会社の意思決定はスピードが命ですが、契約・労務・クレーム対応・新規事業などで法的リスクを見落とすと、後から大きな損失につながることがあります。そんなとき、日常的に相談できる外部パートナーが顧問弁護士(法律顧問)です。
この記事では、役割、費用感、対応できる業務、導入の流れ、選び方まで、企業法務の実務で迷いがちなポイントをまとめて解説します。
坂尾陽弁護士
この記事で分かること
- 外部の法律顧問が担う役割と、スポット相談との違い
- 相談できる業務の範囲(契約書・労務・債権回収など)
- 月額費用の考え方と、別料金になりやすいケース
- 導入までの流れと、契約書で確認すべき条項
- 後悔しない選び方(比較軸・質問例)
執筆者:弁護士 坂尾 陽(企業法務・M&A担当)
Contents
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顧問弁護士とは(法律顧問の意味)
「顧問弁護士」は、法律上の資格や役職名として定義されたものではなく、企業と弁護士が継続的な法律支援を行う契約(顧問契約)を結び、日常的な相談・予防・初動対応を支える関係を指すのが一般的です。
スポット(単発)で依頼する弁護士と比べ、顧問契約では、会社の事業内容・組織体制・意思決定のクセ・過去の経緯などを共有しやすく、判断が早く、助言の精度も上がりやすいのが特徴です。
顧問契約のメリットは「何か起きたとき」だけでなく、何も起きない状態を維持する(予防)点にもあります。
顧問弁護士が企業にもたらす主なメリット
顧問弁護士を置くメリットは「トラブル対応」だけではありません。実務では、次のような効果が期待できます。
- 意思決定が速くなる:相談先が決まっているため、調べる・探す時間を短縮できる
- 予防法務が進む:契約書の整備、運用ルールの作成などでトラブルを未然に減らせる
- 初動を誤りにくい:クレーム・事故・不祥事対応などで、初動ミスを避けられる
- 外部との交渉に強くなる:相手方との交渉方針を整理し、落とし所を設計しやすい
- 社内の負担を減らせる:法務担当がいない、少人数の会社でも「法務の相談窓口」を確保できる
一方で、費用が発生する以上「本当に必要か」を見極めることが大切です。導入判断のフレームは、次の記事で詳しく解説しています。
顧問弁護士は必要?メリット・デメリットと導入すべき会社の特徴
顧問弁護士は何をしてくれる?対応できる業務範囲
顧問弁護士が対応できる業務は幅広い一方で、「顧問料に含まれる範囲」と「別途費用がかかる範囲」は契約内容で変わります。まずは、一般的に相談が多いテーマを整理します。
- 契約書対応:取引基本契約、業務委託、売買、利用規約、NDAなどの作成・レビュー
- 労務:解雇・退職勧奨、問題社員、残業代、ハラスメント、就業規則の整備
- 取引トラブル:代金未払い、瑕疵、納期遅延、損害賠償請求への対応
- 債権回収:督促、交渉、支払計画、法的手続の選択肢整理
- クレーム・事故対応:説明文書、謝罪の可否、再発防止策、社外対応の設計
- 新規事業・広告表示:規制の有無、表示リスク、社内フロー整備
- コンプライアンス:社内規程、研修、通報対応、リスクマップの作成支援
「何でも顧問料の範囲で無制限に対応してもらえる」と考えると、あとで認識違いが起きやすくなります。業務範囲・対応方法・緊急時の連絡手段は、契約前にすり合わせましょう。
より具体的に「どこまで依頼できるか」「別料金になりやすい業務」を整理したい場合は、次の記事が参考になります。
社内法務(法務部・インハウス)との違いと、併用の考え方
企業の法務体制は大きく、社内法務(法務部・インハウス)と外部弁護士(顧問契約やスポット)の組み合わせで考えるのが実務的です。
社内法務は、社内事情を踏まえた迅速な意思決定・運用改善が得意です。一方、外部弁護士は、紛争対応の経験、交渉力、専門分野の知見、第三者としての客観性を提供できます。
「社内で抱えるべきか/外注すべきか/併用がよいか」の比較は、費用面だけでなく、案件の頻度・難易度・スピード要求・社内リソースで決まります。整理のしかたは次の記事で詳しく解説しています。
顧問弁護士費用の相場と料金体系の考え方
顧問弁護士費用(顧問料)は、一般に月額固定で設定されることが多い一方、次の要素で大きく変わります。
- 相談の頻度(毎月の相談件数・緊急対応の有無)
- 対応範囲(契約書レビュー中心か、交渉・労務・社内体制づくりまで含むか)
- 事業の規模・リスク(取引先数、従業員数、規制産業か等)
- レスポンス要件(当日回答の必要性、定例会の有無)
また、顧問料とは別に費用が発生しやすい典型例として、訴訟・調停等の代理、M&Aや資金調達など大型プロジェクト、現地対応・出張対応などがあります(ただし契約内容によります)。
料金体系のパターン(定額/時間制など)と、スポット契約との比較は、次の記事で詳しく解説しています。
顧問弁護士費用の相場は月額いくら?料金体系・業務範囲・スポット比較
「格安プランを選んでも大丈夫?」という不安がある場合は、月額別の注意点をまとめた次の記事も参考にしてください。
顧問弁護士が安い(格安)プランは大丈夫?月額別に“できること”と注意点
導入の流れ:相談から契約・運用まで
顧問弁護士を導入する流れは、概ね次のとおりです。ポイントは「何を解決したいか」を先に言語化することです。
- 現状の課題整理(契約書が不安/労務トラブルが多い/クレーム対応に困る等)
- ヒアリング・提案(対応範囲、連絡手段、定例の有無、料金体系のすり合わせ)
- 顧問契約の締結(業務範囲・報酬・解約条項・守秘・利益相反等を明確化)
- 運用開始(相談窓口の一本化、社内フロー整備、定例ミーティング等)
「まずは相談して相性を見たい」「相談料の考え方を知りたい」という場合は、次の記事が参考になります。
顧問弁護士に相談するには?相談料の目安・無料/オンライン相談の注意点
顧問契約の具体的な案内(支援内容・進め方)を確認したい場合は、次のページもご覧ください。
顧問契約書で確認すべき条項(業務範囲・報酬・解約・守秘など)
顧問契約は「月額で相談できる」というイメージだけで進めると、後で「これは別料金」「これは範囲外」といった行き違いが起きがちです。契約書では、少なくとも次の点を確認しましょう。
- 業務範囲:契約書レビュー、電話/チャット相談、交渉同席、社内研修などの可否
- 報酬体系:顧問料に含まれる作業量、追加費用が発生する条件
- 緊急対応:連絡手段、対応時間帯、回答目安
- 守秘義務:社内情報の取り扱い、秘密保持の範囲
- 利益相反:取引先との紛争時に受任できない可能性(利益相反の整理)
- 解約・変更:解約予告期間、契約更新、引継ぎ対応
条項のチェックポイントをより詳しく知りたい場合は、次の記事が参考になります。
顧問契約書(顧問契約)のチェック項目|業務範囲・報酬・解約・守秘・利益相反
契約書のひな形や、印紙・電子契約の扱いも含めて確認したい場合は、次の記事もご覧ください。
顧問契約書テンプレート(Word/PDF)|必須条項と印紙・電子契約の扱い
顧問弁護士の選び方・探し方:後悔しない比較軸
顧問弁護士は「料金の安さ」だけで選ぶと、レスポンスや専門性のミスマッチで結局コストが増えることがあります。比較するときは、次の軸で検討するのが実務的です。
- 企業法務の経験:契約書・労務・クレーム対応など、日常業務に強いか
- 得意領域:自社の業種・課題(IT、建設、医療、スタートアップ等)と合うか
- レスポンス:回答の目安、緊急時の連絡手段、担当者の体制
- 説明の分かりやすさ:専門用語をかみ砕き、意思決定に必要な選択肢を提示してくれるか
- 料金の透明性:顧問料に含む範囲、追加費用の条件が明確か
- 情報管理:秘密情報を扱う体制(運用・ツール)に納得できるか
依頼前に確認したい質問例や、比較チェックリストは次の記事にまとめています。
顧問弁護士の選び方・探し方|比較軸チェックリストと依頼前の質問集
ケース別:中小企業・スタートアップ・個人事業主のポイント
同じ顧問契約でも、会社のフェーズによって「優先すべき支援内容」が変わります。代表的な観点を整理します。
- 中小企業:契約書の標準化、労務トラブル予防、取引先対応の初動設計が効果を出しやすい
- スタートアップ:資金調達、投資契約、SO(ストックオプション)、NDA/利用規約など、成長局面の論点が集中しやすい
- 個人事業主:契約書の整備と、未払い・クレーム等のトラブル対応を「早期に型化」すると安心
それぞれの活用イメージや費用感は、次の記事で詳しく解説しています。
解約・変更はできる?引継ぎの注意点
顧問契約は、会社の状況に合わせて解約・変更すること自体は珍しくありません。よくあるきっかけとして、事業拡大、相談頻度の増減、担当変更、体制見直しなどが挙げられます。
ただし、解約予告期間、未精算の報酬、資料・データの返却、進行中案件の引継ぎなど、契約条項と実務手順を踏まえて進めることが重要です。トラブルを避けるためのポイントは次の記事で整理しています。
顧問契約の解約・変更はできる?手順、解約条項、違約金、引継ぎ
顧問弁護士の記事一覧(テーマ別)
さらに詳しく知りたいテーマがある場合は、次の記事も参考にしてください。
まとめ
顧問弁護士は、トラブル対応にとどまらず、日常の意思決定・予防法務・初動対応を支える「外部の法務パートナー」です。導入の前に、期待する支援内容と運用イメージを整理すると、ミスマッチを防げます。
- 顧問契約は「継続支援」の枠組みで、予防と初動の質を上げやすい
- 業務範囲と別料金になりやすい領域は、契約前に必ずすり合わせる
- 社内法務・スポット契約との違いを理解し、自社に合う体制を選ぶ
- 比較軸(専門性・レスポンス・透明性)を明確にして選ぶ
- ケース別(中小・スタートアップ等)で重視点は変わる
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