「仲介会社から不動産売買契約書のドラフトが届いたが、このまま署名して大丈夫だろうか」――不動産を所有・賃貸している企業様でも、売却の場面は頻繁ではありません。とくに、初めての売却や久しぶりの売却では、一般的なひな形のまま進めた結果、引渡し後に想定外の責任や費用負担が残ってしまうことがあります。
本件は、不動産賃貸業を営む法人(経営者は50代)が、保有不動産の一部を売却するにあたり、不動産売買契約書チェック(契約書レビュー)を当事務所にご依頼いただいた事案です。売買自体は成立しても、条項の作り方次第で「追加負担」「責任の範囲」「登記費用」などに大きな差が出ます。
仲介会社からは「早く契約しないと買主が離れるかもしれない」と急かされる場面もありましたが、依頼企業様としては、金額が大きいからこそ契約内容を理解しないまま押印することは避けたいというお気持ちでした。
坂尾陽弁護士
当事務所では、仲介会社のドラフトを前提に、依頼企業様の意向を丁寧に確認したうえで、条項の修正・追記、相手方との調整、登記実務の手当まで一括してサポートしました。
- 不動産 売買 契約 書 チェック(売却側の視点での活用事例)
- 宅地建物取引業者(宅建業者)が売主となる場面の特則も踏まえ、リスクの芽を事前に整理
- 付帯設備表・告知書・精算条項まで含めて、トラブルの起点になりやすい箇所を重点チェック
- 登記費用を抑えるため、取引全体の流れに合わせた実務スキームも検討
- 結果として、条件面の違和感を解消し、意向どおりに売却を完了
以下、具体的な経緯と当事務所の対応を紹介します(※プライバシー保護のため、事実関係は一般化しています)。
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
Contents
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ご相談前の状況
依頼企業様は、複数の収益物件を保有し賃貸業を行う法人です。今回は、保有資産の入れ替えと資金調達の一環として、収益不動産(売買代金は1億円前後)の売却を進めることになりました。
もっとも、依頼企業様は「原則として不動産は長期保有」の方針で運用しており、売買の経験は多くありませんでした。仲介会社から提示された売買契約書は一般的な形式でしたが、次の点に不安が残っていました。
- 契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の範囲や期間が、売主に不利になっていないか
- 引渡しまでの管理、設備の取扱い、付帯設備表・告知書の書き方が妥当か
- 違約金・解除条項、手付解除、ローン特約等の「いざというとき」の条件が読み切れない
- 固定資産税・管理費等の精算方法、登記費用の負担区分にムダがないか
- 引渡し後に買主から「聞いていない」と言われやすい事項(修繕履歴、近隣関係等)の整理
さらに、依頼企業様は宅地建物取引業の免許を保有していたため、売主が宅建業者となる取引として、買主保護の観点から通常より注意すべきポイントがありました。ここを見落とすと、条項が無効になったり、説明不足として後の紛争に発展したりするおそれがあります。
当事務所の対応
契約書を「条項ごと」に分解し、リスクと優先順位を可視化
まず、仲介会社のドラフトを条項単位で分解し、依頼企業様の意向(「どこは譲れるか/どこは譲れないか」)を確認しました。そのうえで、修正の優先順位を次のように整理しました。
- 責任の範囲(契約不適合責任・修補対応・損害賠償の上限)
- 解除・違約金・手付の扱い(解除事由の明確化、通知方法、期限)
- 引渡し条件(現状有姿の整理、残置物、付帯設備の特定、引渡し時点のリスク移転)
- 費用の扱い(登記費用、精算金、仲介手数料、各種税金の負担区分)
「どこを直すべきか」が明確になると、仲介会社・相手方との協議もスムーズになります。不動産売買契約書チェックは、単に誤字脱字を直す作業ではなく、取引の設計図を整える作業です。
付帯設備表・告知書を整備し、将来の紛争ポイントを先回り
売買契約書本体と同じくらい重要なのが、付帯設備表や告知書です。引渡し後のトラブルは「設備が動かなかった」「説明されていない不具合があった」といった形で顕在化しやすく、契約条項と資料の整合が取れていないと、売主側の説明不足として問題になりがちです。
本件では、物件の現況を踏まえ、設備の対象範囲を明確化し、修繕履歴や管理状況を整理したうえで、依頼企業様に過度な負担が残らない表現に整えました。必要に応じて、仲介会社を通じて買主にも事前説明が行われるよう、資料の出し方も含めて調整しました。
宅建業者売主としての特則を踏まえた条項整備
次に、依頼企業様が宅建業者である点を踏まえ、買主との関係で問題が生じやすい条項を重点的に整備しました。具体的には、買主の地位・属性、引渡し後の申出期間、説明資料の整合性などを確認し、宅建業法上の規制に抵触しない形で、実務上の落としどころを作りました。
この作業により、「あとで無効と言われる」「説明義務違反を指摘される」といったリスクを下げつつ、依頼企業様としても過度な負担を負わない内容へと調整できました。
相手方・仲介会社との協議を“理由付き”で進め、合意形成を加速
契約書の修正は、単に「直してほしい」と伝えるだけでは通りません。そこで当事務所では、修正案ごとに「なぜ必要か」「この表現なら双方にとって合理的か」を理由付きで整理し、赤入れ案(修正案)を提示しました。
仲介会社の担当者とも事前にすり合わせを行い、買主の関心が強い論点(スケジュール、引渡し条件、責任の範囲)から優先して協議することで、交渉が長期化しないよう進行管理しました。
登記費用を抑える実務スキームの検討
売買契約書チェックの過程で、登記に関する費用負担と手続の流れも整理しました。本件では取引の事情に照らし、第三者のためにする契約(いわゆる新中間省略登記)を含む複数の選択肢を検討し、関係者(司法書士・仲介会社)とも連携しながら、依頼企業様にとって合理的な手当を行いました。
不動産売却では、契約条項だけでなく、登記実務・精算実務が噛み合って初めて「意向どおりの着地」になります。当事務所では、法律面だけでなく実務面も含めて、全体を整合させるように進行管理を行いました。
結果
上記の対応により、依頼企業様が不安に感じていた条項は解消され、売主として負う責任と費用負担が明確になりました。最終的に、買主との合意形成を経て売買契約を締結し、予定どおり引渡しまで完了しました。
- 不利な条項・曖昧な条項を修正し、売却後の「追加負担リスク」を低減
- 宅建業者売主としての注意点を踏まえ、無効・紛争リスクを抑制
- 登記費用・精算条項も含め、トータルコストを最適化(無駄な支出を抑制)
依頼企業様からは「不動産売買契約書チェックを入れて正解だった。仲介会社任せにせず、安心して進められた」とのお言葉をいただきました。
弁護士からのコメント
不動産売買は、金額が大きいだけでなく、引渡し後に問題が顕在化しやすい取引です。だからこそ、契約書の段階で「責任の範囲」「手続の条件」「費用の設計」を具体化することが重要です。
また、売主が宅建業者となる場合は、通常の売買よりも買主保護が強く働く場面があり、ひな形のままでは整合しないことがあります。不動産売却の契約書作成・契約書チェックは、売却の成否だけでなく、売却後のリスクまで左右します。
「仲介会社が用意した契約書だから大丈夫」と思っていても、仲介会社のドラフトは“平均的”であり、依頼企業様の事情(物件の管理状況、設備の状態、会社の方針)に最適化されているとは限りません。売買条件が固まりきる前、できれば買付(申込み)〜契約締結の間にチェックを入れると、修正が通りやすくなります。
坂尾陽弁護士
当事務所では、顧問契約の範囲での契約書レビューや、スポットでの契約書チェックにも対応しています。売買を進める前段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。
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