会社・合資会社・合同会社の設立登記で登記すべき事項を中心に定めています。

912条〜914条には、911条1項・2項のような「いずれか遅い日から2週間以内」という設立登記期限は置かれていません。もっとも、持分会社は設立登記をすることによって成立するため、実務上は、定款作成、出資履行、代表社員の選定などの準備が整い次第、速やかに登記申請を進めるのが通常です。

持分会社3類型の違いは社員の責任区分から見る

持分会社の3類型は、社員の責任区分によって区別されます。ここでいう「社員」は、従業員ではなく、株式会社でいう株主に近い出資者・構成員を意味します。

会社類型 社員の責任区分 設立登記で特に重要な事項
合名会社 社員全員が無限責任社員 社員の氏名又は名称及び住所、代表社員の有無
合資会社 無限責任社員と有限責任社員が混在 社員の責任区分、有限責任社員の出資の目的・価額・既履行額
合同会社 社員全員が有限責任社員 資本金、業務執行社員、代表社員、法人代表社員の職務執行者

合同会社は、実務上もっとも利用される持分会社です。ただし、会社法上は、合名会社・合資会社・合同会社がいずれも持分会社として位置づけられており、設立登記もこの3類型ごとに912条・913条・914条で整理されています。


会社法912条(合名会社の設立の登記)

会社法912条は、合名会社の設立登記について定める条文です。合名会社は、社員全員が無限責任社員である持分会社です。

合名会社の設立登記では、目的、商号、本店及び支店の所在場所、存続期間又は解散事由の定款の定め、社員、代表社員、公告方法などを確認します。

登記事項の分類 会社法912条で確認する内容 実務上の注意点
会社の基本情報 目的、商号、本店及び支店の所在場所 定款と申請書の記載を一致させます。
存続・解散に関する定め 存続期間又は解散事由について定款の定めがあるときは、その定め 定めがある場合だけ登記対象になります。
社員 社員の氏名又は名称及び住所 合名会社では、社員全員が無限責任社員であり、社員情報の公示が重要です。
代表社員 合名会社を代表する社員の氏名又は名称 代表しない社員を定める場合に、代表する社員を登記します。
法人代表社員 代表社員が法人である場合の職務執行者の氏名及び住所 法人が社員になる場合は、職務執行者の選任と登記を確認します。
公告方法 公告方法に関する定款の定め等 官報・日刊新聞・電子公告の選択や電子公告URLを確認します。

合名会社では資本金の額は登記事項ではない

合名会社では、合同会社のような資本金制度を前提にした登記事項は置かれていません。会社法912条にも、資本金の額は掲げられていません。

これは、社員全員が無限責任を負う合名会社では、会社債権者保護の仕組みが合同会社とは異なるためです。合名会社の登記では、資本金よりも、誰が社員であるか、誰が会社を代表するかが中心になります。

代表しない社員を定めるかで登記事項の見え方が変わる

持分会社では、定款に別段の定めがない限り、各社員が業務を執行し、会社を代表するのが基本です。合名会社で特定の社員だけを代表社員にする場合には、代表社員の登記が重要になります。

代表しない社員を定めるかどうかは、定款設計、対外的な契約権限、金融機関手続、印鑑届出に影響します。設立登記の前に、社員全員が代表する設計にするのか、特定の社員だけを代表社員にするのかを明確にしておきましょう。


会社法913条(合資会社の設立の登記)

会社法913条は、合資会社の設立登記について定める条文です。合資会社は、無限責任社員と有限責任社員がいる持分会社です。

合資会社では、社員の氏名又は名称及び住所に加えて、各社員が有限責任社員か無限責任社員かの別を登記します。また、有限責任社員については、出資の目的・価額・既に履行した出資の価額が登記事項になります。

登記事項の分類 会社法913条で確認する内容 実務上の注意点
会社の基本情報 目的、商号、本店及び支店の所在場所 定款の記載と登記申請書を一致させます。
社員 社員の氏名又は名称及び住所 合名会社と同様、社員情報が登記事項になります。
責任区分 社員が有限責任社員又は無限責任社員のいずれであるかの別 合資会社特有の重要な登記事項です。
有限責任社員の出資 有限責任社員の出資の目的及び価額、既に履行した出資の価額 有限責任社員の責任限度や出資履行状況の公示に関係します。
代表社員 合資会社を代表する社員の氏名又は名称 代表しない社員を定める場合に確認します。
法人代表社員 代表社員が法人である場合の職務執行者の氏名及び住所 法人社員の内部決定書類や職務執行者の就任を確認します。
公告方法 公告方法に関する定款の定め等 定款の公告方法と登記事項の整合性を確認します。

合資会社では有限責任社員の出資が登記事項になる

合資会社の設立登記で特徴的なのは、有限責任社員の出資の目的・価額・既に履行した出資の価額が登記事項になる点です。

無限責任社員は会社債務について重い責任を負いますが、有限責任社員は責任が限定されます。そのため、有限責任社員については、どのような出資を約束し、どこまで履行されているかを登記により公示する必要があります。

合名会社・合同会社との取り違えに注意する

合資会社は、実務上の利用頻度は高くありません。しかし、合名会社・合同会社と登記事項が異なるため、過去に設立された会社、種類変更、組織再編、相続・事業承継の場面では、合資会社特有の登記事項を確認する必要があります。

特に、有限責任社員と無限責任社員の別、有限責任社員の出資、代表社員の定めは、登記事項証明書を読むときにも重要な確認ポイントになります。


会社法914条(合同会社の設立の登記)

会社法914条は、合同会社の設立登記について定める条文です。合同会社は、社員全員が有限責任社員である持分会社であり、中小企業、スタートアップ、グループ会社、資産管理会社などで広く利用されています。

法務省の合同会社設立手続の案内でも、合同会社の設立には定款作成、出資履行、設立登記申請が必要であり、合同会社は本店所在地で設立登記をすることによって成立すると整理されています。実際の申請では、法務省「合同会社の設立手続について」も確認すると安全です。

合同会社の主な登記事項

合同会社の設立登記では、次の事項が中心になります。

分類 会社法914条で確認する内容 実務上の注意点
会社の基本情報 目的、商号、本店及び支店の所在場所 定款・本店所在場所決定書・申請書の整合性を確認します。
存続・解散に関する定め 存続期間又は解散事由について定款の定めがあるときは、その定め 期間限定会社や特定事由で解散する設計の場合に問題になります。
資本金 資本金の額 合名会社・合資会社と異なり、合同会社では資本金の額を登記します。
業務執行社員 業務を執行する社員の氏名又は名称 社員全員を登記するのではなく、業務執行社員が登記事項になります。
代表社員 代表社員の氏名又は名称及び住所 代表社員を誰にするか、法人代表社員の場合の住所・職務執行者を確認します。
法人代表社員 代表社員が法人である場合の職務執行者の氏名及び住所 親会社を代表社員にする場合などで特に重要です。
公告方法 公告方法に関する定款の定め等 定款に定めがない場合の官報公告、電子公告URL、予備的公告方法を確認します。

合同会社では社員全員の住所氏名を登記するわけではない

合同会社では、合名会社・合資会社と異なり、社員全員の氏名又は名称及び住所がそのまま登記事項になるわけではありません。会社法914条では、業務執行社員の氏名又は名称、代表社員の氏名又は名称及び住所などが登記事項として定められています。

そのため、業務を執行しない社員がいる合同会社では、その社員の情報は定款上重要であっても、登記事項としては表示されないことがあります。出資者を増やす場合、役割を分ける場合、親会社を社員にする場合には、定款上の社員、業務執行社員、代表社員、登記事項の違いを整理しましょう。

法人が代表社員になる場合は職務執行者を確認する

合同会社では、法人が社員になることがあります。たとえば、親会社が子会社である合同会社の代表社員になる場合です。この場合、法人そのものが自然人のように職務を行うことはできないため、職務執行者を選任します。

会社法914条は、合同会社を代表する社員が法人であるときは、その職務を行うべき者の氏名及び住所を登記すべき事項としています。職務執行者の選任に関する書面、就任承諾、印鑑届出、法人代表社員の資格証明などを併せて確認する必要があります。


912条・913条・914条の登記事項を比較する

合名会社・合資会社・合同会社の設立登記は、共通する項目もありますが、社員責任や資本金の有無により大きく異なる項目があります。横断的には、次のように整理できます。

比較項目 合名会社(912条) 合資会社(913条) 合同会社(914条)
会社の基本情報 目的・商号・本店等 目的・商号・本店等 目的・商号・本店等
社員の責任区分 全員が無限責任社員 有限責任社員と無限責任社員の別を登記 全員が有限責任社員
社員の氏名又は名称及び住所 登記事項 登記事項 社員全員については登記事項ではない
有限責任社員の出資 該当なし 出資の目的・価額・既履行額が登記事項 社員の出資履行は設立前に必要だが、登記上は資本金の額が中心
資本金の額 登記事項ではない 登記事項ではない 登記事項
業務執行社員 通常は社員が業務執行する前提 通常は社員が業務執行する前提 業務執行社員の氏名又は名称が登記事項
代表社員 代表しない社員がある場合に登記 代表しない社員がある場合に登記 代表社員の氏名又は名称及び住所が登記事項
法人代表社員の職務執行者 代表社員が法人なら登記事項 代表社員が法人なら登記事項 代表社員が法人なら登記事項

実務では、合同会社の設立が多いため、914条だけを見れば足りると思われがちです。しかし、合名会社・合資会社の登記事項は、社員の無限責任や有限責任社員の出資に関係するため、過去会社の登記事項証明書を読む場面や持分会社の種類変更を検討する場面では、912条・913条も重要になります。


設立登記申請で確認する実務ポイント

会社法912条・913条・914条は登記事項を定める条文ですが、実際に設立登記を申請するには、商業登記法、商業登記規則、添付書類、登録免許税、印鑑届出なども確認する必要があります。

定款の作成と登記事項の対応を確認する

持分会社を設立するには、社員になろうとする者が定款を作成し、全員が署名又は記名押印します。合同会社の定款は、公証人の認証を受ける必要がありません。この点は、株式会社の定款認証と異なる実務上の重要ポイントです。

ただし、認証が不要だからといって、定款の記載を簡単に扱ってよいわけではありません。目的、商号、本店所在地、社員、出資、責任区分、業務執行社員、代表社員、公告方法などが、登記事項と整合しているかを確認する必要があります。

申請人は会社を代表すべき者

持分会社の設立登記は、会社を代表すべき者の申請によって行います。合同会社では、代表社員が申請人になるのが典型です。代表社員が法人である場合には、その職務執行者や添付書面の確認が必要になります。

申請手続の詳細は、商業登記の申請手続|申請人・添付書類・オンライン申請の基本でも整理しています。

合同会社では出資履行と資本金を確認する

合同会社では、社員になろうとする者は、設立登記をする時までに出資を履行する必要があります。金銭出資であれば払込み、現物出資であれば給付を行い、それを証する書面を準備します。

また、合同会社では資本金の額が登記事項になります。資本金の額の計上に関する証明書が必要になる場面もあるため、金銭出資のみか、現物出資を含むか、資本金に計上する額をどうするかを確認しましょう。

主な添付書類を会社類型ごとに整理する

添付書類は会社類型や定款設計によって変わりますが、典型的には次のような書類を確認します。

会社類型 主な添付書類の例 注意点
合名会社 定款、本店所在場所決定書、代表社員の定めに関する書面、印鑑届書、委任状など 社員全員が無限責任社員であること、代表社員の定めの有無を確認します。
合資会社 定款、本店所在場所決定書、有限責任社員の出資履行に関する書面、代表社員関係書類、印鑑届書、委任状など 有限責任社員・無限責任社員の別と、有限責任社員の出資の既履行額を確認します。
合同会社 定款、業務執行社員・代表社員の一致を証する書面、法人代表社員の職務執行者関係書類、出資履行を証する書面、資本金計上証明書、印鑑届書、委任状など 定款認証は不要ですが、出資履行、資本金、代表社員、職務執行者の確認が重要です。

実際の申請では、最新の法務局書式、オンライン申請、印鑑届書、外国人・海外居住者のサイン証明、法人番号・資格証明の省略可否なども確認します。


持分会社の設立登記で間違えやすいポイント

「社員」を従業員と誤解しない

持分会社の「社員」は、会社の構成員であり、株式会社の株主に近い立場です。雇用されて働く従業員を意味するわけではありません。

合名会社・合資会社では社員の氏名又は名称及び住所が登記事項になり、合同会社では業務執行社員や代表社員が登記事項になります。従業員名簿や役職名と混同しないよう注意しましょう。

合同会社で社員全員を登記するとは限らない

合同会社では、業務執行社員や代表社員が登記事項になります。業務を執行しない社員や代表社員でない社員については、定款上は重要でも、登記事項として表示されないことがあります。

出資者を増やす、投資家を社員にする、親会社を社員にする、業務執行権を制限する、といった設計では、定款記載と登記される内容を分けて確認する必要があります。

合名会社・合資会社では資本金の額を登記しない

合同会社では資本金の額が登記事項ですが、合名会社・合資会社では、会社法912条・913条に資本金の額は掲げられていません。

合資会社では、有限責任社員の出資の目的・価額・既に履行した出資の価額が登記事項になります。資本金という表示ではなく、有限責任社員の出資に関する公示として理解するのが実務上分かりやすいです。

法人代表社員の職務執行者を忘れない

代表社員が法人である場合、職務執行者の氏名及び住所が登記事項になります。法人が代表社員になる合同会社では、親会社側の決定書類、職務執行者の就任承諾、印鑑届出、資格証明の要否を確認します。

職務執行者の選任を忘れると、申請書・添付書類・印鑑届出の整合性が崩れます。外資系企業、グループ会社、SPCなどでは特に注意が必要です。

公告方法を定款・登記・運用でそろえる

持分会社でも、公告方法の定款の定めが登記事項になることがあります。電子公告を選ぶ場合には、公告を掲載するウェブページのURLや予備的公告方法も確認します。

公告方法は、設立時だけでなく、決算公告、資本金の額の減少、組織再編、解散・清算などの手続にも影響します。公告方法の選び方は、会社の公告方法(官報・日刊新聞・電子公告)|定款の定めと選び方も参考になります。

注意点

持分会社の設立登記は、合同会社だけを前提にして考えると、合名会社・合資会社の社員責任や出資の登記事項を見落としやすくなります。会社類型ごとに912条・913条・914条を切り分けて確認しましょう。


会社法912条〜914条と関連条文のつながり

持分会社の設立登記を正しく理解するには、912条〜914条だけでなく、持分会社の設立・社員・代表・公告に関する条文も併せて確認する必要があります。

関連条文・記事 テーマ 912条〜914条との関係
会社法575条〜579条 持分会社の設立、定款、出資、成立 設立登記前に定款作成・出資履行・成立時期を確認します。
会社法590条・599条 業務執行社員・代表社員 合同会社の業務執行社員・代表社員の登記と関係します。
会社法907条〜910条 会社法上の登記総則 登記の効力、変更登記、登記期間の考え方を確認します。
会社法911条 株式会社の設立登記 株式会社と持分会社の設立登記の違いを比較できます。
会社法915条 変更登記 設立後に社員・代表社員・資本金・公告方法などが変わる場合に関係します。
会社法939条 会社の公告方法 公告方法の定款の定めや電子公告を登記する場面につながります。

登記総則は【会社法907条〜910条】会社法上の登記の通則・効力・変更登記・期間|条文の要点と実務ポイント、設立後の変更登記は【会社法915条】変更の登記|条文の要点と実務ポイントで整理しています。


よくある質問

会社法912条・913条・914条は何を定めていますか

会社法912条は合名会社、913条は合資会社、914条は合同会社の設立登記について、登記すべき事項を定めています。いずれも持分会社の設立登記に関する条文です。

持分会社はいつ成立しますか

持分会社は、本店所在地で設立登記をすることによって成立します。定款を作成しただけでは成立せず、登記申請が必要です。

持分会社の設立登記に期限はありますか

会社法912条〜914条には、株式会社の911条1項・2項のような「2週間以内」という設立登記期限は置かれていません。ただし、持分会社は設立登記により成立するため、設立手続が整ったら速やかに申請する必要があります。

合同会社では社員全員の氏名・住所が登記されますか

必ずしもそうではありません。合同会社では、業務執行社員の氏名又は名称、代表社員の氏名又は名称及び住所などが登記事項になります。業務を執行しない社員については、定款上は社員であっても、登記事項として表示されないことがあります。

合名会社・合資会社では資本金を登記しますか

合名会社・合資会社では、資本金の額は登記事項ではありません。合同会社では資本金の額が登記事項になります。合資会社では、有限責任社員の出資の目的・価額・既に履行した出資の価額が登記事項になります。

代表社員が法人の場合は何を登記しますか

代表社員が法人である場合、その法人の名称・住所に加え、当該法人の職務を行うべき者、つまり職務執行者の氏名及び住所が登記事項になります。職務執行者の選任書類や就任承諾なども確認が必要です。

合同会社の定款は公証人の認証が必要ですか

合同会社の定款は、株式会社と異なり、公証人の認証を受ける必要はありません。ただし、定款の絶対的記載事項や相対的記載事項、登記事項との整合性は重要です。


まとめ

会社法912条・913条・914条は、合名会社・合資会社・合同会社という持分会社の設立登記について、それぞれ登記事項を定める条文です。持分会社は設立登記によって成立するため、定款作成、出資、社員・代表社員の設計、公告方法、添付書類を一体で確認する必要があります。

  • 会社法912条は合名会社、913条は合資会社、914条は合同会社の設立登記を定めています。
  • 合名会社では、社員全員が無限責任社員であり、社員の氏名又は名称及び住所が重要です。
  • 合資会社では、社員の責任区分と有限責任社員の出資に関する事項が重要です。
  • 合同会社では、資本金、業務執行社員、代表社員、法人代表社員の職務執行者が重要です。
  • 設立登記後に登記事項が変わった場合は、会社法915条の変更登記につながります。

持分会社の設立登記では、会社類型ごとに登記事項が異なります。特に合同会社では、業務執行社員と代表社員、代表社員が法人である場合の職務執行者、資本金、公告方法を丁寧に確認しましょう。

坂尾陽弁護士

持分会社の設立登記は、会社の種類と社員責任の理解が出発点です。合同会社だけでなく、合名会社・合資会社との違いを押さえると、登記事項証明書の読み方や設立後の変更登記も整理しやすくなります。

関連記事

持分会社の設立登記、会社法上の登記、公告方法に関する周辺論点は、次の記事も参考になります。

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