インターネットで商品を販売する企業様から、「WEB広告(メルマガ広告)を契約したが、まったく売上につながらない。1年契約と言われ中途解約できず、追加費用まで請求されている」というご相談をいただいた事例です。
広告は“やってみないと分からない”面がある一方で、成果が出ないのに費用だけが積み上がると、広告費が固定費化して資金繰りや意思決定を圧迫します。本件では、契約内容と説明内容を整理し、相手の主張の弱点(根拠の提示がない点)を突くことで、支出を最小化して決着させました。
坂尾陽弁護士
- メルマガ広告を契約したが、当該広告経由の売上が発生しなかった
- 1年契約を理由に中途解約を拒否され、クリック数を根拠に追加請求も受けた
- クリックの根拠資料が提示されない点を軸に、契約終了と追加請求の撤回を交渉
- 残期間分の広告費等を支払わずに済み、約50万円の支出抑制に成功
顧問弁護士をどのように活用したかに関する解決事例です。顧問契約を締結していない方から同様の相談・依頼があったとしてもお断りする場合があります。
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
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ご相談前の状況
依頼企業様は、インターネットを通じた物販事業を主力としていました。あるとき広告会社の営業担当者から、メルマガ広告(メールマガジンへの掲載)を提案されました。
提案内容は、月額の広告費に加え、一定のクリック数を超えた場合に追加費用が発生するという料金体系でした。営業担当者からは「月額の広告費を上回るクリックは保証するので損はしない」といった趣旨の説明もあり、依頼企業様としては“固定費を増やす不安”はありつつも、一定の集客効果を期待して契約を締結しました。
ところが、契約から3か月が経過しても、当該広告経由の売上が確認できない状態が続きました。依頼企業様としては、費用対効果が見込めない以上、早期に打ち切って他施策へ資金を回したいと考え、広告会社へ契約の解除(中途解約)を申し出ました。
課題:中途解約の拒否と追加費用の請求
広告会社の回答は「1年契約のため中途解約はできない」というものでした。それだけでなく、「クリック数が一定数を超えた」として、追加費用の請求も受けました。
依頼企業様としては、そもそも売上が増えていないうえ、クリック数が本当に増えたのかも分かりません。資料提示を求めても十分な根拠が示されず、“成果がないのに、残期間分と追加費用を支払い続けるしかないのか”という点が最大の悩みでした。
WEB広告の契約では、「契約期間」や「解約条項」だけが注目されがちですが、実務上は、運用実態(どのように配信し、どのように数値を計測し、どのように報告するか)が不透明なまま進むことがあります。本件でも、追加費用の前提となるクリック数の説明が十分ではなく、そこが交渉上の突破口になりました。
当事務所の対応
本件は顧問契約の枠内で、スピード重視で対応しました。ポイントは、法的な評価を長々と論じることではなく、相手が「突っ張りきれない」材料を揃えて交渉の出口を作ることです。
契約関係と説明内容を整理
まず、契約書・申込書・見積書・メール等を確認し、次の点を整理しました。
- 契約期間(1年)と、中途解約条項の有無・内容
- 料金体系(固定費+クリック連動の追加費用)と、追加費用が発生する条件
- クリック数の定義、計測方法、レポート提示義務がどこまで明記されているか
- 営業担当者の説明のうち、依頼企業様が意思決定の前提にしたポイント(「損はしない」等)
この整理によって、交渉で主張すべき点(相手に説明・立証を求める点)と、反論を受けやすい点(“売上が出る保証”自体は契約に書かれにくい点)を切り分けました。
「クリックの根拠が示されない」という弱点を突く
次に、追加費用の請求に対しては、根拠となる資料の提示を求めました。クリック連動課金は、数字がすべてです。にもかかわらず、相手が十分な根拠を出せないのであれば、追加請求を正当化するのは難しくなります。
そこで、依頼企業様が保有していた入金明細・請求書等も整理したうえで、こちらからは、
- 追加費用の算定根拠となるデータ(クリック数、計測期間、算定式)の提示
- メルマガ配信実績(いつ、どこに、どれだけ配信したのか)に関する説明
- 説明と実態に齟齬がある場合の是正(請求の撤回、契約終了)
を一貫して求めました。ここで重要なのは、感情的に「売上が出ないから払わない」と言い切るのではなく、契約上の請求として成立するのかという形で相手にボールを返すことです。
また、交渉の局面では、もし相手が根拠資料を出せないまま請求を継続する場合に備え、こちらとして取り得る選択肢(請求の争い方、説明内容の問題点の指摘、場合によっては契約関係の見直し)も視野に入れつつ、あくまで「早期に終わらせる」ことを優先して進めました。
中途解約に向けた落としどころを提示
依頼企業様の目的は、争うこと自体ではなく、無駄な広告費の流出を止めることでした。そこで、交渉では「今後の掲載停止」「将来分の請求をしない」「追加請求を撤回する」といった、実務的に整理しやすい着地点を提示しました。
相手方が形式的に「1年契約」を盾にしても、根拠資料の提示ができない状況が続けば、紛争化したときの説明負担や回収見込みを考え、譲歩してくることがあります。本件も、そうした相手の事情を見据えた交渉設計を行いました。
結果:契約を中途解約し、約50万円の支出を抑制
交渉の結果、依頼企業様は広告会社との契約を中途解約することができました。残期間分の広告費や、クリック数を理由とする追加請求についても、支払いを回避でき、トータルで約50万円の支出を抑えることに成功しました。
依頼企業様としては、売上が上がらない広告を漫然と継続する事態を回避できただけでなく、「相手の言い分を受け入れるしかない」と感じていた状況から抜け出せた点に安心されたご様子でした。
弁護士からのコメント
WEB広告のトラブルは、金額が月数万円〜のケースも多く、「弁護士に相談すると費用倒れになるのでは」と躊躇されがちです。しかし、広告費は積み上がる性質があり、判断が遅れるほど“やめ時”を失ってしまいます。
本件では、相手方の請求を真正面から否定するのではなく、請求の前提となる事実(クリック数)の立証を求めることで、追加請求を封じつつ、契約終了に向けた交渉を前進させました。争点を絞ってスピーディに動くことで、結果的に支出を最小化できた事案です。
同種の契約では、次の点が後から揉めやすいので、契約前・契約後のいずれの局面でもチェックをおすすめします。
- 「成果」の定義(クリック・問い合わせ・成約など)と、その計測方法
- 追加費用が発生する場合の上限、根拠データの提示方法
- 契約期間と解約条項(違約金や精算のルールを含む)
- 担当者の説明と契約書の記載にズレがないか
同様のWEB広告トラブルで企業が取るべき初動
同様のトラブルでは、次の資料があるだけで交渉の精度が上がります。
- 契約書・申込書・見積書(料金体系と期間が分かるもの)
- 営業担当者とのやり取り(メール、チャット、提案資料)
- 広告会社からのレポート(クリック数や配信実績)と、提示がない場合は「求めた記録」
- 請求書・入金明細(いつ、いくら払ったか)
これらを揃えたうえで、事業への影響(費用負担、代替施策への切替時期)も踏まえ、交渉・通知の優先順位を付けると、短期間での解決につながりやすくなります。
- 売上が出ないこと自体より、「請求の根拠が示されるか」が争点になることが多い
- 契約書と説明内容を整理し、相手が立証できない点に焦点を当てる
- 目的は“勝つこと”ではなく、支出を止めること。落としどころを設計して交渉する
坂尾陽弁護士
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