顧問弁護士(顧問契約)の解約・変更はできる?手順、解約条項、違約金、引継ぎ

顧問弁護士 解約で検索している方は、いまの顧問との相性やレスポンス、専門性、費用などに不安があるはずです。結論として、顧問弁護士(顧問契約)は解約も変更(乗り換え)も可能です。ただし、やり方を誤ると「通知期限の見落とし」「清算・追加費用の認識ズレ」「引継ぎ不足による期限事故」などでトラブルになり得ます。

本記事では、企業法務に10年以上携わってきた弁護士の視点で、解約条項の確認ポイント、円満に切り替える手順、違約金・清算で揉めやすい点、引継ぎの実務チェックリストをまとめます。

坂尾陽弁護士

先に「次の顧問の確保」と「引継ぎ計画」を作り、その後に解約通知を出す――この順番が一番安全です。
  • 最初に確認すべきは、顧問契約書の「期間・更新」「解約通知期限」「清算(顧問料・実費・タイムチャージ)」
  • 乗り換えは「候補選定→利益相反チェック→移行スケジュール→解約通知→引継ぎ」の順で進める
  • 途中解約でも契約は終了できるが、タイミングや条項次第で損害賠償・追加精算が問題になることがある
  • 引継ぎは「案件一覧・期限・資料・判断メモ」をセットで受け取り、社内の窓口も更新する

執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)

企業法務の無料法律相談実施中!

  • 0円!完全無料の法律相談
  • 弁護士による無料の電話相談も対応
  • お問合せは24時間365日受付
  • 土日・夜間の法律相談も実施
  • 全国どこでも対応いたします


企業法務の無料法律相談 0120-126-050(24時間365日受付)

 

顧問契約は解約・変更できる(民法の基本と注意点)

顧問弁護士との契約は、多くの場合「委任」または「準委任」に近い性質を持ちます。そのため、原則として当事者はいつでも解除できます。ただし、自由に解除できる一方で、相手方に不利な時期に解除した場合などには、損害賠償が問題になることがあります。

ここでいう「いつでも解除」は「何も確認せず当日打ち切れる」という意味ではありません。顧問契約書の解約条項(通知期限や清算方法)が最優先です。

顧問弁護士の全体像(費用・業務内容・導入の流れなど)は、顧問弁護士とは?費用・業務内容・導入の流れ・選び方を企業法務弁護士が解説でも整理しています。

まず確認すべき「解約条項」チェックリスト

解約・乗り換えのトラブルの多くは、「条項の読み落とし」と「運用の思い込み」が原因です。顧問契約書(見積・申込書・メールを含む)で、次をチェックしてください。

  • 契約期間・更新方法:毎月更新か、年契約か。自動更新の有無。
  • 解約の申入れ期限:終了希望日の何日前までに通知が必要か(例:1か月前など)。
  • 通知方法:メール可か、書面のみか。担当者・宛先(事務所/担当弁護士)も確認。
  • 解約の効力発生日:当月末/翌月末/更新月末など、いつ終了扱いになるか。
  • 顧問料の支払方法と精算:前払い・後払い、月途中の扱い、返金可否。
  • タイムチャージ・実費・外部費用:別料金の範囲(郵送費、印紙、翻訳、公証、登記、調査費など)。
  • 個別案件(交渉・訴訟等)の報酬条項:着手金・成功報酬の精算、途中終了時の扱い。
  • 違約金・残期間分の請求:条項があるか、計算方法が明確か。
  • 資料・データの返還/保管/削除:返却物、コピーの扱い、電子データの取扱い。
  • 守秘義務の存続:契約終了後も守秘が続くことが通常。
  • 利益相反(競業):同業他社や相手方の受任制限、切替時のチェック方法。

解約条項は、顧問契約書の「業務範囲」「守秘」「利益相反」などとも連動します。条項の見方を体系的に確認したい方は、顧問契約書(顧問契約)のチェック項目|業務範囲・報酬・解約・守秘・利益相反もあわせて参照してください。

円満に「変更(乗り換え)」する手順(7ステップ)

解約よりも「乗り換え」を目的とする場合は、順番を間違えると社内の相談窓口が一時的に消え、トラブル対応が止まります。一般的に安全な流れは次のとおりです。

  1. 変更理由を言語化する:得意分野、レスポンス、提案力、費用の透明性など、何を改善したいかを明確にします。
  2. 新しい顧問候補を選ぶ:比較軸を固定し、候補を2〜3に絞って面談します(選び方は顧問弁護士の選び方・探し方が参考になります)。
  3. 利益相反チェックを先に行う:相手方企業名、主要取引先、係争中案件など、相談に必要な範囲で共有し、受任可能か確認します。
  4. 移行スケジュールを作る:解約通知期限、更新日、重要期限(訴訟・労務・取引期限)を並べ、切替日を設計します。
  5. 社内の情報を棚卸しする:案件一覧、契約書、社内ルール、決裁フローなどを整理し、引継ぎの“抜け”を減らします。
  6. 解約通知を出す:条項に沿って、感謝を添えつつ事務的に通知し、引継ぎの段取りも同時に依頼します。
  7. 引継ぎ・権限更新を完了する:資料受領、最終精算、社内窓口(連絡先・稟議)更新まで終えて切替完了です。

訴訟・労基署対応・期限がある交渉が動いている場合は、解約通知前に新顧問へ相談し、引継ぎ計画が固まってから動いてください。引継ぎミスだけは避ける必要があります。

「いきなり解約するほどではないが、方針に不安がある」という場面では、まずセカンドオピニオンで論点整理をしてから判断する方法もあります(顧問弁護士のセカンドオピニオン)。

途中解約・違約金・清算で揉めやすいポイント

顧問契約は「月額だけで完結」と思われがちですが、実務では顧問料+別料金(個別案件)+実費の組み合わせで運用されます。解約時に揉めやすいのは、次の論点です。

  • 「顧問料に含む範囲」の認識ズレ:簡易な交渉や短い書面作成を顧問料内で対応する事務所もあれば、原則別料金の事務所もあります。運用を確認しましょう。
  • 未精算(タイムチャージ・実費)の棚卸し:月末締め/都度精算など、請求タイミングが違うため、最終請求で初めて見える費用が出ることがあります。
  • 残期間分・違約金:条項がある場合は要注意です。実務では「違約金」という名目ではなく、未了案件の報酬・実費の精算として整理されることもあります。
  • 途中終了でも“既にした履行”の報酬請求が問題になる:委任は中途終了しても、既にした履行の割合に応じて報酬が発生し得ます。

費用の全体像(顧問料に含む範囲/別料金になりやすい範囲/スポットとの比較)は、顧問弁護士費用の相場は月額いくら?料金体系・業務範囲・スポット比較で整理しています。

なお、個別案件の費用が「顧問契約の継続を前提に10〜20%割引」になるケースもあります。割引の有無や条件は事務所ごとに異なるため、解約前に“総コスト”として比較すると判断がぶれにくくなります。

引継ぎで必ず押さえるもの一覧

乗り換えの成否は、引継ぎの質で決まります。少なくとも次のセットを作成し、新顧問がすぐ動ける状態にしましょう。

  • 案件一覧(できれば1枚):相手方、論点、進捗、次のアクション、担当部署。
  • 期限一覧:交渉期限、裁判所期限、社内締切、契約更新日、時効に関わる期限など。
  • 重要な契約書・社内ルール:紛争・交渉に関係する契約書、規程、就業規則、雇用関連書式など。
  • 証拠・やりとりの履歴:メール、チャット、議事録、請求書、相手方の主張書面、送付済み書面。
  • これまでの見解・判断メモ:リーガルオピニオン、リスク評価、推奨方針、譲れない条件。
  • 相手方・関係者の連絡先:担当者名、代理人(弁護士)情報、送付先。
  • データの所在とアクセス権:保管場所(クラウド等)、閲覧権限、共有範囲、不要権限の停止。
  • 最終精算に必要な情報:未精算の作業時間、実費の明細、外部費用の支払状況。

「何をどこまで顧問に任せられるか」を見直したい場合は、顧問弁護士は何をしてくれる?業務内容と相談できることも参考になります。

解約通知の出し方(メール例)と、失礼にならない伝え方

通知は、まず電話で一報を入れた上で、メール等の書面で残すのが安全です。感情的な理由付けは避け、事務的に「いつまでに終了したいか」「引継ぎと最終精算」を伝えます。

メール例(短文)

件名:顧問契約の終了(解約)のご連絡

○○法律事務所 ○○弁護士 先生

いつもお世話になっております。株式会社○○の○○です。

弊社と貴事務所間の顧問契約につき、契約条項に基づき、20XX年X月末日をもって終了させていただきたくご連絡いたします。

つきましては、解約に向けた手続き及び最終ご請求(顧問料・実費等)のご案内をご共有いただけますでしょうか。

これまでのご支援に感謝申し上げます。何卒よろしくお願いいたします。

署名

よくある質問

Q. 当月末で解約できますか?
契約の解約通知期限によります。まずは「いつまでに通知が必要か」を確認し、難しい場合は“翌月末で終了”など現実的な着地を検討します。

Q. 顧問弁護士側から解約(辞任)されることはありますか?
あり得ます。未払い、信頼関係の破綻、利益相反などが典型です。突然の辞任は業務に影響が出るため、引継ぎと社内窓口の再整備を急ぎます。

Q. 資料は返してもらえますか?
原則として原本については返還されますが、原本の扱いや保管方法は状況によります。資料の写しや検討メモ等の返還までは行わないのが一般的だと考えられます。

Q. 引継ぎに協力してもらえないときは?
顧問契約を解約する以上は積極的な引継ぎの協力までは求めにくいのが現実です。新顧問弁護士から“最低限必要な情報”を特定して依頼すれば対応可能な範囲で任意の協力をして貰えることも少なくありません。引継ぎに必要な情報・資料等は自社側で整理しておくのが安全です。

まとめ

  • 顧問契約は解約・変更できるが、通知期限・清算・引継ぎの設計が最優先
  • 乗り換えは「候補選定→利益相反チェック→移行スケジュール→解約通知→引継ぎ」の順が安全
  • 途中解約でも終了できる一方、条項とタイミング次第で追加精算や損害賠償が問題になり得る
  • 引継ぎは“案件一覧・期限・資料・判断メモ”をセットで受け取り、社内窓口も更新する

いま解約を検討している場合は、まず契約書を手元に置き、解約通知期限と未了案件の期限を洗い出しましょう。新しい顧問の選び直しは顧問弁護士の選び方・探し方、費用の整理は顧問弁護士費用の相場と料金体系が参考になります。

坂尾陽弁護士

「揉めない解約」の鍵は、解約理由を争点化しないことと、引継ぎと清算を“先に見える化”することです。

関連記事

企業法務の無料法律相談実施中!

  • 0円!完全無料の法律相談
  • 弁護士による無料の電話相談も対応
  • お問合せは24時間365日受付
  • 土日・夜間の法律相談も実施
  • 全国どこでも対応いたします


企業法務の無料法律相談 0120-126-050(24時間365日受付)