会社売却はいくら?相場・売却価格の決め方と高く売るポイント

会社売却はいくらでできるのかは、売却を検討する経営者・株主が最初に知りたい論点です。もっとも、会社売却には不動産のような一律の相場表はありません。会社の売却価格は、時価純資産、利益、将来性、買い手のシナジー、借入金、法務リスク、デューデリジェンスの結果、契約条件によって大きく変わります。

中小企業の初期検討では、時価純資産に営業利益やEBITDAの数年分を加える方法が目安として使われることがあります。ただし、それはあくまで概算です。実際の売買価格は、企業価値評価額そのものではなく、買い手との交渉、価格調整、表明保証、補償、税金、経営者保証解除などを踏まえて決まります。

この記事では、会社売却を検討する売り手側の経営者・株主向けに、会社売却の相場感、売却価格の決め方、簡易計算例、高く売るための準備、価格交渉で注意すべき法務ポイントを整理します。会社売却全体の流れは、会社売却の流れと準備もあわせて確認してください。

  • 会社売却に固定の相場はなく、時価純資産・利益・将来性・買い手の事情で価格が変わる
  • 初期目安として、時価純資産に営業利益やEBITDAの数年分を加える考え方が使われることがある
  • 企業価値、株式価値、提示価格、最終売買価格、売主の手取りはそれぞれ別の概念である
  • DDで法務・労務・税務・契約リスクが出ると、価格調整、補償、エスクローなどで実質的に価格が下がることがある
  • 高く売るには、売却前から利益の正常化、資料整備、属人性の低減、契約・保証リスクの整理が重要になる

坂尾陽弁護士

会社売却の価格は「相場だけ」で決まりません。買い手が安心して承継できる状態を作れているか、売却後にどのリスクを売主が負うかによって、同じ利益水準でも実際の条件は変わります。

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

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会社売却の相場はどのくらいか

会社売却の相場を一言でいうと、固定の相場はないが、初期検討では時価純資産と利益をもとに価格レンジを概算するという考え方になります。売上だけで「年商の何倍」と決めるのではなく、利益、資産、借入、成長性、リスク、買い手の買収目的をあわせて見ます。

中小企業の売却では、概算の目安として、時価純資産に営業利益又はEBITDAの数年分を加算する方法が使われることがあります。たとえば、時価純資産が8,000万円、正常化後の営業利益が2,000万円であれば、営業利益の2〜5年分を加算して、1億2,000万円〜1億8,000万円程度を初期レンジとして見る、といった考え方です。

ただし、このような計算は、買い手にその金額で売れることを保証するものではありません。買い手がその事業に強いシナジーを見込める場合は上振れしやすく、逆に主要顧客依存、代表者依存、未払残業代、重要契約の解除リスク、借入金や保証の問題がある場合は下振れしやすくなります。

相場を見るときの注意点

「会社売却の相場」は、正式な鑑定額ではなく、売り手が検討開始時に自社の売却可能性を把握するための目安です。実際に売却を進めるときは、企業価値評価、買い手候補の反応、DD結果、契約条件、税金・手取りを分けて確認する必要があります。


会社売却価格を決める主な評価方法

会社売却価格の検討では、複数の評価方法を組み合わせます。どの方法が正しいかは、会社の業種、規模、成長性、資産構成、収益の安定性、買い手の目的によって異なります。初期検討では簡便な方法でレンジを把握し、交渉段階では財務・税務・法務の専門家も交えて精度を上げます。

評価方法 概要 売り手側の注意点
時価純資産法 資産と負債を時価ベースに調整し、純資産をもとに評価する方法 不動産、在庫、貸付金、退職給付、簿外債務などの調整で金額が変わる
年買法・年倍法 時価純資産に営業利益やEBITDAの数年分を加算して概算する方法 簡便だが、業界特性、成長性、リスク、買い手シナジーを十分に反映しにくい
DCF法 将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法 事業計画、割引率、継続価値の前提で評価額が大きく変わる
類似会社比較法 類似上場会社の倍率を参考に評価する方法 非上場中小企業では規模・流動性・成長性の違いを調整する必要がある
EV/EBITDA倍率 企業価値がEBITDAの何倍かを見て評価する方法 正常化EBITDA、ネットデット、設備投資、オーナー経費の調整が重要になる
類似取引比較 同業種・同規模のM&A取引事例を参考にする方法 公開情報が限られ、取引条件や買い手事情が異なるため過信しない

評価方法の理論を詳しく確認したい場合は、M&Aの企業価値評価時価純資産法DCF法EV/EBITDA倍率・マルチプル法を確認してください。本記事では、売り手側が価格感をつかむための実務上の見方に絞って説明します。


企業価値・株式価値・売買価格・手取りの違い

会社売却の価格を考えるときは、企業価値、株式価値、提示価格、最終売買価格、売主の手取りを区別する必要があります。これらを混同すると、「評価額では高かったのに、実際の手取りが思ったより少ない」という誤解が起きやすくなります。

区分 意味 確認ポイント
企業価値 事業全体の価値を示す考え方 事業価値から現預金や借入金をどう扱うかで株式価値と差が出る
株式価値 株主が保有する株式の価値 企業価値からネットデットなどを調整して算定されることが多い
提示価格 買い手が意向表明や基本合意で示す価格 DD前の前提条件付き価格であり、最終価格とは限らない
最終売買価格 最終契約で合意される価格 DD結果、価格調整、補償、エスクロー、クロージング条件を反映する
売主の手取り 税金、手数料、借入精算等を差し引いた後に売主に残る金額 株式譲渡か事業譲渡か、個人株主か法人株主かで大きく変わる

たとえば、企業価値が1億5,000万円と評価されても、対象会社に有利子負債が5,000万円あり、余剰現預金が1,000万円しかない場合、株式価値は単純な企業価値とは異なります。また、売主が個人株主か法人株主かによって、税引後の手取りも変わります。企業価値と株式価値の違いは、企業価値と株式価値の違いで整理しています。

売買価格そのものの交渉構造は、M&Aの価格相場・会社買収価格の決め方で詳しく扱っています。本記事では、売り手が自社を売る場面で、どの価格を見ているのかを意識してください。


簡易計算例で会社売却価格の目安を見る

会社売却価格の初期レンジは、簡易計算例で大まかに把握できます。ここでは、売り手側が検討初期に使いやすい、時価純資産と利益を組み合わせる例、EBITDA倍率を使う例を示します。

時価純資産+営業利益数年分の例

対象会社の時価純資産が8,000万円、正常化後の営業利益が2,000万円の場合、営業利益の2〜5年分を加算すると、次のような初期レンジになります。

前提 計算式 概算額
営業利益2年分を加算 8,000万円+2,000万円×2年 1億2,000万円
営業利益3年分を加算 8,000万円+2,000万円×3年 1億4,000万円
営業利益5年分を加算 8,000万円+2,000万円×5年 1億8,000万円

この方法は分かりやすい一方で、利益の継続性、代表者依存、顧客集中、設備投資、借入金、成長性、買い手シナジーを十分に反映できないことがあります。営業利益が一時的に高い年だけを使うと過大評価になり、役員報酬や家族給与を調整しないと過小評価・過大評価のいずれも起こり得ます。

EBITDA倍率を使う例

EBITDA倍率では、減価償却費の影響をならした利益指標を使って企業価値を概算します。たとえば、正常化EBITDAが3,000万円、倍率を3倍〜5倍とすると、企業価値の目安は9,000万円〜1億5,000万円です。

ただし、株主が受け取る株式価値を見る場合は、ネットデットを控除する必要があります。仮に有利子負債から余剰現預金を差し引いたネットデットが4,000万円であれば、株式価値の目安は5,000万円〜1億1,000万円となります。

計算例をそのまま希望価格にしない

簡易計算は、売却検討の入口で価格感をつかむためのものです。買い手との交渉では、DD結果、契約条件、業界倍率、将来収益、税金、保証解除、分割払いの有無などを踏まえて価格レンジを見直します。


会社売却価格を上げる要因・下げる要因

会社売却価格は、過去の決算書だけで決まるわけではありません。買い手は、その会社を買った後にどの程度安定して利益を出せるか、どのようなリスクを引き受けるか、自社とのシナジーがあるかを見ます。売り手側では、価格を上げる要因と下げる要因を整理しておくことが重要です。

価格に影響する要因 上がりやすい状態 下がりやすい状態
利益の安定性 複数年にわたり安定した営業利益・EBITDAがある 一時的な利益、赤字転落、粗利低下、将来見通し不明
顧客・取引先 顧客が分散し、契約継続性が高い 主要顧客1社への依存、取引基本契約の解除リスクが高い
属人性 営業・技術・管理が組織化され、後継体制がある 代表者・特定従業員に売上やノウハウが集中している
法務・労務リスク 契約書、就業規則、許認可、個人情報管理が整備されている 未払残業代、契約書未整備、許認可承継不可、訴訟・クレームがある
財務の透明性 月次管理、部門別損益、在庫、債権債務が整理されている 簿外債務、役員貸付・借入、粉飾、過度な節税処理がある
買い手シナジー 買い手の既存事業と顧客・技術・地域・人材が補完する 買い手にとって統合効果が薄く、単独収益だけで判断される

価格を上げるためには、利益を一時的に見せるよりも、買い手が引き継ぎやすい状態を作ることが重要です。特に、代表者依存の低減、キーパーソンの維持、主要契約の整備、未払残業代や許認可リスクの整理は、価格交渉だけでなくクロージングの確実性にも影響します。


株式譲渡・事業譲渡・赤字会社で相場が変わる理由

会社売却の価格は、売却スキームによっても変わります。会社全体を株式譲渡するのか、一部事業だけを事業譲渡するのか、赤字会社・債務超過会社を売却するのかによって、買い手が引き受ける範囲が違うためです。

株式譲渡では会社全体を引き継ぐ

株式譲渡では、対象会社の株主が変わるだけで、会社の契約、従業員、許認可、借入金、債務、リスクは原則として会社に残ります。そのため、買い手は、会社全体の価値だけでなく、過去の債務や偶発リスクも含めて価格を見ます。

株式譲渡では、売主が株主として売却代金を受け取る一方、対象会社の借入金や経営者保証が残る場合があります。株式譲渡の基本は、株式譲渡とはで確認してください。

事業譲渡では承継対象を選べるが個別承継が問題になる

事業譲渡では、特定の事業、資産、契約、従業員、許認可などを選んで移転します。買い手は不要な債務やリスクを引き受けにくい一方で、契約や従業員の承継に個別同意が必要になることがあります。

一部事業の売却では、会社全体の評価ではなく、売却対象事業の利益、資産、契約、顧客、従業員、許認可を切り出して評価する必要があります。詳しくは、事業売却とはを確認してください。

赤字・債務超過会社でも価値がつくことがある

赤字会社や債務超過会社でも、顧客基盤、許認可、技術、人材、店舗網、ブランド、再建可能性、買い手とのシナジーがあれば売却できることがあります。反対に、黒字であっても、利益が代表者の属人的営業に依存していたり、重要契約が承継できなかったりすると価格は下がります。

赤字会社・債務超過会社の売却は、赤字・債務超過でも会社売却できるかで詳しく整理しています。


DD結果・契約条件が売却価格に与える影響

会社売却では、意向表明書や基本合意書で示された価格が、そのまま最終価格になるとは限りません。買い手がDDを行った結果、財務・税務・法務・労務リスクが判明すると、価格引下げ、価格調整、補償条項、エスクロー、分割払い、アーンアウトなどで条件が変わることがあります。

価格調整・ネットデット・運転資本

最終契約では、クロージング時点の現預金、有利子負債、運転資本、未払金、在庫、売掛金などをもとに価格調整を行うことがあります。基本合意時の価格は、一定の財務状態を前提にした金額であり、クロージング時にその前提からずれた場合に調整されます。

価格調整条項の具体的な仕組みや紛争対応は、M&A価格調整条項で整理しています。DD結果を契約や価格へ反映する方法は、M&AのDD結果を契約・価格へ反映する方法も参考になります。

表明保証・補償・エスクロー

売り手が対象会社の状態について表明保証を行い、違反があった場合に補償する条項を置くことがあります。買い手から見てリスクが大きい場合、価格そのものを下げる代わりに、補償責任を厚くする、一定額をエスクローに入れる、支払時期を分けるといった方法が使われることがあります。

東京地裁平成23年4月15日判決では、株式譲渡に際して対象会社の契約・債務や売掛金の開示が問題となり、表明保証違反が認められました。売り手側としては、価格交渉と情報開示を分けて考えず、どのリスクを開示し、どの価格・補償条件に反映するかを整理する必要があります。

仲介・アドバイザー任せにしすぎない

会社売却では、仲介会社やFAが価格レンジを示すことがありますが、法務リスク、契約承継、許認可、表明保証、補償、経営者保証解除まで当然に確認してくれるとは限りません。東京地裁令和4年2月24日判決は、M&Aのアドバイザリー契約をめぐる事案で、業務範囲が常にデューデリジェンスに相当する調査まで含むわけではないことを前提に判断しています。

売り手側では、価格算定資料だけでなく、最終契約でどの責任を負うかまで確認しなければ、見かけの売却価格が高くても、売却後の補償請求で実質的な手取りが減る可能性があります。


評価額は目的によって変わる

会社売却価格を考えるときは、「評価額」という言葉にも注意が必要です。同じ会社の株式であっても、任意売買のための参考評価、会社法上の価格決定、反対株主の株式買取価格、税務評価、相続評価、紛争上の損害額では、評価目的や考慮要素が異なります。

たとえば、最高裁令和5年5月24日決定は、譲渡制限株式の売買価格決定手続において、DCF法で算定された評価額から非流動性ディスカウントを行うことができる場面を認めました。他方、最高裁平成27年3月26日決定は、吸収合併に反対した株主の株式買取価格決定の場面で、収益還元法を用いた場合に非流動性ディスカウントを行うことはできないと判断しています。

このように、評価方法の名前が同じでも、どの法律関係で、誰のどの利益を調整するための価格なのかによって、結論が変わることがあります。任意の会社売却では、裁判所の価格決定と同じ考え方をそのまま使うのではなく、買い手候補との交渉、DD結果、契約条件、税務・手取りを含めて総合的に見る必要があります。

非上場会社の株価算定の考え方は、非上場企業の株価算定でも整理しています。


会社売却で高く売るための準備

会社を高く売るには、買い手候補に対して「高く買う理由」を説明できる状態を作る必要があります。単に希望価格を高く設定するだけでは、DDや契約交渉で価格が下がりやすくなります。

  • 利益を正常化し、一時的な費用・オーナー経費・役員報酬の調整根拠を整理する
  • 月次試算表、部門別損益、顧客別売上、在庫、債権債務を説明できるようにする
  • 代表者依存を減らし、営業・技術・管理のキーパーソンを明確にする
  • 主要取引先との契約書、更新条件、解除条項、支配権変更条項を確認する
  • 未払残業代、社会保険、退職金、許認可、個人情報、知財の問題を棚卸しする
  • 買い手候補を複数比較できるよう、秘密保持と情報管理を徹底する
  • 税金・保証解除・売却後の関与を含めた手取り目線で条件を比較する

決算書の見栄えだけでなく、説明可能性を高める

買い手は、過去の利益が将来も続くかを見ます。そのため、節税目的の費用、役員報酬、オーナー関連取引、一時的な収益・費用、設備投資、在庫評価、貸倒れなどを説明できるようにしておくことが重要です。説明ができない利益は、買い手から一時的・不確実な利益と見られやすくなります。

法務リスクを先に潰す

価格を上げるためには、売り手側で法務リスクを先に把握し、解消できるものは解消し、残るものは価格・契約条件でどう扱うかを決めることが重要です。主要契約の承諾が必要であるのに準備していない、許認可が承継できない、未払残業代が大きい、経営者保証解除の目途がないといった問題は、クロージング直前に価格交渉を不利にします。

買い手候補の競争環境を作る

買い手候補が1社だけの場合、売り手は条件交渉で不利になりやすくなります。一方で、候補先を広げすぎると情報漏えいや従業員不安が高まります。売り手側では、買い手の探し方、打診範囲、秘密保持、スケジュールを設計し、価格だけでなく承継条件も比較する必要があります。買い手候補の探し方は、M&Aの買い手の探し方を確認してください。


税金・借入金・経営者保証を含めて手取りを確認する

会社売却で重要なのは、売買価格だけではありません。売主に実際に残る手取り、対象会社に残る借入金、経営者保証の解除、役員退職金、税金、専門家報酬を含めて比較する必要があります。

株式譲渡では、株主が株式の売却代金を受け取り、個人株主であれば譲渡所得課税が問題になります。事業譲渡では、売主は会社であり、法人税や消費税、対象資産ごとの課税関係が問題になります。売却価格が同じでも、株式譲渡と事業譲渡で手取りは大きく変わることがあります。

税金と手取りは、会社売却の税金と手取りで詳しく整理しています。借入金・経営者保証については、会社売却で借金・借入金・経営者保証はどうなるかを確認してください。

価格比較は手取りベースで行う

買い手Aの売買価格が高くても、分割払い、エスクロー、補償上限の高さ、保証解除未了、税負担を考えると、買い手Bの条件の方が実質的に有利なことがあります。価格交渉では、額面だけでなく、支払時期、責任範囲、税引後手取りを比較しましょう。


会社売却の相場・価格に関するよくある質問

会社売却は売上の何倍で売れますか

売上の何倍というだけでは判断できません。売上が大きくても利益が薄い会社、主要顧客に依存している会社、借入金や法務リスクが大きい会社は、売却価格が伸びにくいことがあります。初期検討では、売上よりも正常化後の利益、時価純資産、将来性、買い手シナジーを確認します。

営業利益の何年分が相場ですか

中小企業では、時価純資産に営業利益やEBITDAの数年分を加算する考え方が使われることがあります。ただし、何年分にするかは一律ではありません。業種、利益の安定性、成長性、属人性、買い手の投資回収目線、リスクによって変わります。

赤字会社でも売却価格はつきますか

赤字会社でも、許認可、顧客基盤、人材、技術、店舗、買い手とのシナジー、再建可能性があれば売却できることがあります。ただし、債務超過、資金繰り、未払債務、保証の問題がある場合は、価格だけでなく負債処理や契約条件の設計が重要です。

会社売却の査定は誰に依頼すべきですか

概算の相場確認はM&A仲介会社やFAに依頼することがありますが、税務は税理士・公認会計士、契約・法務リスクは弁護士に確認するのが安全です。査定額だけで判断せず、前提条件、手数料、専任条項、責任範囲、利益相反の有無を確認しましょう。

高い査定額を出した会社に依頼すべきですか

必ずしもそうではありません。高い査定額が、実際に買い手が支払う価格とは限らないためです。査定額の根拠、候補先の具体性、手数料、契約条件、秘密保持、交渉方針を比較し、売却目的に合う専門家を選ぶ必要があります。

DD後に価格を下げられたらどうすべきですか

まず、価格引下げの理由が財務数値、法務リスク、税務リスク、契約承継、運転資本、ネットデットのどれに基づくのかを確認します。そのうえで、価格を下げるのか、補償条項やエスクローで対応するのか、前提条件を整えるのかを交渉します。理由が曖昧な価格引下げには、根拠資料を求めるべきです。


まとめ

会社売却の相場には、一律の価格表はありません。初期検討では、時価純資産に営業利益やEBITDAの数年分を加える方法、DCF法、EV/EBITDA倍率、類似取引などを参考に価格レンジを把握します。しかし、最終的な売買価格は、買い手候補の買収目的、DD結果、法務・労務・税務リスク、価格調整、補償、税金、経営者保証解除によって変わります。

  • 会社売却価格は、相場ではなく個別事情と交渉で決まる
  • 企業価値、株式価値、売買価格、手取りを分けて確認する
  • 簡易計算は入口にすぎず、DDと契約条件で価格は変わり得る
  • 高く売るには、利益の正常化、資料整備、属人性低減、法務リスク整理が重要である
  • 売却価格だけでなく、税金、保証解除、補償責任、支払条件を含めて比較する

会社売却を検討する段階では、希望価格だけを先に決めるのではなく、買い手が評価するポイント、下げられやすいリスク、手取りへの影響を整理することが重要です。候補先に情報を出す前に、価格・税金・契約リスクを一体で確認しておくことで、交渉の主導権を保ちやすくなります。

坂尾陽弁護士

会社売却の価格で迷う場合は、売却前の資料整理と法務リスクの棚卸しから始めましょう。価格交渉は、買い手候補が現れてからではなく、売り手側の準備段階で大きく差がつきます。

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