「そろそろ経営から退きたい。けれど、事業承継の進め方が分からない」――本件は、医療・ヘルスケア領域の事業を営まれていた企業様が、引退を見据えてM&A(株式譲渡)による承継を検討されたケースです。
ご依頼者様は、複数の買主候補から関心を示されていた一方で、提案条件に不安があり、事業承継の弁護士相談として当事務所へご連絡くださいました。結論としては、最初の買主提案は受諾せず、別の買主探索から契約交渉・クロージングまでを一気通貫で支援し、数千万円規模での承継を実現しています。
坂尾陽弁護士
本件で特に効果が大きかったポイントは、次のとおりです。
- 買主候補の提案内容を精査し、売主側に偏ったリスク条項を早期に把握
- 弁護士のネットワークも活用し、買主探しをゼロから再構築
- 複数の買主候補と同時並行で交渉し、条件を比較しながら最適解へ収束
- 株式譲渡契約書の作成・修正からクロージングまで、実務を含めて一括支援
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
Contents
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ご相談の背景:引退を見据えた事業承継M&A
ご依頼者様(60代・女性)は、十数年にわたり会社経営に関与されてこられましたが、様々な事情が重なり、経営から引退する決断をされました。会社としては一定の実績があり、幸いにも事業に興味を持つ買主候補が複数存在していました。
もっとも、ご依頼者様にとってM&Aは初めての経験です。全体の流れ、スケジュール感、どのような手続が必要か、そして「何がリスクになるのか」が分からず、提案書や条件の読み方一つとっても判断が難しい状態でした。
そのような中で、ある買主候補から提示された提案内容に「この条件を飲んでよいのだろうか」という不安が生じ、専門家に確認したいという思いから当事務所へご相談いただきました。
最初の買主提案を受けなかった理由
本件では、最初に提示された提案条件を弁護士が精査し、売主側にとってリスクが大きい可能性が高い点を具体的に洗い出しました。M&Aでは、価格が魅力的に見えても、契約条件次第で「想定外の負担」や「後日の紛争」に発展することがあります。
ご依頼者様の状況やご希望(早期の引退、従業員・取引先への影響を抑えること、引渡し後のトラブルを避けること)を踏まえると、当該提案は「受諾しない」判断が合理的であると整理できました。ここで無理に進めてしまうと、価格面のメリット以上に、将来のリスクが大きくなるおそれがあったためです。
当事務所の対応:買主探索から契約交渉までトータル支援
買主探しをやり直し、候補を再設計
最初の候補との交渉を打ち切った場合、「次の候補が見つからないのではないか」という不安が生じがちです。本件でも、ご依頼者様は一度話が進みかけていた分、振り出しに戻ることへの心理的負担がありました。
そこで当事務所では、弁護士としての人脈・情報網を活用しつつ、事業の特性や承継後の運営体制まで見据えた買主候補を探索しました。結果として、新たな買主候補との接点を確保し、交渉を再スタートできる状態を作りました。
複数候補との同時交渉で、条件を「比較」しながら詰める
買主候補が一社だけだと、どうしても交渉力が弱くなり、条件が買主側に寄りやすくなります。本件では、当事務所が主導して複数の買主候補と同時並行で協議し、条件の比較検討ができる環境を整えました。
特に、数千万円規模のM&Aでは「大企業同士の大型M&Aほど手間をかけられない一方で、失敗すると経営者個人に直撃する」ことが少なくありません。限られた期間で、重要条件だけは落とさずに交渉するため、論点を整理したうえで、譲れない条件と調整可能な条件を分けて進めました。
株式譲渡契約書の作成・修正とクロージング支援
交渉がまとまってきた段階で、株式譲渡契約書(SPA)の作成・修正に進みます。M&A契約は一般的な契約書と異なり、表明保証、誓約、前提条件、補償、解除、紛争解決条項など、将来のトラブルを左右する条項が多岐にわたります。
当事務所では、合意した条件が契約書に正確に落ちるように調整し、売主側のリスクが過度に広がらないよう条項を精査しました。また、手続の取りまとめや、クロージング当日の確認事項(必要書類、代金決済、株主名簿の書換え等)も含め、最後まで伴走しました。
解決結果:数千万円規模の株式譲渡で円滑な事業承継を実現
以上の対応により、ご依頼者様は納得できる条件で株式譲渡を実行し、数千万円規模での事業承継を実現しました。最初に提示されたリスクの高い提案を早期に見抜き、別ルートで買主探索をやり直したことが、結果として「安心して引退できる出口」を作ることにつながりました。
ご依頼者様からは、「何が危ないのかが分からず不安だったが、整理してもらえたことで判断できた」「交渉や書類のやり取りを任せられ、経営の引継ぎに集中できた」とのお声をいただいています。
この解決事例からわかるポイント
本件は、事業承継M&Aにおいて「最初の提案を受けるかどうか」の判断と、「買主候補をどう探すか」が結果を大きく左右することを示しています。特に次の点が重要でした。
- 提案書の段階でリスクを言語化する:違和感を放置して進めると、契約書段階で修正が難しくなります。
- 買主候補は“条件”で選ぶ:価格だけでなく、支払条件や補償範囲まで含めて総合評価します。
- 同時並行交渉で交渉力を確保する:候補が複数あるだけで、条件の落としどころが作りやすくなります。
- 契約書でリスクの上限を設計する:表明保証・補償など、売主側の負担が無限定にならない設計が重要です。
中小企業のM&Aは、規模が小さいほど「専門家が入らずに進んでしまう」傾向があります。しかし、規模が小さくても、契約の失敗は大きな損失につながります。今回のように、早い段階で弁護士が入り、交渉の土台を整えることが有効です。
事業承継のご相談で、最初に整理しておくとスムーズです
「会社売却を考えているが、どこから手を付ければよいか分からない」という場合、最初から完璧な資料が揃っている必要はありません。とはいえ、次の情報があると、初回相談から具体的な見通しを立てやすくなります。
- 現時点での買主候補の有無(いる場合は提案書・条件表)
- 引退希望時期、承継後に関与できる期間
- 従業員・取引先・許認可など、承継で特に守りたいもの
- 直近の決算書(可能なら2〜3期分)
当事務所では、M&A実務に精通した弁護士が、買主との契約交渉だけでなく、買主探しや手続の取りまとめも含めてサポートしています。法律相談や見積りは無料で、正式にご依頼いただくまでは費用は発生しませんので、まずはお気軽にご相談ください。
担当弁護士からのコメント
中小企業の事業承継では、買主候補が見つかっているように見えても、提案条件が適切とは限りません。最初の提案を受諾してしまうと、後から条件を覆すことは難しくなります。
本件は、提案内容のリスクを早期に見抜き、買主探索をやり直したことで、結果としてご依頼者様の希望に沿う形での承継が実現できました。M&Aは不慣れだと大きな損をしてしまうことがありますので、不安がある段階で一度ご相談いただくことをおすすめします。
よくあるご質問
買主候補がいる場合でも、弁護士に相談するメリットはありますか?
あります。候補がいるからこそ、条件の妥当性を早期に確認できます。提案書の段階で論点を整理し、修正すべき点を明確にしてから交渉に入ると、後戻りが少なくなります。
数千万円規模でも、契約交渉は弁護士に任せた方がよいでしょうか?
おすすめです。取引規模が小さくても、表明保証や補償などの条項次第で、売主の負担が無限定になり得ます。重要条項だけでも専門家がチェックすることで、リスクを大きく下げられます。
買主探しからお願いすることはできますか?
可能です。本件でも、弁護士のネットワークを活用して買主候補を探索し、マッチングから支援しました。業種や地域、承継後の体制等に応じて、現実的な選択肢を整理します。
相談時点で資料が揃っていません。それでも相談できますか?
はい。まずは状況をヒアリングし、必要資料と優先順位を整理します。買主候補がいる場合は提案書・条件表だけでもお持ちいただけると進めやすいです。
最後に、本件の要点をまとめます。
- 危険な提案は「受けない」判断が、結果的に最短ルートになることがある
- 買主候補の探索から支援することで、交渉の選択肢が増える
- 同時並行交渉と契約書設計で、売主側のリスクを抑えながら承継できる
坂尾陽弁護士
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