会社法941条〜959条は、電子公告を利用する会社が受ける「電子公告調査」と、その調査を担う電子公告調査機関の登録・業務・監督を定める規定です。会社側に直接関係する中心条文は会社法941条であり、決算公告を除く法定公告を電子公告で行うときは、公告期間中、公告情報が不特定多数の者に提供される状態に置かれているかについて、法務大臣の登録を受けた調査機関へ調査を求めなければなりません。
電子公告は、自社サイトに公告文を掲載するだけで完了するとは限りません。調査機関への申込み、公告アドレス・公告期間・根拠条文・公告内容の事前確定、開始日時に合わせた掲載、公告期間中のURL・内容・サーバーの維持、調査結果通知の受領までを一つの工程として管理する必要があります。公告開始後に調査の依頼漏れへ気付いても、過去にさかのぼって正常掲載を調査してもらうことはできません。
この記事では、会社法941条の電子公告調査が必要となる場合と決算公告の例外、実務上の依頼手順、調査結果通知の役割、会社法942条〜959条が定める調査機関の登録・独立性・業務規程・記録保存・法務大臣の監督を、会社側の実務に重点を置いて解説します。
坂尾陽弁護士
- 決算公告を除く法定公告を電子公告で行う会社は、原則として電子公告調査を求める必要があります。
- 調査の対象は、公告情報が公告期間中に閲覧可能な状態で置かれ、提出済みの公告情報と一致しているかという技術的・客観的な事項です。
- 調査機関は公告内容の法的妥当性や手続全体の適法性まで審査する機関ではありません。
- 調査機関は公告開始前に法務大臣へ所定事項を報告するため、会社は各機関の受付期限より前に申し込む必要があります。
- 調査終了後の調査結果通知は、商業・法人登記で「公告をしたことを証する書面」として利用できます。
- 会社法942条〜959条は、登録基準、独立性、業務規程、財務諸表、記録保存、行政監督等により調査の信頼性を支えています。
- 電子公告調査を求めなかった場合は、会社法976条により100万円以下の過料の対象となり得るほか、登記や組織再編の日程に重大な支障が生じます。
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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会社法941条〜959条の位置づけ
会社法941条〜959条は、第7編「雑則」第5章「公告」第2節「電子公告調査機関」に置かれています。前提となる公告方法の選択は【会社法939条】会社の公告方法、公告期間と中断時の取扱いは【会社法940条】電子公告の公告期間等が定めています。
したがって、電子公告の案件では、まず会社法939条に基づく定款・登記上の公告方法を確認し、次に対象手続の根拠条文から公告内容と期間を確定し、会社法940条に沿って掲載を維持し、会社法941条に基づいて調査機関へ調査を依頼するという順序で整理します。
最新の条文は、e-Gov法令検索の会社法で確認してください。調査の申込方法、調査方法、法務大臣への報告、調査結果通知、記録保存等の詳細は、e-Gov法令検索の電子公告規則に定められています。
会社法941条は、電子公告を行う会社に調査を求める義務を課す規定です。会社法942条〜959条は主として電子公告調査機関と法務大臣の関係を定めます。ただし、会社が調査機関を選び、調査結果を証拠として利用するうえでも重要な制度です。
電子公告調査が必要となる場合
法令に基づく公告を電子公告で行う場合が原則
会社法941条の対象は、会社法または他の法律の規定による公告を電子公告で行う場合です。資本金の額の減少、合併・会社分割等の債権者保護手続、株券提出公告、解散・清算に関する公告など、法令が公告を要求する場面で電子公告を選ぶときは、対象手続ごとに調査の要否を確認します。
会社のニュース、任意のプレスリリース、採用情報、商品情報等をウェブサイトへ掲載するだけであれば、通常は会社法941条の電子公告調査の対象ではありません。「ウェブ掲載」であることではなく、「法令に基づく公告を電子公告の方法で行うこと」が判断基準です。
決算公告は会社法941条の例外
会社法440条1項に基づく貸借対照表等の決算公告は、会社法941条の対象から明示的に除外されています。したがって、決算公告をウェブサイトで行う場合、電子公告調査機関の調査を受ける必要はありません。
ただし、調査が不要であることと、決算公告の掲載義務・掲載内容・掲載期間・登記上のURLに関する要件がなくなることは別です。決算公告と、減資・組織再編等の法定公告を同じウェブサイトで扱う場合は、どの掲載が調査対象かを区別してください。
公告方法が電子公告でも、案件ごとに根拠条文を確認する
定款に「当会社の公告は、電子公告により行う」と定めていても、すべての通知・催告・開示を電子公告へ置き換えられるわけではありません。個別の手続が官報公告、個別催告、株主への通知、書類備置き等を別に要求していることがあります。
たとえば債権者保護手続では、公告方法の選択により知れている債権者への各別催告を省略できる場合がありますが、その要件は手続ごとに異なります。公告だけを切り出さず、決議、債権者異議手続、個別催告、登記まで一体で確認してください。
電子公告調査は、公告期間中の掲載状態を調査機関が継続的に確認して記録する制度です。公告開始後に依頼漏れへ気付いても、開始前の状態をさかのぼって調査結果通知にすることはできません。再公告や手続日程の組み直しが必要になる可能性があります。
電子公告調査の実務フロー
- 根拠条文と公告期間を特定する:減資、合併、会社分割、株券提出等、どの手続に基づく公告かを確定し、開始日・満了日・効力発生日との関係を整理します。
- 定款と登記事項を確認する:公告方法が電子公告となっているか、登記アドレスが現に利用するURLと整合しているかを確認します。必要な変更登記は公告開始前に終える前提で工程を組みます。
- 登録調査機関を選ぶ:法務省が公表する登録された電子公告調査機関の一覧で現在の登録状況を確認し、料金、受付期限、対応形式、サポート内容を比較します。
- 公告情報を確定する:商号、本店、代表者、登記アドレス、公告アドレス、公告期間、公告内容、根拠条文を確定し、社内決裁・専門家確認を終えます。
- 受付期限より前に調査を申し込む:電子公告規則上、調査機関は公告開始日の二営業日前までに法務大臣へ報告する必要があります。会社はその報告期限よりさらに前に必要情報を示す必要があるため、各機関の締切を確認し、余裕をもって申し込みます。
- 掲載環境を事前確認する:公告URLへ外部環境からアクセスできるか、リンク切れ、認証、robots設定、WAF、CDN、リダイレクト、SSL証明書、PDF表示等に問題がないかを確認します。
- 開始日時に公告する:調査機関へ提出した公告情報と同一の内容を、指定した公告アドレスで公開します。CMSの自動整形やファイル差替えで内容が変わらないようにします。
- 公告期間中の掲載を維持する:URL、ページ内容、リンク、サーバー設定を原則として変更せず、社内でも定期確認します。中断・改変・URL変更等が生じた場合は、直ちに調査機関と専門家へ連絡します。
- 調査結果通知を受領・確認する:公告期間終了後、調査結果通知の商号、住所、URL、期間、根拠条文、公告情報、中断可能時間等を確認し、必要な登記申請へ利用して社内保存します。
電子公告調査で確認されること・確認されないこと
確認されるのは掲載状態と情報の一致
調査機関は、公告期間中、法務省令所定の方法により公告サーバーから情報を取得し、調査申込み時に示された公告情報と受信情報が一致するか、公告アドレスへ到達できるか、登記アドレスから公告アドレスへのリンクが切れていないかなどを確認し、その結果を記録します。
調査結果通知には、会社の商号・本店・代表者、登記アドレス、公告アドレス、公告期間、公告の根拠条文、公告情報の内容、受信日時と判定結果、受信不能や不一致があった場合の記録、中断が生じた可能性のある時間の合計等が記載・記録されます。
公告文の法的妥当性までは保証されない
電子公告調査は、公告文に法定記載事項がすべて含まれるか、決議が適法か、公告期間の設定が根拠条文に適合するか、債権者への個別催告が必要か、効力発生日の設定が正しいかを法的に審査する制度ではありません。
調査結果が「正常」であっても、公告文の内容や前後の手続に誤りがあれば、公告・組織再編・登記等の効力が争われる可能性があります。会社、司法書士、弁護士等の手続確認と、調査機関による技術的調査を分けて管理してください。
調査結果通知は公告実施の客観的証拠になる
官報や新聞公告では掲載紙が証拠になりますが、ウェブページは後から変更・削除しやすいため、第三者の客観的な記録が必要です。法務省は、電子公告調査機関の調査結果通知を、商業・法人登記申請における「公告をしたことを証する書面」として添付できると案内しています。
登記を伴わない公告でも、調査結果通知、調査申込書、確定公告文、取締役会・株主総会等の議事録、掲載開始・終了の社内記録を一式で保存すると、後日の説明がしやすくなります。
会社法941条〜945条|調査義務と登録制度
会社法941条|電子公告調査
会社法941条は、会社法その他の法律による公告を電子公告で行う会社に対し、公告期間中、公告内容である情報が不特定多数の者に提供される状態に置かれているかについて、登録調査機関へ調査を求めることを義務付けます。会社法440条1項の決算公告は除外されます。
実務上の要点は、「公告を開始する前に調査契約と必要情報の提出を終えること」です。調査を求めなかったときは会社法976条の過料対象となり得ます。また、公告の証明を用意できず、減資や組織再編等の変更登記を予定日に申請できないおそれがあります。
会社法942条|登録
電子公告調査を業として行うには、会社法941条に基づく法務大臣の登録が必要です。登録は、調査を行おうとする者の申請により行われ、申請者は政令所定の手数料を納付します。
会社が委託先を選ぶ際は、単に「電子公告サービス」と表示する事業者ではなく、現在も有効な登録を受けた調査機関であることを法務省の一覧で確認します。公告掲載の代行業者と登録調査機関が別の場合は、それぞれの契約範囲と責任分担を確認してください。
会社法943条|欠格事由
会社法943条は、電子公告関係規定等への違反により一定の刑を受けてから所定期間を経過していない者、登録取消しから所定期間を経過していない者、欠格者を役員等に含む法人などを登録から排除します。
この規定は、客観的な証拠を作成する調査機関に最低限の適格性を求めるものです。委託会社が個別に欠格事由を調査するのではなく、法務大臣の登録と公示を確認することが基本です。
会社法944条|登録基準
会社法944条は、公告情報をインターネットで閲覧できる電子計算機・プログラム、妨害や不正動作を防ぐ措置、調査期間中の入力情報・指令・受信情報を保存する機能、適正な実施方法等を登録基準としています。
登録は調査機関登録簿に記録され、登録年月日・登録番号、氏名または名称・住所・代表者、電子公告調査を行う事業所の所在地等が管理されます。調査結果の信頼性は、こうした設備・情報セキュリティ・保存体制を前提とします。
会社法945条|登録の更新
会社法945条は、登録について定期的な更新を求め、更新を受けなければ期間経過により効力を失うと定めます。政令上、登録は3年ごとの更新が必要です。
過去に登録されていた事業者でも、公告を委託する時点で登録が有効とは限りません。見積書や以前の取引実績だけで判断せず、公告案件ごとに現在の登録状況を確認してください。
会社法946条〜950条|調査機関の業務と独立性
会社法946条|調査の義務等
調査機関は、正当な理由がある場合を除き、電子公告調査の求めに応じなければならず、公正に、法務省令所定の方法で調査を行います。また、調査委託者の商号、公告アドレス、公告期間、根拠条文等を法務大臣へ報告し、調査後遅滞なく調査結果を委託者へ通知します。
会社側では、提出情報の誤りや変更があると法務大臣への報告・調査結果通知にも影響するため、申込み後に商号、本店、代表者、URL、期間、公告文等を変更する場合は、独断で修正せず調査機関へ直ちに連絡します。
会社法947条|電子公告調査を行うことができない場合
会社法947条は、調査機関自身、その親会社、役職員関係が密接な法人等について、その調査機関が電子公告調査を行うことを制限します。電子公告規則は、公告サーバーの提供、契約の代理・媒介、公告情報の作成等への関与も含め、独立性が損なわれる場面を具体化しています。
公告ページの制作・運用と調査を同じグループへ依頼する場合は、登録上その組合せが許されるか、調査機関から確認を受けてください。費用や窓口の一本化だけで選ぶと、利益相反規制により調査を受けられないことがあります。
会社法948条|事業所の変更の届出
調査機関が電子公告調査を行う事業所の所在地を変更するときは、変更日の2週間前までに法務大臣へ届け出る必要があります。事業所は登録情報・公示の対象であり、調査業務の所在を明確にする役割があります。
委託会社が通常行う手続ではありませんが、長期案件の途中で調査機関の連絡先等が変わった場合は、契約窓口と調査継続に影響がないかを確認します。
会社法949条|業務規程
調査機関は、調査業務の開始前に業務規程を定めて法務大臣へ届け出ます。業務規程には、調査の実施方法、料金、申込み、情報の受渡し、結果通知、記録管理等の法務省令所定事項を定めます。
会社にとっては、見積金額だけでなく、申込期限、公告情報の確定期限、変更・取消し、追加公告、中断発生時の連絡、結果通知の形式を確認する資料です。案件開始前に利用約款・業務規程・申込書の条件をそろえてください。
会社法950条|業務の休廃止
調査機関が業務の全部または一部を休止・廃止するときは、あらかじめ法務大臣へ届け出ます。公告期間中の案件がある場合、調査の継続や記録の引継ぎが問題になります。
会社は、公告開始前に委託先の受付状況を確認し、公告期間が長い案件では休廃止予定の有無も確認します。異常が生じた場合に備え、担当者・緊急連絡先・代替対応の有無を記録しておくと安全です。
会社法951条〜956条|開示・監督・調査記録
会社法951条|財務諸表等の備置き及び閲覧等
調査機関は、毎事業年度終了後3か月以内に財産目録、貸借対照表、損益計算書または収支計算書、事業報告書を作成し、5年間事業所に備え置きます。調査委託者その他の利害関係人は、業務時間内に閲覧・謄写や謄本等の交付を請求できます。
これは、調査機関の財務・業務の透明性を確保する規定です。通常の公告案件で会社が財務諸表を取得する場面は多くありませんが、長期的な委託先の信頼性を確認する制度的基盤になります。
会社法952条|適合命令
調査機関が会社法944条の登録基準に適合しなくなったと認められるとき、法務大臣は、基準に適合するため必要な措置を命ずることができます。設備、プログラム、セキュリティ、情報保存、実施方法の欠陥を是正させる制度です。
委託会社は、調査機関について公表・公示された重要な処分や業務変更がないかを確認し、進行中の公告への影響が疑われる場合は、調査機関と登記専門家へ早期に照会します。
会社法953条|改善命令
調査機関が会社法946条に違反していると認められるとき、法務大臣は、調査の実施または調査方法その他の業務方法の改善に必要な措置を命ずることができます。
登録基準そのものへの不適合を是正する952条に対し、953条は、依頼への対応、公正な調査、法務大臣への報告、調査結果通知等の実際の業務運営を改善させる規定です。
会社法954条|登録の取消し等
調査機関が欠格事由に該当した場合、独立性・届出・業務規程・財務諸表・記録保存等の規定に違反した場合、閲覧等を不当に拒んだ場合、適合命令・改善命令に違反した場合、不正な手段で登録を受けた場合など、法務大臣は登録を取り消し、または業務の全部・一部の停止を命ずることができます。
登録取消し・業務停止は会社法959条により官報で公示されます。公告を依頼する直前だけでなく、公告期間中も委託先からの重要通知を確認し、処分時の調査継続・記録引継ぎ・結果通知の取扱いを把握してください。
会社法955条|調査記録簿等の記載等
調査機関は、電子公告調査ごとに調査記録簿等を備え、委託者情報、公告アドレス、公告期間、公告情報、根拠条文、依頼日、担当者、受信・判定記録等を記載・記録して保存します。電子公告規則では、公告期間満了後10年間の保存が求められています。
調査委託者その他の利害関係人は、利害関係がある部分について、所定の費用を支払い、記録の写しや電磁的記録の提供を請求できます。後日の紛争・登記補正・監査で詳細記録が必要になったときの裏付けとなります。
会社法956条|調査記録簿等の引継ぎ
調査機関が業務の全部を廃止するとき、または登録を取り消されたときは、保存中の調査記録簿等を他の調査機関へ引き継がなければなりません。引継ぎを受けた調査機関も、法務省令に従って記録を保存します。
委託先がなくなっても過去の調査記録が直ちに失われないようにする制度です。過去案件の記録請求が必要な場合は、どの調査機関へ引き継がれたかを確認します。
会社法957条〜959条|法務大臣による実施・検査・公示
会社法957条|法務大臣による電子公告調査の業務の実施
登録調査機関が存在しない場合、業務の休止・廃止、登録取消し・業務停止、天災その他の事情により調査が困難になった場合など、必要があると認められるときは、法務大臣が電子公告調査の全部または一部を自ら行うことができます。
これは調査制度が停止しないための補完措置です。通常の会社は登録調査機関へ依頼しますが、非常時には法務省の公示・案内に従い、法務大臣が行う調査の申込み・手数料等を確認します。
会社法958条|報告及び検査
法務大臣は、会社法の施行に必要な限度で、調査機関に業務・経理状況の報告を求め、職員に事務所・事業所への立入検査や帳簿・書類等の検査をさせることができます。立入職員は身分証明書を提示し、この権限は犯罪捜査のためのものと解釈されません。
調査機関の登録を形式的なものにせず、継続的に業務の適正を監督するための規定です。会社側は、調査機関から行政対応に伴う追加確認を求められた場合、公告案件の正確な資料を速やかに提供できるようにします。
会社法959条|公示
法務大臣は、調査機関の登録、更新を受けず登録が失効したことの確認、事業所変更・休廃止の届出、登録取消し・業務停止、法務大臣による調査業務の開始・終了について、官報に公示します。
会社が委託先の現在の資格・業務状況を確認するうえで、公示は重要な情報です。実務上は法務省の登録調査機関一覧を入口とし、必要に応じて官報公示や調査機関への照会で最新状況を確認します。
電子公告調査機関を選ぶときの確認事項
- 登録の有効性:法務省の最新一覧に掲載され、登録失効・取消し・業務停止・休止の対象となっていないか。
- 受付期限:公告開始日の何営業日前までに、確定公告文・URL・根拠条文を提出する必要があるか。
- 対応範囲:対象となる法人・公告類型・公告期間・外国語併記・複数URL等に対応できるか。
- 料金体系:基本料金、公告期間による加算、内容変更、追加公告、再調査、結果通知の再発行等の費用が明確か。
- 結果通知の形式:書面・電磁的記録の選択、オンライン登記で利用できる形式、発行時期を確認したか。
- 中断時の対応:受信不能、内容不一致、URL変更等をどのように連絡し、追加公告へ対応するか。
- 技術的サポート:公開前の接続確認、登記アドレスからのリンク、PDF・HTML、SSL、リダイレクト等の注意点を案内するか。
- 利益相反:公告ページ制作・サーバー提供等との組合せが会社法947条・電子公告規則に抵触しないか。
電子公告調査で起こりやすい失敗
公告開始日から逆算せず、申込みが間に合わない
株主総会や取締役会の日だけを先に決め、調査機関の受付期限を考慮していないケースがあります。公告開始前には、公告文の確定、登記アドレス確認、調査申込み、調査機関から法務大臣への事前報告が必要です。効力発生日から逆算した工程表に、調査申込期限を独立した期限として記載します。
登記アドレスと公告アドレスの関係が不明確である
登記されたURLを入力しても公告ページへ到達できない、トップページからのリンクが切れている、URL変更後に登記を更新していない、恒常的なリダイレクトが複雑であるといった問題は、調査結果や公告の証明に影響します。公告前に登記事項証明書と実際の外部アクセスを突合します。
調査機関へ提出した公告文と掲載内容が違う
数字、効力発生日、商号、債権申出先、句読点、別紙、PDFファイル等が提出版と掲載版で異なると、受信情報との不一致として記録される可能性があります。確定版を一つにし、法務・Web担当・調査機関が同じファイルを使用します。
CMSやサーバーの自動処理で内容・URLが変わる
CMSの予約更新、キャッシュ更新、画像最適化、PDF差替え、URL正規化、SSL更新、WAFのアクセス制限、保守作業等により、会社が意図しない中断・改変が生じることがあります。公告期間中は変更禁止範囲をWeb担当・外部ベンダーへ明示します。
中断を把握しても調査機関へ連絡しない
会社法940条は、公告中断が公告の効力に影響しないための要件を定めています。善意・無重過失等、合計中断時間、知った後の速やかな追加公告を確認する必要があり、単に復旧しただけでは足りません。障害を発見したら、ログを保存し、調査機関と専門家へ直ちに連絡してください。
調査結果通知を受け取っただけで内容を確認しない
調査結果通知に記載された商号、本店、URL、公告期間、根拠条文、公告内容、中断可能時間を、申込資料・登記申請・効力発生日と突合します。不一致や中断記録がある場合は、登記申請前に影響と補正方法を検討します。
会社法941条〜959条に関するよくある質問
決算公告を自社サイトに掲載するときも電子公告調査が必要ですか
会社法440条1項の決算公告は、会社法941条の調査対象から除外されているため、電子公告調査機関の調査は不要です。ただし、決算公告の内容・掲載期間・URLの登記等の要件は別に守る必要があります。
公告を開始した後から調査を申し込めますか
開始前の期間をさかのぼって調査することはできません。調査機関は公告開始前に法務大臣へ所定事項を報告し、公告期間中の掲載状態を確認します。開始後に依頼漏れが判明した場合は、再公告や効力発生日の変更が必要になる可能性があるため、直ちに専門家へ相談してください。
調査結果通知があれば公告手続は必ず適法ですか
必ずしもそうではありません。調査結果通知は、所定の公告情報がウェブ上で提供されていた状態を客観的に記録するものです。公告文の法定記載事項、決議、公告期間、個別催告、効力発生日等の適法性は、会社側で別に確認する必要があります。
調査結果通知は登記申請に使えますか
公告をしたことの証明が必要な商業・法人登記では、電子公告調査機関の調査結果通知を「公告をしたことを証する書面」として利用できます。オンライン申請で利用する場合は、対応する電磁的記録の提供方法を調査機関へ事前に確認してください。
公告期間中に一時的なサーバー障害が起きたら直ちに無効ですか
直ちに無効と決まるわけではありません。会社法940条3項は、会社が善意かつ無重過失であること等、合計中断時間が公告期間の10分の1を超えないこと、知った後速やかに中断の事実・時間・内容を追加公告することなど、一定の要件を満たす場合の救済を定めています。事実関係とログを保存し、個別に判断します。
公告ページの作成会社にそのまま調査も依頼できますか
その事業者が登録調査機関であることに加え、会社法947条・電子公告規則の独立性規制に抵触しないことが必要です。公告サーバー提供、公告情報作成、契約媒介等への関与によっては、同じ調査機関が調査できない場合があります。
電子公告調査機関の記録は何年間保存されますか
会社法955条を受けた電子公告規則により、調査記録簿等は公告期間満了後10年間保存されます。調査機関が廃業・登録取消しとなった場合も、会社法956条により他の調査機関へ引き継ぐ仕組みがあります。
電子公告調査の実務チェックリスト
- 対象が法令に基づく公告か、任意のウェブ掲載かを区別したか。
- 決算公告の例外に該当するかを確認したか。
- 対象手続の根拠条文、法定記載事項、公告期間を確定したか。
- 定款上の公告方法と登記アドレスを確認したか。
- 公告アドレスが外部から直接閲覧でき、登記アドレスから到達できるか。
- 法務省の一覧で調査機関の現在の登録状況を確認したか。
- 調査機関の受付期限、料金、結果通知の形式を確認したか。
- 商号、本店、代表者、URL、期間、根拠条文、公告文を確定したか。
- 調査機関へ提出した版と実際に掲載する版が完全に一致しているか。
- CMS、WAF、CDN、SSL、リダイレクト、PDF、保守作業の影響を確認したか。
- 公告期間中の変更禁止と障害時連絡先を社内・ベンダーへ共有したか。
- 中断・改変が生じた場合のログ保存と会社法940条の対応を準備したか。
- 調査結果通知の記載事項と中断記録を登記申請前に確認したか。
- 議事録、公告確定版、申込資料、調査結果通知、登記資料を一式保存したか。
- 公告、個別催告、債権者対応、効力発生日、登記まで全体工程を照合したか。
まとめ|電子公告は調査申込みから結果通知まで一体で管理する
会社法941条は、決算公告を除く法定公告を電子公告で行う会社に、登録調査機関への電子公告調査の依頼を義務付けています。電子公告規則に基づく事前報告があるため、会社は公告開始より十分前に公告情報を確定し、調査機関へ申し込まなければなりません。
会社法942条〜959条は、調査機関の登録、欠格事由、設備・セキュリティ基準、更新、調査義務、独立性、業務規程、財務諸表、調査記録、行政監督、公示を定めています。これらの規定によって、ウェブ上の公告について客観的な証拠を残す仕組みが支えられています。
- 決算公告以外の法定公告を電子公告で行うときは、原則として会社法941条の調査が必要です。
- 公告開始後にさかのぼって調査を受けることはできないため、受付期限を最初に確認します。
- 調査結果通知は掲載状態の証拠であり、公告文や手続全体の法的適法性を保証するものではありません。
- 公告アドレス、掲載内容、サーバー、調査結果通知を公告期間の前後を通じて一体管理します。
坂尾陽弁護士
