「顧問弁護士は本当に必要なのか?」は、企業法務を検討する多くの会社が一度は悩むテーマです。顧問契約は月額費用が発生する一方で、トラブルの“予防”や“初動の質”を上げやすく、結果としてコストや時間の損失を小さくできる場面があります。
このページでは、顧問弁護士の必要性を判断するために、メリット・デメリット、導入すべき会社の特徴、判断チェックリスト、費用対効果の考え方までを整理します。
- 顧問弁護士とスポット相談の違い(まず整理すべき前提)
- 顧問弁護士を導入するメリット・デメリット
- 「導入すべき会社」の特徴と、判断チェックリスト
- 費用対効果の考え方と、導入を失敗しない進め方
坂尾陽弁護士
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
Contents
企業法務の無料法律相談実施中!
- 0円!完全無料の法律相談
- 弁護士による無料の電話相談も対応
- お問合せは24時間365日受付
- 土日・夜間の法律相談も実施
- 全国どこでも対応いたします
顧問弁護士とは?スポット相談との違いを先に整理
顧問弁護士(法律顧問)とは、会社が継続的に弁護士へ相談できるようにする契約形態です。単発の案件対応(スポット)と比べて、次のような違いが出やすくなります。
- 予防法務:契約書レビューや社内ルール整備など、揉める前の設計を継続して行いやすい
- 初動:クレーム・不祥事・労務トラブルなどで、早い段階から相談しやすい
- 会社理解:事業・取引慣行・意思決定フローを理解したうえで助言を受けやすい
- 費用の見通し:相談・契約書チェックなど一定範囲が顧問料に含まれる設計にしやすい(※範囲次第)
顧問弁護士の全体像(費用・業務内容・導入の流れ)は、顧問弁護士(顧問契約)の総合ページでも整理しています。
顧問弁護士を導入する主なメリット
顧問契約のメリットは「困ったときに相談できる」だけではありません。企業活動は複数の法領域(契約・労務・個人情報・広告表示・債権回収など)が絡むため、継続支援にすることで意思決定の精度が上がりやすくなります。
- トラブルの未然防止:契約書や運用フローの改善により、紛争化しにくい設計を積み上げられる
- 初動のスピードが上がる:証拠保全・社内調査・相手方対応などの優先順位をつけやすい
- 社内の迷いが減る:経営・現場が“どこまでOKで、どこから危ないか”の判断基準を共有しやすい
- 外部窓口の一本化:取引先・顧客・従業員との紛争対応で、会社の対応方針を統一しやすい
- 新規事業の検討が進む:利用規約、広告、データ活用などの論点を早い段階で洗い出せる
「実際に何をしてくれるの?」という疑問は、顧問弁護士は何をしてくれる?業務内容と相談できることで具体例つきで解説しています。
顧問弁護士のデメリット・注意点
一方で、顧問契約にはデメリットもあります。導入後に「思っていたのと違う」とならないよう、契約前にポイントを押さえておくことが重要です。
- 固定費が発生する:相談頻度が低い時期は「もったいない」と感じやすい
- 範囲外は別料金になりやすい:交渉代理、訴訟対応、書面作成などは顧問料に含まれない設計も多い
- 専門性のミスマッチ:業界特有の規制や、労務・知財などの重点領域に強いかは差が出る
- レスポンス・体制差:担当弁護士の稼働状況、バックアップ体制の有無で満足度が変わる
「顧問料に何が含まれるか」を曖昧にしたまま契約すると、いざというときに追加費用や対応範囲で揉めやすくなります。契約書で業務範囲・報酬・連絡手段・緊急時対応まで具体化しましょう。
顧問契約書のチェック観点は、顧問契約書(顧問契約)のチェック項目で詳細にまとめています。
顧問弁護士を導入すべき会社の特徴
「顧問弁護士が必要になりやすい会社」には傾向があります。次のいずれかに当てはまる場合、顧問契約のメリットが出やすいです。
契約・取引の回転が速い(または契約書の種類が多い)
取引先との基本契約、業務委託、NDA、利用規約などの更新や新規締結が多い会社は、契約チェックが“単発”になりにくい分、顧問で運用を整えた方が効率的です。
労務の火種が起きやすい(採用・退職・評価・残業が増えてきた)
従業員数が増えるほど、労務トラブルは起こりやすくなります。就業規則の整備、問題社員対応、ハラスメント対応などは、初動を誤ると長期化しやすいため、継続的に相談できる体制が有効です。
クレーム・返金・債権回収など「初動」が重要な場面がある
顧客対応や取引先トラブルでは、事実関係の整理と証拠保全、相手方への連絡文面、社内の対応方針の統一が重要です。早い段階で弁護士が入るほど、紛争化や損失拡大を抑えやすくなります。
新規事業・広告・データ活用など、グレーを潰しながら進める必要がある
新しいビジネスは、関連法令・ガイドラインの読み解き、表示(景表法)・個人情報・委託先管理など論点が増えがちです。顧問がいると、検討を止めずに進めやすくなります。
導入判断チェックリスト(Yes/No)
次の項目を見ながら、「顧問契約が今必要か」を棚卸ししてみてください(Yesが多いほど、顧問の効果が出やすい傾向があります)。
- 契約書のチェックや作成が、月に1回以上発生している(または今後増えそう)
- 取引条件の交渉(納期・解除・損害賠償など)で迷うことがある
- 採用・退職・評価・残業など、労務の相談が社内で増えている
- 問題社員・ハラスメントなど、初動対応が難しいテーマがある
- クレーム・返金・債権回収など、外部対応の“型”が決まっていない
- 新規事業や新サービスで、利用規約・広告表示・データ取扱いが課題になっている
- 下請・委託先・外注管理で、契約や検収の運用に不安がある
- 過去に法的トラブルで、社内の工数や損失が大きかった経験がある
- 社内の意思決定を急ぎたいが、法的リスク確認がボトルネックになっている
- 社内で法務担当者が不在、または兼務で回りきっていない
- 取引先からの契約書を“そのまま受ける”ことが少なくない
- 社外への回答文(通知書・督促・説明文)を作る場面が増えている
目安として、Yesが3つ以上なら「スポットだけでは回しにくい領域が出始めている」可能性があります。Yesが少なくても、1つのトラブルの影響が大きい業種(規制産業など)では、顧問の価値が高いこともあります。
費用対効果の考え方(顧問料は“保険”ではなく“運用コスト”)
顧問料は「何も起きなかった月は損」と捉えると判断が難しくなります。実務上は、顧問弁護士を社内の法務機能を補う運用コストとして考えると整理しやすいです。
例えば、契約書の雛形整備やチェック基準の統一、クレーム対応のテンプレ化が進むと、トラブル発生件数が減ったり、現場の迷いが減って対応時間が短くなったりします。結果として、顧問料以上の工数削減につながる会社もあります。
費用体系(顧問料に含まれる範囲/別料金になりやすい領域)や相場感は、顧問弁護士費用の相場は月額いくら?料金体系・業務範囲・スポット比較で詳しく解説しています。
「相談窓口(誰が依頼するか)」「社内で先に整理する情報(事実関係・資料)」「緊急時の連絡手段」を決めておくと、顧問の効果が出やすく、追加費用が発生しにくい運用になります。
導入の進め方(失敗しないための段取り)
顧問弁護士を導入するときは、「とりあえず契約」ではなく、社内の課題に合わせて設計することが重要です。一般的には次の順で進めると失敗しにくくなります。
- 社内の相談テーマを棚卸し:契約、労務、クレーム、新規事業など優先順位をつける
- 比較軸を決める:専門性、レスポンス、料金の透明性、情報管理体制など
- 面談で“すり合わせ”:業務範囲、別料金になりやすい領域、連絡方法、緊急対応
- 契約書で明文化:報酬、解約、守秘、利益相反、担当体制を具体化する
比較軸と面談時の質問例は、顧問弁護士の選び方・探し方にまとめています。契約書面の確認は、前述の顧問契約書のチェック項目もあわせてご参照ください。
顧問契約の相談窓口や進め方のイメージを掴むには、顧問契約のご案内も参考になります(具体的な契約条件は個別に異なります)。
迷うなら「スポット+段階的導入」も現実的
相談頻度がまだ少ない段階では、いきなり顧問契約ではなく、スポット相談や契約書チェックから始める方法もあります。そのうえで「相談が増えた」「トラブルの初動が課題だ」と感じたタイミングで顧問へ移行すると、納得感を持って導入しやすくなります。
スポット契約との違いや向き不向きは、顧問弁護士とスポット契約の違い|費用比較と向いている会社でも整理しています。すでに顧問契約がある会社が見直す場合は、顧問弁護士のセカンドオピニオンという選択肢もあります。
まとめ
- 顧問弁護士は「継続支援」により、予防と初動の質を上げやすい
- 一方で、固定費・業務範囲のズレ・専門性ミスマッチがデメリットになり得る
- 契約・労務・クレーム対応が増える会社ほど、顧問の費用対効果が出やすい
- 迷う場合は、スポットから始めて段階的に顧問へ移行する方法もある
関連記事・次に読むべき記事
企業法務の無料法律相談実施中!
- 0円!完全無料の法律相談
- 弁護士による無料の電話相談も対応
- お問合せは24時間365日受付
- 土日・夜間の法律相談も実施
- 全国どこでも対応いたします
