赤字が続いている、債務超過になっている、借入金や経営者保証が重いという状況でも、会社売却や事業売却が直ちに不可能になるわけではありません。買い手が評価する事業価値、顧客基盤、許認可、人材、技術、立地、ブランド、買い手とのシナジーがあれば、赤字・債務超過の会社でもM&Aの対象になることがあります。
もっとも、赤字・債務超過会社の売却は、通常の会社売却よりも難易度が高くなります。借入金、担保、経営者保証、未払税金、買掛金、リース債務、労務債務、係争、粉飾・不適切会計の有無を正確に開示し、金融機関や主要債権者との調整を行い、株式譲渡・事業譲渡・会社分割・再生手続・廃業のどれを選ぶべきかを早期に検討する必要があります。
この記事では、赤字会社・債務超過会社の売却を検討する経営者向けに、売却できる条件、買い手が評価するポイント、売却方法、借入金・経営者保証の扱い、金融機関対応、情報開示、再生・廃業との分岐を整理します。通常の借入金・経営者保証の扱いは、会社売却で借金・借入金・経営者保証はどうなる?もあわせて確認してください。
- 赤字・債務超過でも、買い手にとって価値のある事業・人材・顧客・許認可があれば売却可能性はある
- 株式譲渡では借入金や簿外債務を含めて会社を取得するため、買い手はリスクを厳しく見る
- 事業譲渡や会社分割では、優良事業を切り出せる一方、債権者保護・詐害行為・承継債務の設計が重要になる
- 経営者保証は会社売却で自動的に外れないため、金融機関協議と契約条件化が不可欠である
- 資金ショートが近い場合は、M&Aだけでなく、私的整理、事業再生、廃業、法的整理との比較を急ぐ必要がある
坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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赤字・債務超過でも会社売却できるか
結論として、赤字・債務超過でも会社売却は可能です。ただし、赤字や債務超過の程度、資金繰りの状況、買い手が評価する事業の有無、金融機関・債権者の協力、売却方法によって、実現可能性と進め方は大きく変わります。
まず、「赤字」「債務超過」「資金ショート」は似ているようで意味が異なります。売却検討では、この違いを分けて整理することが重要です。
| 状態 | 意味 | 会社売却での見られ方 |
|---|---|---|
| 赤字 | 一定期間の収益より費用が多く、損益がマイナスになっている状態 | 一時的な赤字か、構造的な赤字かで評価が大きく変わる。投資先行・一過性要因なら説明余地がある |
| 債務超過 | 資産より負債が多く、純資産がマイナスになっている状態 | 株式価値が低く見られやすい。事業価値、金融支援、債務整理、事業譲渡等の設計が重要になる |
| 資金ショート | 支払期日に資金が足りず、給与・税金・仕入代金・借入返済を払えない状態 | 時間的余裕が乏しい。M&Aだけでなく、リスケ、私的整理、法的整理の検討が必要になる |
| 支払停止・倒産危機 | 支払不能や債務整理の必要性が顕在化している状態 | 通常の会社売却として進めるのは難しい。スポンサー型再生や法的手続を含めた検討になる |
赤字会社でも、直近期だけの赤字、設備投資や採用投資による先行費用、特定取引先の一時的減少、役員報酬・関連当事者取引を調整すれば収益性が見える場合は、買い手に説明できる余地があります。一方、債務超過や資金ショートが深刻な場合は、単に買い手を探すだけでなく、債権者との調整や再生スキームを同時に考える必要があります。
「赤字でも売れる」という一般論だけで、債務超過会社の資産や事業を急いで安値移転すると、債権者との関係で詐害行為取消し、否認、会社分割・事業譲渡トラブルが問題になることがあります。債務が大きい会社ほど、売却代金の使途、債権者への説明、承継債務の範囲を慎重に設計してください。
買い手が赤字会社・債務超過会社で評価する価値
買い手は、赤字・債務超過という現在の数字だけで判断するとは限りません。買い手にとって、取得後に改善できる、既存事業と組み合わせて利益を出せる、時間をかけずに参入できると判断できる要素があれば、売却可能性があります。
買い手が評価しやすい要素
赤字会社であっても、次のような要素があると、買い手候補が関心を持つことがあります。
| 評価される要素 | 具体例 | 説明時のポイント |
|---|---|---|
| 顧客・取引先 | 継続取引先、長期契約、地域顧客、紹介ルート | 契約期間、解約条件、売上構成、特定顧客依存度を整理する |
| 人材・組織 | 技術者、資格者、営業人員、現場責任者 | 退職リスク、キーパーソンの残留条件、労務リスクを説明する |
| 許認可・指定・登録 | 業法上の許認可、指定事業者、認証、業界登録 | 承継可否、再取得の必要性、行政手続を確認する |
| 技術・ノウハウ | 製造技術、システム、業務手順、知的財産 | 権利帰属、外注先・従業員との契約、利用制限を確認する |
| 立地・設備 | 店舗、工場、物流拠点、希少な不動産・設備 | 賃貸借契約、担保、リース、保守契約、移転可否を整理する |
| 買い手とのシナジー | 販路拡大、コスト削減、内製化、地域補完 | 単独では赤字でも、買い手グループ内で改善できる理由を示す |
売り手側では、「赤字です」とだけ説明するのではなく、赤字の原因、改善余地、買い手が引き継ぐ価値、買い手が引き継がないリスクを分けて資料化することが重要です。売却価格の考え方は、会社売却はいくら?相場・売却価格の決め方で詳しく解説しています。
売却が難しくなりやすい要素
反対に、赤字・債務超過会社の売却では、次のような事情があると買い手の関心が下がり、価格減額、保証、条件付き買収、事業譲渡への変更、又は取引中止につながりやすくなります。
- 粉飾決算、不適切会計、売上の前倒し、費用の未計上がある
- 税金、社会保険料、給与、買掛金、リース料の滞納がある
- 主要取引先との契約が口頭又は短期契約で、承継後に継続する保証がない
- キーパーソンが退職予定で、事業継続に必要な人材が残らない
- 経営者個人との資金往来、役員借入金、関連会社取引が複雑で説明しにくい
- 許認可、行政処分、環境・労務・安全衛生、未払残業などのリスクがある
- 金融機関や主要債権者が売却スキームに反対する可能性が高い
赤字・債務超過会社の主な売却方法
赤字・債務超過会社の売却方法は、通常の会社売却と同じく、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併などが候補になります。ただし、どの方法を使うかによって、借入金、簿外債務、経営者保証、債権者保護、従業員、契約、許認可の扱いが大きく変わります。
| 方法 | 使いやすい場面 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 株式譲渡 | 会社全体をそのまま引き継げる場合。許認可・契約・従業員をまとめて維持したい場合 | 借入金・簿外債務・偶発債務も会社に残るため、買い手のDDが厳しくなる。旧経営者保証は自動解除されない |
| 事業譲渡 | 収益性のある事業・店舗・顧客・設備だけを切り出して売る場合 | 契約・従業員・許認可は個別承継が原則。売却代金の使途、債権者対応、詐害行為リスクに注意する |
| 会社分割 | 事業を包括的に切り出し、承継会社に移す場合 | 債権者保護手続、承継債務、残存債権者への影響、濫用的会社分割のリスクを検討する |
| スポンサー型再生 | 債務整理や金融支援と同時に、スポンサーへ事業を承継させる場合 | 金融機関、主要債権者、専門家との調整が必要。通常のM&Aより時間・手続管理が重要になる |
| 廃業・清算と資産売却 | 事業継続が難しく、資産や一部事業だけを換価する場合 | 従業員、取引先、債権者、保証債務、税金の整理が必要。代表者の保証債務整理も検討する |
株式譲渡は、会社の法人格をそのまま残せるため、契約・許認可・従業員を一体で維持しやすい方法です。しかし、債務超過会社では、買い手が会社の負債や簿外債務も抱えることになるため、価格は低くなりやすく、表明保証、補償、クロージング条件が厳しくなります。株式譲渡の基本は、株式譲渡とはで整理しています。
事業譲渡は、買い手が必要な事業・資産・契約だけを選びやすい一方で、売り手会社に残る借入金・債務をどう処理するかが問題になります。事業譲渡の法的手続は、事業譲渡とは、売り手目線の事業売却全体は事業売却とはで確認してください。
会社分割や事業譲渡で優良事業を移す場合には、債務を残す会社の債権者保護が重要です。最高裁平成20年6月10日判決は、会社分割によりゴルフ場事業を承継した会社がゴルフクラブの名称を引き続き使用していた事案で、会社法22条1項を類推適用し、一定の預託金返還義務を認めました。事業名・営業主体表示・顧客への説明・債務承継範囲を曖昧にしたまま進めると、承継会社の責任が問題になることがあります。会社分割の債務承継トラブルは、会社分割における債務承継・責任分担トラブルも参考になります。
赤字・債務超過会社では、「株式ごと売る」「優良事業だけ売る」「スポンサーを探して再生する」「廃業しながら一部資産を売る」という複数の選択肢を同時に比較します。どれがよいかは、買い手の有無だけでなく、債権者・従業員・保証人・税務・許認可を含めて判断します。
借入金・経営者保証・金融機関対応の注意点
赤字・債務超過会社の売却では、借入金と経営者保証の扱いが中心論点になります。会社を売却できても、旧経営者の連帯保証が残ったり、売却代金だけでは債務を返済できなかったりすると、売却後に大きな負担が残るおそれがあります。
株式譲渡では借入金は会社に残るが、保証は自動解除されない
株式譲渡では、借主である会社はそのまま存続します。そのため、銀行借入、信用保証協会付き融資、リース債務、買掛金などは原則として対象会社に残ります。買い手は、借入金を含めた会社を取得するため、価格を引き下げたり、借入先の承諾、返済、借換えを条件にしたりします。
しかし、旧経営者が会社債務を連帯保証している場合、株式譲渡だけで保証が消えるわけではありません。金融機関が保証解除に応じ、書面で解除を確認するまで、旧経営者が保証責任を負い続ける可能性があります。保証解除は、売却価格とは別の重要条件として交渉すべきです。
事業譲渡では売却代金で残債をどう処理するかが問題になる
事業譲渡では、買い手が引き継がない借入金は売り手会社に残ります。売却代金で金融機関に返済できるのか、残債についてリスケや債務整理が必要なのか、保証人である旧経営者の責任をどう整理するのかを、売却前に検討する必要があります。
売却代金を一般運転資金に使ってしまうと、金融機関・債権者との関係で問題になることがあります。特に債務超過状態で優良資産や優良事業を売る場合は、売却代金の入金先、返済順位、債権者への説明、担保解除の有無を明確にしておきましょう。
金融機関への説明資料を準備する
金融機関に対しては、単に「会社を売却したい」と伝えるだけでは足りません。金融機関が判断できるよう、売却理由、買い手候補の概要、売却スキーム、売却価格、返済原資、経営改善計画、保証解除の理由、旧経営者と買い手の役割分担を説明できる資料が必要です。
- 借入金一覧、返済予定表、担保一覧、保証人一覧
- 滞納税金、社会保険料、買掛金、リース債務、未払費用の一覧
- 売却対象となる株式・事業・資産・契約の範囲
- 売却代金の使途と返済予定
- 買い手候補の信用力、資金調達方法、買収後の事業計画
- 保証解除、保証人差替え、担保解除、借換えの希望条件
経営者保証については、経営者保証に関するガイドラインや、金融庁のM&A・事業承継時における経営者保証情報ネットワークも確認対象になります。ただし、これらを使えば保証解除が必ず実現するわけではありません。金融機関が判断できる情報、買い手の信用力、返済可能性、法人と個人の分離、資産・負債の透明性を整えることが重要です。
売却価格・契約条件で注意すべきポイント
赤字・債務超過会社の売却では、売却価格が高くなりにくいだけでなく、価格以外の条件が重要になります。たとえば、1円譲渡や低額譲渡であっても、借入金、保証、未払税金、補償責任、競業避止、退職金、役員貸付金・借入金の整理を誤ると、売り手に大きな負担が残ります。
1円譲渡・低額譲渡でも安全とは限らない
債務超過会社では、株式価値がほとんどないと評価され、1円譲渡や低額譲渡が提案されることがあります。しかし、売却代金が低いからといって、売り手の責任が軽くなるわけではありません。買い手からは、過去の債務・税務・労務・契約違反について表明保証や補償を求められることがあります。
また、事業譲渡や資産譲渡で価値ある資産だけを移す場合、売却価格が不当に低いと、債権者保護や詐害行為の問題が生じるおそれがあります。公正な価格説明、第三者評価、入札・相見積もり、売却代金の弁済充当などを検討すべきです。
契約書で確認すべき条項
赤字・債務超過会社の売却では、通常のM&A契約よりも、前提条件、表明保証、補償、解除、クロージング後義務を具体的に定める必要があります。
| 条項 | 確認すべき内容 | 売り手側の注意点 |
|---|---|---|
| クロージング前提条件 | 金融機関承諾、保証解除、担保解除、主要契約承諾、株主決議、許認可 | 未了のまま決済すると、売却後に責任だけが残るおそれがある |
| 表明保証 | 債務、簿外債務、税金、労務、契約、訴訟、許認可、反社、環境 | 赤字会社ほど例外開示を丁寧に作る。無理な表明保証は避ける |
| 補償条項 | 補償対象、上限、期間、免責額、通知方法、第三者請求対応 | 売却価格を超える補償責任を負わないよう、上限と期間を交渉する |
| 価格調整・ネットデット | 借入金、現預金、運転資本、未払費用を価格にどう反映するか | 計算基準日、対象債務、証憑、異議手続を明確にする |
| 解除・取引中止 | 金融機関不同意、重大なDD指摘、資金ショート、表明保証違反 | 中止時の費用負担、秘密保持、返還資料、違約金を確認する |
最終契約書の全体像は、M&Aの最終契約書、価格調整はM&A価格調整条項、補償・表明保証のトラブルは簿外債務とはも参考になります。
DD・情報開示・表明保証の注意点
赤字・債務超過会社の売却では、買い手のデューデリジェンスが厳しくなります。売り手側にとって重要なのは、悪い情報を隠すことではなく、リスクを早めに整理し、どこまで開示し、どのリスクを価格・条件・補償で処理するかを明確にすることです。
隠れた債務・未払・税務リスクを一覧化する
売却前に、金融機関借入だけでなく、税金、社会保険料、買掛金、未払残業、退職金、リース、役員借入金、役員貸付金、関連会社取引、訴訟・クレーム、保証債務、担保、偶発債務を一覧化してください。赤字会社では、資金繰りのために支払先を遅らせていることがあり、買い手はそこを重点的に確認します。
東京地裁平成23年4月15日判決は、株式譲渡契約において、重要契約・追加納品代金支払債務・売掛金債権の開示や表明保証違反が問題になった事案です。裁判所は、契約上開示すべき債務や不存在の債権について表明保証違反を認めました。赤字・債務超過会社では、債務や債権の開示が不正確だと、売却後に補償請求や損害賠償の争いにつながりやすいといえます。
開示した事実と契約書を一致させる
DDで開示した情報は、最終契約書の表明保証、別紙、ディスクロージャー、補償条項と整合させる必要があります。たとえば、未払税金をDDで説明したのに契約書の表明保証では「未払税金はない」と読める記載になっていると、後日トラブルになります。
売り手側では、開示資料、Q&A、議事録、メール、データルームの履歴を残しておきましょう。買い手に伝えたつもりでも、証拠が残っていないと、売却後に「開示されていない」と主張されることがあります。DD対応の基本は、M&Aデューデリジェンスや法務デューデリジェンスで解説しています。
粉飾・不適切会計がある場合は早期に専門家へ相談する
粉飾決算、売上の前倒し、費用の未計上、在庫評価の過大計上、役員貸付金の未整理、関連会社取引の不透明さがある場合は、通常の売却活動に入る前に、会計士・税理士・弁護士と対応方針を整理すべきです。買い手への説明を誤ると、表明保証違反だけでなく、詐欺的な説明と評価されるリスクもあります。
事業再生・廃業・倒産手続との分岐
赤字・債務超過会社の売却では、「M&Aで売る」ことだけを目的にすると、判断が遅れることがあります。資金繰りが厳しい場合は、会社売却、事業譲渡、スポンサー型再生、金融機関リスケ、私的整理、廃業、民事再生、破産などを同時に比較する必要があります。
早期なら通常M&Aに近い形で進めやすい
赤字でも資金繰りに余裕があり、金融機関返済や税金・給与の支払に遅れがない段階であれば、通常の会社売却に近い形で買い手探索を進められる可能性があります。この段階では、資料整備、事業計画、価格レンジ、買い手候補、保証解除の見通しを整理します。
資金ショートが近い場合は再生支援と並行する
資金ショートが近い場合、買い手探索には時間が足りないことがあります。金融機関への返済猶予、資金繰り表、経営改善計画、スポンサー候補探索、主要債権者との調整を並行して進める必要があります。中小企業庁の中小企業活性化協議会は、収益力改善、事業再生、再チャレンジ支援などを扱う公的な相談先です。
廃業を選ぶ場合でも事業・資産売却の余地を確認する
事業継続が難しい場合でも、設備、在庫、顧客、店舗、許認可、人材、知的財産などに価値があれば、廃業前に一部事業・資産の売却を検討できることがあります。廃業とM&Aは二者択一ではなく、「事業を売却して雇用や取引を守り、残債務や保証債務を整理する」という選択肢もあります。
税金・社会保険料・給与・買掛金・金融機関返済に遅れが出ている、主要取引先から取引停止を示唆されている、借入の期限の利益喪失が問題になっている、資金繰り表で数か月以内の資金不足が見えている場合は、通常の会社売却だけでなく、再生・整理の専門家に早急に相談してください。
赤字・債務超過会社を売却する前のチェックリスト
赤字・債務超過会社の売却では、買い手を探す前に、社内資料と法務・財務リスクを整理することが重要です。資料が整理されていないまま買い手に情報を出すと、買い手の不安が大きくなり、価格減額や取引中止につながりやすくなります。
| 確認項目 | 準備する資料・確認内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 赤字原因 | 月次試算表、事業別損益、固定費、役員報酬、例外損失 | 一時的赤字か構造的赤字かを説明する |
| 債務・未払 | 借入一覧、買掛金、未払税金、社会保険料、リース、保証債務 | 買い手・金融機関・債権者への説明を統一する |
| 保証・担保 | 保証契約、担保設定契約、不動産登記、保証協会書類 | 旧経営者保証を解除・縮小できるか検討する |
| 事業価値 | 顧客別売上、契約書、許認可、従業員、設備、知財 | 買い手に評価してもらう価値を明確にする |
| 承継リスク | 賃貸借契約、取引基本契約、雇用契約、許認可、行政対応 | 株式譲渡・事業譲渡・会社分割の選択材料にする |
| 紛争・不祥事 | 訴訟、クレーム、行政処分、未払残業、税務調査 | DDで問題化する前に説明方針を決める |
| 売却後の責任 | 表明保証、補償、競業避止、退任後協力、保証解除 | 売却後に旧経営者へ残る責任をコントロールする |
買い手候補を探す方法は、M&Aの買い手の探し方で整理しています。赤字会社・債務超過会社では、通常の買い手候補だけでなく、同業者、スポンサー候補、事業再生に理解のある投資家、地域金融機関の紹介先なども検討対象になります。
赤字・債務超過会社売却で弁護士に相談すべき場面
赤字・債務超過会社の売却では、仲介会社やFAだけでなく、弁護士・税理士・会計士・再生専門家が連携する必要があります。特に、債務、保証、債権者、契約、従業員、許認可、紛争が絡む場合は、早い段階で法務面を確認してください。
- 債務超過で株式譲渡か事業譲渡か迷っている
- 金融機関への説明や経営者保証解除の進め方が分からない
- 事業譲渡・会社分割で債務をどこまで引き継ぐか整理したい
- 買い手から厳しい表明保証・補償条項を求められている
- 税金、社会保険料、給与、買掛金の滞納がある
- 資金ショートが近く、M&Aと再生・廃業を同時に検討する必要がある
- 売却後に保証解除されない、買い手が約束を守らないなどの不安がある
売却後に経営者保証トラブルが起きた場合は、M&A経営者保証トラブルを防ぐにはも参考になります。詐欺的な買い手、対価未払い、資産流出などが疑われる場合は、M&A詐欺・悪質M&Aの手口と被害回復も確認してください。
よくある質問
赤字会社でも本当に売却できますか?
可能性はあります。赤字の原因が一時的で、顧客、人材、許認可、技術、設備、立地、買い手とのシナジーに価値がある場合は、買い手が関心を持つことがあります。ただし、慢性的赤字、資金ショート、粉飾、未払税金、主要人材の退職がある場合は難易度が上がります。
債務超過の会社は1円で売ればよいですか?
1円譲渡や低額譲渡が使われることはありますが、それだけで安全とはいえません。借入金、経営者保証、補償責任、税務、債権者保護、詐害行為リスクを確認する必要があります。低額譲渡ほど、なぜその価格が合理的なのかを説明できる資料が重要になります。
借金は買い手がすべて返してくれますか?
自動的に買い手が返すわけではありません。株式譲渡では借入金は対象会社に残りますが、買い手が返済するか、借換えるか、保証解除に協力するかは契約条件と金融機関協議によります。事業譲渡では、借入金は原則として売り手会社に残り、買い手が引き受けるには別途設計が必要です。
経営者保証は会社売却で外れますか?
外れる可能性はありますが、自動的には外れません。金融機関が保証解除に応じ、書面で解除を確認する必要があります。売り手側では、保証解除をクロージング前提条件にする、一定期限までの解除義務を定める、代金留保や補償を設けるなどの対策を検討します。
金融機関にはいつ相談すべきですか?
秘密保持や買い手探索との兼ね合いがありますが、借入金・担保・保証が売却の成否を左右する場合は、基本合意や最終契約の前に、どのタイミングで金融機関へ説明するかを設計すべきです。資金ショートが近い場合は、M&Aの進捗を待たずに早急な相談が必要です。
M&Aと廃業のどちらを選ぶべきですか?
一律には決められません。事業価値、買い手候補、従業員、取引先、保証債務、返済可能性、資金繰り、社長の年齢・体力によって判断します。売れる事業や資産がある場合は、廃業前に事業売却やスポンサー探索を検討する価値があります。
まとめ|赤字・債務超過の会社売却は早期整理と専門家連携が重要
赤字・債務超過でも、会社売却や事業売却ができる可能性はあります。買い手が評価する顧客、人材、許認可、技術、設備、立地、シナジーがあれば、現在の損益や純資産がマイナスでも、M&Aの検討対象になり得ます。
しかし、赤字・債務超過会社の売却では、通常の会社売却よりも、借入金、経営者保証、金融機関対応、債権者保護、情報開示、表明保証、補償、再生・廃業との分岐が重要になります。特に、会社や事業は売れたのに旧経営者の保証だけが残る、債務を残した事業移転が債権者との紛争になる、DDで未開示債務が発覚して取引が壊れる、といった事態は避けなければなりません。
- 赤字・債務超過でも、事業価値があれば売却可能性はある
- 株式譲渡・事業譲渡・会社分割・スポンサー型再生を比較する
- 借入金・担保・経営者保証を一覧化し、金融機関協議を設計する
- 悪い情報ほど早めに整理し、DD・表明保証・補償条項と整合させる
- 資金ショートが近い場合は、M&Aだけでなく再生・廃業・法的整理も同時に検討する
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企業法務の無料法律相談実施中!
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